地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくりのイノベーション(横浜)シンポジウム大成功!
怒涛ともいえる3日間の日本滞在を経て、やっとの思いでバルセロナに到着しました。



今回の弾丸帰国、トランジット待ち(2時間の予定)のミュンヘン空港のカフェでコーヒーを飲みながら、「あー、そろそろ搭乗時間かなー?」とか思ってもう一度チケットをよく見たら、待ち時間が「2時間」じゃなくて「12時間」だった(苦笑)。
←「1」を一つ見落としてたー!ギャー!!
もう、愕然とするしかなかったんだけど、ミュンヘンは今まで一度も来たことがなかったし、「良い機会かな?」と気持ちを切り替えて、前々から行きたかったコープ・ヒンメルブラウ設計のBMW博物館へGO!



ぼく、車とかバイクとかサッパリ興味がないんだけど、この博物館ではBMW車に試乗出来たり、バイクに跨ることが出来たりと、色々と体験することが出来て結構楽しい。



そしてそして、ミュンヘンと言えば、我々建築家にとって思い出されるのはやはりフライ・オットーのミュンヘンオリンピック競技場かな?、、、と思います(これについては次回のエントリで詳しく書こうと思っています)。

と、そんなこんなで東京到着前から既に波乱だらけの幕開けとなった今回の弾丸帰国、その目的は前回のエントリで書いた通り、8月8日に横浜で行われた「スマートシティとオープンデータ」に関するシンポジウムに参加する為だったんですね(地中海ブログ:スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくりのイノベーション(横浜))。



いままで登壇者としてプレゼンすることは(色んな国と地域で)それこそ数え切れないほど経験させてもらったんだけど、その様なシンポジウムを企画する側に回ったのは実は今回が人生初!もうホント、分からないことだらけで、手探りの状態の中で進めてきたということもあり、当日は結構ドタバタだった気がします。



また、どれくらいの参加者の方々に来てもらえるかなどがサッパリ予測出来なかったことなどもあって、少々不安でもあったんだけど、当日は本当に沢山の人たちに来てもらうことが出来て、結果から言うと、「大」の上にもう一つ「大」が付く程の「大大大成功」と言っても過言では無かったと思います。



「(有料の)オープンデータ系のイベントでこれだけの人達が集まるのはちょっと異例」という言葉を色んな人達から言って頂けるほどの活況でした。



今回のシンポジウムを企画するにあたり、スポンサーの方々や登壇者の方々は勿論、分からない部分について様々なアドバイスを下さった方々や、お忙しい中、当日会場に駆け付けて下さった方々に心から感謝します。



どうもありがとうございました!!!!

で、この大成功を受け、「このシンポジウムを連続シンポジウムにしよう」という提案が出ています。今回と同じく、横浜市役所、バルセロナ市役所、そしてMITのバックアップのもと、第2回目は「オープンデータと医療」、第3回目は「オープンデータと観光」と題して行おうと画策している所です。

特に第3回目の「オープンデータと観光」については、2020年の東京オリンピック問題を絡め、「バルセロナオリンピックの成功と失敗から学ぶこと」みたいな感じで企画出来たらと思っているんですね。



当ブログの読者の皆さんには既に馴染み深いテーマだとは思うのですが、バルセロナは1992年のバルセロナオリンピックを契機に都市のインフラを大規模改善することに成功し、この都市開発手法は後に「大規模イベントを活用した都市開発モデル=バルセロナモデル」として世界中の都市に注目され続けてきました(地中海ブログ:何故バルセロナオリンピックは成功したのか?:まとめ)。



それらの議論では、「なぜバルセロナはこれほどまでに発展することが出来たのか?」、「いったい何が成功の要因だったのか?」など、主に「成功面から捉えたもの」が殆どだったと思うのですが、その一方で「バルセロナの失敗」についてはあまり語られることがなかったと思います。



僕の眼から見ると、バルセロナは数々の失敗を幾つも繰り返しているし、特に近年は、「成功し過ぎた観光」による都市への弊害、「増えすぎた観光客による市民生活への影響」が現地で大問題となってきつつあります(地中海ブログ:バルセロナの中心市街地で新たな現象が起こりつつある予感がするその3:街頭売春が引き起こした公共空間の劣化)。これは、「観光こそ21世紀を担う産業だ!」と手離しで観光客を誘致することだけを考えている日本の現在の状況に、それと並行して「観光マネジメントを考慮することの重要性」を示唆する事例でもあったりすると思うんですね。



更に、バルセロナオリンピック時において建設された施設群が「今現在、どのように使われているのか、どう運営されているのか?」といったポストオリンピックにも焦点を当てることによって、東京で計画されている選手村を含むオリンピック施設群の問題にも何かしらの光が当てられたらとも思っています。



‥‥と、こんな感じで今回初めて企画した「スマートシティとオープンデータ」シンポジウムから学んだ教訓を活かし、これから4ヶ月ほどを掛けてこれらの企画を実現していきたいと思っています。

上記のようなテーマで、「こんな話が聞きたい!」、「こんなテーマを取り上げてくれ!」というようなご意見、ご要望があったら、是非メール頂ければと思っています。



取り敢えず、今日はシンポジウムの成功を祝って、一人で勝手に乾杯しよう。
←いつもながらにコーヒーとクロワッサンで。
←ぼく、ビール飲めないので(笑)。

追記(今回の東京滞在で思ったこと)
シンポジウムの翌日(日本滞在最終日)は仕事関係のミーティングがギッシリ入ってたんだけど、その間の短い時間を使って森アーツセンターギャラリーで開催中の「機動戦士ガンダム展:THE ART OF GUNDAM」へ行ってきました。



日本ミュージアム・マネジメント学会の基調講演の為に帰国した6月の時には、同じ場所で「ナルト展」がやってたんだけど、森アーツセンターギャラリーって、こういう路線に変更したのでしょうか? ←個人的にはかなり嬉しい。

今回の展覧会ではガンダムの頭部が原寸大で作ってあったり、見たことない原画が展示してあったりと、ガンダム好きには堪らない展覧会となっています。

ここを駆け足で見て回り、バルセロナへの帰国便に乗る為に羽田空港へ。実は羽田空港を使うのは人生初! ←いつも日本へ帰る時は中部国際空港(セントレア)なので。で、今回、初めて羽田空港を使ってみたのですが、正直言って、これが日本の首都、東京の玄関口だとは思えないほど貧弱な空港で「ある意味」驚きました。

上述したように、羽田空港を使うのは今回が初めてだったので、この空港のことをよく知らないし、東京にはもう一つ成田空港があるということも分かっています。また、僕が使ったのは国際線の方で、「羽田は国内線と分かれているらしい」ということも分かった上でのことなのですが、取り敢えず「初めて使ってみた感想」を率直に書いてみます。

まず、ニューヨーク、ロンドン、パリなどと肩を並べるグローバルシティ、東京の空の玄関口としては貫禄がなさすぎ。レストラン街も、お寿司とかラーメンとか揃えてるのは分かるけど、ちょっと品揃えが少なすぎな感が否めません(レストランのラインナップだけなら、セントレアの方が良いと思うほどです)。



外国人観光客向けに橋とか非常にがんばって作ってるけど、正直言って、「うーん」って感じかな。チャックインして中に入っても、欧州のハブ空港フランクフルトなんかとは比べようもない。そして決定的なのは、空港から都内へのアクセッシビリティ。電車で40分って、これは遠すぎる。フランクフルトの12分(電車)は例外としても、バルセロナですらバスで20分の距離圏内ですからね。


(フランクフルト市内の街並み)
その一方、都内の公共交通機関の充実度は世界トップレベルであることは間違いありません。つまり空港は都心から無茶苦茶遠いけど、都内に入ってしまいさえすれば移動は最高にスムーズだということです。また、近年批判され続けてきた無料wifiの面も、地下鉄会社(?)が無料提供し始めたので、大変改善されていると思います。


(仁川空港)

もう一度言いますが、今回初めて羽田空港を使ったので、この空港については知らないことが多いし、もしかしたらものすごく間違ったことを言っているだけなのかもしれません。

今後、羽田空港、成田空港を使うことが多々出てくると思われるので、この空港問題に関しては観光客目線で、もうちょっと観察を続けてみようと思います。
| 仕事 | 02:01 | comments(1) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
マドリッドの環状線M30の真上に出現した公共空間:ドミニク・ペローのアルガンズエラ歩道橋(The Arganzuela Footbridge)
前回のエントリ、マドリッド・ミーティングの続きです。



実は今回のマドリッド滞在で絶対に見ておきたかったモノが3つあって、その内の1つが現在プラド美術館で開催中のラファエロ展だという事は前回のエントリで書いた通りです(地中海ブログ:プラド美術館のラファエロ展(El Ultimo Rafael):ラファエロの精神的遺書「キリストの変容」の制作過程が明らかに)。この展覧会、ラファエロ好きには堪らない内容となっていて、その興奮がまるで昨日の事の様に思い出されます。



そして僕が今回どうしても見たかった2つ目というのが今日のお題なんだけど、それこそフランス人建築家ドミニク・ペロー氏が約1年前に完成させたマンザラネス川に掛かるアルガンズエラ歩道橋(The Arganzuela Footbridge)なんですね。



僕が今までに見た事があるドミニク・ペロー氏の作品はフランス国立国会図書館くらい。



この建築を訪れる前は、「巷に溢れる一筆書き建築」って言う(どちらかと言うと悪いイメージ)を持ってたんだけど、実際訪れてみると、銀色のメタリック・メッシュが大変良い感じを醸し出し、緑豊かな中庭空間も迫力十分、更に高層部分を均一に覆っているガラスとそこから透かして見える日除けルーバーの開閉風景が大変豊かで、それらルーバーの「不均質さ」とガラス面が創り出す「均質さ」が相俟って、ナカナカ興味深い体験だったと思います。



そんなこんなで彼の建築にはかなり良い印象を持ったので、「今度はマドリッドにある屋内競技場(Caja Magica)を見てみたいなー」と思い、ここ3年間に何度か訪問してみたんだけど、どうやらこの施設は何かしらのイベントが行われてないと中へ入る事は不可能だと言う事が判明。で、事前調査の結果、今回の滞在中には何もイベントが行われず、中へは入れなさそうだという事が判っていたので泣く泣く断念する事に。しかしですね、マドリッドにはドミニク・ペロー氏が手掛けた建築がもう1つあって、と言うか最近出来て、前々から「実はそっちの方が面白そうかな?」と、そう思っていました。その建築こそ今回登場するアルガンズエラ歩道橋と言う訳なんです。



プラド美術館を後にして、お昼過ぎに国立ソフィア王妃芸術センター(地中海ブログ:マドリッド旅行その2:ジャン・ヌーヴェル(Jean Nouvel)の建築:国立ソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia))で打ち合わせが入ってたんだけど、今回はこの歩道橋がどうしても見たかったので、ランチの時間を削って見に行く事に。行き方としては、地下鉄5号線でMarques de Vadillo駅まで行き、そこから5分ほど歩くというのが一番近道かなと思います。ちなみにMarques de Vadillo駅を出た所にはこんな風景が広がっています:



交通量が結構多い一見普通の商店街なんですね。車の排気ガスや騒音で一杯の「こんな所に本当にあんな緑で一杯の公園があるのかな?」と思いきや、街路を一本中へ入るとこれがビックリ!



目を見張るほどの緑と静寂な世界が広がってるじゃないですかー!太陽が燦々と降り注ぎ、視界に入ってくるのは目映いばかりの芝生の緑色、聞こえてくるのは子供達のはしゃぎ声ばかり‥‥ハッキリ言って、先程通ってきた商店街からは全く想像もつかなかった風景が広がっていて、かなり意表を突かれました。そしてここから少し歩を進めると見えてきました、今回お目当ての歩道橋が:



じゃーん!銀色に輝く構造体が螺旋を描きながら円柱を形成し、独特な軽快感を醸し出しているアルガンズエラ歩道橋の登場です。



ともすればゴツくなりがちな構造体をスパイラル状に構成しつつ、重たい構築物というよりは、風景として軽やかに公園の中に軟着陸させています。



これはあれかな、伊東豊雄さんがスペイン南部のアリカンテで計画していた蝶の蛹みたいなの、あれを構造体だけにするとこんな感じになるのかな?‥‥と勝手な解釈をしてみる。そしてこの橋のデザインに決定的な影響を与えつつ、ここで必要とされている要求に見事に答えている特筆すべきデザインがコチラです:



で、出たー!ドミネク・ペローの十八番と言っても過言では無いメタリック・メッシュの登場だー!このメッシュがですね、スパイラル状に構成されている構造体の所々に絡み付く様に配置されていて、それが又絶妙な感覚を醸し出しているんですね。



つまりは螺旋の構造体全てにメッシュが絡み付いているんじゃなくて、「部分的に」という所がポイント。何でかって、全部に付いてたらそれはそれでかなり重たい表現になっちゃうと思うんだけど、適当に間引いてやる事によって、軽快感を醸し出しているという訳なんです。橋の内側から見るとこんな感じに見えます:



ほら、透きとおる様な空の青色が、構造体やメッシュの銀色と相俟って、非常に美しい風景を構成しているのが判るかと思います。



そしてですね、実はこのメッシュがこの建築物にとって大変重要な役割を担っているポイントがもう1つあるんだけど、それがこの土地特有の気候対策についてなんですね。



と言うのも、この時期のマドリッドに来た事がある人なら分かると思うのですが、夏場のマドリッドはハッキリ言って灼熱地獄!僕の滞在中なんて、気温が40度以上まで上がり、とてもじゃないけど日向になんて居られない状況でした。それくらい気温が上がってくると、風が吹いても熱風なので全然涼しくなく、必然的に日陰を探す事となります。つまりこのペローの歩道橋は、このメタリック・メッシュが直射日光を上手い事遮り、この橋の上を歩く事をかなり快適にしている訳ですよ!



訪問中、この歩道橋を何往復かしてみたんだけど、この影はそれこそオアシスと言っても過言ではありませんでした。正直、これがあるのと無いのとでは大違い!



だからここに来ると、昼間っからこの橋の上を乳母車を押しながら歩く人達や、ランニングをしている人達など、結構な数の人達がこの歩道橋を楽しんでいる光景を見る事が出来ます。このメッシュが無かったら日差しが強い真っ昼間からこれだけの人達に利用されていたのかどうなのかはかなり疑問です。

そしてもう一点忘れてはならない事、というかこの点こそ、この歩道橋とこの公園のメイン機能だと思うのですが、それがコチラです:



実はですね、ここに広がっている広大な公園の下には、マドリッド市にとって大変重要な環状道路であるM30が埋設されているんですね。つまりこの公園は環状道路の上に土を盛って、そこに公共空間を創り出したという訳なんです。

‥‥これを聞いて「あ、あれ、これって何処かで聞いた事あるなー」と思った人は結構するどい。

そうなんです!都市の境界を取り巻く環状道路を地下に埋設し、その上を公共空間に変えて市民に公開しようという発想は、バルセロナが1992年のオリンピック時に考案し、数多ある都市改造計画の中でも最も市民に喜ばれた提案の1つだったんですね(地中海ブログ:バルセロナの新たなる都市戦略:ビルバオから学ぶバルセロナ都市圏再生の曙)。



バルセロナの場合は山の手と海岸沿い2つのパターンがあるんだけど、ともすれば、環状道路が歴史的中心地区と海辺を分断し、ビーチへのアクセッシビリティを不可能にしてしまいがちな状況に、これ以上は無い解決策を与えた好例だと言う事が出来ると思います。当然の事ながら、それまでは慢性的な渋滞に陥っていた都市部の交通状況もかなり改善されました。



今回ドミニク・ペローが創ったこの橋のプロジェクトは、元々は2000年半ば頃に実施されたマンザラネス川岸の国際都市開発コンペの文脈に乗っていて、川に沿って走っていた環状道路を埋設し、その上に公園を創り出し市民に開放しようというプロジェクトが格となっていた模様です。



更にここに創り出された歩道橋は、川と環状道路の両方によって分断されていた両岸に展開する地区の結び付きを強めつつ、その広大な土地に生み出された公園へのアクセスを促進する役割をも担っているんですね。



僕がこの辺りを訪れたのはお昼時だったのですが、幼稚園児や小学生と見られる子供達の団体が水遊びをしていたり、お年寄り達が日向ぼっこを楽しみながら世間話に花を咲かせていたり、はたまた川岸では日光浴を楽しむ水着姿の若者達で大賑わいでした。



まだ完成してから1年足らずしか経っていないこの公園なのですが、この光景を見る限り、もう既にマドリッド市民達の日常生活には欠かせないほどに、彼らの生活の中に深―く溶け込んでいるのが垣間見られた気がします。そういう意味において、この計画は間違いなくマドリッド市民達の生活の質を向上させていると言っても過言ではありません。

都市計画と建築が一体となった、非常に見事な解決策、そしてデザインでした。
| 建築 | 05:35 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
シティ・リージョンという考え方その2:エレスンド・リージョンの要、交通インフラの重要性と利便性について:宇宙戦艦ヤマトのコックピットの様なフェリーにちょっと驚いた
前回のエントリの続きです。今回バルセロナからの直行便で到着したのが、スカンジナビア航空の拠点であり、ヨーロッパのハブ空港の一つとして知られるコペンハーゲン国際空港です。でも、まあ、ハブ空港とは言っても、デンマークの人口は400万人足らず、コペンハーゲンに限って見れば50万人強、つまりは国単位で見ても中京圏に及ばない程なので、ハブ空港という割には「結構こぢんまりしてるな」っていうのが僕の第一印象かな。



飛行機を降りた直ぐの待合ロビーは全面がガラスで覆われ且つ、要所要所に木材が使われている為、開放的であると共に、非常に暖かみのある空間となっています。


スペイン語でSolは太陽、Marは海。つまりこのバスは「太陽と青い海」行き

北欧の人達と聞いて真っ先に僕が思い浮かべるのは、太陽と青い空を求めて南欧に来ては、それこそ真っ赤に日焼けするまでビーチで寝転がってる姿なんだけど、そんなイメージが頭の片隅に媚びり付いてるものだから、一面ガラス張りのデザインとか見てしまうと、彼らにとっては「短い日照時間の間に降り注ぐお日様の光ほど大切なものはないんだろうなー」と、そう思ってしまいます。



さて、空港という機能は都市間競争が日に日に激しさを増す中において現代都市にとっては無くてはならない機能であり、空港の効率性こそが正に「都市の命運を握っている」と言っても過言ではない時代に我々は突入してきています。もっと言っちゃうと、都市が自身の空港との関係をどう戦略的に位置付けているのか?空港から市内まではどんな交通機関が利用可能で、どれくらいの頻度で運行され、何分で着くのか?等が非常に重要な問題として浮上してきているんですね。そしてこの様な都市へのアクセッシビリティは確実に我々の「生活の質」に影響を与え始めてすらいます。

この様な観点に立脚しつつ、当ブログでは事ある毎に各都市のアクセッシビリティ評価というものを試みてきました(地中海ブログ:都市化する空港と効率指標としてのアクセッシビリティ)。と言う訳で、今回はコペンハーゲンのアクセッシビリティ評価をしてみたいと思います。



先ずコペンハーゲン国際空港においては、空港に到着して税関を出た直ぐの所に電車乗り場があります。しかも地下鉄、バス、タクシーと、コペンハーゲン市内まで行く手段は全部整ってますね。今回は電車を選んだのですが、市内までの料金は36,00 DKK、つまり日本円で500円あまり(2012年1月現在)。これは安い!



