地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
バルセロナ賃貸住宅価格事情その2
昨日の新聞(La Vanguardia Domingo, 12 Octubre 2008)に第二四半期(4,5,6月)におけるバルセロナ賃貸住宅価格情報が載っていました。スペインにおいて住宅問題はテロと並ぶ最重要課題の一つに挙げられています。故に当ブログでは定期的にバルセロナ賃貸住宅とバルセロナ新築住宅問題を取り上げているんですね。

地中海ブログ:バルセロナ賃貸住宅価格事情と新築価格事情

地中海ブログ:バルセロナの住宅事情2

地中海ブログ:バルセロナの住宅問題

今期の特徴はなんと言っても賃貸住宅価格の上昇です。バルセロナ全体で見た時、前年の同時期と比べて価格が10%も上がっています。(平均的な大きさ(71m2)で毎月の価格、1037ユーロ)バルセロナ市内で一番価格上昇が激しい歴史的中心地区(Ciutat Vella)に限ってみると、なんと21%という馬鹿げた数字をたたき出しています。

第一期四半期(1,2,3月)の賃貸状況をレポートした時に書いたのですが、その時の最大の特徴が「今までうなぎ昇りだった賃貸価格にかげりが見え始めてきた」でした。第一期四半期の上昇率はマイナス2%。これはスペイン経済の失速を受けてのものだったんですね。ここから賃貸価格は下降路線を辿るのかと思いきや、今期は上昇に一転。やっぱり市場は生き物だなー。

今回こんなに賃貸価格が上昇したのにはそれなりの理由があります。それは今までスペイン経済を引張ってきたスペイン不動産業の崩壊に伴うスペイン経済危機。住宅価格が実質価格の30%増し(EU調査委員会のレポート)で売買されバブルの様相を呈していた不動産業に急に陰りが見えてきたのが去年末の事。それまで飛ぶように売れていた住宅がさっぱり売れなくなり、国民は「買う」よりも「借りる」方針にシフトし始めたんですね。普通のサラリーマンではとても払えないような馬鹿げた住宅価格と、もう少し待てば価格は下がるんじゃないかという噂が市民の間に一気に広がり、需要と供給のバランスが崩れた事から今回の急激な賃貸価格上昇になったと考えられます。

今回もバルセロナで一番高額だったのがSarria-Sant Gervasi地区で1305,4Euroとなっています。この価格はバルセロナ平均賃貸価格と比べると26%も上を行っています。地区別価格で注目なのが、我が子のようにかわいいグラシア地区(Gracia)。今回初めて月額が1000ユーロを超えました。前回(1,2,3月)が984ユーロだった事を考えると3ヶ月でこの上昇は以上だ。グラシアが1000ユーロの大台を突破した事によって、バルセロナ市内で1000ユーロを超えた地区が今回は6地区。これは前回の3地区からは大幅な変化です。

ちょっとココからは個人的な感想になるのですが、何度か当ブログでレポートしているようにグラシア地区の都市計画を実施したのは僕達です。特に2005年に僕達が計画した歩行者空間計画でグラシア地区の様相はガラリと変わりました。車を排除し歩行者に優しい空間にする事により、以前より街路レベルにおけるアクティビティが増え、人に優しい住みやすい街になったと自負しています。その結果が今回の賃貸価格上昇だと僕は考えています。住宅の価格というのは市場における需要と供給のバランスによって決まります。そこに住みたい人が沢山いれば、住宅価格は上昇するんですね。そういう意味において僕達のプロジェクトは大成功だったと言う事が出来ると思います。

その反面、その大成功の裏に負の面がある事も又事実。それが人や観光客が集まりすぎる事による騒音やゴミ問題、ひいては今回の価格上昇による既住民の追い出しなどに見られるジェントリフィケーションなどなんですね。特にジェントリフィケーションについては今の所解決のしようがありません。理由は簡単。それは市場が生き物だからです。

バルセロナの賃貸価格や住宅価格が上昇しているという事はこの都市の生活の質が大変高くて多くの人が住みたがっているという証拠です。そういう意味においてバルセロナ市の計画に従事している人は誇りを持って良いと思います。その反面、我々は自分達が都市にとって良いと思ってした事によって引き起こされる負の面にも意識的であるべきだと思います。今回の新聞記事を読んで改めてその事を強く気が付かされました。


