地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
バルセロナのバス路線変更プロジェクト担当してたけど、何か質問ある?バルセロナの都市形態を最大限活かした都市モビリティ計画
今週バルセロナではスマートシティに関する世界で一番大きな会議、その名もスマートシティ国際会議(Smart City Expo: World Congress)が開かれています。



スマートシティに関しては当ブログで散々書いてきた通りなので今更書き足す事は無いと思うんだけど(地中海ブログ:スマートシティ国際会議(Smart City Expo: World Congress)に出席して思った事その1:バルセロナ国際見本市会場(Fira Barcelona)の印象)、「バルセロナのこの会議」に関して言えば、その構想の初期段階から関わっていた事なども手伝って、「非常に感慨深いなー」というのが正直な所でしょうか。と言うのもですね、スマートシティなるものが一体何モノなのか世間一般にはまだよく知られていなかった5年程前のこと、「この分野でリーダーシップをとっていく事が、バルセロナの競争力ひいては都市の魅力を確保していく上で絶対に必要になります!」と、当時の市長や局長クラスを説得し、当時はまだ「知る人ぞ知る」っていう存在でしかなかったSENSEable City LabのCarlo Rattiを招く事によってバルセロナ誘致に漕ぎつけた‥‥という事情があるからなんですね(地中海ブログ:サスキア・サッセンと世間話で盛り上がったディナー)。



そんなスマートシティ国際会議の一環で今週バルセロナでは実に画期的な試みが行われているんだけど、それこそ今日のお題である「バルセロナ市バス路線変更プロジェクト」なのです。



これは何かと言うと、その名の通り「バルセロナ市内を縦横無尽に走るバス路線の変更を行う」っていう街全体を巻き込んだ壮大なプロジェクトなんだけど、何を隠そうこのプロジェクトを担当していたのは僕でしたー。←これ、嘘の様なホントの話(笑)。



バルセロナ市役所で働いていた時は主に4つのプロジェクトを担当していて、1つはグラシア地区の歩行者空間プロジェクト(地中海ブログ:グラシア地区祭り:バルセロナの歩行者空間プロジェクトの責任者だったけど、何か質問ある?)、もう1つは欧州委員会との恊働プロジェクト(地中海ブログ:EUプロジェクト、ICING (Innovative Cities for the Next Generation)最終レビュー)、そして欧州グリーン首都賞を受賞したビトリア市の都市計画/都市モビリティ、そして最後の1つがこのバルセロナ市バス路線変更プロジェクトだったという訳なんです。



まあ勿論一人でやった訳では無くて、というかそんなこと口が裂けても言えなくて(汗)、市役所の同僚は勿論のこと、バス会社(TMB)で担当だった人達、地元工科大学のモビリティ分野の世界的権威、エネルギー関連のスペシャリストなどなど、実に様々な人達の何年にも及ぶ努力の結晶が、今日見るバス路線に結実した事は間違いありません。

「バルセロナモデル」に代表されるバルセロナの画期的な都市計画を研究している研究者は世界中に数多いるんだけど、文献や担当者との表面的なインタビューに頼るのではなく、実際の現場で手を動かし、あれやこれやとアイデアを出し合いながら「都市のかたち」を模索していくこと、そんな現場に参加する事が出来たという幸運。それらの事は今後の僕の人生にとって掛替えのない財産になったことは間違いないと思います(地中海ブログ:何故バルセロナオリンピックは成功したのか?まとめ

さて、では一体「何がそんなに画期的だったのか?」というと、それを説明する為には先ずバルセロナの都市形態の話から始める必要がありそうです。



これまた当ブログでは何度も説明してきた様に、バルセロナという街は胡桃の様な形をしているローマ時代に創られた歴史的中心地区(上の地図の真っ黒い部分がバルセロナの歴史的中心地区)、その胡桃を包み込む様に広がっている碁盤の目、更にその碁盤の目の外側に広がっている郊外という3層構造をとっていて、その中でもバルセロナにとって決定的に重要だったのが、19世紀半ばにイルデフォンソ・セルダ(Ildefonso Cerda)により導入された板チョコの様な新市街地、通称セルダブロックなんですね。



一辺約130メートルの四角形が整然と150個も並ぶ風景は圧巻としか言いようがありません。「なぜセルダがこの様な画一的な計画を実行したのか?」については諸説あって、例えばその1つがセルダの友人だったモントゥリオル(Narcis Monturiol:潜水艦発明の先駆者(地中海ブログ:エティエンヌ・カベ(Etienne Cabet)とモントゥリオル(Narcis Monturiol)))の影響を受けたんじゃないか?という大変ロマンチックなものが存在したりします。このモントゥリオルなる人物は、「海底2万マイル」に影響を受けて潜水艦を発明したんだけど、その彼の思想に多大なる影響を与えていたのがエティエンヌ・カベだったと言う事は専門家の間では良く知られている話だったりします。



ちなみに「ノーチラス号の資金源がビーゴ近郊に沈没した船からだった」というのは、「他には何も無い」と皮肉を込めて言うガリシア人達が嬉しそうにする数少ない自慢話の1つです(地中海ブログ:ガリシア旅行その3:エンリック・ミラージェス(Enric Miralles)の建築、ビーゴ大学(Univeristy of Vigo)その1:ミラージェスの真骨頂、手書きのカーブを存分に用いた名建築)。



もう1つちなみに、HUNTER x HUNTERの12巻に出てくる幻影旅団が隠れていたヨークシンシティの地図は、バルセロナの新市街地(詳しく言うとMaria Cristinaからサンツ駅、そしてスペイン広場)辺りをコピーしているという事は以前書いた通りです(地中海ブログ:世界最悪の絵画修復が村の最高の宣伝になってしまった件とか、HUNTER x HUNTERの中に密かにバルセロナが登場する件とか)。


(スペイン広場辺りの地図:上のHUNTER x HUNTERの絵と比較すると如何にそっくりかが分かるかと思います)

あー、脱線してしまった‥‥。という訳でセルダの都市計画に話を戻すと、最近ではこの19世紀半ばに創られたセルダブロックが再び脚光を浴び始め、駐車場や工場として不適切利用されていた中庭を市民に開放しようという動きがある事などは当ブログで紹介してきた通りです(地中海ブログ:エンサンチェ(Ensanche:新市街地)セルダブロック中庭開放計画その1: Jardins de Maria Merce Marcal)。

一方、都市内におけるバスの路線というのは、一般的に言ってその都市の拡大と共に発展してきたと言えるかと思います。つまり今までは人があまり住んでいなかった地域が開発された事によって、その地域に市民が集中し始めたが為に既存の路線が無理矢理繋げられたり‥‥と言った様に。その様にして出来上がったのが現在我々が各都市で見る事が出来るバス路線なんだけど、それらは文字通り「グニャグニャ」としていて、ある地点からある地点に移動する所要時間にしてもエネルギー消費の観点から見ても明らかに最適化されているとは言い難い状況に陥っているのが常だと思うんですね。



今回バルセロナで僕達が目指したもの、それは地点Aから地点Bに移動する際に最も所要時間が短くなり、且つ、最もエネルギー消費が少なく、そしてなるべく多くのエリアを最小のバス路線と本数でカバー出来ると言う最適解でした。



その際に大変考慮したのが上述したセルダブロックであり、バルセロナという都市が「地」として元々持っていた都市形態だったのです。もっと具体的に言うと、整然と並べられたセルダブロックに沿って上の図でA点からC点に移動したい人は、取り合えずA点からB点まで直進してからB点で一度乗り換える。そして再びB点からC点まで直進する事によって移動時間を最小化出来る‥‥というアイデアなんですね。このアイデアを実際の路線に翻訳するとどうなるか?と言うと、こうなります:



山手側から海側に向かって一気に降りて行くバス路線。そしてもう1つは:



左手側(右手側)から右手側(左手側)へと真横一直線に進んで行く路線群。それが合わさったのがこれ:



現在バルセロナ市内を走っているバスにはH18とかV20と言った「H」と「V」という記号が付いているのですが、これはHorizon(水平)とVertical(垂直)の頭文字であり、その記号を見る事によって市民は「あー、このバスは水平に走ってるバスなんだなー」と、一目で認識出来るという訳なのです。

さて、この様なプランを実現する際に非常に重要になってくるのが乗り換え場所、つまりバス停なんだけど、このバス停のデザインとコンセプト創りには非常に長い時間とエネルギーが注ぎ込まれました。

と言うのもバルセロナのバス停は、大体400メートル毎に配置されているんだけど、この400メートルという数字がミソで、これは大人が普通に歩いて5分の距離であり、歩いて5分というのは人が歩こうと思う限界時間なんだそうです。つまり5分を超えると他の交通手段を使おうとするらしいんですね。更に更に、400メートルというのは上述のセルダブロックに換算するとブロック3つ分に相当するんだけど、この様に上手く分配されたバス停をその地域における情報の結節点、つまり「日本で言う所のコンビニの様な存在にしようじゃないか!」というのが僕達が出した最初の提案でした。



そしてそれら情報の結節点には当時としてはかなり斬新だったタッチパネル式の液晶を配置し、そこで市民は様々な情報を得る事が出来る‥‥という提案がなされたのです。



現在見る事が出来るバス停にはこれら全ての提案が「反映されてはいない」んだけど、と言うのもバス停のデザインに関して絶対的な権限を持っているのがフランスの大手広告会社、JC Decauxという会社であり、バス停に関しては彼らの意向に従う必要があったからなんですね。ちなみにこの会社のビジネスモデルは非常に面白くて、彼らは例えばバルセロナ市なんかにこう働きかけるわけですよ:

「バス停を無料でデザインします。建設費も設置費も全て我々が負担します。その代わり、バス停での広告独占権は頂きますよ」

と。この話を聞いた時は度肝を抜かれましたけどね(笑)。ちなみにセニョール・デコーがバルセロナに来る時は「わざわざ市長が出迎えに行く」という噂があります(笑)(地中海ブログ:JC Decaux(JCデコー社)とフランス屋外広告事情;地中海ブログ:ヨーロッパのバス停デザイン:バルセロナ新バス停計画)。

まあ、そんなこんなで、足掛け10年あまりを経てようやく実施に辿り着く事が出来た今回のバルセロナ市バス路線変更計画。勿論ここがゴールではなくて、今後市民へのアンケートなどを経て、市民の反響などを見ながら少しづつ路線修正していく事になると思います。



そう、我々が毎日使うインフラの計画、ひいては都市計画とは、その計画が竣工した時がゴールなのではなく、「そのインフラを使っている市民がどう思っているのか?」、「使い勝手はどうなのか?」、「何処か不備は無いのか?」などユーザーの反応を見ながら段々と修正していく、最適化に近づけていく、そこまでやって初めてインフラ計画と言えるのです。

そういう意味で言うと、バルセロナのバス路線変更計画はまだ始まったばかりなのです。
 
JUGEMテーマ:アート・デザイン
| バルセロナ都市計画 | 06:12 | comments(10) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
スマートシティ国際会議(Smart City Expo: World Congress)に出席して思った事その1:バルセロナ国際見本市会場(Fira Barcelona)の印象
前回のエントリで少しだけ書いたのですが、バルセロナでは今週火曜日から4日間に渡ってスマートシティに関する国際会議、Smart City Expo, World Congress; smart society for innovative and sustainable citiesが行われています。その関係で、今週は朝から晩までミーティング三昧だったんだけど、昨日の夜、帰り際にサグラダファミリアの前を通り掛かったら、サグラダファミリアが真っ赤に燃えているかの様なライトアップをしててビックリ!