とか思いつつ、電車を待っていると直ぐに来た。しかも時刻通り!どうやら空港とコペンハーゲン市内を結ぶ電車は15分おきくらいに出てるそうです。電車の外見は素晴らしく汚かったんだけど(笑)、車内は清潔そのものに保たれていました。こういう時、一つの指標となるのがトイレの清潔度だと思うんだけど、デンマークの車内トイレ、もうピカピカ!「さすが北欧」とか思ってたら、何かアナウンスが流れてきた:

ポンポンパンポーン、もう間もなくコペンハーゲン中央駅です」

「あ、あれ?未だ10分ちょいしか経ってないよ?」。そ、そーなんです!実はコペンハーゲン国際空港からコペンハーゲン中央駅までは何と所要時間10–15分程度で着いてしまうんですね。これは早い!今まで僕が見てきた中でも最高ランクに位置する程のアクセッシビリティの高さです。その近さに加え、頻度は10−15分おき、値段は500円程度‥‥ハッキリ言って今までナンバーワンの座を守ってきたフランクフルト国際空港と同等と言っても過言ではありません。 



さて、今回は特別編として、コペンハーゲンとスウェーデンを結んでいるスンド海峡を渡ってみる事にしました。何故なら公共交通機関のインフラ整備とその効率性こそ、エレスンド・リージョンの要だと思われるからです。


上の写真はコペンハーゲン中央駅

先ずはコペンハーゲン側からスウェーデン側の中心的な都市、マルメ(Malmö)へと電車で移動してみる事にします。僕が電車に乗ったのが午後17時過ぎ、と言う訳で外はもう真っ暗。本当なら見る事が出来る、両国間を繋いでいる欧州一長い橋も何も見えない‥‥(悲)。その代わりと言っては何だけど、車内を見渡すと、明らかに仕事帰りの人達でごった返しているのが分かりました。つまり皆、コペンハーゲンで働いて、住宅価格の安くて福祉が整っているマルメ(スウェーデン)に暮らしてるって事の現れだと捉える事も出来るんですね。

この問題については統計を取った訳ではなく、あくまでも僕が電車に乗り合わせた際の感想でしかないので詳しい事は言えないのですが、一つだけハッキリした事、それは2カ国間を渡る際にはパスポートチェックも何も無かったという事です。まるで普通の電車に乗ってるみたいに、すんなりとスウェーデン側へと入れてしまいました。つまりは2カ国間を移動する際の障壁や煩わしさはゼロだったという事です。

そして翌日、今度はエレスンド・リージョンを上の方で結んでいる公共交通機関を試してみる事に。こちらの方は、今回僕が滞在しているHelsingborgから対岸のHelsingorまでフェリーで渡る事となります。



Helsingborg側のフェリー乗り場は電車の駅と一緒になってるんだけど、この駅のデザインが結構目を惹いたかな。フェリーは片道35SEK、日本円で約400円くらい。このフェリーは約15分おきに出てるみたいです。



フェリー乗り場に到着して待つ事5分、「船が着いたよー」みたいなサインが出て、デッキを渡ってフェリーへと乗り込みます。



思えば船に乗るのも結構久しぶり。動いてない船の上で欧州委員会の人達と船上ディナーっていうのは2年くらい前にあった気がするけど(地中海ブログ:ロンドン出張その2:船上ディナー)、動くフェリーに乗るのは10年くらい前にジブラルタル海峡を見ながらモロッコへ渡った時以来かも。という訳で、船に乗るっていうだけで結構ドキドキしてきたりする。で、乗ってみてビックリ!



豪華客船並みじゃないですかー!す、凄い!カフェやレストランは勿論の事、お土産コーナーの充実振りとか目を見張るばかり!勿論、船内は清潔そのもので、デザインも細部までゆき届いています。



って、その豪華さに目を奪われてたんだけど、あ、あれ、ここでもパスポートチェック無かった‥‥普通に乗船してしまいました。



面白かったのは、やっぱり船の上というのは、何処の国にも属していない様な、ある意味無国籍な曖昧な空間なので、カフェやレストランなどの料金表示はデンマークとスウェーデン両方の通貨表示がしてあった事ですね。



自由席だったので、勿論陣取った席はど真ん中の一番前!で、ちょっと見てください!



まるで宇宙戦艦ヤマトの操縦席並みじゃないですかー!ガラスと窓枠が「くの字」にカクカクって曲がったその全面ガラス張りの操縦席からは見事な地平線が見渡せます。



今日は空が冴え渡ってて、気持の良いくらい青い空が高い!!そして到着〜。



こちらでも普通に船を降りて、普通にデンマーク側の駅へと入って行けました。つまりパスポートチェックも何も無し!ちなみにココまでの所要時間は20分弱。

これは凄い!エレスンド・リージョンの要、両国間を結ぶインフラの利便性は噂以上でした。この様な非常に効率の良い利便性があるからこそ、人々が2カ国間を自由に行き来し、この地域を一体とする事に成功しているのでしょうね。そしてこの様なインフラの存在こそ、地域を一つに纏め上げる事によって「一つの都市だけでは決して創り出す事の出来ない競争力」を創出するシティ・リージョンという考え方を担保している「縁の下の力持ち」なのです。

これらの事は勿論書籍で読んで知ってはいたんだけど、知識というのは実体験してみて初めて自分の血となり肉となるのだと思います。そういう意味において、今回の体験は僕の人生にとって掛替えの無い出来事であり、この上ない財産となったと思います。
| 都市戦略 | 07:13 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
大型イベント誘致戦略に見るエンターテイメント性と都市のイメージ:GSMA2011(Mobile World Congress2011)
今週バルセロナでは世界最大規模の携帯電話の祭典、Mobile World Congressが国際見本市会場にて行われていました。

この祭典、20年程前(1987年以来)から南フランスのカンヌを舞台に行われていたのですが、つい5年程前(2007年以降)からはその舞台をバルセロナに移し、この数日間だけは「地中海の首都」が世界中の携帯関連の研究者や起業家達の熱い視線を独占する事に成功しています。一応僕は今まで携帯電話関連の仕事をする機会が数回あり、スペインのNTTこと、テレフォニカと何度かプロジェクトを立ち上げた事があるのですが、それよりも何よりも、今回のイベントが僕にとって大変興味深いのは、「何故にバルセロナ市はこのイベントをそんなにも必死になって誘致しているのか?」と言う市政側から見た誘致戦略、もしくは都市戦略みたいな観点の方なんですね(それについては今までのエントリで散々書いて来た通りなので興味のある方はコチラ:地中海ブログ:バルセロナのイベント発展型都市戦略とGSMA2010(Mobile World Congress 2010)、地中海ブログ:バルセロナのイベント発展型都市戦略とGSMA(Mobile World Congress 2009))。

一言で言っちゃうと、4日間で5万人もの人を集めるイベント故に、そこに落ちるお金も半端じゃ無くて、この様な短期イベントを効率的に誘致する事が出来るかどうか如何によっては、かなりの見返りが期待出来ると、まあ、こういう訳です。ちなみに去年までのデータを並べてみるとこんな感じ:

2007

入場者数:
52千人
経済効果:
150億円

2008

入場者数:
5万5千人
経済効果:
170億円

2009

入場者数:
47千人
経済効果:???


2010

入場者数:
49千人
経済効果:
220億円

4
日間で220億円相当のお金が落ちるという事は、1日で50億円以上ですから、このイベントのインパクトがどれだけ強いかが分かるかと思います。では今年はどうだったのか?と言うとですね、何と今年は入場者数の新記録を更新し、4日間で6万人もの人々が訪れたと言う事でした。6万人ですよ、6万人!カンヌ時代の最高入場者数は35千人(34900人)と言う事ですから、5年間で倍近くになった訳ですね。詳しい経済効果のデータはまだ出てないのですが、「230億円を超える事は確実なのでは?」と見られています。

さて、問題はここからなんだけど、こんな「都市にとって大変美味しいイベント」を他の諸都市が放っておくはずが無く、再来年からの5年間の契約を巡って、もう既にヨーロッパの各都市がイベント誘致に動き出しています。候補となっているのは、パリ、ミュンヘン、ミラノそしてバルセロナの4都市なんだけど、一昨日の新聞に、これら各都市のホテルの数や一泊の値段、イベント会場の規模や位置、そして年間観光客数なんかの詳細データを比較した記事が載っていました(El Pais, 17 de Febrero 2011)。その中でも僕の目を惹いたのは2つのデータ、空港から市内へのタクシーの値段と気候条件でした:

パリ
オルセー空港−市内間:
27ユーロ
シャルル•ド•ゴール空港−市内間:
43ユーロ
2
月の気温は1−7度で月に9日程の雨

ミュンヘン
空港−市内間:
5060ユーロ
2
月の気温はマイナス4度から3度で、月に9日程の雨

ミラノ
マルペンサ空港−市内間:
60ユーロ
2
月の気温は08度で、月に7日程の雨

バルセロナ
空港−市内間:
24ユーロ
2
月の気温は712度で、月に5日程の雨

何故空港から市内までのタクシー料金が重要なのか?と言うとですね、市内へのアクセッシビリティと言うのは、「その都市の効率性を表す一つの指標」であり、ひいては「その都市の生活の質の豊かさを測る指標の一つ」と成り得ると思うからです(地中海ブログ:アムステルダム出張:如何に訪問者にスキマの時間を使って街へ出るというインセンティブを働かせるか?:スキポール空港(Schiphol Airport)の場合、地中海ブログ:フランクフルト旅行その1:フランクフルト(Frankfurt)に見る都市の未来)。

そういう観点で見ると、バルセロナとパリが機能的には優れてるかなとは思うんだけど、逆にミラノやミュンヘンの60ユーロって言うのは、ちょっと救いがたい気がする。まあ、携帯電話の祭典に来る人達って言うのは、自家用ジェットに乗ってくる様な人達なので、60ユーロって言うのは彼らにとってはコーヒー一杯くらいに考えてるのかもしれないんですけどね(苦笑)。

そしてこの都市のアクセッシビリティ以上に重要だと思われるポイントが、僕が今回注目したもう一つのデータ、都市の気候条件なんだけど、これはもう明らかにバルセロナが頭一つ抜けています。2月だから何処でも寒いのは当たり前なんだけど、バルセロナ以外はどの都市も0度に近いですからね。そして何よりも、ヨーロッパ中で雨模様が多いこの時期に、地中海が提供してくれる高く澄み切った青空は何ものにも代え難い気がする。

実はこれらの点って見落とされがちで、バカにされがちなんだけど、結構本質的な事なんじゃないのかな?今日の新聞には、これらの誘致を巡る4都市について、「参加者の声」みたいな感じで、海外からイベントに駆け付けた人達のインタビューが載ってたんだけど、その内の一人の意見が結構的を得てる様な気がしました:

「太陽、美味しいご飯、そしてバルセロナの人達とモデルニスモの建築群‥‥ここ数日間の体験は何者にも代え難い体験だったわ」

国際会議や国際カンファレンスで重要なのって、勿論、その都市の交通インフラがキチンとしてるか?とか、ホテルの数が確保されてるか?とか、そういう最低条件みたいなのは当たり前としても、それ以上に重要になってくるのは、その都市が提供してくれる「エンターテイメント的な要素」だと思うんですね。何故ならその様な国際会議や国際プロジェクトで一番重要なのは、プレゼンや会議の内容と同等に、ランチやディナー、そしてカフェでのおしゃべりだったりするからです。実はそういう所で大事な商談なんかが決まって行く事の方が多い様な気がする‥‥。そういう舞台にビーチがあったり、気持ちが良い程晴れていたり、もしくは美味しいワインと海産物が並んでたりしていたら、それらがポジティブに働く事はあっても、ネガティブに働く事は先ず無いんじゃ無いのかな?

その様な「良いイメージ」を植え付けられた人達が、自分の都市に帰って行き、同僚なんかに、「ねえ、会議どうだった?」とか聞かれて、「バルセロナ最高だった」なんて言うと、それがそのままバルセロナの広告に成る訳ですよ。正に実写版、ソーシャルネットワークによる広告なり(笑)。


まあ、それは冗談だとしても、都市のエンターテイメント性が、その都市にとっての大変重要な付加価値であり競争力になって行く事は間違いありません。何故なら僕達の社会は全てがエンターテイメントになって行く社会に向かっているのだから。そういう意味で言うと、バルセロナ程、競争力のある都市はナカナカ無いんじゃないでしょうか?ちなみにこの携帯電話の祭典が行われていた3日目の事だったのですが、バルサ対アーセナルの試合があり、バルセロナ中がこの試合の行方を見守っていました。そんな事も手伝って、今回の参加者達にはかなり良い印象を残したのでは?と思います。

次回の開催都市の発表は春先になるそうですが、何処の都市になるのか?今から非常に楽しみです!
| 都市戦略 | 07:11 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
2010年、今年最初のブリュッセル出張その1:アクセッシビリティ評価 
とあるEU関連の会議の為に今日の午後からブリュッセルに来ています。何だかんだ言ってブリュッセルには結構頻繁に来てる気がするんだけど、まあ、それもこれも欧州委員会の本部があるので当然と言えば当然なんですけどね。で、何時も来る前に気になるのがブリュッセルのお天気。昨日の夜、天気予報とか見てたら最高気温5度とかなっていたので、「雪だるまの如く」に厚着してきたのに、来てみたら思った程でも無い。先週のバルセロナの方が寒かったくらいです。

さて、今日は今まで書こう書こうと思っててナカナカ書けなかった話題を書こうと思います。それはズバリ、ブリュッセルの都市アクセッシビリティ評価についてです。このアクセッシビリティ評価は、ヨーロッパの都市を訪れたら先ずは一番最初に書くべきエントリになっているのですが、何故ブリュッセルに限ってこのエントリを書くのが遅れたのか?実は・・・忘れてました(笑)。というのも結構頻繁に来てるので、てっきりもう書いたものだとばかり思ってて、今日初めて未だ書いてない事に気が付いちゃったと言う訳です。ブリュッセルの皆さん、ゴメンなさい!