バルセロナ市内街区別賃貸価格リスト
街区名   賃貸価格  上昇(減少)率  平方メートル辺り賃貸価格
Sarria-Sant Gervasi   1305,4Euro   6,1%,   16,41 Euro
Les corts        1097,27 Euro  -3,2%,   15,10Euro
Eixample        1139,26Euro   11,5%,   14,89Euro
Gracia         1015,89Euro   9,7%,   16,38Euro
Sant Marti       1007,48Euro   8,7%   15,59Euro
Sants-Montjuic     935,95Euro   12%    15,77Euro
Horta-Guinardo     936,99Euro   12,4%   15,95Euro
Nou Barris       934,73Euro   11,3%   15,69Euro
Sant Andreu      861,26Euro    2%    13,69Euro
Ciutat Vella      972,30Euro   21%    17,27Euro
| バルセロナ住宅事情 | 07:05 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナ賃貸住宅価格事情と新築価格事情
今日の新聞(La Vanguardia, 1 de Julio, 2008: Los Alquileres frenan)にバルセロナにおける賃貸住宅価格事情が載っていました。スペインにおいてテロ、移民そして住宅は3大問題だと言われています。「そんな大げさな」とか思われるかもしれませんが、バルセロナにおける住宅事情を真近で見ていると、様相は正に戦争そのものです。3ヶ月毎に発表される賃貸住宅価格は、ほとんど馬鹿げた数字のごとく上昇を続け、平均賃貸価格が1000ユーロを超え最低賃金の約2倍、スペイン平均賃金をも上回るまでに上昇し、市民の生活を圧迫していました。

そんな状況にもようやくブレーキが掛かり始めたのが今期です。年明けから続いていた明らかなスペイン経済の危機に対して、サパテロ首相(Jose Luis Rodriguez Zapatero)は「失速しているだけだ」を連発し、どうにもならない状況に対してようやく「経済危機」を認めたのは先週の事でした。そして今期、こんな大不況とインフラの中においてさえも上昇を続けていた賃貸価格にも「失速の波」はようやく影響を及ぼし始めました。(これは逆に言うと、それほどスペイン経済の危機は深刻だという事ですね。賃貸価格が下がり始めたからと言って、単純に手放しで喜んではいられません。)

今日の新聞によると今年最初の四半期(1,2,3月)の賃貸価格は2007年に比べて2%低下したそうです。「なんだー、たった2%かー」なんて思いがちですが、2007年最後期(10,11,12月)の上昇率は17,8%。つまり実質20%価格落ちした事になります。2007年通年比較では少し落ちて上昇率は13,6%。それでも15,6%価格落ちしています。

何故価格減少が起こったのか?一つには勿論だけどバルセロナ大都市圏の諸都市の住宅価格が市内よりも安く、バルセロナ市内との連結が非常に良いという事情が挙げられるんですね。例えば以前のエントリで書いた移民都市、ホスピタレット市(L'Hospitalet de Llobregat)の平均賃貸価格は月961ユーロ。バルセロナから電車で30−40分程の所にある比較的裕福な層が多く住むサバデル(Sabadell)が924ユーロ、テラサ(Terrassa)が939ユーロとなっています。

タラッサには僕が以前行ってたCatedra UNESCOがあるので、よく知っているのですが、非常に美しい町です。一応大学(カタルーニャ工科大学(Universidad Politecnica de Catalunya))があり、小さいながらも文化施設は充実していて賑わいのある街です。

さてバルセロナ市内に目を移し、より詳細に価格変動を見てみます。市内平均賃貸価格は2%減少で月1020,39ユーロ。(ちなみに賃貸物件の平均平方メートルは71m2です。)市内で一番価格が落ちているのが歴史的中心地区であるCiutat Vellaで2007年最後4半期(10,11,12月)に比べて7,3%落ち、月876,23ユーロとなっています。

続いて減少幅が大きいのがSant Martiで6.2%減少で月883,84ユーロ。Graciaは4,8%減の984ユーロ。Sarria-Sant Gervasiは3,2%減の1260,95ユーロとなっています。

反対に価格が上昇しているのはEixampleで3%増加の1160,17ユーロ。Nou Barrisが5,5%増加の902,51ユーロ。Horta-Guinardoが3,3%増加の907,49ユーロとなっています。

2007年最後期(10,11,12月)には全10街区の内、1000ユーロを越えた地区が実に5つだったのに対して、今期は3つになりました。

バルセロナ市内街区別賃貸価格リスト
街区名   賃貸価格  上昇(減少)率  平方メートル辺り賃貸価格

平均賃貸価格1020,39Euro -2% 15,56Euro
Sarria-Sant Gervasi 1260,95Euro -3,2%, 15,87 Euro
Les corts 1184,29 Euro -1,1%, 15,71Euro
Eixample 1160,17Euro +3%, 15,68Euro
Gracia 984,59Euro -4,8%, 15,87Euro
Sant Marti 979,99Euro -6,2% 15,06Euro
Sants-Montjuic 935,62Euro -2,1% 16,06Euro
Horta-Guinardo 907,49Euro +3,3% 15,65Euro
Nou Barris 902,51Euro +5,5% 15,65Euro
Sant Andreu 883,84Euro -0,3% 13,64Euro
Ciutat Vella 876,23Euro -7,3% 15,99Euro