「な、何事だー!」とか思ったんだけど、どうやら12月1日は「世界エイズの日」という事で、世界各地のモニュメントが赤く照らし出されていたと言う事を翌日のニュースで知りました。てっきり昨晩グラシア大通りで行われてた、The Shopping Night Barcelona関連なんだとばかり思ってたー(地中海ブログ:Barcelona Oportunity Weekに見るバルセロナの都市戦略)。

まあ、それは良いとして、早速今日の本題に入りたいと思うんだけど、先ず始めに「スマートシティとは一体何か?」と言うとですね、手短に言うと、近年勃興してきた新しいテクノロジー(スマートフォンなんか)を使ってデータを収集しつつ、それらを都市分析に役立てながら、交通やエネルギー削減など、都市のサービスを向上させていこうというアイデアの事を言うんですね。ここ数年で急速に認識が広まりつつある「スマートグリッド」も、スマートシティの大変重要な柱の一つと考えられています。

実は僕はスマートシティとは結構深い関わりがあって、と言うのも数年前バルセロナ市がダブリン市やヘルシンキ市と一緒に立ち上げたEUプロジェクト、ICING(Innovation Cities of Next Generation)の交通分野の責任者をして以来、スマートシティやインテリジェントシティと名の付いた数々のプロジェクトに関わる機会があったからです。



ICINGが動き出したのが2004年、立ち上げ始めたのが2002年の事ですから、このプロジェクトはヨーロッパの中でもスマートシティの走りと言っても過言ではないと思います。ちなみにその後、欧州工科大学の前身となる分科会(みたいなの)のエネルギー分野を「(何故か知らないけど)カタルーニャが引き受けましょう」とか州政府が口走っちゃったもんだから、みんながあたふたした挙げ句、とある公的機関のスマートグリッドに関わっていた事もありました。

と言う訳で、今週は日本を始め、ヨーロッパやアメリカなんかからひっきりなしにくるお客さんとのミーティングが会議の合間に「これでもか!」っていう勢いで入ってたんだけど、そんなかなりキツキツのスケジュールの中でも僕が密かに楽しみにしていたのが、今回の会議場の見学だったんですね。何でかって、今回スマートシティの会場になっていた所こそ、日本が誇る世界的建築家、伊東豊雄さんがデザインされたバルセロナ国際見本市会場Fira Barcelonaだったからなんです。



この建築、実は数年前に完成していたのですが、今までなかなか時間がとれなかった事も相俟って、ゆっくりと見学する機会に恵まれませんでした。と言う訳で、今回は国際会議の参加者として、じっくりと空間を体験してみたいと思います。

と、ここまで書いてきて何なのですが、この建築の真の価値と言うのは、その建築的空間の質もさる事ながら、この建築がこの場所に計画された意味、つまりはバルセロナ市の都市戦略と共に考えないと正しい評価は出来ないと思うんですけどね。この国際見本市のロケーションがバルセロナにとってどれ程重要かという事は、この建築が完成するのに合わせて、わざわざ徒歩5分の所に州政府が地下鉄駅を創り出した事にも見られると思います(この話は長くなりそうなので又今度)そんな事を思いつつ、最寄り駅のエスカレーターを昇っていたら、こんな風景が見えてきました。



同じく伊東さんによるツインタワーのお目見えです。見本市会場の真横に立つこの独特な形をしたツインタワーは、以前IKEAに買い物に来た時に外観だけチラッと見たのですが(地中海ブログ:バルセロナのIKEAに行ってきました:IKEAに見る家具店のエンターテイメント化)、つい先日、所用でピカソ美術館に行ったら、お土産売り場でこんなものを発見!



バルセロナのスカイラインを切り取るシルエットを集めた壁掛け(かな?)。で、驚いたのが、サグラダファミリアやフォスターのテレビ塔なんかに混じって、早くも伊東さんのツインタワーがバルセロナの新しいシンボルとして選ばれていた事ですね。



このデザインが良いのか悪いのか、僕にはよく分からないけど、他の建物とは明らかに違う、ある種のアイデンティティみたいなモノを持っている事は確かだと思います。それを横目に見ながら3分程歩いて行くと見えてくるのがコチラです:



バルセロナの新名所、国際見本市会場(Fira Barcelona)のお目見え〜。多分この建築を訪れる大半の人達というのは、最寄り駅からアプローチしてくると思われるので、当然の事ながら、この建築はそのアプローチを意識したデザインとなっています。もっと具体的に言うと、この建築は見る位置によって印象がかなり違ってくるんですね。



ここから見える風景は「空」を切り取る端部が繰り返し現れるデザインがキーかな。



逆に、ここから見えるデザインは、横にビヨーンと長く伸びたデザインが目指されていて、非常にリラックスしたデザインとなっていますね。



その一方で、ファサードにくっ付いてるイソギンチャクを大判焼きにしたというか、エヴァンゲリオンに出てきそうというか、これが何を意味しているのかは不明。



側面の方に廻ってみると、このイソギンチャクの大判焼きが一つのパターンとなって繰り返し現れるデザインが展開してるんだけど、こちらもこの形とパターンが一体何を意味しているのかは不明。まあ、これだけ繰り返し現れるモチーフなんだから、何かしら重要な意味があるのだとは思うんだけど、僕には読み取れませんでした。 そんな事を考えつつ、いよいよ中へと入って行きます。



エントランスホールは流石に気持ちの良い空間が展開していますね。



天井は伊東さんお得意の自然光を取り入れる明かり採り+柱のミックスデザインになってるし。そんな中でも特に印象的だったのは、入った瞬間に目に飛び込んでくる情報パネルの発光するワッカでしょうか。



このワッカが赤になったり青になったりして、その光が真っ白な空間に彩りを与えていました。こういう情報系のパネルっていうのは、基本的に「本質的な空間の質」には影響を与えないと思うんだけど、この空間ではそれが主役になっている様な気がします。



逆に言うと、これは「そこしか見所がない」という事の裏返しだと思います。

間違ってもらっては困るんだけど、僕は別に、タッチパネルなどを用いたデザインを否定する訳ではなくて、逆にその様な新しいデザインが空間に与える影響みたいなものに非常に興味があるし、現に僕が仕事でやってる事というのは、そちらに近い事だとも思います。だからこそ、そのデザインの可能性と限界も手に取るように分かってしまって、もしもそっち系でいくのなら、それなりのやり方があると思うんですね。僕が見る限りこの空間はその様なデザインにはなってはいません。

今週はスマートシティ国再会議と平行して、もう一つ別の国際会議が行われていたので、この建築のもう一つの見所であると思われる、各会議場を繋ぐ連結部分に入る事は出来ませんでした。エントランスホールの印象がイマイチだったので、今度はそちらの方の空間に期待したいと思います。

追記:
今年のスマートシティ賞都市部門は横浜市が受賞しました。
| 建築 | 07:07 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
EUプロジェクト提出!:都市こそが鍵である
先週から昨日にかけて、EUプロジェクトのプロポーザル提出の最後の追込みの為に近年稀に見る忙しさに苦しんでいました。多分こんなに忙しかったのは、僕がバルセロナに来て以来初めての体験だったかもしれない。

EU
プロジェクトに関しては僕の重要な仕事の一つである事から当ブログでは事ある毎にその話題に触れてきました(地中海ブログ:EUプロジェクト、ICING (Innovative Cities for the Next Generation)最終レビュー)。一応、今の僕の肩書きは「EUプロジェクトの責任者」という事になってますから。「えー、cruasanって、パエリアとか食べて適当に感想とか書く人じゃなかったのー???」って思ったあなた、地獄に落ちてください。「えー、cruasanって、単なる旅行好きかと思ってたー!!」って思ったあなたも火あぶりの刑、決定です。一応、僕はヨーロッパでは欧州プロジェクト・マネージャー&歩行者計画のスペシャリストって事になってるの!!(冷汗)。

ではEUプロジェクトとは一体何なのか?

EU
は毎年、各分野の研究テーマに対して幾らかの予算を付けていて、定期的に「我々は今、こんな分野のこんな事に興味があるので、これくらいの予算を付けます」という要綱を発表します。例えば、「ITを駆使した新しい交通計画や交通情報システムに関する提案」みたいな。この要綱を読んだ人の中で、「このテーマだったら、こんな事が出来るなー」みたいに考えた人が、そのアイデア実現に向けて、ヨーロッパ中の研究機関、大学、私企業もしくは都市などからパートナーを選びチームを編成して、EUからの補助金を勝ち取りに行くという、云わば団体戦みたいなものなんですね。

勿論そこには幾つかのルールがある訳なんだけれども、最も重要且つ、絶対に守らなければならないルールの内の一つが「3カ国ルール」です。これは、各チームにはヨーロッパの国々の中から最低3カ国以上のメンバーを加える事という規則です。

何故か?

それについては以前のエントリでこんな風に書きました:

"
・・・しかしながら、いちパートナーとして実際にEUプロジェクトに参加していて気が付いた事は、これらEUプロジェクトには、この表向きの目的の他にもっと大切な裏の目的があるんじゃないかと言う事です。それは一つのプロジェクトの実現を通して各都市の結束を固め、都市間のコミュニケーションを円滑にし、その結果、創造性を増幅する事によりEU全体の競争力を高めるという裏目的が存在するような気がしてしょうがないんですね。

一つのプロジェクトを様々な文化と専門のバックグラウンドを持ったパートナー達と実現していくという事は決して楽な事ではありません。話す言語は違うし、扱う専門用語も違う、働き方も違うし思考形態も違うパートナー達と一緒に働いていていると、仕事の生産性という観点から見た時、「自分達だけでやった方が
楽なのに」と思う事はしばしばです。笑い合う事がある数だけ、「データが無い」とか「言語間の違い」とかで怒鳴りあう事がある事も事実なんですね。

しかしながらこのような仕事の生産性の指標だけでは計れない「何か」がある事も又事実です。それは明らかに文化間の違いが生み出す多様性に依っていて、プロジェクトを豊かなモノにしている。自分達とは違う文化圏の人の働き方や休息の仕方といった生活様式に触れる事によって、人間が成長するんですね。


どうも僕が見た感じ、
EUはプロジェクトの生産物に期待するというよりは、プロジェクトを通した各国間・各都市間のコミュニケーション促進の方に期待しているのではないかと思えてきます。その結果、プロジェクトに投資した何倍もの見返りが、そこで構築されたネットワークから出てくる新しいプロジェクトや提案という形でEUに還元される訳です。実際ICINGプロジェクトからは草の根的に幾多のプロジェクトがパートナー間で既に生まれています。結果としてEU都市間の結束が固まり、EU全体の競争力の強化に繋がる訳です。

僕が関わっているもう一つの
EUプロジェクトである、ロボットプロジェクト(URUS Project)ではその傾向というか、EUの戦略性はより明らかです。現在のロボット技術の強力なセンターは日本とアメリカだそうです。その2つの地域に比べて明らかに遅れを取っているのがヨーロッパ。そこでEUEU各国からロボットのエキスパートを集めてコミュニケーション型ロボットを創るというEUプロジェクトを立ち上げました。ロボットを創ると言ってもロボットは色んなパーツや機能から成り立っているので各部分によってどの国のどの都市が優れているとかいう優劣があるわけです。その良い所取りをして最上級のロボットを創ろうというのが表の目的。

しかしですね、ココには明らかに裏の目的があるわけです。それは各国各都市でばらばらなプロトコルや基準、用いる言語などを今の内に統一して来る次世代ロボット戦争に備える為に、日本やアメリカに負けない強力なセンターを創り出そうという戦略が見えるわけですよ。一つの生産物を創り出すという目的に従って、定期的にミーティングを開き、技術的な問題を解決
EUで統一していく事に加えて、上述のような各国・各都市のコミュニケーションを促進する役割をも果たす、正に一粒で二度美味しい戦略。

こういう事って、紙の上に書かれた経過報告書やプロジェクトレポートといったオフィシャルな記録からは絶対に見えてこない事です。
EUが正に結束を強めているこの時期に、日本人として、その中心に直にリアルタイムに関わる事が出来るというのは、この上ない幸せだなと思います。"地中海ブログ:EUプロジェクトを通して見えるEUの戦略:二つのEUプロジェクト・ミーティングを通してから抜粋)

さて、このような、「ヨーロッパ委員会が発表する要項には書いてないけど、経験者の間では共有されている暗黙の了解」みたいなのが幾つかあって、例えば、一つの提案に対する予算はだいたい3百万ユーロ(4億円)前後だとか、スタートアップ企業をパートナーに加えた方が有利になるだとか、実際に現場を体験しないとナカナカ分からない事が多いんですね。(実はヨーロッパの中でもこのシステムを熟知している人は比較的少数で、今、そういうスキルを持った人達の奪い合いが始まろうとしています。)

そのような暗黙の了解の中でも僕が近年非常に注目しているのが「都市の重要性」です。こんな事は勿論何処にも書いてないし、公式な見解じゃないんだけど、パートナーに都市(バルセロナ市やパリ市など)が参加しているかどうか?という点は、プロポーサルが認可されるかどうか?という一線を決める、非常に重要な要素だと確信しています。

何故か?