と言う訳で、気を取り直して行こうと思うのですが、ここが超国際都市ブリュッセルが誇るブリュッセル空港(Brussels Airport)(些細な事ですが、空港に自分の都市名を付けてる空港って珍しいですよね。フランクフルトのフランクフルト空港くらいか)。デザインとしては、シリンダー状のガラスチューブが「スコーン」と真っ直ぐに貫いている大変分かり易いデザインになっています



両サイドをガラスで覆う事によって、光が十分に空間を満たし、透明度の高い大変気持ちの良い空間になっていますね。



この空港から市内へはバスやタクシーなど幾通りかの行き方があるようなのですが、今回は電車を選びました。乗車口は到着ロビーの目の前に階下に降りるエスカレータがあり、降りた直ぐの所に市内行きの電車が待っています。



エアポート・シティ・エクスプレスという名前の列車なのですが、15分おきに運行しているようです(平日527027分)。これはナカナカの頻度だと言えると思いますね。そしてチケットの値段は市内なら一律5.05ユーロでした。ちなみにスキポール空港ーアムステルダム間が4ユーロで、フィウミチーノ空港(Fiumicino)−ローマ間が12ユーロである事を考えると、これもそれなりに安い部類に入りますね。さて、電車の外観はそれ程綺麗では無いのですが、内部はそれなりに清潔に保たれています。



この電車はブリュッセル市内の3つの駅、北駅(Gare du Nord)、中央駅(Gare Centrale)、南駅(Gare du Midi)にそれぞれ順番に停まるようなのですが、最初の北駅には20分で到着。そして中央駅には25分で到着しました。スキポールーアムステルダム間が20分、フィウミチーノ−ローマ間が30分だった事を考えると、時間的にはマズマズか。

タダ一つ、気になる事が。何時もブリュッセルの電車に乗っていて思う事なのですが、多分この都市では、電車の信号コントロールがあまり上手く機能していないのでは?という感じを受けます。だから電車が駅と駅の間で立ち往生したりノロノロ運転する事なんてザラ。もしこれら数回のストップが無く、それなりのスピードで走っていたとしたら、余裕で15分圏内で市内に入る事が出来るでしょうね。しかも、かなり頻繁に停まるので、せっかちな僕なんかはすごくイライラしてしまう。「早く走れよ、本気で!」とか思っちゃう。

多分これって些細な事なんだろうけど、そういう積み重ねが人の心に「都市のイメージ」として残り、その都市で感じる「生活の質」の評価に影響してくるのではと思います。そいういう意味で言うと、このような信号トラブルはブリュッセルにとって明らかに減点要因になっていると思います。
| 旅行記:都市 | 23:39 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
アムステルダム出張:如何に訪問者にスキマの時間を使って街へ出るというインセンティブを働かせるか?:スキポール空港(Schiphol Airport)の場合
今日は朝から、とあるプロジェクト・ミーティングの為にアムステルダムに来ています。結構大きなプロジェクトで7カ国から45ものパートナー達が集まってるんだけど、総勢60人を超える人達が一つの机を囲んで一同に会する風景はナカナカ圧巻。この大所帯を取り仕切っているのが、世界的大企業から来てる経験豊富そうな年配の方なんだけど、見てるとホントに大変そう。一人一人の意見を聞いて、互いの利害が衝突しないように役割を振り分けて行くのは職人技の域に達している。

ここ数年、大変嬉しい事に、このようなEUプロジェクトに参加する機会に多数恵まれ、その為のミーティングに呼ばれる事が多くなってきたのですが、そんなミーティングに集まってくるのは大概、各企業のプロジェクトマネージャー以上の人達なんですね。つまり各企業内で部署を取り締まっていたり、沢山の部下を使ってプロジェクトを動かしていたりするすごく忙しい人達。だからみんなミーティングは出来るだけ効率良くやって、出来るだけ早く切り上げて帰りたい訳です。そしてその際、非常に重要な問題になってくるのが、「一体何処の都市でミーティングを行うのか?」という選択です。

コレは結構難しい問題で、ヨーロッパ中からパートナーが集まってくるので、取り合えず、それらの都市と直通便が飛んでいる都市で無いとお話にならないんですね。つまり第一に考えなければならないのがコネクティビティの良さと言う訳です。次に問題になるのが、その空港で利用可能なファシリティの高さ。そうすると、選択肢が結構限られてきて、ヨーロッパの空港ランキングの上位に何時も顔を出すようなハブ空港の名前が挙がってくる事が多いのですが、僕がこの34年で経験した中で最も快適で利用回数が多かったのが、ドイツ航空のお膝元であるフランクフルト空港です。

当ブログでも何度かこの空港の素晴らしさは紹介しているのですが(地中海ブログ:フランクフルト旅行その1:フランクフルト(Frankfurt)に見る都市の未来)、世界中と繋がっているコネクティビティと言い、その規模の大きさと言い、もう言う事無し。しかも空港から市街地までは電車で15分圏内にある事から、ミーティングが早く終わった場合など、簡単に中心市街地まで行って、帰りの飛行機の登場時間ギリギリまで観光を楽しむ事が出来ます。もし仕事をしたいなら、空港内にあるビジネスルームやカフェを使う事も勿論可能。

多分このフランクフルト空港というのは世界屈指の設備とアクセッシビリティを備えた空港だと思うのですが、実はもう一つ、機能的に全く引けをとっていないと思われるのが、今回のミーティングが行われているアムステルダムのスキポール空港です。

この空港の機能性の高さは以前の記事で紹介した通りなのですが(地中海ブログ:オランダ旅行その1:スキポール空港(Schiphol)アクセッシビリティ評価)、ヨーロッパ空港ランキングナンバーワンの座を守り続けているその実力はダテではありません。ハブ空港としての世界各国とのコネクティビティに加え、空港内に整備されているファシリティの充実性も半端じゃ無い。アムステルダム国立博物館との提携による空港内美術館を始め、教会なんかまであって、もう何でもアリって感じ。勿論宿泊施設系も充実してて、今回のミーティングが行われたのは、それらの内の一つ、空港に隣接する5つ星ホテル、シェラトンホテル(Sheraton Hotel)でした。



飛行機を降り空港のメインロビーまで行くと、そこからホテルへの渡り廊下が架けられていて、ここからホテルまでは歩いて3分の距離にあります。



つまり空港の外に出る事無く、ホテルのミーティングルームまで行く事が出来ちゃう訳です。

更にこの空港の最も驚くべき点が、中心市街地とのコネクティビティです(詳しくはコチラ:地中海ブログ:)。以前書いた様に、この空港の市街地へのアクセッシビリティは欧州最高峰にあり、空港からアムステルダム中心市街地まではなんと20分弱。更に空港のメインロビーに電車の乗り口があり、空港−市街地を結んでいる電車が10分毎に出ているというから驚きも倍増です。



これだけアクセッシビリティが良いと、一日の時間の使い方の可能性が数限り無く広がるんだけど、例えば今日なんて、17時にミーティングが終わって帰りの飛行機が21時。4時間って結構微妙な長さの時間で、普通の都市だと、市街地に行くには短すぎるし、空港で過ごすには長すぎる。パリなんかだと、中心街まで行って帰ってくるのに電車やバスの待ち時間入れて2時間以上。そうすると市街地にいられるのは1時間位しかない訳で、その為に街まで行ってみようかな?という気にはナカナカならないんですね。

その点、スキポール空港の場合は市街地まで往復で40分、帰りの電車の待ち時間はほとんど無しときてるから、どんなに短い時間でも「ビールでも飲みに行くか」というインセンティブが働く訳です。

ココが非常に重要なポイントなんですけれども、都市が今後考えなければならないのは、訪問者が「実際、街に何時間居られるのか?」という事ではなくて、「街まで出てみようかな」というインセンティブを訪問者に働かせる事が出来るかどうか?なんですね。どうしてかって、都市はなるだけ多くの人に市街地に行ってもらって、少しでも多くのお金を落としてもらいたいからです。そうするには取り合えず、街まで入ってもらわなきゃお話にはならないと言う訳です。そしてこのハードルは案外高い。

そういう意味で言うと、やはりスキポール空港やフランクフルト空港はヨーロッパの諸空港に比べて頭一つ抜けている気がします。多分、今後の都市はこのような戦略を真剣に考えなければ生き残れない時代に差し掛かっているんだと思います。
| 都市アクセッシビリティ | 23:20 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
アクセッシビリティ評価:上海のリニア・モーターカー(通称MAGLEV・上海磁浮快速列車)
前回のエントリでお知らせした様に、先日から上海に来ています。中国に初めて来た印象として、「やはり中国、乗りに乗ってるなー!」と肌で感じています。そんな印象を抱いたのは空港に降り立った瞬間からでした。空港から市内へ向かう為に、噂に名高いリニア・モーターカー(通称MAGLEV、中国語では「上海磁浮快速列車」と言うそうです)に乗ったのですが、コレがちょっとすごかった。さすがに中国が国を挙げて「世界最速」と自慢するだけの事はある。

リニア・モーターカーの改札口は空港の国際線搭乗口を出た所から先ずはエスカレーターで2階へと上がり、標識に従って進む事5分程で到着します。表示は中国語で「磁浮車站(Magnetic Levitation Train)」と書かれています。「磁(石)が浮(く)車」なので、なんとなく分かりますよね。



料金は片道50元(5ユーロくらい?)。安い!上の写真がリニアの改札口なのですが、当然の如く荷物チャックがあります。その後、ホームがある1階へと降り、しばし待っていると、お待ちかねのリニア・モーターカーの登場です。



それにしても高速鉄道は、どうしてどれも(日本の新幹線やスペインのAVE)白色ベースなんだろう?やはり白色は「ピュア」で「速い」というイメージを喚起するからなのだろうか?



室内はこんな感じ。ナカナカ清潔に保たれています。そして僕が注目したのがココ:



スピード表示計です。時速430キロを(商業的に)世界で初めて達成したというのを一つの売りにしているだけあって、それをお客さんに自覚させたいという気合が十分伝わってきますね。ある商品に対して、何(何処)を「売り」にしたいか?によって、このように売り手の意図がハッキリと見えるのは大変興味深い。そんな事を考えていたら、アレヨ、アレヨという間に動き始めました。上に浮いた感じは全く無く、「え、いつ浮いたの?」って思ったのですが、そんな事はお構い無しにドンドン加速していきます。時速20キロ、60キロ、130キロ、280キロ、390キロ・・・・



そして、来ました!脅威の430キロ!!!
なんか、ゴクウがナッパとやった時のベジータのスカウター並み。「戦闘力、1200、4500、6000、8000!バーン(爆発)」みたいな。(今、Youtubeで画像探そうとしたらYoutube表示されず。コレが噂に聞く、中国のネット規制か???しかもTwitterも駄目っぽい)
コレは強い、イヤイヤ、速い、確かに速い!!!しかも揺れや騒音はほとんど無し!すごい。ただ、何かの拍子にどっかにぶつかったり、オペレーションのミスで、あっちからもう一台電車が来て、正面衝突とかしたら、150%死ぬなとは思いました(笑)。しかも張り切って一番前の車両の前から3番目に座ったので(冷汗)。

このリニア・モーターカーは空港と市内を約8分で結んでいるそうなのですが、僕はココにこそ、今の中国の勢いみたいなのを感じてしまいましたね。

何故か?

何故なら彼らは「都市の効率性」を、ヨーロッパが目指しているような「計画やロジスティックスを洗練される事」で達成するのではなく、「強引な力技」で成し遂げようとしている様に見えるからです(見えるだけかも)。

先ず、空港−市内間が8分というのは、アクセッシビリティ評価軸から言って最上級の部類に入ります。世界ナンバーワンのアクセッシビリティを誇るフランクフルトですら15分ですから、それを7分も上回る事になるんですね。とは言っても、コレは正当な比較では無いのかも知れません。というのも上海の場合はフランクフルトのように、街の中心地区に着くわけでは無いので。リニアが着くのは龍陽路駅という地下鉄2号線が乗り入れている駅で、中心街にはその地下鉄に乗って更に10分程行く事となります。

しかしですね、見るべきなのはその走行距離です。上海の空港―市内間は80キロ離れています。80キロ離れているという事は、バスだと1時間、普通の電車(200キロ)だとしたら、約20分かかる訳ですよ。それを上海は「技術の力」で無理やり半分以下に縮めてしまった・・・ココです!この力技が出来てしまう所こそ、今の中国の力なんですね。

ヨーロッパの国々なら、これらを計画の力によって解決しようとするはずです。例えば、空港をなるべく近くに創るとか、信号制御のリズムなどによって、状況を改善するとか言った感じで。しかしですね、中国には何か、そういう基準とは全く違う力学が働いている様な感じがする。例えば、何か新しい技術などがあったら、それを必要なだけ無理やり作ってしまうと言う様な。そしてそれが実現出来てしまう力がある。

初日の瞬間から中国の力を見せ付けられてしまいました。
| 旅行記:都市 | 17:09 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
オランダ旅行その1:スキポール空港(Schiphol)アクセッシビリティ評価
今週水曜日から、仕事+観光でオランダに来ています。今回の予定は、初日、ロッテルダムで、とある計画の打ち合わせがあり、更に来週頭からブルッセルでEU関連の重要な会議に出席しなければならないので、どうせならと思い、仕事で挟まれた頭とお尻の間の4日程、休みを取ったと言う訳です。

「えー、この間、一ヶ月の夏休みが終わったばっかじゃ無いの?又休み???」とか思ったそこの人、そんな事言わなーい。全くその通りです(笑)。これこそヨーロッパの醍醐味!と言う訳で、仕事も終わった今日から数日間、オランダをじっくりと堪能しようと思います。

オランダ旅行記第一回目の今日は、恒例のアクセッシビリティ評価から行ってみたいと思います。

オランダが誇る空港は言わずと知れた、アムステルダム・スキポール空港(Schiphol Airport)。毎年のように空港ランキングの上位にランクインし、世界一使いやすい空港という評判をしばしば耳にするほどです。

さて、飛行機を降り空港内を歩いていると、こんなモノたちが売っていました。



チューリップ。しかも一杯ある!!!さすがオランダ。いきなり玄関口からオランダ色全開ですね。空港内を歩いてて思ったのですが、この空港、ちょっと作りが面白いですね。例えばココとか:



空港内に街路空間っぽいのを作ってる。光が燦燦と降り注ぐ路地みたいな。そしてびっくりしたのがコレ:



空港のチェックインカウンターの真ん前に電車の入り口がある!コレはすごい。今まで僕が見た中でチェックインカウンターと電車の入り口が一番近かったのは、中部国際空港だったと思うけど、真ん前というのは見た事がありません。コレは何を意味するかというと、電車を降り、究極の早さでチェックインする事が出来ると言う事を意味するんですね。

更に、電車の本数もちょっとすごい。空港とアムステルダム中央駅(Amsterdam Central Station)を結ぶ電車が10分に一本の割合で出ています。つまり1時間に6本。



あのSuper Functional City、フランクフルトでさえ、12に一本だったのに・・・。更に更に、値段は4ユーロ、所要時間は20分です。

フランクフルトが空港から市内まで15分程度だったのを考えると、20分はちょっと落ちるかな?と思うのですが、フランクフルトの場合は、飛行機出口から地下鉄まで結構距離があるので、10-15分は歩かなければいけません。つまりそれだけ時間ロスをするのですが、スキポール空港の場合は、出た所直ぐ前にあるので、電車乗り口まで迷う事無く、時間ロスは最小限に抑えられるものと思われます。

この空港はちょっとすごい。さすが「世界一機能的」と言われるだけの事はある。感動すら覚えました。
| 旅行記:都市 | 23:55 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
リカルド・ボフィール(Ricardo Bofill)の新バルセロナ空港(T1)とリチャード・ロジャース(Richard Rogers)のマドリッド・バラハス国際空港(Aeropuerto de Madrid-Barajas):やっぱりロジャースは巨匠だった!その2
前回のエントリ、リカルド・ボフィール(Ricardo Bofill)の新バルセロナ空港(T1)とリチャード・ロジャース(Richard Rogers)のマドリッド・バラハス国際空港(Aeropuerto de Madrid-Barajas):やっぱりロジャースは巨匠だった!その1の続きです。

今回僕が乗った飛行機はマドリッドの古い方の空港(T2)に着いたので、お目当てのマドリッド・バラハス国際空港は、帰り際のちょっとした時間を利用して見学してきました。

マドリッドには新旧2つの空港があるのですが、両方とも街の中心とは地下鉄で結ばれています。所要時間はおよそ45分で料金は2ユーロ(地下鉄駅Banco de Espanaから乗り換え込み)。当ブログでは、都市の玄関口である空港から中心市街地までのアクセスの良さが、その都市における「居心地の良さ」や「生活の質」に関連する一つの指標に為りえるのではないのか?と言う観点からアクセッシビリティ評価というのをシリーズ化しています(例えばコチラ:地中海ブログ:都市化する空港と効率指標としてのアクセッシビリティ、地中海ブログ:ローマ(Roma)旅行2008その1:アクセッシビリティ評価とか)。

それらのデータと比べると、中心街から空港まで45分というのはちょっとかかり過ぎかなという感じがしますね。その反面、2ユーロは安い!!!ローマの12ユーロやフランクフルトの4ユーロ(所要時間15分)と比べると、この安さはダントツですね。



さて、マドリッド・バラハス国際空港最寄の駅、バラハス駅(Barajas)で電車を降りると、その瞬間からもう既にそこにはリチャード・ロジャース・ワールドが広がっています。



黄色い鉄骨群やロジャースお得意の工業系デザインなどが、上方ガラス越しにちらちら見え、否がおうにも期待感が膨らみます。そして最初のエスカレーターを上り、地下鉄の自動改札を出た所で待っているのがこの空間:



丸い大きな穴から燦燦と自然光が降り注ぐ、彼お得意の近未来系デザイン。3層吹き抜けになった黄色い鉄骨が門のような役割を果たし、その間をむき出しの鉄骨やダクト、エレベーターなどが縦横無尽に横切る、大変に気持ちの良い空間に仕上がっていますね。



それらの鉄骨に紛れるように挿入されたエスカレーターを使って上階へと上っていくと、段々とこの空港の全体像が浮かび上がってきます。



そしてエレベーターを上りきった所には、半透明のガラスが敷き詰められた渡り廊下が設えられています。この渡り廊下は、これから入っていく、この空間のクライマックス的空間の前に一息付き「これから入っていくぞ」という心の準備をする為の空間ですね。そして廊下を渡った所に広がっている、この空港のメイン空間がこちら:



圧巻です。うねる屋根が何重にも重なり合って、「コレでもか!」と言う程、ダイナミックな空間を創り上げています。ちょっとこの空間はすごい。



さっき入り口で見た、門型の黄色い鉄骨が一つの単位を形つくり、それらが無限に反復する事で現れる空間。



システムとしては上の写真のようなナミナミの形をした屋根が一つのユニットを形成し、それを縦横に連続させる事によって空間を形作っています。



僕がこの空間を見た時に真っ先に思い浮かんだのが、コルドバのメスキータです。このメスキータも、一つの門を基本ユニットとし、それを反復させる事で、無限に繰り返されるリズムと不思議な空間を創り出しています。
ロジャースがやりたかった事は、コレなんじゃないのかな?一つのユニットの反復が作り出すリズム。僕は未だ行った事が無いけれど、カーンのキンベル美術館の本質も実はそこにあるのではないのか?と思っています。つまりボールト天井のユニットの連続が作り出す不思議なリズム感、みたいな。



そして、この軽やかな天井を根元で支えている太い幹のような鉄骨と、それらの対比。



波々天井のお山に取り付けられた照明のデザインもナカナカカッコイイ。



短冊のように細く切られ、横向きに並べられた木に対して垂直方面に一直線に伸びる細く黄色い鉄骨盤が上手い事、天井の分節化とリズム感に貢献しています。そしてその黄色く細い鉄骨盤が、屋根を支える鉄骨と出会うというデザイン物語の展開。



この辺はさすが巨匠らしく、最後の反復部分をガラスで仕切りながら、一つ分だけ外に出すと言う、上手い終わり方を実現している。こんな所、誰も見ないかもしれないけれど、こういう所の上手さが光ってるからこそ、かなり大胆な造形とか、黄色とか使ってもチープなデザインにならないんですよね。こういう所こそ、僕たちは見習うべきだと思います。

内部空間を堪能した後、ちょっと外に出て外観を見てみました。先ずはココ:



屋根の端部ですね。重たくならないように、繊細にデザインされている事が分かります(今朝のバルセロナ新空港の端部とは大違い)。



さすがに何処に力を入れるべきかをよーく分かっている。



そしてこの階段。コレは彼がロイズ銀行で使用したデザインとほぼ同じですね(詳しくはコチラ:地中海ブログ:ロンドン旅行その5:Richard Rogers( リチャード・ロジャース)の建築:Lloyd's of London)。この辺もやはり上手い。

総じて、今回の新空港対決は圧倒的にマドリッドに軍配が上がると思います。一応バルセロナの名誉の為に言っておけば、バルセロナ新空港だってそんなに出来が悪いわけじゃない。ただ、今回は相手が悪かった。このマドリッドの空港は、デザインという観点から見た時には、僕が今まで見た中でダントツに良いんじゃないのかな?そう思わせてくれるような、素晴らしい空間デザインでした。

星、3つです!!!
| 都市戦略 | 19:09 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バレンシア・バルセロナ・サラゴサ計画とカンプス(Francisco Camps)氏の汚職疑惑騒動
「何だか昨日は色んな偶然が重なっていたんだなー」とか、今日の新聞(La Vanguardia 16 de Julio 2009)を読みながら思ったりしました。

先ず第一に、昨日は朝から某プロジェクト(交通計画系)の為にバレンシアに行っていました。以前にも書いたのですが、バルセロナ―バレンシア間は高速鉄道が通っておらず、Euromedという「AVE(スペイン高速鉄道)よりは劣るけど、Cercania(地域鉄道)よりはマシ」みたいな鉄道を使う事になるのですが、その電車の遅い事!所要時間何と3時間!!!3時間電車の中というのは、ちょっとキツイ!居心地もあんまり良くないし・・・。

そんな事をブツブツ言いながらも3時間+タクシーで20分かけて着いたのが、バレンシア某所にある某公共機関。



ナカナカ立派なエントランスホールで待つように言われて、ジロジロとインテリアを見回しているとこんなプレートが:



今をときめくフランシスコ・カンポス(Francisco Camps)現バレンシア州政府大統領の名前入りプレート。あー、なるほどね、カンポス氏のお墨付きの機関という事ね。

ココ数日間、フランシスコ・カンプス氏をメディアで見ない日は無かったのですが、何故かと言うと、現在スペインではカンプス氏に汚職疑惑がかけられて裁判沙汰にまでなっているからなんですね。更に一昨日はカンプス氏が所属する民衆党のトップ、ラホイ(Mariano Rajoy)氏が今までの沈黙を破って始めてこの件について発言をしたのですが、それが又、笑っちゃうくらいアホらしいコメントだったので、その事でも新聞は賑わっていたりしました。

皮肉な事に昨日はカンプス氏と中央政府のナンバー2であるホセ・ブランコ(Jose Blanco)氏が「地中海の弧(El corredor del Mediterraneo de alta velocidad entre Andalucia y la frontera francesa)」の計画を進める為にマドリッドで会合を持ったそうなのですが、そのプレス発表の席に16台ものカメラが来たそうです(La Vanguardia, 15 de Julio, 2009)。地中海の弧計画は欧州全体で見た時の重要性で言えばもっと注目されても良い計画だと思うのですが、カンプス氏の汚職疑惑に乗っからないと注目されないというのは、何とも悲しい所ですね。

と言う訳で、バレンシアに行った事、行く過程で両地域間のアクセッシビリティの悪さに不満を抱いた事、某ミーティングが開かれる某機関でカンプス大統領の名前を見た事、その彼がマドリッドで地中海の弧の会合を持っていた事。

こういう事もたまにはあるか。
| 仕事 | 20:31 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナ新空港(T1)とうとうお目見え
ここ数日、バルセロナ空港の話題が各新聞を賑わせています。というのも今週水曜日、カタラン人が首を長ーくして待っていたバルセロナ新空港がお目見えする事になっているからなんですね。



どれくらい待っていたかって、その長さ、およそ10年(驚)!最初に新空港の話が持ち上がったのが1999年の事でした。それからというもの、計画が頓阿しそうになったり、資金調達が上手くいかなかったりと、紆余曲折を経て、ようやく今週開設の運びとなったという経緯があるから各方面がお祭りムードになるのも分からないでも無い。

13億ユーロ(1.258.000.000Euro、1ユーロ120円として約1560億円)が投資された新空港のデザインを担当したのは地元出身の建築家、リカルド・ボフィール(Ricardo Bofill)です。現代建築の世界では、はっきり言って既に忘れられた存在と化したボフィールなのですが、地元バルセロナでは未だに大御所としての存在感を維持しています。つい先日も、バルセロナの海岸線に「ドバイの甘いコピーだ」と非難されている三日月のホテルを完成させたばかり。



はっきり言って彼の建築がそんなに良いとは思わないけど、建築というのは純粋芸術では無く、政治的な側面も持ち合わせているので、そういう意味で言うと、これだけのプロジェクトを取り実現させたという意味においてさすがと言えばさすがか。

さて、今回彼が手がけた新ターミナルは既存のバルセロナ空港(El Prat(プラット空港))の真横に位置しています。当然の事ながら2つの空港はバス、鉄道などで結ばれる事になっているのですが、その工事が未だ終わって無いとか何とか‥‥2012年の完成予定らしいのですが、それまでは臨時バスが両ターミナルを繋ぎ、所要時間は約10分だそうです。

さて、気になるその新空港の規模なのですが、総床面積は52万平米(525.000)。地中海域では随一、ヨーロッパ中を見回してみても、最大規模の空港にランクインする事になります。つまりバルセロナ空港が晴れて、ヨーロッパのハブ空港として認識されるに十分な規模を持つ事になる訳です。

今日の新聞(La Vanguardia, 14 de junio 2009, p2-3)によると、新空港の詳細データはこんな感じ:

旅客数/年:3000万人(プラット空港と合わせると5500万人)
空港の駐車場数1万2000
総床面積:52万平米
フィンガー数(飛行機がターミナルにくっつく所):43
セキュリティカメラの数:1200
ターミナル内のお店の数:73
ターミナル内のレストランとバーの数:43


率直に言ってデカイですね。

先ず旅客数なのですが、5500万人規模という事になると、フランクフルト国際空港やマドリッド・バラハス国際空港の上、シャルル・ド・ゴールの下という事になります。ちなみに下記は2008年の乗客数の上位15空港:

1. Hartsfield-Jackson: Atlanta, U.S.: 84.846.639
2. O'Hare International: chicago, U.S.: 77.028.134
3. London Heathrow: London, U.K.: 67.880.753
4. Tokyo Haneda: Tokyo, Japan: 65.810.672
5. LosAngels: Los Angels, U.S.: 61.041.066
6. Dallas-Forth Worth: Dallas, U.S.: 60.226.138
7. Pari, Charles de Gaulle: Paris, France: 56.849.567
8. Fransfurt: Fransfurt, Germany: 52.810.683
9. Pekin Capital: Pekin, China: 48.654.770
10. Denver: Denver, U.S.: 47.325.016
11. McCarran: Las Vegas, U.S.: 46.193.329
12. Amsterdam Schiphol: Amsterdam, Holanda: 46.065.719
13. Madrid Barajas: Madrid, Spain: 45.501.168
14. Hong Kong: Hong Kong, China: 43.857.908
15. John F.Kennedy: N.Y., U.S.: 43.762.282


まあ以前書いたように、現代社会の中における空港の役割というのは大変複雑化しているので、単純に利用乗客数だけでその空港のインパクトというのは測れないんだけど、一つの参考指標にはなりますよね(地中海ブログ:都市化する空港と効率指標としてのアクセッシビリティ

今日の新聞(La Vanguardia, 14 de Junio 2009, Especiales, P14-15)にはリカルド・ボフィールのインタビューが載っていたのですが、その中で彼はこんな事を言っていました:

“Una miniciudad bajo una gran cubierta”

“大きな屋根の下の小さな都市”


つまり都市の中の都市論ですね。古い所ではイグナシ・デ・ソラ・モラレス(Ignasi de Sola Morales)やジョセフ・ラモネーダ(Josep Ramoneda)もしくはオリオル・ネロ(Oriol Nello)、最近ではマニュエル・ボルハ・ビジェル(Manuel J. Borja-Villel)なんかが良く引き合いに出している話題です。(地中海ブログ:マニュエル・ボルハ・ビジェル(Manuel J. Borja-Villel)の都市戦略:国立ソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia)を通した21世紀の美術館の在り方

彼らの議論は主に、都市を再開発する際にそのエリアに人を集める為の求心核を創り出す必要性がある事を説いたモノなのですが、今回ボフィールが言っている「都市としての空港論」はコールハースなどが90年代初頭から繰り返し議論してきた事で、建築界ではさして目新しい議論でも無いですね。上の詳細データが示しているように、監視カメラが1200台も設置されている所などを見ると、「空港とセキュリティ」のお題にも発展していきそうですね。(地中海ブログ:ウィーン旅行その9:シェーンブルン宮殿(Schloss Schonbrunn)のオーディオガイドに見る最も進んだ観光システム/無意識下による人の流れのコントロール

ちょっと面白かったのは、このインタビューと共に載っていた写真です:



新空港の規模を市民に理解してもらう為に、バルセロナの新市街地との比較写真が載っていました。

新しい施設や外国の諸施設の大きさの比較として良く用いられるものに野球場やサッカー場があるかと思います。「この施設は東京ドーム50個分です」っていう、例のアレです。50個って、かなりデカイという事は分かるのですが、どれくらいデカイのか?というのがまるで分からない。

その反面、セルダの新市街地と比較されたら、「あー、グラアシ通りからサグラダ・ファミリアまでね」って言う具合に、ものすごく良くイメージ出来る。

僕がイメージ出来るという事は、生まれた時からこの街に住んでいるカタラン人にとっては、そんな事雑作も無いと言う事です。つまり市民の頭の中にその大きさがインプットされているんですね。リンチが言った意味における「都市の判り易さ」という点において、バルセロナは抜きん出ています。だからメンタルマップとか書かせるとこんな感じになるんですね:





(Rubio,A. (1995): la imatge mental de lEixample de Barcelona. In Semiotica de lEixample Cerda, Barcelona, Edicions Proa, p33-43)

特徴としては常に山が上(北)で海が下(南)に描かれている事。これは明らかに事実(バルセロナの本当の東西南北)とは違います。

まあ、それはどうでも良いんだけど、空港の話に戻ると、空港のもう一つ忘れては無らない側面が「物流」という観点から見た機能です。つまりシティ・ロジスティックス(City Logistics)の中心になるが故に、都市の経済に多大な影響を及ぼす訳です。見逃してはならないのは、この飛行場が今後、バルセロナ港とどう連結されていくのか?という点。そして、その2つの機能が結ばれた時こそ、本当の意味でバルセロナがアムステルダムと同等のハブとしてヨーロッパに君臨する事になるのですが、それは又今度にしましょう。
| バルセロナ都市 | 20:23 | comments(1) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
地中海連合(Union pour la Mediterranee): ペルピニャン(Perpinan)―モンペリエ(Montpellier)間の高速鉄道(AVE)
今月の頭からフランスはモンペリエ市にて、ペルピニャン―モンペリエ間を結ぶ高速鉄道建設に伴う会合が何回か持たれている様子です。今月6日にはフランス・スペインの国境付近の市長8人(ペルピニャン(Perpinan)、ナルボンヌ(Narbona)、ベジエ(Beziers)、トゥールーズ(Toulouse)、モンペリエ(Montpellier)、フィゲラス(Figueres)ジローナ(Girona)、バルセロナ(Barcelona))が集まって討論会が開かれたり、先週は別の席にカタルーニャ州政府(Generalitat de Catalunya)が招かれ意見を求められたりと、大変活発な動きが見られます。(関連記事はコチラ:都市アクセッシビリティ:ヨーロッパの高速鉄道網状況:地中海ブログ)



この高速鉄道はフランスの領地に建設される為、当然の事ながらフランスがイニチアティブを取っているのですが、鉄道と言うのは「何処に」建設するかと同時に、その鉄道が「その都市を通って何処へ行くのか?」というのが、大変に重要な問題なんですね。

良く「グローバリゼーションの中における都市間競争」と言うけれど、本当は隣の都市と競争するのではなくて、隣の都市が栄えていた方が自分の都市にとってはプラスになるんですよね。何故なら近隣に人やモノが多く集まっていると言う事は、そこに繋がっている都市には同じく多くの人やモノが流れ込んで来ると言う事を意味するのだから。つまり近郊都市がよりダイナミックであればある程、自身の都市もダイナミックになっていくという事です。

故に何時もは隣国の事なんかコレっぽっちも気にしないフランスも、今回ばかりはさすがにカタルーニャを無視出来ない状況となっています。

さて、議論の対象になっている点は主に2つ:

一つ目は鉄道の用途について。つまり、旅客専用にするのか?もしくは貨物列車にするのか?という問題です。この点については主に4つのシナリオが考えられています。

1.人の輸送だけに限り、最高速度を320キロまで上げる。
2.人とモノの両方を運ぶ鉄道にして、旅客車両の最高時速を220キロ、貨物列車のそれを120キロにする。
3.2と同じく人とモノの組み合わせだけど、旅客車両の最高時速を300キロに、貨物列車は変わらず120キロにする。
4.最後のシナリオは上の3つとは違って、在来線を拡張するというもの。

スペイン側の主張としては、現在バルセロナまで来ている高速鉄道(AVE)が旅客と貨物の混合になっているので、当然の事ながら混合タイプを主張しています。

そしてコレに関連して議論されているのが第二の点。それがパリまでのルートです。これにも幾つかのシナリオがあって、ペルピニャン・モンペリエを結ぶ軸線上にナルボンヌとベジエに新しい駅を作るという案。そしてナルボンヌからカルカッソン(Carcasona)を抜けてトゥールーズへ繋ぐという案などが出ています。



バルセロナとしてはナルボンヌ―トゥールーズ案に大賛成。何故かと言うと、現在フランス経由でバルセロナ港に入ってくる資材は、そのほとんどがトゥールーズで配分されているからです。バルセロナにとってトゥールーズというのは、都市戦略上外せない拠点なんですね。だからそのトゥールーズと高速鉄道で結ばれると言う事は、自ずから都市発展を助長する事になるわけです。

さて、ここが面白い所なんですけれども、以前のエントリでお伝えした様に、バルセロナは1995年以来、地中海連合の旗振り役(Barcelona Process)を務め、去年の11月には念願の地中海連合(Union Pour la Mediterraness)の常設事務局に選ばれました。(地中海連合(Union Pour la Mediterraness)の常設事務局はバルセロナに:地中海ブログ)この事により、名実共にバルセロナは地中海の首都となった訳です。