何故ならこの種のプロジェクトではフィールドテストをする事が出来るかどうか?が非常に重要な鍵となってくるからです。「じゃあ、都市を加えればいいじゃん」って思うかもしれないけど、実はコレが一番厄介なんですね。先ず第一に、欧州に都市は星の数ほどあるわけなのですが、当然、パートナーに値する魅力的な都市というのは限られているわけで、それら都市の奪い合いが始まるからです。更に各国間や各都市間で政治的な取引が絡んでくるので、事態はもっと厄介になってくると言う訳です。

近年、欧州委員会はサステイナビリティを達成する為には「都市こそが鍵である」と謡っていますが、EUプロジェクトに関して言えば、この格言は全くそのまま当てはめる事が出来ます。

「都市こそが鍵である」。今回の体験から学んだ一番重要な事柄だったかも知れません。
| EUプロジェクト | 04:21 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの中心市街地で新たな現象が起こりつつある予感がするその1:ジェントリフィケーションとその向こう側
バルセロナという都市は、その着実な都市戦略と秀逸な都市再生計画において、欧州の中でも他都市の「再生モデル」に足り得る存在として、常にトップを走ってきました。1987年に米ハーバード大学から授与された都市デザイン賞や、それまでは個人にしか与えられていなかった英国の国立英国建築家協会(RIBA)賞が初めてバルセロナという都市自身に贈られるという名誉まで授かった程なんですね(詳しくはコチラ:地中海ブログ:EUプロジェクト、ICING (Innovative Cities for the Next Generation)最終レビュー、地中海ブログ:それでも恋するバルセロナ:ヴィッキー・クリスティーナ・バルセロナ(Vicky Cristina Barcelona)その2:都市のイメージ)。

バルセロナに限らず、ヨーロッパの諸都市は20世紀の最後の20年くらいを都市再生に重きを置いて凄まじいまでの努力をして来たと言えると思うのですが、その成功の鍵と、成功の度合いを測る「指標」となるのは、歴史的中心市街地においてであると言われています。

“ヨーロッパでは、「都市戦略の真価は、空洞化した歴史中心地区で試される」とよく言われる。”
岡部明子「サステイナブルシティ、EUの地域・環境戦略」、P18


何故か?

何故なら歴史的中心地区には現代都市が抱える諸問題が凝縮されているからです。バルセロナの例を見ると、今でこそランブラ・デ・ラバル(Rambla de RAVAL)とかピカソ美術館の辺りなんて言うのは、押しも押されぬバルセロナの人気観光スポットになっているのですが、僕が来た当初(つまり今からほんの数年前までは)「絶対に近寄っちゃダメ区域」に指定されていたくらいです。

ヨーロッパ都市というのは、このような「負の面」を歴史的中心地区のどこかに必ず持っています。そしてそのエリアを上手い事観光ルートから外したり、覆面を被せる事によって観光客なんかには見せない様に努力してるんだけど、賑やかな観光通りから一本奥に入っただけで、その都市のドロドロとした所が見えて来たり、中世を再現した様な完璧な歩行者空間の合間から「ちらっ」と暗闇を覗くと、そこに風通しの悪そうな不快感度150%くらいの密集地域があったりするのがヨーロッパの都市なのです。

このような棲み分け、「華やかな観光」と「貧困層」が隣り合わせに共存している状態はどのように作り出されたのでしょうか?

人類というのは何時の時代も自分を正当化する為に、自身を映し出す鏡として悪者を創り出してきました。中世においてはそれが「蛮族」であったり、「魔女」であったり、「悪魔」であったりしてきた訳で、それらが入ってこれないような城壁を築き上げる事で敵の侵略から己を守ってきたのです。
現代都市がやっている事も実はコレと全く同じで、「蛮族=貧困層」が入って来れない「見えない現代の壁(境界線)」を取り決めて、その中に資本を集中投下する事によって、「見かけだけ」都市の顔をキレイにしてきたんですね。現代の都市再生とはそういう事です。





近年のグローバリゼーションが作り出したこのような二極化の本質は、上述の写真の中で起こっている事と全く同じであり、現在都市で行われている事も、本質的には変わらないと言っても過言では無いと思います。

この空間(上の写真)には2つのクラスが存在しています。一つは暖房の効いた オフィス内で働くホワイトカラー。もう一つは空間の外で危険を冒しながらガラスを拭いているブルーカラーの労働者。同じ空間に属しながらもこの2つのクラ スの間には見えない深い溝が存在しているんですね。この仕切り(ガラス)はとても薄く透明であるにも関わらず、決して乗り越える事の出来ない壁な訳です。

さて、現代都市に話を戻すと、都市には蛮族を排除する「正当な理由」が存在しました。それは観光を促進する事で新たなる雇用を作り出す事と、都市に多額の外貨を落としてもらい、都市の歳入を増やすと言う二つの言い訳です。そして都市の中で一番観光客を引っ張ってこられる場所、観光客の視線が最も向く場所、それが歴史的中心地区であった訳です。

(そして同時に、ここには市当局の都市に対する価値観の変化が如実に読み取れます。つまり、戦後、「無価値」と烙印を押した歴史的中心地区に、「観光という魔物を引き寄せるだけの価値がある」と認識し始めたターニングポイントがあるという事です。)

それからというもの、ヨーロッパの各都市は観光客を呼び込み、出来るだけお金を落としてもらうという目的の為に、一心不乱で、崩壊しかけていた広場を奇麗にし、公共空間を囲む建物のファサードに磨きをかけ、美術館を誘致したりした結果、オシャレなカフェやレストラン、デザイナーや建築家のオフィスが立ち並ぶという非常に理想的な状況を創り上げる事に成功しました。すると、そのような活況を帯びたエリアに住む事を熱望するクリエーターや学生、お金持ちなどがこぞって歴史的中心地区に戻ってくるという現象が起こり始めたんですね。これを我々はジェントリフィケーションと呼んでいます(詳しくはコチラ:地中海ブログ:ビルバオ・グッゲンハイム効果とジェントリフィケーション、地中海ブログ:22@BCNとジェントリフィケーションなど)。

しかしですね、どうもこのような状況に最近少し変化が見られるようになってきました。

バルセロナの中心市街地で新たな現象が起こりつつある予感がするその2:逆ジャントリフィケーションに続く
| バルセロナ都市 | 21:00 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
22@地域が生み出すシナジー:バルセロナ情報局(Institut Municipal d'Informatica (IMI))、バルセロナ・メディア財団(Fundacio Barcelona Media)とポンペウ・ファブラ大学(Universitat Pompeu Fabra)の新校舎
某プロジェクト立ち上げの為にバルセロナ情報局(Institut Municipal d'Informatica (IMI))へ行ってきました。情報局へ行くのは3ヶ月ぶりくらい。実は情報局は去年の暮れ辺りから22@に場所を移したんですね。これが其の建物:





建築的にコレと言って面白みも無いデザインだけれども、前面ガラス張りの外観です。今日のミーティングの為に最上階の部屋を予約しておいたので、受付でIDを作ってもらってエレベーターでイザ!



ココがバルセロナ情報局が誇る新ミーティングルーム。バルセロナの市街が一望出来る、圧巻の風景です。




以前のエントリ,( EUプロジェクト、ICING (Innovative Cities for the Next Generation)最終レビュー、地中海ブログ)で書いた、床一面市街地写真の部屋もすごかったけど、ココも眺めが良くていい気持ちだなー。

さて、今日集まってもらったのは、情報局長のJさん、交通局のBちゃん、交通シュミレーションの世界的権威のJさん、そして今ヨーロッパで熱い視線を受けている全く新しい交通マネジメントのツールを生み出したBitcarrier (http://www.bitcarrier.com/)のM君と僕。



今回のミーティングは僕が召集したので自ずと僕が場を仕切る事に。と言う訳で、ミーティングはスペイン語(Castellano)で進んでいったのですが、中盤辺りからみんなヒートアップしてきて、知らず知らず内にカタラン語に。別にどっちでも良いんだけど、やっぱりカタラン語だと集中力が必要で、3倍くらい疲れます。

2時間程続いたミーティングが終わり、路面電車(Tranvia)に乗ろうと駅を目指していると、バルセロナ・メディア財団(Fundacio Barcelona Media)の脇に新しい建物が建ってる事に気が付きました。



「何だー、これ?」とか思って覗いていると、学生風の人達がどんどんと中に入っていく。あ、そういえば、ポンペウ・ファブラ大学(Universitat Pompeu Fabra)が昔の工場を改修して新校舎にする計画を進めていたっけ?と言う事に気が付く。入り口をくぐってみると、旧工場を改修した校舎と現代的なバルセロナ・メディア財団の高層棟、昔の給水塔に囲まれた中庭が現れました。



バルセロナの中でも最も交通量の多いディアゴナル通り(Diagonal)の喧騒とは打って変わって、大変静かな中庭に仕上がっています。更に新旧の建物の対比も鮮やか。



この新校舎にはポンペウ・ファブラ大学の情報学部が入っているのですが、ここの環境はある意味、理想的な環境だなー、と思いました。前のエントリにも書いたのですが、横に建ってるバルセロナ・メディア財団の建物にはヤフーリサーチ(Yahoo Research)など、メディア関係の企業がひしめいています。(バルセロナメディア財団(Fundacio Barcelona Media)、地中海ブログ)更に、向かいの建物には情報局、道路を挟んだ反対側には都市計画局が位置しているんですね。

つまり、これはかなり仕事がやり易い環境だと思うんですね。何か新しいプロジェクトを立ち上げようとした時に、技術的な問題が発生したら大学に居る教授に聞きに行く事が出来るし、法規上の問題などは都市計画局へ、市民サービスに役立ちそうなアイデアは情報局へ売り込みに行けたりと、便利な事この上無しだと思います。

逆に市当局や企業はインターンなどを通して学生のフレッシュなアイデアに触れる事が出来る。何よりも、学生がこの辺りに溢れる事によって、活気付く事間違い無しです。

ジョルディ・ボージャ(Jordi Borja)は、治安の悪い地域、活気の無い地域に言及しながら、こんな事を言っています:

「・・・こうした場所には何か文化的な施設、できれば大学を持ってくるべきなのです。治安のためには、通りに警察ではなく学生が歩いている方がはるかに良いのです。第一に幸いにも警察よりも学生の方が数は多いこと。第二に学生が通りにいることの方が多いということ。もちろん、警察がいるのがいけないというわけではありません。ただ何千人もの学生がこの辺りにいることで、都会的になりますし、雰囲気も良くなります。」

都市はグローバリゼーションにいかに応答するか−ジョルディ・ボージャ、P343、Inシンポジウム・シリーズ:現代都市ドキュメント第2回「計画からマネジメントへ」


今は未だ回りが建設中で、ほとんど何も無い状態だけど、3年後くらいにはバルセロナの新しい中心となるポテンシャルを秘めたエリアだと思います。
| 仕事 | 22:44 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
今年最後の最後で大失敗:言語習得の難しさ
今日は朝からバルセロナ市交通局にてミーティング。多分、今年はこれが最後の大規模なミーティングです。9月に終わった欧州プロジェクトの総括と来年の交通計画についてで、参加者はバルセロナ市情報局長のJさん、交通局のBちゃんと彼女のボス、欧州プロジェクトのパートナーだったM君、そして欧州プロジェクト(ICING)交通計画コーディネーターの僕の5人。

今日は一人ずつ30分程度のプレゼンをする事になっていたので、僕も用意していきました。9月に欧州委員会の前で使ったプレゼンをそのまま使おうと思っていたので、余裕の週末を過ごしていたのですが、昨日(日曜日)の夜、寝る前に一度復習しておこうと思ってプレゼンを見直していた所、使用言語が英語である事が判明。「こりゃイカン!」と言う事で急いでスペイン語に修正。結局、朝方3時までかかってしまいました。

そんなこんなで準備万端で望んだ今日のプレゼンだったのですが、交通局に到着してカバンを開けたら、寝る前に入れたはずのUSBメモリーが見当たらない。沢山あるポケットを全部開けてもカケラすら出てこない。「しまった、忘れた・・・」。最後の最後で大失敗。それでもラッキーだったのが、もう一つのUSBメモリーに英語版のプレゼンが残っていた事。「しょうがない、こうなったらぶっつけ本番で英語→スペイン語の翻訳プレゼンをするしかない」と言う事で、覚悟を決めて決行。

コレが結構難しい。例えば母国語(日本語)と外国語(英語とスペイン語)という区別はきっぱりと出来るのですが、外国語→外国語だとどちらがどちらの言語に属しているのかが時々分からなくなる。「あれ、これってスペイン語だったっけ?英語だったっけ?」って感じでしょうか。それでもラッキーだったのが今回は英語→スペイン語翻訳だった事です。もしコレが逆ならそう巧くは行かなかったはずです。

多分人にもよると思うんだけど、僕の場合、頭の言語チップを変えるのにある程度の時間を必要とします。例えば国際会議などに行く場合、頭のチップを英語ベースに変える為にバルセロナ空港から英語を使い始め、機内、ホテル、レストランと徐々に慣らしていって、会議場に着く頃には頭が英語ベースになっているという過程を経るんですね。

そうすると結構困るのが、バルセロナで国際会議などに出席する場合です。こうなると最悪の場合、会議の一分前まで英語をしゃべる機会に見舞われないと言う事もしばしば。そうすると結果は散々。This is.......a ....pen???みたいな(笑)。