地中海の首都とは何か?
それは国と言う枠組みを超えて、地中海と言う文化圏を一つに纏め上げる中心、文化や経済発展の中心的役割をする都市と言う事だと思います。そしてその為に必要不可欠なのが道路や鉄道などのインフラな訳です。

だから、もし本当に地中海の首都を目指すのならば、論理的にはバルセロナはペルピニャンーモンペリエーマルセイユ(Marsella)ーニース(Niza)を抜けてイタリアへと触手を伸ばしていくのが必然的な考え方だと思います。しかし実際にはバルセロナはナルボンヌからトゥールーズを通って北へ抜けようとしている。つまり全く逆を目指している。



反対方向を向けば、論理的にはバレンシア(Valencia)ーアリカンテ(Alicante)ージブラルタルへと行くのが常識だと思うんですね。しかしですね、ココでも実際にバルセロナがやっているのは南を目指すのではなくて、マドリッドなど北を目指しているんですね。

もう一つ面白い例を挙げます。この地中海連合にはバレンシアも大変活発に動いていて、バルセロナや南仏との連携を強調していたりするのですが、彼らが最優先している連結はバルセロナではなくて、マドリッド。バルセロナとの連結計画は未定のくせに、マドリッドとの連結工事は2010年に完成するらしい。

まあこの場合は、港が無いマドリッドが地中海で最も重要な港の一つであるバレンシア港がどうしても欲しいと音頭を取っているのかも知れません。バレンシアにしてもそんなに悪い話では無くて、連結すればヨーロッパで最大級の空港とのコンタクトが手に入るのだから。

まだはっきりとした事は言えないけれど、何が言いたいのかというと、「地中海連合=地中海の弧連結」というのは、かなりイメージ先行の部分があるのではないのだろうか?と言う事。つまり実はバルセロナがやっている事と言うのは「イメージ創り」に過ぎないのではないのか?と言う事です。

まあ、とは言っても、各都市間では着々と結び付きを強める為の計画が進行している事も又事実。例えば、現在フランスとイタリア間ではリヨン(Lyon)とトリノ(Turin)を結ぶ計画が進行中です。もしコレが実現すれば、バルセロナから、ペルピニャン―モンペリエ―マルセイユ―リオン―トリノという道も十分可能ですね。

又、ペルピニャンとジローナは両都市の結び付きを強める為にEUから越境地域協力資金「インターレグ(Interreg)」、830万ユーロ(1ユーロ120円として約10億円)を取り付け、両都市を南ヨーロッパの舞台芸術の首都にしようと試みています。ペルピニャンで現在進んでいる新しい劇場(Theatre de lArchipel)はジャン・ヌーベル(Jean Nouvel)の設計で、400万ユーロ(1ユーロ120円として約4.8億円)がつぎ込まれているんだそうです。

このようなミクロとマクロの眼を持って、南ヨーロッパの戦略を見ていくのも又、面白いかもしれません。
| 都市戦略 | 21:22 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バスク地方(El Pais Vasco)とガリシア地方(Galicia)にて自治州選挙(Elecciones Autonomicas 2009)が行われます
今週の日曜日(3月1日)なのですが、スペインのバスク地方とガリシア地方にて自治州選挙が行われます。と書いても一般の日本の人達にとっては、「え、バスクって何処?ガリシアって何?食べ物?」みたいな感じだと思うのですが・・・。

それでもバスク地方はグッゲンハイム美術館(Museo Guggenheim)のおかげで少しは有名になりましたよね。みんなバスク地方は何処にあるのか知らなくても、グッゲンハイムがビルバオにある事は知ってるし、フランク・ゲーリー(Frank Gehry)が設計したと言う事も知ってる。

その一方でガリシア地方は、もう笑っちゃうくらい何にも無い!サンティアゴ・コンポステーラ大聖堂(Catedral de Santiago de Compostela)やサンティアゴの道(El camino de Santiago)っていうのがあるけど、日本人でサンティアゴの道を歩こうなんていう気合の入った人はあまりいないだろうし。個人的に大聖堂は見所抜群だし、目の前にある修道院を改築したパラドール(Parador)には一生に一度は泊まって見る価値大だと思うけど、それだけの為にわざわざガリシアに行く人も少ないんだろうなー。

そんな、はっきり言って超マイナーな地域の選挙事情なんて、日本で2人くらいしか興味が無いと思うけど、どっかで誰かが見てくれてるかも知れないし、集合知を支えているのは情報の多様性と言う事で、ちょっと書いてみようかなとか思いました。

先ず、ガリシア自治州で力を持っている政党は3つ。保守の国民党(Partido Popular)、中道左派の社会労働党(PSdG-PSOE: Partido Socialista de Galicia-PSOE)、そして(ガリシア)ナショナリスト左派のBNG(Bloque Nacionalista Galego)です。ちなみにこのBNGという政党は、元々すごーく左寄りだったのですが、都市部では労働者の権利擁護、農村部では対中央政府という姿勢で農村防衛を主張して票を伸ばし、じわじわと中央に寄ってきています。

スペイン民主化後、ガリシア州を治めてきたのは国民党でした。実はガリシアってスペインの中でも国民党がものすごく幅を利かせている地域であって、党のトップを数多く輩出している保守勢力の牙城なんですね。ちなみにフランコ(Francisco Franco)がフェロール(Ferrol)、フラガ(Manuel Fraga)がルーゴ(Lugo)、そして現在の国民党のトップ、ラホイ(Mariano Rajoy)はサンティアゴ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)の出身です。

ガリシア州政府(la Xunta de Galicia)を長い事収めてきたのはフランコ独裁政権で大臣を務め、「街路は私のものだ(La calle es mia)」というフレーズで大変に有名なマニュエル・フラガでした。彼がガリシア州政府大統領に就任して以来(1990)、2005年まで、フラガをトップとした国民党は絶対数を維持し、単独政権を14年間維持してきました。

そのフラガが引退したのが前回の選挙(2005)直前で、それまで単独政権を担っていた国民党が野党に転がり落ちたのも前回の選挙。そして連立を組み与党に成り上がったのが、社会労働党系のPSdG-PSOEとナショナリズム左派のBNG(Bloque Nacionalista Galego)です。

という訳で、現在のガリシア州政府の政権は社会労働党とナショナリズム左派の連立政権で成り立っているのですが、先週行われた事前調査によると、国民党に投票すると答えた人が全体の44.1%。社会労働党は33.8%、BNGは18%となっています。議席数に直すと、国民党が36議席、社会労働党が25-27議席、ナショナリズム左派が12-14議席となります。どの党も絶対数(38議席)には足らず、この調査結果だけ見れば、社会労働党とBNGの連立でかろうじて逃げ切りというシナリオですね。

さて、毎週日曜日の夜には30 Minutsという社会問題を扱った番組がやっているのですが、先週は選挙にちなんでバスクとガリシア地方の社会問題を扱っていました。

ガリシア地方の今一番の社会問題は何と言っても失業問題です。市民へのアンケート調査によると、今一番心配している案件はとの質門に対して、「失業」と答えた人が全体の58%。2位につけた経済問題の9%を大きく引き離しています(El Pais, 22 de Febrero 2009, P12)。それほど状況は切迫していると言う事ですね。

そんな状況をよく表しているのがスペイン北部で最も重要な造船港を擁する都市、フェロール(Ferrol)。かつてはそれこそ造船の首都として栄えた街も、脱工業化の波が押し寄せ、最近ではもうほとんど造船の仕事が無く街は衰退の一途を辿っている様子が生々とレポートされていました。

失業者が増え、死に行く街を何とか蘇らせようと困り果てた末考え出されたのが新たな港を作り、そこに現在スペインが力を入れている風力発電機を作る企業を誘致する事だったそうです。ちなみにスペインの風力発電機数はドイツに次いで世界第二位を占めています。

このフェロールの戦略の事はさっぱり知らなかったんだけど、都市の戦略としては巧いですね。先ずこの都市には長年造船で培われた技術があります。船がダメになった今、21世紀を担う最もポテンシャルの高いエコ産業、その中でもスペインが背中を後押ししてくれる風力発電を選んだのは目の付け所が良い。

更に、世界に輸出する事をも見越して新しい港を作ると同時に、その横に企業を誘致したのはアクセッシビリティを高める為ですね。以前のエントリで書いたように、飛行機では運べないものがある為に、都市にとっては競争力強化の為にはハブ空港と同時に港をも持つ必要がある訳です。

企業誘致するには勿論、その裏で政治的な駆け引き等があった事は容易に分かるのですが、そこは裏取引の上手な国民党が旨い事やったんでしょうね。

何にも無いと思ってたガリシアだけど、結構面白いじゃないですか!選挙が楽しみになってきました。
| スペイン政治 | 23:06 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
ローマ(Roma)旅行2008その1:アクセッシビリティ評価
前回のエントリで予告したように、昨日の朝からローマ(Roma)に来ています。
イタリアです。
「ルネサンス、情熱」です。
2年振りのローマの休日です!

前回来た時は滞在期間が3日と短かったので、主要な観光名所を駆け足で回るという、まあなんとも忙しい日程でした。というのも僕はローマをなめていたんですね。「ローマ時代の遺跡なんて見たってなー」とか、「宗教画なんてマドリッドのプラド美術館で死ぬ程見たしなー」とか、かなり生意気な事を考えていました。そんな僕の鼻を見事にへし折ってくれたのがラファエッロ(Raffaello Sanzio)でありベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini)だったんですね。彼らの作品を目の当たりにした時の衝撃は今でも昨日の事のように覚えています。

この街って「全ての道はローマに通じる」とか偉そうな事言ってるけど、偉そうな事言うだけの事は確かにある。なんたって1500年の歴史を誇るかつてのローマ帝国(Roman Empire)の首都であり、カトリックの総本山、バチカン市国(State of the Vatican City)がありますからね。ヨーロッパに住んでいるとイヤと言う程思い知らされるのがキリスト教の力であり、その浸透力。日常生活の根幹を担っているのがキリスト教なのですから。そしてそれらが生み出した芸術の数々・・・そんな星のかけら達が至る所に散りばめられている街、それがローマです。

と言う訳で2回目にも関わらず非常に楽しみな旅になりそうです。

まあ、とりあえず何時ものように都市アクセッシビリティ評価からいってみたいと思います。ローマの主要空港であるレオナルド・ダ・ヴィンチ空港(フィウミチーノ空港(Fiumicino))から市内までは電車かタクシーでアクセスする事になります。今回僕は空港⇔テルミニ駅(Termini)間を結んでいる直通列車(Leonardo Express)を利用する事にしました。

飛行機を降り税関カウンターを出て列車のターミナルを探すが・・・案内板が無い?ちょっと焦る(汗)。10分程ウロウロしたけど、結局見つけられず仕方無く係員の人に道を聞く。どうやら飛行機が着いたロビーが連絡通路からはちょっと離れた所だったのと、ローマで使用されている列車マークが列車に見えなかったのが原因。

この間、約20分。案内板の件もあるけど、空港出口からターミナルまでがちょっと離れてて分かりにくいかなとは感じました。

なにはともあれ、テルミニ駅までのチケットを購入して列車に乗り込む。電車は約30分おきに出ているようですが、料金は一人11ユーロ。これは高い!フランクフルトが15分おきで所要時間15分、3,5ユーロ。バルセロナが30分おきで所要時間20分、4ユーロの事を考えると、コレは高すぎ。

更に更に車内で大問題が発生しました。このチケットは窓口で買うだけでは十分ではなくて、乗車前に自動検察機に自分で通して日付けを押さないといけないらしいんですね。しかし時既に遅し。列車が発射してからその事に気が付きました。さもないと最悪罰金を支払う嵌めになるとかなんとか。「え、何ソレ」みたいな(怒)。「聞いてないよー」。おかげで到着までの約30分間はかなり緊張&不愉快な思いをしました。まあ、結局、駅員さんが見回りに来なかったので何事も無かったのですが・・・コレは不親切極まりない!イタリアだからしょうがないのか???皆さんも気を付けてください。



追記その1:腹が立ってたので忘れていましたが、この列車は街の中心までちゃんと連れて行ってくれます。そこは問題ありません。しかし上述のように料金とサービス(列車内はお世辞にも居心地が良いとは言えません。)を考慮すると、都市アクセッシビリティとしては中の下くらいでしょうか。

追記その2:市内から空港までの帰り道も同じ列車に乗ったのですが、2009年度は料金が上がり12ユーロとなっていました。今回は列車発着駅から空港内へと行きとは逆順序で進んでいったのですが、この空港と列車の連結構造は極めてシンプルだという事に気が付きました。各空港ターミナルから連絡通路が腕のように伸びているだけなので、アクセスは分かりやすいはず。問題は搭乗出口が1階で連絡通路入り口が2階であり、その案内表示の分かりにくさの問題だと思いますね。

もう一つは切符のセルフサービスの件ですが、これも帰り際に見てきました。よーく見ると確かに黄色いボックスが列車の前に幾つか並んでいました。



皆さんも気を付けてください。
| 都市アクセッシビリティ | 23:20 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
ホテルの歩き方:マドリッド(Madrid)のホテル:Hotel Spa Senator Espana
今日から新しいカテゴリーを始めたいと思います。その名も「ホテルの歩き方」。というのもヨーロッパ旅行でホテルを予約する時はほとんどブッキング(booking.com)で探して予約するのですが、そこに掲載されている口コミだけではちょっと物足りないし情報が少ない様な気がするんですね。写真も付いてないし。で、ネットで探してもホテル情報を詳しく掲載しているブログもあまり見かけない・・・。

海外旅行におけるホテルの比重は人によって様々です。思いっきりリラックスしたい人、寝られればいいという人、旅行に来た時くらいは超ゴージャスな気分を味わいたいという人・・・。僕は旅行に行く時は思いっきりリラックスしたい派なので、値段は少々高くても良い部屋を提供してそうなホテルを選びます。という訳で当ブログの新カテゴリ、「ホテルの歩き方」で照準を合わせるのは4つ星のリラックス派ホテルですのでご了承を。

さて、記念すべき第一回目は先週行ったマドリッド(Madrid)のホテル、Hotel Spa Senator Espanaからです。
基本情報:コンタクト

住所:Gran Via 70
Tel: +34915228265
Fax: +34915470892
メールアドレス:senator.espana@playasenator.com

今回はシングルルームを予約しました。朝食抜きで2泊172ユーロ。つまり一晩86ユーロ。4つ星ホテルとしては安い方ですね。

場所は、マドリッドの中心街を貫くグランビア通り(Gran Via)の終点近く、スペイン広場の直ぐそばに位置しています。マドリッドの中心街には徒歩5分、プラド美術館などにはホテルの目の前にあるバス停からバス5分+徒歩5分で行く事が出来ます。更に地下鉄駅Plaza Espanaの入り口が徒歩1分の所にあるので市内へのアクセッシビリティは申し分無いと思います。

チェックインカウンターの人達は英語が堪能でスペイン人にしては驚く程テキパキと働いていました。観光の質問などにもとても真摯な態度でしたし。ホテルの地下にはレストラン、そしてチェックインカウンターの前にはカフェ&バーがあり、沢山の観光客で賑わっていました。

今回通された部屋は10階の1005号室。部屋に入ってビックリ。



テラス付きのプチスィートっぽいじゃないですか!テラスからは王宮が見える見晴らしの良さ。





部屋は広々とした寝室と、コレマタ広々としたバスルームが扉で仕切られていて、その扉を閉めると廊下と遮断される為、室内は静寂そのもの。道路の騒音は勿論、隣の部屋や上階の音なども響きません。バスルームには日本人にはうれしいバスタブ付き。更に備え付け冷蔵庫の飲み物などはタダ。更に更にインターネットが無料というのはウレシイ。良くありがちな個室ではつながりにくいというわけではなく、アンテナがビンビンに立っていました。

朝食込みではなかったので朝食がどんな状況なのかレポート出来ないのですが、どうやら朝食は地下のレストランでブッフェっぽかったです。

キレイだし広いしサービスもいいし、総合的にこのホテルはお薦めですね。
| 旅行記:ホテル評価 | 23:06 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
ウィーン旅行(Vienna /Wien)その1:都市アクセッシビリティ評価
前回のエントリで少しだけ触れたように、先週の水曜日から一週間足らずウィーン(Vienna / Wien)へ行って来ました。今回の主目的は仕事だったのでゆっくりと観光という訳にはいきませんでしたが、要所だけは押さえてきたので今日から数回に分けてレポートしていきたいと思います。

先ずは何時ものように都市アクセッシビリティ評価から。ウィーンへの飛行機は全てウィーン市の南東約20キロの所に位置しているウィーン国際空港(ウィーン・シュヴェヒャート空港( Vienna International Airport))に到着します。ここから市内へは鉄道かバス、もしくはタクシーを利用する事になるのですが、僕は一番手っ取り早かったバスを利用しました。

税関を出た直ぐの所に止まっているバスは30分毎に街のほぼ中心部に位置するモルツィンプラッツ・シュヴェーデンプラッツ( Morzinplatz, Schwedenplatz)へと我々を運んでくれます。料金は6ユーロで所要時間は約20分。これは早い!しかも安い!!本数が少ないのが気になりますが、所要時間だけでいったらフランクフルト並みです。つまりヨーロッパ最高峰のアクセッシビリティを誇ると言えると思います。

市内へのアクセッシビリティの重要性については当ブログで散々議論してきた所なのでココでは詳しくは書きませんが、都市アクセッシビリティ関連でどうしても書いておかねばと思うのが市内の状況です。ウィーン市内には縦横無尽に公共交通機関(地下鉄、バス、路面電車)が張り巡らされていて、何処へ行くのにも先ず不自由はしません。

しかしそれ以上に快適なのがこの街のスケール感なんですね。13世紀以来この地を支配してきたハプスブルグ家(Habsburg)の影響かどうか分からないのですが、この街は非常に人間のスケールに合わせて創られています。長く王朝が置かれた都市というのは王宮やら貴族の邸宅やらで何かとヒューマン・スケールを逸脱してしまう事が多いのですが、ウィーンは不思議と人間のスケールが保持されているように感じます。

そして環状路面電車が走っているリンク内だけでなく、少し中心地から離れた所でさえも至る所に大変賑わっている歩行者空間を見出す事が出来ます。



さて、アクセッシビリティ関連でもう一つ。帰りの空港での出来事だったのですが、驚くべき事に出国ゲートでの荷物検査が無かったんですね。あったのは飛行機チケットのチェックだけ。僕はココ数年、ヨーロッパ都市を旅行しまくっていますが、出国ゲートでの荷物検査が無かったのはウィーンが初めてです。これは気持ちが良い。

手荷物、ポケットの中の物、ベルトからラップトップまで全て空けなければならない苦痛と、長蛇の列を経ずに出国ゲートを通る快感といったらありませんでした。今では幾度となく繰り返される検問が当たり前になってしまったのですが、きっと以前はこんな風に素通り出来たんだろうなー、とか思ってしまいます。

テロを警戒しなくても良い、そんな時代がもう一度来るのでしょうか?不安ベースの社会から信頼ベースの社会への移行。もしくは未だ我々が眼にした事が無いような社会への到達。我々の人間性が真に問われる時代が来そうです。



しかしですね、こんな快感が続いたのはホンの束の間の事でした。ウィーン空港での荷物チェックは出国ゲートではなく、飛行機へ乗る直前の個別搭乗ゲートで行われていたんですね。

これははっきり言って不快感極まりない。普通なら搭乗手続き30分くらい前までに搭乗ゲートへ行けばよいのに、この空港の場合は1時間前に並ばなければなりません。更に一度搭乗ゲートを通ってしまうと、そこから出る事は出来ず、ほとんど監禁状態。つまり旅行の最後の醍醐味である空港でのショッピングが思いっきり楽しめないんですね。これはちょっと酷い。というかシステムとしてかなり下手だと思います。これによってウィーン市は観光客にしてもらえるはずの売り上げの何パーセントかを確実に失っていると思います。

その反対に僕が「へぇー」っと感心したのがコレ。





ウィーン空港のほぼ全域で無線LAN(インターネット)が無料で提供されているんですね。だから空港では至る所でラップトップを広げネットに繋いでいる人達を見かけます。このような試みは結構ありそうで無かったサービスだと思います。実際僕はヨーロッパの空港では見た事がありませんでした。バルセロナは勿論、パリやフランクフルトも有料でしたし・・・。

個人的にネットへの接続障壁は下げるべき(つまり無料化すべき)だと思うのですが、そういう意味で言うとウィーン空港のサイバースペース(大枠で言う所のパブリック・スペース)へのアクセッシビリティに関しては満点に近いような気がしますね。
| 都市アクセッシビリティ | 23:27 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
フランクフルト旅行その1:フランクフルト(Frankfurt)に見る都市の未来
木曜・金曜とロボットプロジェクト(URUS)のパートナーミーティングがバルセロナ某所で朝から晩まであり、週末は仕事関係の所用でフランクフルト(Frankfurt)へ行ってきました。



フランクフルトに関しては以前のエントリ(都市化する空港と効率指標としてのアクセッシビリティなど)で何度か取り上げたのですが、この都市ほどグローバリゼーションの影響をモロに受け、そのポジティブ・ネガティブ、両方の影響が見事なまでに可視化している都市も少ないと思います。効率性と娯楽性が極度に入り混じり、都市レベルにおいて、娯楽性の為に効率性が使用されようとしているこの都市は、ある意味、都市の未来なのかも知れないと思わされます。

何時もならココで都市アクセッシビリティ評価に入る所なのですが、フランクフルトのダントツのアクセッシビリティについては以前のエントリ、Super Functional City; Frankfurtで詳しく書いたので反復は避けたいと思います。ちなみに空港から中心街まではきっかり15分。帰りは搭乗手続きの1時間前まで街を堪能して、中央駅から15分で空港へ。チェックインカウンターでは無く、自動販売機で搭乗手続きを5分で終わらせて余裕の搭乗でした。

さて、フランクフルトは何故これほどの効率性を持つ事になったのでしょうか?先ず考えられる第一の要因としては勿論空港のハブ化が挙げられるかと思います。フランクフルト空港が開設されたのは1936年で当時は軍基地として使用されていたようです。それがヨーロッパの国際的ハブ空港(Frankfurt am Main International Airport)として使用されるようになったのが1972年。下の写真は1946年当時の焼け野原の写真です。



下の写真は1968年に撮影されたもの。終戦直後からするとかなり復興していますが、現代に繋がるような風景は未だ出てきていません。



下の写真は1979年の写真。



この頃になると既に高層風景が出現しているのが見て取れます。年代的にも空港の発達と期を逸にしていると言えると思います。まあそんな事は当然と言えば当然で、アクセッシビリティが良い所に最もお金が集まるというのは世の常。ちなみに道と道が交差する所に市が立ち上がって公共空間になったというのは良く知られた話ですね。それよりも注目すべきは国際ハブ空港を誘致する事を1960年代に既に思い付いていたフランクフルト市の戦略性ですね。その裏には勿論、ユルゲン・ハーバーマス(Jürgen Habermas)を中心とするフランクフルト学派(Frankfurt School)が噛んでいるだろう事は容易に想像が付く所です。

現代のアクセッシビリティについてもう少し言えば、空港と並んで重要な機能が港なのですが、フランクフルトの場合はそれをライン川(River Main)の機能で補充しているようですね。この2つの機能を持つ事が都市の発達においては必要不可欠なのですが、コレこそアムステルダム(Ámsterdam)が急成長を遂げた要因であり、現在バルセロナが急ピッチで進めている計画な訳です。これをされると困るのがマドリッド。だから中央政府はナカナカ「ウン」と首を立てに振らない訳ですね。

さて、まあココまでなら良くある話で、例えばロンドンなんかシティ・オブ・ロンドン(City of London)とか言うヨーロッパ随一を誇る金融街を持っています。それを表象しているのがリチャード・ロジャース(Richard Rogers)のロイズ オブ ロンドン(Lloyd's of London)であり、ノーマン・フォスター(Norman Foster) のスイス・リ本社ビル(Swiss Re Headquarters)な訳です。ちなみにフランクフルトの顔であるコメルツ銀行本社ビル(Commerzbank)を設計したのは同じくフォスターです。いち早く環境負荷を考慮に入れて高層をデザインしている辺りはさすが天才、サー、ノーマン・フォスター。

さて、フランクフルトが他の都市と一味も二味も違う点は、このような急激なグローバリゼーションの波に浸された結果、グローバリゼーションの負の面である都市の闇が如実に市内に可視化される事となってしまった点なんですね。グローバリゼーションの真っ只中に居るヨーロッパの現代都市は必ず2つの顔を持っています。そして表の顔が美しければ美しい程、裏の顔は何処か見えない所へと隠される事となります。(典型的な例がこちら:都市の闇:ヴェネチア(Venezia)の裏の顔とジェントリフィケーション(Gentrification))

しかしフランクフルトの場合はその見えない筈の負の面が隠される訳でも無く、堂々と表に出て来て、前述の金融街とまるで対を成しているかのように成り立っている。しかもその「負の面」が今正に「正の面」へと変化しようとしているかのようです。それがヨーロッパ随一とも言われるフランクフルトの風俗産業です。今やフランクフルトはアムステルダムと並ぶ風俗の聖地(性地)と化しました。

下の写真は駅前から金融街を見た所。



夜に同じ場所から同じ方向を見ると街は違う顔を現します。





ピンクや赤、青色のネオンの部分は全て風俗です。



アムステルダムの飾り窓は国際的に有名ですが、多分フランクフルトの風俗産業の発展振りはこの街を訪れた事のある人しか知らないと思います。ちなみにドイツでは売春は合法らしいです。

風俗産業と言うと僕等日本人は陰気、危険、悪というイメージを抱きがちですが、アムステルダムと同様、ココにはそんなイメージは一切無いように思われます。(少なくとも街中を歩いていて危険だと感じる事はありませんでした。)

反対に性をポジティブなモノと捕らえた陽気さすら漂っています。フランクフルト市はオフィシャルにこの地域を宣伝してはいませんが、実質既に観光名所化している事実を考えると近い将来、市役所が大々的に宣伝し始めるのも時間の問題かと思われます。何故なら観光客がココに落としていってくれる金額は無視出来ない程、都市の収入に占める割合が高いと思われるからです。

真夜中、ホテルの窓から金融街の表象である超高層を眺めながら、その足元にそれが惹き付けてしまう「もう一つの欲望」の風景を見ていると、この街が表象しているモノこそ、人間そのものなのではないのか?と思えてきてしまいます。同時に、人間の欲望とはなんて深いんだとも思わされます。ココには人間の欲望の内の2つもが表象されているのですから。
| ヨーロッパ都市政策 | 19:50 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
都市アクセッシビリティ:ヨーロッパの高速鉄道網状況
今日の新聞(La Vanguardia, 8 Junio 2008)にヨーロッパの高速鉄道網の比較情報が載っていました。というのも今年3月に開通したバルセロナ(Barcelona)ーマドリッド(Madrid)間のAVE(Alta Velocidad Espanola)のおかげでスペインは現在ヨーロッパにおいて鉄道網の充実度が第二位らしいんですね。




La Vanguardia, 8 Junio 2008, P2, Vivir

上の図で赤いラインが時速300キロ以上の高速鉄道で繋がれている所。ほとんどの地域をカバーしているグレーのラインは時速200キロ以下の普通電車が走っている所です。
このような図で見ると良く分かるのですが、やはり圧倒的に高速鉄道網が発達しているのはパリを中心としたフランスですね。パリ(Paris)ーロンドン(Londres)間、パリ(Paris)ーマルセイユ(Marsella)間、パリ(Paris)ーブルッセル(Bruselas)間など南北東西に鉄道網が伸びている事が分かります。

そして(驚くべき事に)マドリッドを中心とするイベリア半島も鉄道網が発達しているのが見て取れます。以前はマドリッド(Madrid)―セビリア(Sevilla)間しか敷かれていなかった鉄道網がサラゴサ(Zaragoza)を通りバルセロナまで延びた事によって一気にヨーロッパのトップ集団の仲間入りを果たしました。マドリッドーセビリア間はセビリア万博が開かれた1992年に開通したのですが、どう考えてもスペインで最優先すべきだったのはマドリッド(Madrid)ーバルセロナ(Barcelona)間のはず。そんな事はサルでも分かっていたんだけど、それが出来なかったのが有名なマドリッドとバルセロナのいがみ合い・・・なんて面白い国だ。

そして今バルセロナが一生懸命構築しようとしているのが、バルセロナ(Barcelona)ーパリ(Paris)間なんですね。軸線としてはバルセロナ(Barcelona)ーモンペリエ(Montpellier)ーリヨン(Lyon)ーパリ(Paris)となるのですが、この内パリ(Paris)ーモンペリエ(Montpellier)間はすでに開通している事から問題はバルセロナ(Barcelona)ーモンペリエ(Montpellier)間と言う事になります。まあ、それも時間の問題か。

しかしこう見ると、大西洋の弧であるビルバオ(Bilbao)ーパリ(Paris)間というのは地形的に言ってとても素直な提案のように思えます。ビルバオ(Bilbao)ーボルドー(Burdeos)ーパリ(Paris)という軸ですね。ビルバオ(Bilbao)ービーゴ(Vigo)間は優先順位としては多分最下位に近いと思うけど、ポルトガル側のオポルト(Oporto)ービーゴ(Vigo)は十分に有り得る。ただポルトガル側としては最優先はリスボン(Lisboa)ーマドリッド(Madrid)間でしょうけどね。

さて興味深いのは各国の料金比較です。

下記がスペインの主要都市を結ぶAVEの料金表:

Barcelona-Madrid, 621km 106 euros: 2:38 horas
Madrid-Zaragoza, 306km 50,9 euros: 1:21 horas
Madrid-Valladolid, 180km 32,5 euros: 1:02 horas
Madrid-Sevilla, 471km 74,6 euros: 2:30 horas
Madrid-Malaga, 498 km 78,6 euros: 2:35 horas

それに対してヨーロッパの主要都市間の鉄道料金表がこちら:
Paris-Londres, 383km 231,75 euros: 2:26 horas
Colonia-Frankfurt, 177 km 61 euros: 1:20 horas
Berlin-Hannover, 185 km 58 euros: 1:40 horas
Hannover-Wurzburgo, 327 km 76 euros: 2:00 horas
Paris-Bruselas, 300 km 82 euros: 1:22 horas
Paris-Amsterdam, 490km 105 euros: 4:11 horas
Roma-Florencia, 252 km 51 euros: 1:30 horas

更にコレが走行距離を料金で割ったキロ当たりの料金:

Barcelona-Madrid: 0,17 euro
Madrid-Sevilla: 0,16 euro
Madrid-Malaga: 0,16 euro
Madrid-Valladolid: 0,18 euro

Roma-Florencia: 0,20 euro
Paris-Londres: 0,60 euro
Paris-Amsterdam: 0,21 euro
Berlin-Hannover: 0,31 euro

以前から感じていた事なのですが、こうして数字で見るとAVEがヨーロッパ諸国に比べて圧倒的に安いのが分かりますね。
| 都市アクセッシビリティ | 20:28 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
ミラノ(Milano)旅行その1:都市アクセッシビリティ評価
木曜日から週末を利用してミラノに旅行に来ています。主な目的はゴシック建築の最高傑作と言われているドゥオーモ(Duomo)とラファエロ・サンティ(Raffaello Santi)のアテナイの学童の下書きを見る事です。特に去年のローマ旅行以来、ラファエロの大ファンになってしまった僕にとっては、彼の大傑作であるアテナイの学童関連を見られるのは本当にうれしい。

とりあえず、毎回恒例の都市アクセッシビリティ評価からいってみたいと思います。ミラノにはマルペンサ空港(Malpensa Airport)とリナーテ空港(Linate)という2つの国際空港が存在します。バルセロナからの今回のフライトではマルペンサ空港を利用しました。空港が2つに分かれている為か、国際都市の空港にしてはちょっと小さめかなという印象を受ける。

空港から市内へのアクセスはバス、鉄道があるようですが、今回はバスを選びました。空港を出た直ぐの所にバス停があり、20分おきに1本の割合で運行しています。ちなみに値段は7ユーロ。

20分に1本は国際都市にしては少ない方だと思いますね。値段が7ユーロというのもちょっと割高かな。しかも所要時間が50分。(バルセロナの場合は3.5ユーロで約5分おきにバスが出ています。所要時間は約20分)空港から市内までが50分というのは絶望的に遠い。その間、ヴェネチアのようにロマンチックな光景を見せてくれる訳でもなく、他都市と同様に郊外に広がるアーバニゼーションと高速道路という最悪のコンビネーションを永延と見せられる。しかもてっきり街の中心にあるドゥオーモ(Duomo)に着くのかと思いきや中心街とは程遠いミラノ中央駅(Staz Milano Centrale F.S.)に降ろされる。ドゥオーモよりもこっちの方が便利なのか???ちょっと訳が分からない。

唯一の救いはこのバスが約35分で見本市会場(Fiera Campionaria)を経由する事ですね。35分というのは優良とは言わないまでも、そんなに悪くない数字だと思います。

都市戦略という観点で見た場合、近年の見本市による来街者数と彼らが落としていってくれるお金は馬鹿にならないどころか、主な収入源の一つになりつつあります。その決め手となるのが見本市会場が何処に位置するかという問題と空港からのアクセッシビリティの問題です。この2つの問題が解決出来て初めて見本市という道具が都市の為に機能するようになるわけです。

上記の点を差し引いたとしてもミラノの都市アクセッシビリティはきわめて悪いと言わざるを得ません。僕の持っている2007年度版地球の歩き方によると、マルペンサ空港とミラノ北駅(Stazione Nordo Milano)を30分に一本の割合で約40分で結んでいるらしいけど、それにしたって普通以下の評価しか与えられませんね。