このような2言語間の区別が出来ないという事は未だ両言語が十分に身に付いていない証拠ですね。やっぱ、言語って難しいー。

まあ、でも今日の所はみんなの助けもあって無事に終了したのでホッとしている所です。
| 仕事 | 22:23 | comments(5) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
マドリッドでカンファレンスに参加します:VISUALIZAR'08: Database City by Media Lab Prado Madrid
一緒に仕事をしているMIT Media Lab(Massachusetts Institute of Technology) 、F君の招待で来週の月曜・火曜にマドリッド(Madrid), Media-Lab Pradoで行われるVISUALIZAR'08: Database Cityに参加する事となりました。この国際会議/ワークショップの主題は都市に関するありとあらゆるデータを可視化しようという試みで、この世界では結構な著名人が来週頭にかけてマドリッドに集結します。

ここの所連日ミーティングで、来週もほぼ日程は埋まってたのですが無理して2日空けました。それは世界最先端のヴィジュアル技術と都市データの収集センサーをまとめて見られるいい機会だと思ったからなんですね。

これは後日書こうと思っているのですが、実は先週バルセロナで行われたartfuturaというイベントに参加してきました。このイベントは主に最新技術がどのようにビジュアルアートに影響を及ぼしているか?を語るシンポジウムで、毎年参加しているのですが、去年と同様に今年もかなり刺激的なクリエーター達に出会う事が出来ました。

さて、来週のシンポジウムでは何をしゃべろうかなー?と思い悩んだ末、結局ICINGのBluetooth Sensorの事を発表する事にしました。BitcarrierのM君にも声を掛けたらかなり乗り気で絶対に行くって言ってるし。まあ、久しぶりにF君に会えるのも楽しみだし、元シザ事務所のAさんとも建築議論がしたいし、何よりプラドのお宝を満喫したい。

日曜の朝AVEで出発予定なのですが、実はその前に絶対に外せないイベントが今週末、バルセロナで開かれます。一年の内で最も楽しみにしているイベントなので今から心ウキウキです。これについても後ほどレポートしたいと思っています。
| 大学・研究 | 15:16 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
EUプロジェクト、ICING (Innovative Cities for the Next Generation)最終レビュー
9月25日、バルセロナ都市計画局・情報局にある「バルセロナの部屋」にて3年近く続いたEUプロジェクトの最終レビューが行われました。ちなみにこの部屋、関係者以外立ち入り禁止なのですが一見の価値あり。







床一面がバルセロナの地図で多い尽くされていて、しかもそれが光る仕組み。



壁にはバルセロナ市が受賞したデザイン・都市計画関連の表彰状がずらりと掛けられています。ちなみに上の写真はハーバード大学が1987年にバルセロナの公共空間プロジェクトに送った、かの有名なGraduate School of Design Prince of Wales Prize in Urban Design賞の表彰状です。

さて、今回のレビューは最後とあって、ヨーロッパ3都市から全てのパートナーの代表11人が勢揃い。みんなで集まったのはプロジェクト初日以来かな?という気がします。そしてEU委員会からPさん、プロジェクトを批評する3人の外部専門家を加えて午前9時に最終レビューがスタートしました。

さて、今回のEUプロジェクトの総括として、気が付いた事を幾つか書いておきたいと思ったんですが、前のエントリを見たら結構巧く纏めてあったのでそれをコピーする事にします。(今日はちょっとお疲れモードなので・・・)一つだけ付け加えたいのは、昨日の夕食会でたまたま隣の席になったオーストリアから来たレビューアーが言っていた言葉です。

夕食の長テーブルを見つめながら、「見てごらん、一つのテーブルを囲んでココに幾つの文化が存在していると思う?こんな機会でもなければ絶対に知り合う事の無い人々が、一つのプロジェクトを通してこんなにも和気藹々と語り合う姿は滅多に見る事が出来ない。違う文化や言語を操るもの同士、一つの事を達成するまでには様々な困難やジレンマがあったと思うけど、僕はこの風景こそがEUプロジェクトの成果だと思う。」

彼の言う通り、この3年間は苦しい事の連続だったと言っても良いかもしれません。ヘルシンキの誰々が返事をくれないとか、ダブリンの事務所がいつまで経ってもデータを送ってこないとか、そんな苦労ばかりが思い返されます。でもプロジェクトが終わった今となっては、それらも良い思い出。来週からは毎日30通以上届いていたメールや引っ切り無しに掛かってきていた電話が鳴らないかと思うとちょっと寂しさすら感じます。

ヨーロッパで最先端のプロジェクトに関わりながら、日本人として文化の多様性というヨーロッパの真髄に直接触れる事の出来た幸運。昨日の夜見た風景を僕は生涯忘れる事は無いでしょう。


EUプロジェクトを通して見えるEUの戦略:二つのEUプロジェクト・ミーティングを通してから抜粋

" しかしながら、いちパートナーとして実際にEUプロジェクトに参加していて気が付いた事は、これらEUプロジェクトには、この表向きの目的の他にもっと大切な裏の目的があるんじゃないかと言う事です。それは一つのプロジェクトの実現を通して各都市の結束を固め、都市間のコミュニケーションを円滑にし、その結果、創造性を増幅する事によりEU全体の競争力を高めるという裏目的が存在するような気がしてしょうがないんですね。

一つのプロジェクトを様々な文化と専門のバックグラウンドを持ったパートナー達と実現していくという事は決して楽な事ではありません。話す言語は違うし、扱う専門用語も違う、働き方も違うし思考形態も違うパートナー達と一緒に働いていていると、仕事の生産性という観点から見た時、「自分達だけでやった方が楽なのに」と思う事はしばしばです。笑い合う事がある数だけ、「データが無い」とか「言語間の違い」とかで怒鳴りあう事がある事も事実なんですね。

しかしながらこのような仕事の生産性の指標だけでは計れない「何か」がある事も又事実です。それは明らかに文化間の違いが生み出す多様性に依っていて、プロジェクトを豊かなモノにしている。自分達とは違う文化圏の人の働き方や休息の仕方といった生活様式に触れる事によって、人間が成長するんですね。

どうも僕が見た感じ、EUはプロジェクトの生産物に期待するというよりは、プロジェクトを通した各国間・各都市間のコミュニケーション促進の方に期待しているのではないかと思えてきます。その結果、プロジェクトに投資した何倍もの見返りが、そこで構築されたネットワークから出てくる新しいプロジェクトや提案という形でEUに還元される訳です。実際ICINGプロジェクトからは草の根的に幾多のプロジェクトがパートナー間で既に生まれています。結果としてEU都市間の結束が固まり、EU全体の競争力の強化に繋がる訳です。

僕が関わっているもう一つのEUプロジェクトである、ロボットプロジェクト(URUS Project)ではその傾向というか、EUの戦略性はより明らかです。現在のロボット技術の強力なセンターは日本とアメリカだそうです。その2つの地域に比べて明らかに遅れを取っているのがヨーロッパ。そこでEUはEU各国からロボットのエキスパートを集めてコミュニケーション型ロボットを創るというEUプロジェクトを立ち上げました。ロボットを創ると言ってもロボットは色んなパーツや機能から成り立っているので各部分によってどの国のどの都市が優れているとかいう優劣があるわけです。その良い所取りをして最上級のロボットを創ろうというのが表の目的。

しかしですね、ココには明らかに裏の目的があるわけです。それは各国各都市でばらばらなプロトコルや基準、用いる言語などを今の内に統一して来る次世代ロボット戦争に備える為に、日本やアメリカに負けない強力なセンターを創り出そうという戦略が見えるわけですよ。一つの生産物を創り出すという目的に従って、定期的にミーティングを開き、技術的な問題を解決・EUで統一していく事に加えて、上述のような各国・各都市のコミュニケーションを促進する役割をも果たす、正に一粒で二度美味しい戦略。

こういう事って、紙の上に書かれた経過報告書やプロジェクトレポートといったオフィシャルな記録からは絶対に見えてこない事です。EUが正に結束を強めているこの時期に、日本人として、その中心に直にリアルタイムに関わる事が出来るというのは、この上ない幸せだなと思います。"
| EUプロジェクト | 20:29 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
観光客の移動軌跡: Digital footprinting: uncovering the presence and movements of people from user-generated content by Fabien Girardin
先日行われたICINGワークショップ発表者の中で明らかに異彩を放っていたのはFabien Girardin君でした。他の発表者が「ユビキタス社会」などの標語の下にマクロで抽象的な話を展開する一方で、彼の発表は具体的なミクロなデータに基ついた現実的なものだったんですね。

彼は何をやっているかというと、観光客の軌跡を追跡する研究を行っているんですね。観光客の移動軌跡の研究という分野は勿論、歩行者の移動軌跡研究の一部に含められます。

前に書いたようにこの分野の一番の武器は「パーソントリップ調査」です。この調査は都市圏をゾーンに分けた上で、そこに住む人の中から3%ほどを統計学的に抽出して諸活動についてアンケート調査を行います。このようにして都市圏での人の動き方というのがある程度把握可能となる訳です。

この調査の問題点としては、
1.ゾーニフィケーションの範囲が数キロx数キロと非常に広い事からゾーンからゾーンへと移動する人の軌跡をある程度把握する事は可能ですが、ゾーン内において、どの道を用いているのか?と言ったような街路レベルでの行動把握は無理だという点。

2.都市圏を調査対象として全人口の数パーセントを抽出する事から、この調査には莫大な費用がかかります。故にそれほど頻繁に行う事は財政上出来ないんですね。ちなみにバルセロナの場合は一回の調査に1.5 M Euroで5年おきに行われています。ヘルシンキの場合には2M Euroで約8年おきです。という事は利用可能な調査情報というのは直ぐに古くなり、現実には対応する事が出来ないという事態が起こります。

上述のような問題点を踏まえた上で僕達がICINGで提案したのがパーソントリップ調査を補う手法としての「携帯電話トラッキング手法」でした。基本アイデアは非常に単純で、携帯電話の位置情報を抽出する事により、パーソントリップの欠点であった時空間情報の粗さを補完しようという事なんですね。都市には携帯通話の為のアンテナが張り巡らされていて、一つのアンテナのカバー範囲は約500メートル(地域による)。そしてケータイが一つのアンテナからもう一つのアンテナに移動する時、信号のやり取りをするので位置情報は携帯電話会社に保存されているんですね。

もしこの手法を実現する事が出来れば、それはパーソントリップ調査に比べて時空間情報の質が明らかに上がる事となります。特に時間情報に関してはほぼリアルタイムで把握可能です。(約30分の遅れあり)そして、この手法は「部分的」には既に実現されています。それがMIT SENSEable City LabWikicity関連プロジェクトだという事は以前に書きました。

Ratti, C., Pulselli, R. M., Williams, S., and Frenchman, D. 2006. Mobile landscapes: Using location data from cell-phones for urban analysis. Environment and Planning B: Planning and Design, 33(5):727 – 748.

Calabrese, F., Ratti, C., Real Time Rome. Networks and Communication Studies, vol. 20, nos. 3 & 4, 2006, pp. 247–258.


ビジュアルインパクトがかなり強いこの研究は「携帯電話トラッキング」という分かり易い主題と相まってとても有名になってしまいました。しかしですね、以前のエントリでも書きましたがMITがやっているのは「ケータイトラッキング」では無いんですね。彼らが抽出しているのは、アンテナ内で通話を行っている人の通話密度情報です。そしてこの情報にはアンテナからアンテナへの移動情報(ハンド・オーバー情報)は含まれて居ません。

つまりWikicityからパーソントリップ調査を補完する経路情報を抽出する事は不可能なんですね。僕達がICINGで行った提案には勿論、このハンドオーバー情報も含まれています。そして500メートル四方という携帯電話アンテナでも拾え切れない経路選択情報を補完する為にBluetoothトラッキング手法を組み合わせています。(今回のワークショップで僕が発表したのがこのBluetoothトラッキング手法とそこから得られた生データです)。このBluetoothトラッキングでは人の軌跡をおよそ10メート以下の誤差で知る事が出来ます。それはパーソントリップ調査や携帯トラッキングに比べるとほとんどピンポイントだと言っても良いと思います。

さてこのような歩行者軌跡調査の伝統手法から言ってもファビアン君の調査研究はかなり異質な所を突いていると言う事が出来ると思います。

Girardin, F., Dal Fiore, F., Blat, J., and Ratti, C. (2007). Understanding of tourist dynamics from explicitly disclosed location information. In The 4th International Symposium on LBS & TeleCartography.