空港という機能が広大な敷地と騒音などの関係によって都市中心街からは遠く離れた所に建設されなければならず、その間を低所得者用の住宅や工場などが占めていくというのは逃れられない都市の宿命なのですが、それにしてもどうにかならないものですかね?せっかくウキウキ気分で旅行に来て飛行機を降りて、「さあ、これから楽しむぞ」という時に、いきなりこんな風景を見せられたらやる気が失せる。
今の所、この問題を解決出来ているのは僕が訪れた中ではフランクフルト空港だけですね。

ミラノ(Milano)旅行その2:ミラノのドゥオーモ(Duomo di Milano):文化の多様性をゴシック建築の多様性に見るに続く。

追記:
市内からの帰りはマルペンサ・エクスプレス(Malpensa Express)というマルペンサ空港への特急を利用しました。市内ドゥオーモ近くのCadorna駅から約30分おきに出ています。料金は11ユーロで所要時間約40分。
| 都市アクセッシビリティ | 06:08 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
マドリッド旅行その1:高速鉄道(Alta Velocidad Espanola:AVE)に乗ってきました
先週末を利用してマドリッド(Madrid)に行ってきました。マドリッドにはポルトガルに居た時以来、実に3年ぶりの訪問になります。

今回の旅の目的は主に3つ。
一つは先月開通した高速鉄道(AVE)に乗る事です。





新しいもの好きの僕としては誰よりも先に乗らずにはいられない。

もう一つは現在プラド美術館で開催中の展覧会、「プラド美術館の19世紀展(The Nineteenth Century in the Prado)」を見る事。この展覧会には19世紀のスペイン美術の重要性を示す95の絵画と20の彫刻が集められています。なんと言ってもカタルーニャが生んだ知られざる天才画家、マリアノ・フォルトゥーニ(Mariano Fortuny)の作品が展示されているらしいという事で期待大。

そして最後の一つがジャン・ヌーベル(Jean Nouvel)による国立ソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia)の増築を見る事。はっきり言ってあまり期待はしていなかったのですが、「見ず嫌い」だけは普段から出来るだけ避けるようにしているので。感動する瞬間というのは実はこんな風に期待していないけど、実は良かったという場合の方が圧倒的に多いという事を今までの経験として知っているんですね。という訳で一応。

とりあえず、毎回恒例の都市アクセッシビリティ評価からいってみたいと思います。と言っても今回は通常のように空港から都市中心部へのアクセッシビリティを評価するのではなく、都市間を結ぶ鉄道と飛行機の利便性の比較評価を試みたいと思います。

バルセロナ−マドリッド間を繋ぐ高速鉄道の発着駅はバルセロナサンツ駅(Estación de Sants)−マドリッド・アトーチャ駅(Estación de Atocha)と、どちらも中心街に位置しています。



特にマドリッド・アトーチャ駅というのは、目の前にピカソ(Picasso)のゲルニカ(Guernica)を擁するソフィア王妃芸術センター、歩いて5分の所にプラド美術館(Museo Nacional del Prado)という、立地の良さ。

これに対して、バルセロナ空港からバルセロナの中心カタルーニャ広場までがバスで約30分、マドリッド空港から中心街まで地下鉄で30分と、空港からのアクセッシビリティはどちらも抜群に良いのですが、中心街に位置する駅から発着する利便性にはやはり勝てない。

今回実際に高速鉄道を利用してみて初めて分かったのですが、高速鉄道を使う最大の利便性は待ち時間です。飛行機の場合、少なくとも1時間前には空港に居なくてはなりません。更にそこからチケットやセキュリティの列に並び、飛行機に搭乗しても飛行機が飛び立ち安定飛行に入るまではパソコンも開けない状況。

それに対して高速鉄道の場合には、列車発射の15分前までに行けばよく、入場やセキュリティなどの待ち時間はほとんど無し。列車は必ず定刻に発車し、席に着いたと同時にパソコンの電源を入れられます。何より席のスペースが飛行機よりも断然広いし揺れも少なく非常に快適。





加えて言うなら、列車内にあるカフェテリアでコーヒーを頼んだ所、一杯1.4ユーロでした。これは安い。飛行機なら軽く3−4ユーロはいくでしょうね。

高速鉄道のバルセロナ−マドリッド間の所要時間は約2時間40分なのですが、上述の空港までの移動時間や待ち時間などを考えると圧倒的に高速鉄道の方に分があるように思います。何より観光を目的としてマドリッドに行く人にとって、駅を出た直ぐの所がレイナ・ソフィア美術館であり、プラド美術館だというのは非常にうれしい。

気になる値段の方は、直通で片道119,50ユーロ。往復で買うと20%引きで191,20ユーロになります。格安飛行機に比べるとちょっと高めかな。しかし15日前までに購入すると片道最大40ユーロまでの値下げありです。往復で80ユーロというのは安い。更に高速鉄道には遅延による保障が付いています。15分遅れると半額が戻ってきて、30分以上遅れると全額返済。これはビジネスで行く人にとってはとてもうれしいサービスですね。

長年に渡りバルセロナ市民の気を揉み、最後は大規模なデモにまで発展したAVE問題でしたが、最終的にこのレベルのサービスを提供してくれたのなら、大満足なのではないでしょうか。
| 都市アクセッシビリティ | 19:11 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
ヴェネツィア(Venezia)旅行その1:「奥」のある風景
ヨーロッパは先週末からキリスト教に関する祝日(復活祭)で2週間程のバケーションに入りました。と言う訳で僕はイタリアはヴェネツィア(Venezia)に来ています。8日程の滞在です。目的は勿論、都市と建築。特にスカルパ(Carlo Scarpa)は大変楽しみです。

今回はバルセロナ−フランクフルト経由でヴェネツィアのマルコポーロ空港(Aeroporto Marco Polo)に入りました。ヨーロッパでも僕の大のお気に入りのフランクフルト国際空港(Frankflut International Airport)です。今回はトランジットが2時間30分だった為、大変居心地の良いカフェでパソコンを繋ぎ少し仕事をしました。その後、約1時間のフライトで無事ベネチア到着。

とりあえず毎回恒例の都市アクセッシビリティ評価からいってみたいと思います。といっても、この都市は他都市と簡単に比較は出来ません。何故なら良く知られているようにヴェネツィアは海に浮かんでいるので空港から市内へは主に船(Alilaguna社)でアクセスする事になるからです。(鉄道やバスもあるようですが、今回は利用しませんでした)その船が30分おきに空港と市内を結んでいます。大きな船なのかな?と思っていたらそれ程大きくも無く結構揺れたのにはビックリ。しかし船が島に近付くにつれて街明りが見え、それが次第に大きくなってくる様子は感動的ですらある。これはかなりロマンチックですね。所要時間約60分と、機能性からのみ見た場合、他の都市に比べてアクセッシビリティとしては最悪に近い数値ですが、都市の魅力を高める物語性という要素を考慮した場合、空港から市内へのアプローチとしては必ずしも悪くは無いと思います。

実はこのような物語性こそが他都市に圧倒的に欠けている要素なんですね。何故か?空港というのは大抵の場合、郊外に造られる事がほとんどです。そして都市と空港の間に出来る空間には工場や低所得者の住居といったような、乱雑極まりない風景が広がっています。これは世界中、ほぼどの都市でも言える事だと思います。

僕が日本に帰国する時に使用する中部国際空港は空港機能としては最上級に入る空港だと思います。海に浮いている為に、飛行機はあたかも海の中に入っていくようなアプローチをとります。それを知らない外国人は機内で感動的にその風景を見つめています。そして空港を出た目の前に高速列車が止まっていてスロープを降りてそのまま乗り込むことが出来るという使い勝手の良さ。

ここまでは満点に近い数字です。この後、列車は30分かけて名古屋市内中心部にアプローチするのですが、コレがまずい。空港を出てすぐの所の風景が悪すぎる。汚い看板や日本特有の戸建て住宅が永遠と続く風景ははっきり言って汚い。僕ならこの辺り一体は日本映画村を誘致して、外国人旅行者に「日本は伝説の通り、未だにちょんまげをした侍が街を歩いているのか?」と思わせますね。その後、金山−名古屋に続く超高層ビルを見せ、「おー、日本はやはり伝統とテクノロジーが融合した素晴らしい国だ」とかいう印象を与えて、つかみはOK。その後、昼ごはんには名古屋名物味噌カツで決まりでしょう。

この点、ヴェネツィアは海に浮いているという時点で何もする必要なくロマンチック度満点。なんたって、海からのアプローチですからね。まるでビルゲイツの家のようだ。違うか、ビルゲイツが真似したのか。

さて、ヴェネツィア初日、早速街を歩いてみました。そして直ぐに気が付いた事が車の気配の無い事。そうなんです、この都市には車が存在しません。これはすごい体験です。何故なら普段、当たり前だと思っている環境要素の一つが無いのですから。そしてこの事は僕達に都市というものは五感を通してこそ感じられるものであるという、当たり前の事を思い出させてくれます。車の発する音、路上駐車による視覚、排気ガスによる嗅覚など、普段我々が都市に対して抱いている感受性がこの都市では全く違います。

僕はヨーロッパでは一応、歩行者空間計画エキスパートなので、この都市は僕たちにとっての理想都市だという事になります。僕達が実現したバルセロナのグラシア地区歩行者天国空間22@BCNで現在実現されつつある歩行者空間などでは、居住者の自家用車や救急車両などは通行を許可していますので、完全歩行者空間ではありません。それが実現出来るとも思ってませんし、そこまでやる必要は無いと思います。第一、ヴェネツィアはあまりに特殊解過ぎる。ここでは市民の足は市内を組まなく網羅する運河を流れる舟です。それがあるからこそ車を排除出来た訳ですし。

しかしヴェネツィアを、都市の環境という視点から見たその快適性は圧倒的なのでは無いでしょうか?車の騒音や路上駐車が無い環境がこんなにも気持ちの良いものだとは思っても見ませんでした。そしてこの事は僕たちが目指す方向がそれなりに間違ってはいないものであると言う事を後押ししてくれているような気がします。

そんなこんなで、ヴェネツィア市民の足である公共交通機関である船に乗ってみました。興味深い事にこれらの船は幾つかの種類に分かれていて、それぞれバスやタクシーなど地上の公共交通機関に対応しています。これは2つの事を指し示していると思います。

一つ目はヴェネツィアの人々にとって運河が他都市における道路や街路と同じ機能を持っているという事。つまり生活におけるインフラという事ですね。もう一つはあまりにも浸透してしまった交通という隠喩です。つまりこれらの船に別に「バス」だとか「タクシー」だとかという地上交通系と同じ名前を付けなくても、高速船とか大型船と呼んだ方が自然なような気がする訳です。それにも関わらず、バスやタクシーという隠喩を使うのは、それだけ我々の意識の中にそれらのシステムが刷り込まれている証拠です。

さて、よく知られているようにヴェネツィアのど真ん中には逆S字型に大運河が流れています。この運河に沿って水上バスが運行しているんですが、今朝一番に端から端まで乗ってみて気が付いた事があります。それはこの運河がうねっている為に、いい具合で「奥」が発生している事です。

例えばコレ。



前方に向かって右側に曲がっていこうとする運河は、勿論その先が見えません。自然と想像力を掻き立てられます。一体この先に何があるのかと。

この写真は有名なリアルト橋(Ponte di Rialto)にアプローチしている所の写真です。













同じく右側に曲がっていく為に橋の左側から少しずつ見え始めてきます。段々と近付くにつれて全体像が見え、最後は橋を通して向こうの景色が広がり、更にその向こうの景色の先も曲がっている為に想像力を又掻き立てられるという物語が発生しています。

これは何も大運河に限った事ではなくて、小さな路地や小運河で構成されているヴェネツィアの都市全体が「奥」を生み出す装置になっているのです。そしてこれがこの都市に劇的な豊かさを生み出していると思います。道を歩いていて、もしくは船に乗っていて、こんなにわくわくする都市は珍しい。

そしてもう一つこの都市を豊かにしているのは、曲がりくねった先にある小さな楽園とでもいうべき緑あふれた庭園や中庭空間。





前にも書いたように、地中海都市では居住密度が高いので自分の家を補完するかのように公共空間が存在し使用されます。居間が狭く暗い代わりに自分の家の前に日の良く当たるパブリックスペースがあるといった具合に。ヴェネツィアも例外ではありません。しかしヴェネツィアの街が僕に教えてくれるのは、人はデザインする前提条件が悪くなればなるほど、知恵を絞り、その結果、大変に良いものが出来るという事実です。

僕たちは敷地条件だとか、隣接する家屋のデザインだとかといった、ある程度の縛りがあるからこそデザインを始める事が出来るんですね。そしてそういう中からこそ創造力という人間に与えられた、パソコンなどの機械とは違う能力を使って何かを創り出す事が出来るわけです。もし、何も無い所で白紙から始めろと言われてデザインを発展させる事が出来る人が一体何人いるでしょうか?ヴェネツィアの街は人間の知恵と創造力の奥深さを僕に改めて教えてくれました。
| 都市アクセッシビリティ | 23:37 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
高速鉄道敷設に見る都市戦略
先週の話になりますが、バルセロナ―マドリッド間の高速鉄道(Alta Velocidad Española)が開通しました。数年前から計画は持ち上がっていたものの、政治的理由からなかなか実行されなかった上に最終段階で事故などが相次いだ為、バルセロナ市民の不満は最高潮に達していたんですね。連日のように列車の遅延が報じられ何百万人という市民の足に影響を及ぼしていたという状況下で、待ちに待ったという感じでの開通発表でした。

この新しい鉄道によりバルセロナ―マドリッド間の旅行時間がかなり短縮される事となります。直通で2時間40分、各駅でも3時間20分という速さ。この列車が約30分おきに運行されます。値段は往復で160ユーロ。15日以上前にインターネットで購入する場合には40ユーロまで割引されます。更に15分遅れた場合には金額の10%を、30分以上遅れた場合には全額返済という保障付き。スペイン人にしては結構太っ腹ですね。

さて、この高速列車開通は都市にとってどうのような意味を持つのか?というのが僕の関心のある所です。

先ず初めに、何故にバルセロナ―マドリッド間の連結がこうも遅れたのかというのが最初に浮かぶ疑問ですね。スペインの首都はマドリッドで第二都市はバルセロナ。第三都市はバレンシアなんですが、どう見ても上位2都市がずば抜けている感は否めません。となると、どう考えても最初の高速鉄道敷設はバルセロナ―マドリッドになるはずなのですが、最初のそれは1992年のマドリッド−セビリア間でした。

これが有名なマドリッド―バルセロナの睨み合い。レアルとバルサみたいな。代理戦争とはよく言ったもので、その因縁には見ていてすさまじいものがあります。

しかしながらそんな意地の張り合いで損をするのは、この場合は明らかにマドリッドです。経済発展を考えた場合、都市のインフラとアクセッシビリティというのは大変に重要な事は言うまでもありません。当ブログで何度も問題にしてきたように、この時非常に重要な要素となるのが空港と港です。これがマドリッドが近年、メイン空港を拡大しヨーロッパにおける南アメリカへの玄関口になろうとしている理由であり、バルセロナが一生懸命ハブ空港を創っている理由なんですね。

これに対して港が重要な理由は空の便では運べない資源があるからです。こんな場合は港に頼らざるを得ない。その結果、都市はこの2つの機能を持ちたがる事になる訳です。そしてそれが最も顕著に現れているのがアムステルダムの例です。アムステルダムはハブ空港と北海随一を誇る港を持っています。これが近年におけるアムステルダムの急激な成長の理由なんですね。

マドリッドがセビリアと高速鉄道を結んだ主な理由は港が欲しかったからだと言えると思います。更に最近の発表によるとバレンシアとのコネクションも思案中だとか。

これに対してバルセロナの状況はどうかというと、バルセロナには地中海随一を誇るバルセロナ港があります。更に、現在の空港南側に将来のハブ空港を建設中。この2つの機能は正直言ってマドリッドには脅威と映る事でしょう。この上、高速鉄道で首都まで2時間30分で移動可能となると資本が投資先を選ぶ場合に確実にバルセロナに有利に働く土壌が出来てしまいます。これがマドリッドがバルセロナとの連結を恐れた理由なのでは無いでしょうか?