先ず彼が研究対象としているのが観光客だという点。当ブログで何度か問題にしているように現代都市において観光というのは必要不可欠なファクターに成長しました。観光無しでは都市経営はほとんど不可能だと言っても良い所まで来ていると思います。その一方で観光が都市に引き起こす弊害も、もはや目を瞑る事が出来ない所まで来ているのも事実なんですね。そして今の所、このような観光による弊害をコントロールする手法は存在しません。

何故か?幾つかの要因が考えられるのですが、一つには観光客のデータの取りにくさというのが挙げられるかと思われます。例えば現在のパーソントリップ調査は居住地ベースで平均的な一日を想定して行われているので、非日常的な出来事である観光などは勿論含まれていません。更に観光は季節などによる変動が大きい事から現行の調査方法では対応が難しいんですね。このようなデータが無いという問題に加えて、仮にデータがあったとしてもミクロスケールで観光客の動きを捉えられるかどうかは大変疑問です。

ファビアン君の研究はこのような状況に一石を投じるものだと見なす事が出来ます。

システムとしては非常に簡単。世界最大級のフォト・アーカイブであるFlickerに投稿された写真についているジオ・リファレンス(時空間情報)から、ある個人がどの都市を訪れ、都市内のどのモニュメントを訪れたかという事が分かります。更にタグには時間情報も付いている事から、ある観光客の移動軌跡がトラッキング出来てしまうと、こういうわけです。

彼の巧い所は、このデータを個人データとして扱うのではなく、集団データとして扱っている所です。「何処の誰だかは知らないけど、地球上の何処かに存在する誰かの軌跡データであり、それらが集積したらこんな地図が出来ちゃいました」と言って、見せられるバルセロナの観光客密度地図は説得力満点。

更に巧いのは、これらのデータはユーザー・ジェネレイトだという事ですね。ファビアン君は何もしないでもデータは世界中の人々によって蓄積されていく。人々が自分のアーカイブを良くしようと写真を沢山投稿すればするほど、ファビアン君の観光客データは充実していくわけですよ。

問題はカリブレーションでしょうね。ある観光客が本当にその経路を通っているのかどうか?という部分は疑いが無いにしても、一体何人の観光客が実際に写真を撮っているのか?というデータは必要でしょうね。

しかしこれは難しそうだなー。

しかも写真を撮った人の内、一体何パーセントの人がFlickerに写真をアップしているのか?といった問題は又別ですからね。更に言っちゃうと、あるモニュメントで写真を取った人がある特定のモニュメントに行く確率と実際に行った人の全体に占める割合、それとFlickerから得られた特定経路との一致パーセントなどなど。

興味深い研究故に疑問が一杯浮かんでくる。
未だ僕達はスタート地点に立ったばかりだという事ですね。
| 大学・研究 | 21:43 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
ICING最終イベント:ePractice.euワークショップ
今週の水曜から金曜にかけてICINGプロジェクトの一環として行われたePractice.euのイベントに参加してきました。ePractice.euというのは何かというと、まあ早い話が各国・各都市に散らばっている専門家同士が知り合う機会を提供する場、もしくはお互いのプロジェクトを発表する場をオンライン・オフラインで創り出すプラットフォームのようなものですね。このような場が公共の資金で積極的に創出されているという事は非常にありがたい。今の時代、インターネットで幾らでも情報は探せるけど、「イザ一緒にプロジェクトを」、と言った時にはオフラインでの信頼がモノを言うという事は言うまでも無い事です。

さて、今回のワークショップ兼カンファレンスを実質的にオーガナイズしたのはバルセロナ市役所内情報部門責任者のJさんと彼の秘書Cちゃん、そして僕です。大規模なイベントをオーガナイズするのは初めての経験だったのでかなり苦労しました。裏を言っちゃうと、結構てこずったのがゲストスピーカーの人選でした。せっかくの機会だから世界中から未来都市に関して提言を行っている人達を呼ぼうと言うのは当然の事だったんですけど、膨大な候補者の中から人選をするのもコレマタ大変だったんですね。そこで候補者を絞り込んでいく為に、取り合えずアジア・ヨーロッパ・アメリカの三大陸からそれぞれ一人ずつ代表者を選ぼうという事になりました。そしてその代表者にそれぞれの大陸で進行しているプロジェクトを語ってもらい、それらを比較する事によって今世界で何が起こっているかの輪郭を掴もうという事になりました。

アジアから来て頂いたのはユビキタス社会の実現に向けた巨大プロジェクトが目白押しの韓国からJu Young Byunさん。現在韓国で進行中のu-Cityプロジェクトについて語って頂きました。

U-city vision and projects in Korea
Mr.Ju Young Byun(Directore of u-City Policy Division of IFEZ, Korea)

驚いたのはその規模。街を丸ごと一つ創ってしまうくらいの巨大プロジェクトに潤沢な資金が注入されている。規模が大きい事から話は勿論マクロな方向からになっていて、個人的にはもう少しミクロな部分、具体的にどんなセンサーを使うのか?と言った部分が聞きたかったのですが、未来都市にかける韓国の意気込みが良く伝わってきました。

ヨーロッパから来て頂いたのはLiving Lab EuropeからEsteve Almirallさん。知識型エコノミーの中におけるインノベーションの重要性とそれに伴って勃興してきたシティ・リージョンの形成という話は違う文脈における僕の興味の在る所なので、非常に興味深く聞く事が出来ました。

How ICING fits with the European Network of Living Labs
Mr.Esteve Almirall(CatLab,i2Cat “member of the European Network of Living Lab”)

そしてアメリカから来てもらったのがMIT SENSEable CIty Labに在籍するFabien Girardin君。彼の研究は以前のエントリでも少し紹介しましたが、既存の交通調査などでカバー出来ていない非日常交通の実態や観光客の導線などをコレまでには考えられない程のミクロレベルで実現しています。

From sentient to responsive cities
Mr.Fabien Girardin(PhD candidate at UPF and Research Associate at the MIT SENSEable City Lab)

具体的に言うと世界最大のフォトアーカイブであるFlickerに投稿された写真に付けられたタグ情報などから、観光客がどのように都市を動き回ったかをピンポイントでトラッキングしているんですね。



彼の手法は非常に賢い。まるで個人が自分の為にブログを運営して質を高めようと努めているその裏で、実は僕達はグーグルに奉仕させられている、正にそんな感じ。自分のプロフィールを良くしようとFlickerに沢山写真を投稿すればするほど、自動的にFabien君のトラッキングシステムの質も上がって行くと言ったような。会場に居た何人の人が彼の手法の本質を深く理解出来たかどうかは分かりませんが、ビジュアルインパクトの強さから沢山の人が彼の研究に興味を持ってくれたようでした。

そして僕はというと、ICINGプロジェクトの一環として進められているBluetoothを用いたリアルタイム交通センサーとそれを実際に用いたバルセロナにおけるプロジェクトを紹介させてもらいました。

New tools for Urban Traffic Management
Mr.Yuji Yoshimura(BCN Ecologia Urbana, Project Coordinator)

僕のプレゼンは実際のデータを用いたものだったので分かりやすかったせいか、終わった後のコーヒーブレイクで沢山の人達から質問やらコラボレーションの可能性やらについて聞かれました。



とりあえず個人的にはプレゼンには大満足。そしてイベントにも大満足。あとは9月の欧州委員会の前での発表を残すのみで明日からはその準備と新たなる欧州プロジェクトの創出プロセスに追われる事になりそうです。
| EUプロジェクト | 18:14 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
リスボン条約:アイルランド国民投票批准否決とEUプロジェクト
昨日(13日)アイルランド(Ireland)がリスボン条約批准を国民投票で否決したというニュースが飛び込んできました。リスボン条約とは27加盟国に拡大した為に沸き上がってきた諸問題を、EU意思決定手続きの効率化やEU大統領(EU理事会常任議長職)の創設など、既存の基本条約を改正する事によって解決しようとしたもので、2005年にフランスとオランダで国民投票により否決された欧州憲法条約の延長上に位置するEUの2度目の挑戦でした。

今日の新聞(La Vanguardia, 14 Junio 2008)によるとアイルランドの国民投票参加率は53,1%。その内、反対が53,4%、賛成が46,6%。条約の発効には加盟国全部の批准が必要な為、アイルランドの「NO」を受けてEUの機構改革はストップしてしまいました。アイルランドを除く26カ国は国民投票ではなく議会で承認する予定。何故かというと、2005年の苦い経験から政治的に確実に解決出来る議会を選んだんですね。既に18カ国が批准・批准承認を終えており、残る8カ国も速やかに承認する模様。何故アイルランドは国民投票をしたのか?というと、同国憲法規定で国民投票をしなければならなかったらしいです。

それにしてもこの批准否決でアイルランドはEU内でものすごく過酷な立場に立たされる事となってしまいました。元々ボロボロだった経済をEUへの参加をきっかけにして「ケルティック・タイガー(Celtic Tigre)」と呼ばれるまでの驚異的な成長を遂げ、世界で最も競争力の高い経済圏にまでなった今、その恩を忘れて今度はEUの敵に回るのかと。

今回の出来事は僕にとっても人事ではありません。何故なら僕が担当しているEUプロジェクトのプロジェクトリーダーは何を隠そうダブリン市(Dublín City Council)ダブリン工科大学(Dublin Institute of Technology)だからです。それに加えてダブリンを拠点とする多数の私企業やアイルランド政府とも一緒に苦楽を共にしています。更に偶然と言えば偶然なんだけれど、今月末にはユーロシティ会議(Eurocity)を含む、欧州委員会との直接ミーティングがバルセロナで予定されてもいるんですね。

欧州加盟各国から300人程の政治家や関連企業人を招きプロジェクトの進行状況を発表するその場では、ダブリンや僕達に逆風が吹くのは必死。もしくは反対に政治的には失敗したけど、プロジェクトレベル(草の根的)では協力して欧州の統合を進めよう、という方向に動くのか。どちらにしても、今月末にかけて忙しくなりそうです。
| EUプロジェクト | 18:43 | - | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
EUプロジェクトを通して見えるEUの戦略:二つのEUプロジェクト・ミーティングを通して
ミラノ旅行から帰ってきてから今週はちょっと忙しい。月曜から水曜まではICINGプロジェクトのミーティング、木曜と金曜はもう一つのEUプロジェクトであるロボット・プロジェクト(URUS Project: Ubiquitous Networking Robotics in Urban Settings)のヨーロッパ委員会によるプロジェクト審査会(Project Review)がバルセロナで予定されています。

という訳で先ずはICINGプロジェクトから。(このプロジェクトの概略についてはこちら)今回のミーティングの目的は6月のヨーロッパ委員会(European Comisión)の前での最終プレゼンテーションに向けての調整というのが第一の目的。今回はヘルシンキ組みのヘルシンキ市役所(Helsinki City Council)のIちゃん、ヘルシンキ芸術デザイン大学(University of Art and Design Helsinki)のJちゃんとR君がスケジュールの関係でバルセロナに来る事が出来なかったので彼らはヘルシンキからビデオカメラを通した参加となります。

カタルーニャのシリコンバレーこと、22@BCN地区内某所に集まったメンバー達と朝から夕食後のコーヒーまで、今までに無くかなり真剣なディスカッションが進んでいる。僕はこのEUプロジェクトであるICINGプロジェクトに幸運にも日本人として参加している(所属は勿論バルセロナの公的機関として)のですが、だからこそ、他のヨーロッパ人参加者には見えない特別な視点から、プロジェクトとEUの戦略的位置付けみたいなのが出来ると思うんですね。つまり、EU圏の人間では無く、圏外の日本人の眼から見たEUプロジェクトの意義みたいなのをココに書いてみたいと思います。

先ず、EUプロジェクトというのは、簡単に言うとEU圏内の3カ国以上の都市が集まって何か革新的なプロジェクトを提案した時に、ブルッセルにあるEU委員会がEUプロジェクトとして承認してお金を出すというプロセスを取ります。(かなり簡略化してますが)表向きは、一つの機関や都市では実現出来ない実験やサービス、製品を幾つかの機関や都市に属するスペシャリストが集まって協力しながら実現していくという、アカデミックエリアでは結構普通にやられているコラボレーション方式ですね。

しかしながら、いちパートナーとして実際にEUプロジェクトに参加していて気が付いた事は、これらEUプロジェクトには、この表向きの目的の他にもっと大切な裏の目的があるんじゃないかと言う事です。それは一つのプロジェクトの実現を通して各都市の結束を固め、都市間のコミュニケーションを円滑にし、その結果、創造性を増幅する事によりEU全体の競争力を高めるという裏目的が存在するような気がしてしょうがないんですね。

一つのプロジェクトを様々な文化と専門のバックグラウンドを持ったパートナー達と実現していくという事は決して楽な事ではありません。話す言語は違うし、扱う専門用語も違う、働き方も違うし思考形態も違うパートナー達と一緒に働いていていると、仕事の生産性という観点から見た時、「自分達だけでやった方が楽なのに」と思う事はしばしばです。笑い合う事がある数だけ、「データが無い」とか「言語間の違い」とかで怒鳴りあう事がある事も事実なんですね。

しかしながらこのような仕事の生産性の指標だけでは計れない「何か」がある事も又事実です。それは明らかに文化間の違いが生み出す多様性に依っていて、プロジェクトを豊かなモノにしている。自分達とは違う文化圏の人の働き方や休息の仕方といった生活様式に触れる事によって、人間が成長するんですね。

どうも僕が見た感じ、EUはプロジェクトの生産物に期待するというよりは、プロジェクトを通した各国間・各都市間のコミュニケーション促進の方に期待しているのではないかと思えてきます。その結果、プロジェクトに投資した何倍もの見返りが、そこで構築されたネットワークから出てくる新しいプロジェクトや提案という形でEUに還元される訳です。実際ICINGプロジェクトからは草の根的に幾多のプロジェクトがパートナー間で既に生まれています。結果としてEU都市間の結束が固まり、EU全体の競争力の強化に繋がる訳です。

僕が関わっているもう一つのEUプロジェクトである、ロボットプロジェクト(URUS Project)ではその傾向というか、EUの戦略性はより明らかです。現在のロボット技術の強力なセンターは日本とアメリカだそうです。その2つの地域に比べて明らかに遅れを取っているのがヨーロッパ。そこでEUはEU各国からロボットのエキスパートを集めてコミュニケーション型ロボットを創るというEUプロジェクトを立ち上げました。ロボットを創ると言ってもロボットは色んなパーツや機能から成り立っているので各部分によってどの国のどの都市が優れているとかいう優劣があるわけです。その良い所取りをして最上級のロボットを創ろうというのが表の目的。

しかしですね、ココには明らかに裏の目的があるわけです。それは各国各都市でばらばらなプロトコルや基準、用いる言語などを今の内に統一して来る次世代ロボット戦争に備える為に、日本やアメリカに負けない強力なセンターを創り出そうという戦略が見えるわけですよ。一つの生産物を創り出すという目的に従って、定期的にミーティングを開き、技術的な問題を解決・EUで統一していく事に加えて、上述のような各国・各都市のコミュニケーションを促進する役割をも果たす、正に一粒で二度美味しい戦略。

こういう事って、紙の上に書かれた経過報告書やプロジェクトレポートといったオフィシャルな記録からは絶対に見えてこない事です。EUが正に結束を強めているこの時期に、日本人として、その中心に直にリアルタイムに関わる事が出来るというのは、この上ない幸せだなと思います。
| EUプロジェクト | 20:25 | comments(1) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
ICINGプロジェクトと Bluetooth Scanning
前回のエントリで書いたように昨日はICINGプロジェクトのヴァーチャル・ミーティングがありました。疲れたー。しかも3時間では全てを話す事が出来ずに、来週もう一回という事になってしまった。

そんなこんなで、来週の準備をしている所でこんな面白い論文を見つけました。

V. Kostakos, T. Nicolai, E. Yoneki, E. O’Neill, H. Kenn and J. Crowcroft: "Understanding and Measuring the Urban Pervasive Infrastructure". to appear in Journal of Personal and Ubiquitous Computing, Springer, 2008

内容は近年の各種携帯機器の普及による、新たなる都市分析の可能性という僕の領域にドンピシャな内容。この領域では近年、携帯機器を動くセンサーと見なして、人の軌跡を追うものや、特別なアプリケーションをインストールする事によって環境センサーとして機能させるものなど、様々な使い方が提案されているんですね。

そして、これらの新しいセンサーは従来の社会ネットワーク分析に取って代わる・もしくは補完する可能性があると大きな期待が寄せられています。何故か?何故なら、従来の社会ネットワーク分析は、統計学的に全人口を代表する人達を選び出して一人一人に質問状を送ったり、直接インタビューしたりといったように、かなりの手間暇をかけていました。これは何を意味するかというと、膨大なお金と時間が掛かる事を意味するんですね。

そんなところへ現れたのがワイアレスで繋がる事によって空間データを残してくれて、膨大な計算も既にデジタル化されているが故に楽な携帯機器。これを用いない手は無いという事で、世界中でどうやって社会分析に適応するかが考えられ、論文が生産されているという訳です。

ワイヤレスと言っても様々な特徴を持った様々な機器が存在する為に、各種データによって使い分ける必要が出てくる。この論文上ではこんな風に考えられています。

For example, GPS gives insight into spatial behaviour while Bluetooth scanners emphasise social behaviour.

つまり位置確認などはGPSでやりつつ、Bluetooth(BT)の相互コミュニケーションログ機能を、誰が誰と通信したかという社会活動方面の分析データに用いるという訳ですね。

典型的なBTの利用例が例えばコレ:

Eagle,N., Pentland,A.(2006): Reality mining: sensing complex social systems. Pers Ubiquitous Comput 10(4):255-268.

100人にBluetooth機能付きの携帯電話を渡してその行動を6ヶ月観察した結果、Bluetoothが提供する相互コミュニケーション機能とログなどから、誰が何時誰と何処で近付いたかなどが分かり、その結果が社会ネットワーク分析に応用出来るという事を示した論文。

話は逸れますが、世界中でBluetoothが普及していないのは日本くらい。これは海辺美和さんが言われている「パラダイス鎖国」の弊害ですね。

Bluetoothの機能についてちょっとココで補足しておきますが、コレは主に携帯機器間で写真や音楽の交換をワイヤレスでするために開発されました。通信距離は様々で1メートルから、広いものでは100メートルくらいまでで、通信を行うには両者の間で承認が必要となります。しかしBluetooth機能をオンにしておくと、他の人からの信号を承認無しで受け取る事が出来るんですね。このような機能を利用して、近年ヨーロッパではBluetooth広告なるものが流行っています。そして都市分析の文脈で語られるBluetooth Scanningとは、スキャニング機を街中に設置しておいて、そこの近くを通ったBluetooth機能がオンになっている携帯機器を発見するというものです。

ここで問題になってくるのが、じゃ、一体何人の人がBluetooth機能をオンにしているのか?という事です。それについてはこの論文で大変に興味深いデータが載っていました。(いずれも歩行者を測定)

Bath in UK 7.5%
Bremen in Germany 3.5%
San Francisco in USA 13.5%

なるほど、都市によってこれほどの違いが出てくるのか。

さて、前置きはこれくらいにして、この論文で僕にとって興味深い点は主に2点。一つはBluetooth Scanningを用いたデータ収集方法。bluetoothと wifi信号を受信する機械を街の幾つかの場所にセットして置き、別々の場所で確認された固有ログからその固有機器を持っている人が、街中でどのように動いたかを分析する事を暗示しています。bluetoothと wifiが提供してくれるデータは、このように人の移動軌跡を分析する為に用いる時、一番効力を発揮すると思います。

そしてこれは僕達がICINGプロジェクトで既に実現した手法なんですね。この計画に基ついて、バルセロナでは更に進んだプロジェクトが進行中です。

もう一つの興味深い点は、スペース・シンタックスの歩行者シミュレーションに対する提案を行なっている所です。スペース・シンタックスの場合は純粋に街の形態(街路構成)が、その街に中心性を与えていて、それが店舗出展数に決定的な影響を与えているという理論に依っているんですね。これに対して、bluetoothや wifiから得られる新たなるデータを用いる事によって、スペース・シンタックスのシュミレーションに重み付けを行なう事を提案している。

先ず第一印象としては面白い。だけど次の瞬間に「多分難しいかな」という直感が働く。具体的にどのように重み付けをするか書いてないから何とも言えませんが・・・

予想するに、line of sightの情報と経路情報を組み合わせるといった所でしょうか。上で書いたように、bluetoothや wifiデータが提供してくれる一番大きな特徴は何かというと、断面人数データでは無くて、経路情報なんですね。つまり人が何処から来て何処へ行くかという情報です。それに対してスペース・シンタックスのシミュレーションは「ある地点から人が何処まで見通せるか」に基ついて線を決定し、その線の交わりの数で中心性を決めている。
その線の事をline of sightと呼び、人の経路選択には視線の影響が大きいとしているんですね。だからココで経路情報を用いてline of sightに重みをつける事が出来る・・・と言った所でしょうか。

余談ですが、スペース・シンタックス(Space Syntax)の使っている手法(Integration)は、伝統的な構造社会学で用いられている分析手法であるClosenessと同じである事が最近指摘されています。

"As such, integration turns out to be nothing else than a normalized C (Jiang and Claramunt, 2004), the well known closeness centrality index defined since the early fifties by structural sociologists".(Porta, 2005)

更にこの後考えられるシナリオとしては、この重み付けした修正シュミレーションの断面人数データと実際の断面データを比較する事によってカリブレーションを実現するというのが考えられる。前にも書いたのですが、シュミレーションで大事なのは現実とシュミレーションの間に何%のエラーがあるか?というカリブレーションです。

一見うまくいきそうなのですが、やっぱりちょっと難しいかな。歩行者シュミレーションにトラフィック・シュミレーションのような経路選択モデル(Discrete Choice Model)は適応出来そうに無いし、単純断面データを用いたカリブレーションにどうやって経路情報を適応するかという問題もある。

経路情報と最小費用理論やエージェント・ベース・シュミレーションを用いて、ある一つの都市内の一つの地域を時間限定で詳細にシュミレートする事は出来るかもしれないけど、普遍性を持たせるのはちょっと難しそう。

でも魅力的なテーマである事は間違いないですね。
| EUプロジェクト | 12:31 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
EUプロジェクトICING(Innovative Cities for the Next Generation):ヴァーチャル・ミーティング
明日はICING(EUプロジェクト、FP6)のスカイプを通したヴァーチャル・ミーティングが予定されています。昨年の11月に続いて2回目なのですが、コレが結構緊張する。音声だけで英語を理解しなければいけないというのは、結構しんどい。集中力の問題だと思うのですが、4時間とか続くと精神的にかなり疲れます。それと、ヴァーチャル・ミーティングの直前までスペイン語をしゃべっていて、パッと切り替えるというのはナカナカ難しい。フィジカルに海外に行くミーティングなら、空港やホテルなどで慣らしておいてというのが出来るのだけど、スペインに居ながら急に英語というのは僕の場合、脳がナカナカ切り替わらない。

さて、3年前から始まったこのプロジェクトも残り3ヶ月程。今まで一緒にやってきたパートナー達とももうすぐお別れと思うと感慨深いものがあります。

このプロジェクトは僕にとって始めて自分でコーディネートしたEUプロジェクトだっただけに本当に大変でした。

各都市、各企業を代表して来ているヨーロッパ人の面々の前で、自分の所属機関の立ち位置を守り存在感を出すというのは、口で言うほど簡単では無い。ましてやヨーロッパ連合がヨーロッパ人の為にお金を出しているプロジェクトにおいて、日本人として参加しているからには、何故に日本人なのか?という暗黙のプレッシャーがあり、ヨーロッパ人以上の事をしないとなかなか認めてはもらえなかった時期もありました。

そんなつらい時期を乗り越える事が出来たのはバルセロナのパートナー達のおかげだと思っています。普段はムチャクチャ腹が立つ事が多いカタラン人達だけど、困った時、助けてくれたのも又、彼らでした。特にBarcelona MediaのRさん、スペイン最大手電話会社TelefonicaのA君、T-SystemのP君、バルセロナ市交通局のBさん、バルセロナ市情報局のIさん、22@BCNのJさん達には何度も助けられました。

3年という長い時間をかけて出来ていくもの。長い時間をかけないと出来ないもの。それが信頼であり、人と人との絆だと思います。これこそインターネット万能社会の中において、グーグルのような世界最高のコンピュータにさえ出来ない事であり、人間が人間である証だと思うんですね。そんな事を実感させられるプロジェクトでした。(まだ終わってない)
| EUプロジェクト | 22:21 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
eGovernment Mobile Services Workshop
今日は朝からeGovernment Mobile Services Workshopに参加してきました。このワークショップは、現在バルセロナで進行しているEU2大プロジェクト、ICINGとP2Pプロジェクトの紹介と両プロジェクトに参加しているパートナー同士の情報交換を目的として開催されました。

バルセロナ、ダブリン、ヘルシンキ、ブルッセル、スロベニアなど政府関係者から新進企業まで多彩な顔ぶれで行われた今回のワークショップからは得るものが多かったです。特にこのようなミーティングの一番の魅力は世界中に同じような興味を持った人達とコネクションが出来る事ですね。ネットを通して世界中の人と繋がる事は出来るけれど、同じ時間と空間を共有した体験は互いの信頼関係をより深める事は間違いありません。