ちなみに都市戦略として今後スペインで大変に重要な位置を占めてくると思われるのがサラゴサ(Zaragoza)です。サラゴサはマドリッドとバルセロナの丁度中間に位置しています。どちらの都市に行くにしても1時間以内に移動可能というアクセッシビリティの良さ。これはものすごい競争力だと思いますね。サラゴサ自身も既にその事に気が付いていて今年の夏に始まる万国博を利用して既に都市改造に動き出しています。MITも絡んでますしね。

今後大注目の都市です。
| 都市戦略 | 19:31 | comments(0) | trackbacks(6) | このエントリーをはてなブックマークに追加
都市化する空港と効率指標としてのアクセッシビリティ
先週、スペインの新聞、ラ・バングアルディア( La Vanguardia)に「空港都市( Aeropolis)」という記事が出ていました。過去、駅や港を中心として都市が発展したように、現在ではその役割を空港が担っているという話から始まって、空港内のアミューズメントパーク化に伴う空港それ自体の都市化といった内容でした。

空港は駅や港と違って必然的に郊外に建設されます。よってそれ自体で完結する事が多く、それ自体が一つの都市と見なされると言う訳ですね。建築の世界ではそんな事、90年代初頭からレム・コールハース(Rem Koolhaas)などによって盛んに議論されてきた所なので取り立てて目新しいという事でもないですけどね。

しかし実際に仕事やプライベートで空港を頻繁に使う僕の経験から言って、空港の都市化よりももっと重要で切実なのが、市街地へのアクセッシビリティの問題だと思うんですね。

それは現代都市が競って自分の所に誘致しようとしているハブ空港になればなるほど、その傾向が強いと思います。つまり空港が大きく多機能になればなるほど、空港内で完結するのではなく、市街地と空港のアクセッシビリティの良し悪しが空港評価に影響力を持ってくると言う事です。何故ならハブになればなるほどトランジットの問題が出てくるからなんですね。

例えば、空港内ショッピングが幾ら充実しているからといったって、空港に3時間釘付けはちょっときつい。そんな時、街まで足を伸ばしてみるかという思いが頭をよぎるけれど、中心街まで1時間とかだと行き帰りに2時間取られてしまって残り1時間。だったら「やめよー」という事になる。しかし中心街まで30分以下なら行き帰りで1時間。残り2時間は十分に遊べるので「じゃ、行くか」という事になる。そしてそれは空港選びに多大なる影響を及ぼします。

実際、僕は上記のような理由でなるべくフランクフルト国際空港(Frankfurt International Airport)を選ぶ事にしています。何故なら以前のエントリで書いたように、ヨーロッパにおいてフランクフルトほど機能効率を考えて創られた空港は他に無いんじゃないかというくらい空港から都市へのアクセッシビリティが良いからです。

フランクフルト国際空港から中心街までは電車で15分。その電車が10分から15分おきに頻繁に運行しています。空港・中心街間の行き帰りに1時間見ておけば十分といったアクセッシビリティの良さです。そうすると当然のようにトランジットの時間を利用して街に繰り出して昼食やコーヒー、街中散策をするといったシナリオが頭に浮かぶ事となります。更に、シュテーデル美術館(Das Stadel)に足を延ばしてフェルメール(Vermeer)の「地理学者(Der Geograph)」を見て来ると言うことも十分に実現可能なシナリオです。(以前、フランクフルトに行った時に正確に時間を計った結果はこちら

これは些細な事のようでいて、実は都市の経済活動においては非常に重要であると言えると思うんですね。空港にお金を落としてもらう事は勿論として、普通なら通り過ぎるだけの客に如何に都市にまで足を運ばせるか?ひいては、如何に都市内でお金を落としていってもらうか?

そのような認識を都市戦略に取り入れ実践しているのがバルセロナ都市戦略です。そこの所に自覚的だからこそ、新しいハブ空港の建設と同時に空港と市街地を結ぶ高速列車の建設を急ピッチで進めている訳です。

更にバルセロナには空港と並ぶもう一つの重要な都市間モビリティの要素、バルセロナ港があります。この空港と港という2つのエレメントがインフラで結ばれた時、都市は多大なる競争力を持つ事となります。(その良い例がアムステルダム)それを知っていたからこそマドリッドは高速列車建設に「うん」と言わなかった訳ですね。

更にバルセロナは現在、22@BCNに見られるように旧工業地帯を知識型社会へ移行させる為の核として戦略的にIT関連企業や文化産業を優先誘致しています。(切り札になっているのは容積率緩和でITやデザイン関係企業が立地する場合には270%まで容積率を緩和する政策を打ち出しています)。

空港とアクセシビリティ、知識型社会への移行という2つの軸の交点により創出されたのが、以前のエントリでも書いたポンペウ・ファブラ大学(Pompeu Fabra University)情報技術学部(Dept. Tecnoloogies de la informacion i les comunicaciones)新棟誘致の例。

知識型社会において、街全体の戦略性を高める為には大学との連携が欠かせないのは言うまでもありません。逆にグローバルに展開する企業や大学にとっては、何処の都市にフィジカルに立地するかという決定に大きな影響を与えるのが都市の快適性。この場合の快適性とは気候や食事のおいしさなどの居住性から他都市へのモビリティやアクセッシビリティをも含んでいます。

このような観点で見た時の「都市に立地したいランキング」がヨーロッパでは良く発表され、それが都市の競争力の指標として語られます。前回発表された時は、一位がロンドン、2位がパリ、3位がフランクフルト、4位がバルセロナ、5位がブルッセルと続いていました。

さて、前述のポンペウ・ファブラ大学の情報技術学部新棟に選ばれたのは旧市街地に立地していたフランカ駅(Estacio de Franca)でした。今までほとんど使われていなかったフランカ駅の屋社を買い取ってそこを学部棟にしちゃったんですね。位置としては旧市街にありながらも海のまん前という好立地。更にその後カタルーニャ州政府とバルセロナ市役所の後押しによって、空港からの直通列車が開通、30分おきに運行し空港まで30分で運んでくれます。

ここで想定されているシナリオはこんな感じ。

IT関連会社の研究員が大学で講義を依頼された時。空港に降り立ち、直通電車で大学棟まで30分で来る。駅を出た所が講義棟なので駅から大学までの移動時間は無し。講義後、目の前のバルセロナ港に面したレストランで海の幸を堪能する。昼食後、歩いて5分の所にある旧市街を散策。飛行機のチェックイン1時間前まで市街地を散策し、大学構内にある駅から30分で空港に到着というシナリオ。

こんなアクセッシビリティの良さが手伝って今ではYahoo研究所(Yahoo Research)Barcelona Mediaといったグローバル企業がこの棟に居住する事となり、その結果この棟では頻繁にインターナショナルな論客を招いてカンファレンスが行われています。

注目すべきなのは、このような都市へのアクセッシビリティを価値観だと認識し、都市が都市戦略を都市計画に反映させ、且つ、世界の企業がそれを競争力と見なしているという事です。前述した新聞に各空港の乗客利用数を指標とした空港ランキングが載っていました。それによると、

1. Hartsfield-Jackson: Atlanta, U.S.: 84.846.639
2. O'Hare International: chicago, U.S.: 77.028.134
3. London Heathrow: London, U.K.: 67.880.753
4. Tokyo Haneda: Tokyo, Japan: 65.810.672
5. LosAngels: Los Angels, U.S.: 61.041.066
6. Dallas-Forth Worth: Dallas, U.S.: 60.226.138
7. Pari, Charles de Gaulle: Paris, France: 56.849.567
8. Fransfurt: Fransfurt, Germany: 52.810.683
9. Pekin Capital: Pekin, China: 48.654.770
10. Denver: Denver, U.S.: 47.325.016
11. McCarran: Las Vegas, U.S.: 46.193.329
12. Amsterdam Schiphol: Amsterdam, Holanda: 46.065.719
13. Madrid Barajas: Madrid, Spain: 45.501.168
14. Hong Kong: Hong Kong, China: 43.857.908
15. John F.Kennedy: N.Y., U.S.: 43.762.282

しかし「何人の人が空港を利用したか」という指標が示す空港の規模だけの指標では空港の利便性はもはや図れない時代が来ているのではないのではしょうか?特に都市間のモビリティを確保する空港を都市発展の要に置く都市戦略上に据えた場合、それを都市との間のアクセッシビリティで測る事が必要となってきていると思います。そのような指標を視野に入れた時、上述のランキングはがらりと変わるはずです。そしてそれこそが現代都市における空港の真の価値を反映していると思います。
| 都市アクセッシビリティ | 23:26 | comments(2) | trackbacks(2) | このエントリーをはてなブックマークに追加
ロンドン旅行その1
12月29日から1月4日まで休暇を利用してロンドンへ旅行に行っていました。こちらに来て以来行きたかった都市の一つだったのですがナカカナ機会に恵まれずに行く事が出来ませんでした。今回思い切ってロンドン行きを決行したのには幾つか理由があります。最も大きな理由はフォスターに代表されるイギリス建築を思いっきり見てみたかったからです。今まで散々書籍等で見ましたがやっぱり建築というのは実物を見ない事には批評は出来ませんからね。

さて、バルセロナ空港からガトウィック空港まで約2時間。スペイン航空会社の格安航空機Easyjetでの空の旅です。その価格、往復で何と30ユーロ。これは安い!!!日によっては1ユーロというのもあります。ガトウィック空港到着後、早速入国審査がある。先ずは入国カードに記載の上、入国官とのインタビュー。何処から来たのか、イギリスで何をするのか、何日くらい居るのか、現在何をしているのか?などかなり詳しく聞かれる。今まで様々な国へ行きましたがこんなに厳しいのは初めて。

先ずは恒例のアクセッシビリティ評価を行いましょう。ガトウィック空港にはロンドン中心街までの直通列車が空港を出た目の前に配備されています。この列車に乗れば中心街まで約30分。15分おきに電車が来るので待ち時間も殆ど無いといってよいでしょう。ただ値段が高い。12ポンド=約19ユーロ=3000円。フランクフルトが中心街まで20分で3.5ユーロ。バルセロナの場合、バスで30分で3.5ユーロを考えると尋常ではない値段の高さと言う事になります。ロンドンは物価が高いとは聞いていたけれどまさかこれほどとは・・・いきなりショックでした。

ホテルに到着後早速街をぶらぶらと歩いてみる。第一印象:日本人が無茶苦茶居る。こんなに大量の日本人を見たのは久しぶり。そして驚いたのが日本食レストランと日本食材店の充実ぶり。日本食材店なんてもう日本のコンビニそのもの。「ふじっこ」まで売ってるし。すげーー。和菓子屋さんも発見しました。あんこ系のオハギとドラ焼きを買ってロンドン初日は日本食に浸りました。
| 旅行記:都市 | 04:59 | comments(0) | trackbacks(35) | このエントリーをはてなブックマークに追加
EUプロジェクト:ダブリン・ヘルシンキ・バルセロナ2
ちょっと時間は遡りますがダブリン・ミーティングの続きです。前のエントリーで書いたように今週頭からダブリンでプロジェクト関連のミーティングがあったので日曜日からダブリン入りしていました。とりあえず恒例の都市アクセッシビリティ評価から始めたいと思います。

バルセロナからダブリンまでは飛行機で約2時間半。空港で入国審査がありちょっと驚く。しかも滞在予定日数を聞かれパスポートに簡略ビザのようなものを押される。空港から市内までの主な足はタクシーかバス。タクシーで約30−40分。料金は20−25ユーロ。これは高いし時間かかりすぎ。致命的なのは市内に公共交通が発達していない事に起因する交通渋滞。少しの距離でも渋滞のせいで何倍もの時間とお金がかかってしまう。この事がダブリン市のイメージを著しく低下させている。という訳でダブリン市に対する都市アクセッシビリティ評価は星2つと言った所でしょうか。

さて、日曜日の午後にダブリンに着きホテルで昼食を取った後、早速市内散策へ出かける。先ずはダブリンナショナルギャラリーへ。ダブリンのローカルアーティストの作品ばかりかと思いきやピカソ、ゴッホなども所蔵していた。驚いたのはフェルメールを所蔵していた事。「手紙を書く婦人と召使」がありました。



フェルメールの典型的な絵画構成である左手側に窓、そして手紙を書いている婦人とそれを見守る召使。そして物語を彷彿させてしまう床に転がっている手紙。素晴らしい光の描写は健在。しかしながら、彼の絶頂期の作品に比べるとやや落ちる感じがする。例えば床の表現などはとても単調に見えてしまうのは僕だけだろうか?

となりの部屋に行くとレンブラントがあった。レンブラントは人物画などが特に有名ですが、僕としては風景画こそ魅力的に感じます。真っ暗な中にたいまつを焚いて暖を取っている一行と闇の中にかすかに光る窓明かりなど、暗さの中でこその光の重要性がひしひしと伝わってくる。

短い時間だったけど久しぶりに大満足の美術館でした。
| EUプロジェクト | 23:45 | comments(0) | trackbacks(35) | このエントリーをはてなブックマークに追加
セント・パンクラス駅(St Pancras International)
イギリスとヨーロッパ大陸を結ぶ国際高速列車:ユーロスターの発着駅がウォータールー駅(Waterloo)からセント・パンクラス駅(St Pancras International)に代わるそうです。ウォータール駅と言えばその大変斬新なデザインで知られていますよね。敢えて構造を見せるデザインで外側に走っていた骨組みがガラスの皮膜を堺に切り返すように内側に入り込むデザインはかなり趣味が良い。年末はロンドンへ行く予定なのでこの建築は絶対に見たいリストに入っています。

さて、今日のテーマはアクセッシビリティです。旅行に行くと空港から中心街までのアクセッシビリティを何時も計ります。何故かというとそれがその都市の「生活の質」を計る一つの指標に成り得ると思うからです。同時に都市の競争力を測る指標にもなる。鉄道というのは言うまでも無く都市生活に欠かせません。ロンドンからパリまでは414kmで2時間15分。と言う事は朝ロンドンを出て午前中会議をして夕方には帰宅というシナリオが十分に考えられる。僕の場合はそれが飛行機になって、良くやるのが朝バルセロナを出てフランクフルトの空港で会議。夕方帰国というやつ。でも飛行機だと大概2時間前くらいには空港に居なきゃいけないから結局時間を食う事になってしまう。その点、ユーロスターという選択肢があるとどれだけ楽か?と言う事をふと考えてしまう。

ロンドンからアムステルダムが494kmで4時間59分。リールまで205kmで1時間19分。ブルッセルまで328kmで1時間51分。マルセイユまで1192kmで6時間15分。そう考えると東京―大阪間(550km)を2時間30分で走る新幹線が如何にすごいかが分かる。

これを聞いて黙っていられないのがスペイン人。特に最近のスペイン国鉄の不安定な運行に飽き飽きしているカタラン人の怒りはこの記事によって頂点っぽい。バルセロナからトルトサまで152kmで3時間45分。プッチャラダ(Puigcerda)まで150kmで3時間10分。プウトボウ(Portbou)まで162,1kmで2時間30分。セビリアまで1046kmで11時間。ラコルーニャまで1118kmで16時間11分。

これはヒドイ。というかスペインの第三世界側面丸出し。
| 都市アクセッシビリティ | 05:55 | comments(0) | trackbacks(35) | このエントリーをはてなブックマークに追加
プラハ旅行その2:広告としての建築保存
さて恒例の都市へのアクセッシビリティ評価をしたいと思います。先ずプラハ空港から最寄の地下鉄駅へバスで移動する。所要時間約20分。そこから更に電車で中心街まで約20分。合計40分プラス電車とバスの待ち時間が10分ずつくらいなので計1時間。空港から中心街まで1時間と言うのはちょっとかかり過ぎ。アクセッシビリティはそんなに良くない。

都市内には地下鉄と路面電車が縦横無尽に走っておりそれらを乗りこなして何処へでも行けるようになっています。料金は7日間乗り放題券が8ユーロ程度だったと思う。これは安い。更にバスも走っているので足に困るという事は無い。しかしですね、プラハに居て思ったのはこの街はバルセロナと同様に歩行者の街だなという事です。規模もそんなに大きく無いし、歩いていた方が圧倒的に面白い。何より歩行者に優しい都市のような気がしました。

街のど真ん中には大きな川が流れています。この橋が市街とお城地区を分割しています。この川に幾つかの橋が架かっていてその橋を渡ってお城へとアプローチする事になるのですが、川向こうに見るお城の景色が良い事。正に日本人が思い描くヨーロッパのイメージにぴったり。この辺りの景観はUNESCOの世界遺産に登録されているらしくホントに良く保存されている。



例えばこの橋。カレル橋というらしいのですがこの橋の両端には歴代の彫刻が残されている。これってどっかで見たなと思ったらバチカン王国に掛かってる橋もこんな風にベルニーニとかの彫刻が両端に付いてたなと思い出す。



ヨーロッパの都市って巧い事「景観保存」が経済効果に結びついている。つまり景観を保存するというインセンティブが圧倒的に働いている。ポイントはそれが本物かどうかは殆ど関係が無いという事。それっぽかったら良いんですね。



例えばこの人達。橋の真ん中で観光客相手に踊ってお金を儲けてたグループなんだけど明らかにスペイン人。踊りはフラメンコ。衣装はチェコの民族衣装っぽい。観光客にはそんな事お構い無し。もう中世っぽいからそれで良いんですね。

橋の袂では結婚式のパンフレットの為の撮影をしてた。





日本では村瀬君が日本の文化社会を語る切り口として結婚式教会を詳細に研究しています。日本人はヨーロッパに憧れを持っている為に日本には無い教会まで作ってそこでの結婚式需要が増えているという事。その時にイメージされるのがヨーロッパの教会なんだけど、この撮影シーンは正にそんな感じ。でもこの時思ったのはヨーロッパ人も又違った彼らなりの理想イメージを持っているのかも知れないという事。何故ならこの写真は多分ヨーロッパ人の為のパンフレットだろうから。そう考えると素敵な結婚式をというイメージを持つと言う次元では何処も同じなんでしょうかね?
| 旅行記:建築 | 02:38 | comments(0) | trackbacks(35) | このエントリーをはてなブックマークに追加