80年代後半から90年代前半にかけてマニュエル・カステル(Manuel Castells)サスキア・サッセン(Saskia Sassen)といった社会学者が、情報通信技術が進めば進むほどフィジカルな空間の重要性の低下というロジックに対する矛盾:都市のフィジカルな空間のより一層の重要性の増大を示したように、やはり顔を合わせた議論にはインターネットでは得られない体験が潜んでいると思います。

さっぱり関係の無い話ですが、サッセンが以前に書いていた文章で忘れられないフレーズがあるので紹介しておきます。



「(写真はイメージです。超高層ビルに入っている銀行のオフィス側から見ていると仮定して)この空間には2つのクラスが存在している。一つは暖房の効いたオフィス内で働くホワイトカラー。もう一つは空間の外で危険を冒しながらガラスを拭いているブルーカラーの労働者。同じ空間に属しながらもこの2つのクラスの間には見えない深い溝が存在している。この仕切り(ガラス)はとても薄く透明であるにも関わらず、決して乗り越える事の出来ない壁である。」

ワークショップは明日も続きます。
| EUプロジェクト | 22:21 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
歩行者シュミレーションについて(Pedestrian Simulation)
昨日は某プロジェクトの為に某会社と打ち合わせ。その席で屋外歩行者シュミレーションについて聞かれたのでちょっとメモ程度に記しておこうと思います。

歩行者シュミレーションとは、歩行者がどうやって歩くかとか、歩行者が何処から来て何処へ行くかなどの歩行者の挙動をコンピュータ上で再現する事を目的としたシュミレーションです。そんな歩行者シュミレーションは先ず第一に屋外でのそれと室内でのそれとに分ける事が出来ると思います。更に扱うスケールによって大きく2種類に分ける事が出来きます。

1.一つはある限定された比較的小さな空間内(例えば広場)において人が
どのように歩行するか、もしくは近隣の人とどのようにインタラクトし、
その結果として群集がどのように形成されるかをシュミレーションしたも
の。
2.もう一つは都市内という比較的大きな空間において人が何処から何処へ
向かって移動するかをシュミレーションしたもの。この場合は主に街路
選択が問題になります。

基本的にはこの2つの方向が有り得て、あとはこの2つの組み合わせだったりするんですね。

とりあえず、2番目の「人が何処から来て何処へ行くのか?」のシュミレーションなんですが、これは現時点では不可能とは言わないまでも相当難しいです。典型的なのが都市の街路を線、交点を点とするグラフで表しておいて、人が各点から点に移る変移確率を求めようとするもの。古くはGabrecht,D.の各交差点における選択確率を等確率として求めたものや、Timmersonのものなどがあります。

Gabrecht,D.(1970):” Frequency distributions of pedesrian in a rectangular gris”, Journal of transport Economics and Policy,IV(1),pp66-88.
このように幾つかの試みは存在するんですが、現実的ではありません。何故かというと、シュミレーションで大変重要なフェースであるカリブレーションが出来ないからです。

シュミレーションを創る時には、2つのフェースが存在します。一つはある仮定に基ついてアルゴリズムを作る事フェース。例えば、交通シュミレーションだったら車がどのように挙動するかという問いに対して、「前の車の動きに従ってレーンを変える」とかという事ですね。そのような「ある仮定」に基ついてアルゴリズムを作りシュミレーションを走らせるのが第一段階。第二段階はその仮定に従って創ったアルゴリズムが正しい事を証明する段階です。交通シュミレーションの場合はOD表をインプットデータとしてシュミレーションを走らせ、道路上に設置したカウンターとシュミレーション上のカウンターの数値を比べる事でカリブレーションをするんですね。例えばEMME2とかで。

しかし歩行者の場合はそう簡単にいかない事は容易に想像が付くと思います。例えば車がある道路上で一方にしか走らないのに対して、歩行者は様々な方向に歩くというような批判は直ぐに思い付きます。ローカルなスケールでもグローバルなスケールでもビル・ヒリアー(Bill Hillier)が言ったように正に「歩行者においては全ての地点が起源(Origin) であり目的地(Destination)になる」んですね。

更に歩行者の場合の経路選択は陽の当たり具合や道の幅、人の混雑度など様々な要素が心理的に作用するので車のそれよりも、もっと複雑だと言う事が出来ると思います。更にナンバープレートが付いている車と違って屋外において一般の人の軌跡を追跡するのは今の所あまり手段がありません。

MITのCarlo Rattiがグラーツやローマでやっているのは携帯電話通話の密度なのでトラッキングではありません。

Ratti C., Sevtsuk A., Huang S. and Pailer R.(2005): “Mobile Landscapes: Graz in Real Time”,Proceedings of the 3rd Symposium on LBS & TeleCartography, 28-30 November, Vienna,Austria.

Ratti,C., Pulselli,R., Williams,S., Frenchman,D.(2006): "Mobile Landscapes: using location data from cell-phones for urban analysis", Environment and Planning B- Planning and design 33(5)
727-748.

良く勘違いされるんですが、この手法は電話アンテナの中にどれだけの人が居るのかを示すんじゃなくて、そのアンテナ内でどれだけの人が通話を行っているかという通話密度を視覚化しているんですね。この提案はそんなに悪くないけど、実際に都市計画や交通計画に反映させようと思ったらかなり工夫が必要。それを試みたのが僕が担当したEUプロジェクトICINGだったわけで、ICINGではソコの所の差異を強調したつもりです。

もう一つ例を挙げておくと、Fabien Girardinによるインターネット上のフォトアーカイブFlickerを利用した歩行者軌跡抽出手法もありますね。

Girardin, F., Blat, J., Nova, N., (2007): "Tracing the Visitor’s Eye: Using Explicitly Disclosed Location Information for Urban Analysis" (in submission)
これについては過去のエントリで書いたので詳しくはこちら

さて、これが屋内となると話は全く別になります。例えばショッピングセンターの様々な所にカメラを設置しておいて歩行者の軌跡をトラッキングしカリブレーションするとか、カメラではなくてもカートにRFIDを付けておいて各所に読み取り機を設置。同じ様に軌跡を抽出しカリブレーションという手も考えられますね。

さて、こんな難しい屋外歩行者シュミレーションなんですが、例外が一つだけ存在します。それが非難時のシュミレーション。何故それが可能かというと、OとDがはっきりしているからです。Oは今居る所、もしくは建物。目的地Dは火元などから一番遠くの点。そしてこの状況下においては人は必ず最短経路を取ります。故に例外的に屋外避難歩行者シュミレーションというのは存在するんですね。大抵の場合、ここで問題になるのは人と人がどのようにインタラクトするか?という事に結実します。よって今ではその多くがエージェントベースを用いたボトムアップ型を採用しています。

さて、1番目の屋外限定空間内における歩行者シュミレーションなんですが、この領域で現在一番良く出来ていると思われるのがAntonini,Gianluca.のシュミレーション。彼のアドバイザーは交通分野の離散選択モデルの大御所、Michel Bierlaire。交通分野で長年培われてきた研究を歩行者挙動に取り入れたという訳です。
詳しくはこちら:

Antonini, G., Bierlaire, M. and Weber, M. (2006): “Discrete choice models of pedestrian walking behavior, Transportation Research Part B 40(8):667-687.

Antonini, G., Venegas, S., Bierlaire M. and Thiran J.-Ph. (2006): “Behavioral priors for detection and tracking of pedestrians in video sequences”, International Journal of Computer Vision 69(2):159-180.

Antonini, G., Venegas,S., Thiran,J., Bierlaire,M.(2004): “A discrete choice pedestrian behavior model for pedestrian detection in visual tracking systems”, Advanced Concepts for Intelligent Vision Systems, ACIVS 2004, Brussels, Belgium.

Antonini,G., Bierlaire,M., Weber,M.(2004): “Simulation of pedestrian behavior using a discrete choice model calibrated on actual motion data”, in 4th STRC Swiss Transport Research Conference, Monte Verita, Ascona, Switzerland.


その際、下敷きとなっているのがS.P. Hoogendoornの適応した歩行者の目的地到達までに行われる3段階の決定。それぞれStrategic, Tactical, Operational Levelsと命名されています。これは何を意味するかというと、歩行挙動決定におけるスケールの問題ですね。先ずはおおまかにどちら方向に行くかを決めておいて、最終的には自分の足元周りの状況で挙動を決定するというような。詳しくはこちら:

Hoogendoorn, S., P. Bovy and W.Daamen.(2002): “Microscopic pedestrian wayfinding and dynamics modeling”, in M. Schreckenberg and S. Sharma (Eds.),Pedestrian and Evacuation

そこにAntonini,G.は歩行者が踏み出す次の一歩の選択に離散選択モデルを組み入れたんですね。歩行者の前方を扇形に仕切っておき、それぞれにそこへ動く確率を与える。そこへ移動した後、同じ様に前方を扇形に仕切り確率を与える・・・・という事を繰り返すわけです。

彼のシュミレーションはもともとカメラの歩行者追跡の為に創り出されました。カメラを使った歩行者トラッキングにおいて、歩行者の動きを画像だけで追うのは限界があるんですね。それよりも数学的アルゴリズムを組み合わせて、ある程度歩行者の動きを予想した上でトラッキングした方がはるかに効率が良い。

という訳で彼は最初そちらの方に傾倒していました。よって、当然の事ながらシュミレーションのカリブレーションにはカメラ画像の情報を用いています。
この方法は歩行者が他の歩行者と出会い、どのようにインタラクトするかといった挙動をシュミレートする時に威力を発揮すると思います。つまり対向者が左へ動く確率とそれに対して自分が動く確率と・・・といった感じで。

これらマクロレベルとミクロレベルの視点を統合して生まれたのが非難シュミレーションLegion Studio。彼らの場合にはビデオカメラに写った歩行者挙動の膨大なるデータから年齢や性別などの様々なカテゴリの人挙動モデルを作り出し、エージェントモデル上でシュミレーションを走らせる事により、ボトムアップなインタラクションを実現。その結果としての群集行動を再現しています。状況設定が非難なので歩行者のOとDは明らか。しかも最短距離で動く。そこにそれぞれの異挙動を加えたシュミレーションは不思議な説得力がある。

さて、かなり手短にですが、ここまでで屋外空間歩行者シュミレーションをざっと見てきました。
歩行者シュミレーションが結構盛んに開発されている背景には少なからず近年におけるAIMSUNなどの交通シュミレーションの成功があると思います。車の挙動が90パーセント前後という高い確率で分かるなら、人のそれだってシュミレーションしたら大変有効じゃないか、という論理ですね。しかし、現実はこのような理想とはかなり遠い所に我々はいると思うんですね。非常時シュミレーションはともかく、ノーマル時のシュミレーションは、はっきり言って実用的ではありません。前述したAntoniniのシュミレーションは大変良く出来ているけれど、では、実際それをどのように使うのか?といった時、答えが無いのが現実なんですね。

今、確かに都市計画分野では歩行者シュミレーションが切望されていますが、それは屋外限定空間ではなくて、「人が何処から来て何処へ行くのか?」という都市内での動きを知る為のシュミレーションなんですね。

このシュミレーションが出来れば次の時代への都市計画のブレークスルーになる事は間違い無いのですが道のりはかなり遠いです。
| 仕事 | 18:33 | comments(0) | trackbacks(39) | このエントリーをはてなブックマークに追加
Transport Simulation Systems (TSS):ジャウマ・バルセロ (Jaume Barcelo)とAIMSUN
昨日は交通シュミレーションの専門家、ジャウマ・バルセロと某プロジェクトについてミーティング。彼とはもうかれこれ3年の付き合いになります。

ジャウマさんは都市交通分野では、かの有名な交通シュミレーター、AIMSUNを開発した事で世界的に知られています。勿論、僕等も使っています。というか僕等ほどAIMSUNを使いこなし都市交通から公共空間デザインといったアーバンデザインまで視野に入れて仕事をしている機関は他に無いと言っても過言ではありません。以前、マニュエル・カステル(Manuel Castells)が来た時にも同じような事を言ってたし。第一、開発者のジャウマさんがそれを一番良く知っているからこそ、僕等をパートナーとして一緒に仕事をしてくれているものだと理解しています。

今日の話題は僕が担当したEUプロジェクトICING ( Innovative Cities for the Next Generation) についてでした。このプロジェクトについては当ブログで何度か触れていますが、簡単に言うと、携帯電話などの新しい通信機器を使った新たな都市サービスをどう構築し、市民生活に役立てていくかというプロジェクトです。参加都市はバルセロナ、ヘルシンキ、ダブリンという現在EUで最も活発で元気の良い3都市。この大変にアンビシャスなプロジェクトの核となるパート、携帯などの移動可能機器を使ったOD表作成パートのコーディネーターを僕が努めました。

OD表というのは、あるゾーンからあるゾーンまで、どれだけの人が何時、どんな目的で移動したかをインタビューによって集計した表の事を言います。このOD表の質をどのように上げていくかというのは世界中の都市が直面している頭の痛い問題だと思います。質を上げる為には膨大な金と時間が必要とされるからなんですね。ちなみにバルセロナの場合は5年に一度の割合で大規模なインタビューが約3億円かけて行われます。逆に言うと5年に一度しか出来ないと言った方が正しいと思います。すると、必然的にその情報は直ぐに古くなってしまって現実とは一致しないという問題が生じてくる訳です。

更に、このOD表はゾーン間の移動結果なので、どの経路を通ったかなどのミクロレベルの情報は含んでいません。このOD表をインプットデータとして、あるゾーンから目的ゾーンまで移動する人は最短経路を通るという仮定の下で交通シュミレーションを創ったのがジャウマさんです。

彼が開発した交通シュミレーション、AIMSUNは実に良く出来ている。シュミレーション実現過程は大きく分けて2段階に分ける事が出来ます。OD表をインプットデータとしてシュミレーションを走らせる段階。その後、現実の道路に備え付けてある車を数える機械、トラフィックカウンターの数えた台数と、シュミレーション上の同じ道路においてシュミレーションが示した車の台数を比較する事により少しずつアルゴリズムを変えて行く過程。この2つの段階を経る事によって90%前後の大変に高い確率の交通シュミレーションを実現しています。

僕が2005年頃に担当したバルセロナのグラシア地区交通計画において用いた結果によると、95%まで現実を表象する事が出来ました。

そんな彼のシュミレーションが効力を最大限に発揮するのが、何と言っても政治家の人達や市民を前にプレゼンをする時。一つ一つの車が個々に動く様と、この現実表象が90%という高い現実表象率を示しているというアカデミックなデータを見せられると誰でも「へぇー」と思ってしまう。僕も何度かヘルシンキやダブリンの政治家の人達を前にAIMSUNを使って都市交通の説明をした事がありますが、その効果はホントに絶大です。

さて今日のミーティング後、何時ものように立ち話をしていた時にジャウマさんが面白い事を言っていました。世界中で仕事をしている彼は勿論、日本とも幾つかのプロジェクトを持っています。その関係で今年の4月から少しの間、某大学を通して日本人がバルセロナに来るとの事。「その時はヨロシク頼む」とか言われて、僕も調子良く「いいよ」とか言っちゃったけどメールアドレスとか何時ごろ着くのかとか聞くの忘れた。まあ、多分同じ日本人だからという事で、軽い気持ちで言ったんだと思うんだけど・・・心当たりのある人居ますか?もし居たら連絡ください。
| 仕事 | 21:06 | comments(0) | trackbacks(35) | このエントリーをはてなブックマークに追加
ICINGプロジェクト締め切り間近3
今日はバルセロナ市役所インターナショナルオフィスにて交通局のBちゃん、22@BCNのJさん、SITMobileのMさん等とミーティング。コレマタ長かった。3時に始まった会議が終わってみれば19時。アー疲れたとか思いながらヌーベルがやったアグバービルの辺りを歩いていてちょっとビックリ。バルセロナが売り出し中の22@計画の第一期であるこの辺りが出来上がってきているじゃないですか!まあ、2008年完成予定を目指している事からすれば当たり前と言えば当たり前なんですが、かなり久しぶりに行った事もあって急激な変化にタダタダ驚くばかり。ちなみに第一期計画の公共空間プロジェクトは僕達がやりました。当然僕も参加しました。僕達が触れる範囲が公共空間に限られていたので建物には一切触れる事が出来なかったし、僕等が入った時には既にデザインまで決まっていたので何もする事が出来なかったんですが、完成予想図はかなりの高密度に仕上がっていました。良い意味ではなくて。大体バルセロナって水平に広がっている都市なんですが、その特徴を壊すかのような垂直型街区が立ち上がりつつあります。つまりボイーガスが言う所のアメリカ型都市街区ですね。

今丁度半分くらい出来た所なんですが、それでも十分に圧迫感を与えてくるボリュームです。さらにこの一角に19世紀の倉庫を改造したポンペウ・ファブラ大学が出来る予定なのですが、そこだけ低層で四方が高層に囲まれているという大変不均衡な計画になっています。
22@さん、もうちょっと考えた方が良いんじゃないでしょうかね?
| EUプロジェクト | 06:27 | comments(0) | trackbacks(0) | このエントリーをはてなブックマークに追加
ICINGプロジェクト締め切り間近2
今日はICINGプロジェクトバルセロナコーディネーターであるIちゃんが事務所に来ました。彼女はバルセロナ市役所インターナショナルプロジェクト部門で働いている女の子です。彼女とスペインのNTTことテレフォニカのA君、そしてスペイン大手ソフトウェア会社のF君は年齢が近い事から最初から気が合ってわいわいと楽しくやっています。今回のプロジェクトに参加した最大の収穫は彼らと出会えた事ですね。この出会いから幾つもの創造的なプロジェクトが生まれています。このメンバーは確実に今後、スペインのITシーンを背負っていくことになるでしょう。
| EUプロジェクト | 05:17 | comments(0) | trackbacks(0) | このエントリーをはてなブックマークに追加
典型的な週末
同僚のメルセちゃんが職場を移ると言う事で皆でお別れ会。うちには4年間居たそうで来週から居なくなるとちょっと寂しいかも。
土曜日の夜はスペインのNTTことテレフォニカに勤める友達の家で夕食会。日本食パーティーというのでてっきり僕が作るのかな?と思っていたらおおはりきりで彼が作っていた。しかもすごいマグロとか買って来てるし。僕は味噌汁担当と言う事で中国人店にて超高級豆腐を購入。コレホントにおいしいのか?とか思ってたら結構おいしかった。

夕食会は結局3時まで続きました。皆の体力もすごいけど、ドンちゃん騒ぎに何も文句を言わない隣近所もすごい。週末だからと言う事で大目に見ているのか?

今週の日曜日はクリスマスが近いと言う事で殆どのお店が営業中。モネオとイグナシのお兄ちゃんであるマニュエルが設計したIllaにショッピングに行く。

今週木曜日はICINGプロジェクトの締め切りなので忙しくなりそうな予感。
| バルセロナ日常 | 06:34 | comments(0) | trackbacks(0) | このエントリーをはてなブックマークに追加
ICINGプロジェクト締め切り間近
担当しているEUプロジェクトの内の一つ、ICINGプロジェクトの締め切り間近と言う事で今週、来週にかけて大忙し。今日は午後からずーっとBluetooth関連会社とミーティング。3時に始まって余裕で5時には終わるから久しぶりにイカリア(バルセロナのオリンピック村)でもぶらぶらするか、とか思ってたら会議が長引いて気が付いたら7時だった。4時間ぶっ通しはさすがに疲れた。おかげで実りのあるミーティングだったけど。

ミーティング中、最近この世界で話題のFlickerのアーカイブを使った人移動トラッキングの話になる。何でも先方のディレクターが先週行われたカンファレンスで目にしたとか。コレは何かというとおなじみのFlickerに蓄えられた写真に時空間タグが付いている事に注目して、それを時系列に並べる事によってその人の一日の動きをトラッキングしてしまおうという物。交通マトリックスを扱っている僕としては休日の人の動きが分かるというのはものすごい価値がある。

実はこのアイデアの発明者はバルセロナにおける僕の大親友なんですね。こちらに来て以来はや3年近くの付き合いになります。彼に出会った頃はまだ自分が何をやりたいのか未だわからず仕舞いで、とにかくインターネットを使って何かサービスを立ち上げたいという理由で僕の所に相談に来ました。半年間、一週間に一度くらいのペースでご飯を食べたり雑談を繰り返す日々が続きました。その頃は2人ともグーグルにはまっていたのでその話をしたのを良く覚えています。「個人が自分の為にしているブログのようなサービスは実はグーグルに利用されている。こんな感じで何かモビリティ分析とか出来ないかな?」というのが全ての始まりでしたね。
その後、Flickerというサービスが世界中の人が写真を投稿する事で自動的にアーカイブが蓄積されていく事に気が付き、そのアーカイブを利用する為のアルゴリズムを開発するまでにはそれほど時間はかかりませんでした。

それが今やあっちこっちで引っ張りダコ。来年からは1年間、MITにビジッティング研究員として行くそうです。今まで一緒にやってきた仲間として大変嬉しいと同時にちょっと寂しくなりそうです。
| EUプロジェクト | 06:12 | comments(0) | trackbacks(35) | このエントリーをはてなブックマークに追加
EUプロジェクト:ダブリン・ヘルシンキ・バルセロナ3
前回のエントリの続きです。
ミーティング初日の月曜日は朝からDITに赴く。そもそも今回のミーティングのメインテーマは21日に行われるEU委員会によるプロジェクト中間審査が最も大きな目的。この審査に通らないと来年度分のお金が下りないのでプロジェクトの進行にとってはかなり重要なステップと言っても良いと思います。という訳で朝8時から夕方6時までみっちり対策と予行練習を行う。

今回のダブリンミーティングのもう一つの大きな目的が火曜日に行われるヨーロッパ・知識都市カンファレンスです。このカンファレンスは現在世界中で進んでいるポスト工業都市としての知識型都市へ移行する為、具体的に都市レベルでどのようなプロジェクトが進行しているかを情報交換する為に企画されました。カタルーニャが誇るこの分野の世界的権威であるマニュエル・カステルを初めとする諸学者によって既に様々な理論が構築されていますが、今回は抽象的な理論というよりも実際に現在進行中の具体的プロジェクトの発表が核となっているという点が肝です。僕達のプロジェクト審査がこのカンファレンスを挟んで行われる事は勿論偶然ではありません。何故ならこのEUプロジェクトはEUが現在全力で取り組んでいるIT都市への急先鋒プロジェクトである為、EUサイドはこのプロジェクトの宣伝の為、ダブリン市としてもEUの各都市やIT関連企業にそのポテンシャルを見せ付ける格好の場としてセッティングされたんですね。この辺りの都市を売る戦略というのはさすがにちゃっかりしている。

月曜日の夜はダブリン・ヘルシンキ、バルセロナ、エストニア、ロンドンなどの諸都市の代表者とマイクロソフト、インテルなど私企業の代表者と懇親会の意味を込めた夕食に出席する。ダブリン市長やダブリン市官僚、アイルランド環境大臣なども駆け付け大いに賑わう。ヨーロッパのこのような席に日本人として出席すると必ず問われるのが言語の問題。僕はカタルーニャ政府で働いているので当然スペイン語は出来ます。同時にEUレベルでのプロジェクトコーディネーターも兼ねているので英語もある程度は理解しているつもりです。すると、決まって聞かれる事が「君、ホントに日本人?日本人は外国語は出来ないんだろ?出来ても英語。スペイン語までどうして出来るんだ。」というような趣旨の事。

なんて失礼なと思いますが、同時に最もな質問だとも思いますね。日本人は外国語が出来ない。何故なら日本だけで生活が簡潔してしまうからです。つまり1億4000万人も居るとわざわざ外国人に頼らないでも生活が成り立ってしまうんですね。これこそパラダイス鎖国のもたらした悪影響の一つだと思います。

もう一つの要因は、今までの世代は留学ならアメリカもしくはイギリスといった英語圏が主流だったと思います。故に外国語が出来るイコール英語。しかしこの状況は僕達の世代で少し変化してきたように思われます。つまり近年のEUの発展によってヨーロッパの多様性が日本人の留学先の幅を広げ、そこに魅力を感じる人が多くなってきたと言う事です。故にスペイン語やフランス語が出来る人達が少しずつではありますが増えてきているように思われます。更にこのような人達は英語を必要とする環境に身を置いている事が多いので自然と2ヶ国語が出来るようになっている訳です。ソート・デ・ムーラ事務所のアツシさんやシザ事務所のアツシさんとかも普通にに2ヶ国語しゃべってますしね。

今後、日本人は英語プラスもう一つの言語を必要とされる状況が来ている、もしくは2ヶ国語出来る事がこのうえもなく競争力になる時代が近ずいて来ているような気がします。そしてそれが出来る人と出来ない人の間にものすごい格差が出現する可能性が強い。良い事か悪い事かは分かりませんがヨーロッパに身を置いている直感がそれを語っています。

| EUプロジェクト | 06:26 | comments(0) | trackbacks(35) | このエントリーをはてなブックマークに追加