このような賃貸価格状況の変化に対して新築住宅価格の状況も変化を起こしています。

先ず1998年から続いてきた新築住宅価格上昇に今年初めてストップが掛かりました。2008年1月から6月までの統計によると、その減少率1,2%。住宅価格があまりにも高くなり過ぎた為に、もう誰も買おうとしなくなってしまったんですね。

新築住宅価格をスペイン都市別に見ると一番高額なのはバルセロナ(Barcelona)で4,527€/m2。一番高額な都市が首都じゃないところがこの国の面白い所。しかも2番手でも無いし・・・。2番手に付けているのはバスク地方の都市、サン・セバスチャン(San Sebastian)で4,035€/m2。ラファエロ・モネオ(Rafael Moneo)が手がけた海沿いのあるオーディトリアムがある事で有名ですね。あと海岸沿いにあるチリダ(Eduardo Chillida)の彫刻も。3番手にやっと首都登場。マドリッド(Madrid)3,916€/m2。

逆にスペインで最も新築住宅が安い地域はポンテベドラ(Pontevedra)で1,484€/m2。その次がバダホス(Badajoz)で1,525€/m2。続いてルーゴ(Lugo)1,547€/m2。ルーゴと言えば友達のマルティン君(Martin)の出身地だったっけ。

バルセロナ市内での新築住宅変動を見るとこんな感じ。

Sarria-St.Gervasi 6,3%
Ciutat Vella 3,8%
Nou Barris 3,3%
St.Marti 2,1%
St.Andreu 1,2%
Gracia 0,4%
Eixample 0,3%
Sants-Montjuic -3,4%
Les Corts -4,1%
Horta-Guinardo -4,5%

Sarria-St.Gervasi 地区の価格上昇は何時もの事として、Nou BarrisやSt.Martiの新築価格が上がっている所が面白い。このエリアは市内において移民が集中している地域なんですね。反対にGraciaやEixample、Les Cortsで住宅価格が下がっている。これらの地域は学生に特に人気がある事から価格は市内でもトップクラス。それでも若者がこぞって住みたがる事から、落ち着いて住みたい層には敬遠されているという事か。それが価格に反映していると見なす事も出来ますね。

今期のデータ(1,2,3月)で住宅(賃貸)価格にスペイン経済の危機の影響が出始めました。次期(4,5,6月)辺りから影響はもっと顕著になるものと思われます。大注目です。
| バルセロナ住宅事情 | 21:39 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
Barcelona Meeting Point(住宅展示会)
今週水曜日から日曜日まで毎年恒例の住宅展示会が開催されました。当ブログでも度々触れているようにスペインにおいて住宅というのは「大」の上に3つぐらい「大」が付くくらい大問題と化しています。それを象徴するように毎年多くの人がこの展示会に足を運ぶのですが今年は例年以上に大好評だったようです。5日間で200,000人が訪れたそうです。

さて、今年が例年以上に好評だったのには訳があります。それはここ数年続いてきた不動産ブームにかげりが見えてきたからなんですね。5年来上がり続けてきた住宅価格が今年初めて下がりました。それに伴いバブルがはじけるのでは無いのかという憶測が飛び交っています。

今年の展示会において行われたアンケートによると「今年は買わずもう少し待つ」と答えた人が大半だったそうです。それに伴い今年の展示会での売り上げは大幅に減少。住宅あまり現象が始まる予感です。

今日の新聞によると新築物件は2006年に比べて12.8%売り上げが低下し中古物件では8.1%の減少だそうです。興味深いのは各都市の住宅価格の比較データ。マドリッドが2.9%、バレンシアが16.2%、セビリアが7.2%、ビルバオが18.1%価格上昇しているのに対してバルセロナでは5.7%価格が下がっている。

バルセロナという都市はスペインの中では市場に対する反応がスペイン一早い事で知られています。つまり他都市に対する指標足りえているんですね。このバルセロナ指標が示す所によれば近い将来全ての都市で住宅価格が減少する事になりそうです。

スペインにおける問題は住宅価格だけには収まりません。なんて言ったって建設業が労働市場の大半を占めている国において住宅価格が減少すると言う事はそのまま労働市場の減少、ひいては日常品の高騰につながり、はたまた日常生活にも影響を及ぼすからです。つまりスペインは今不況スパイラルに突入寸前という訳です。
| バルセロナ住宅事情 | 23:51 | comments(0) | trackbacks(35) | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの住宅事情2
スペインの3大問題として良く取り上げられるのがテロ、移民そして住宅です。それほどスペイン市民にとって住む事と言うのは困難な問題になるつつあるのです。昨日の新聞によると2007年第二期(4,5,6月)における市内平均賃貸住宅費は945ユーロ。2006年の同じ時期に比べて10.5%上がりました。1年で10%ってすごい数字ですよね?

もう少し詳しく書くとバルセロナ市内で一番高いのはSarria-Snat Gervasi地区で1229.83ユーロ。第二位がLes Cortsで113.53ユーロ。第三位がEixampleで1021.28ユーロと続きます。

この内最も人気が高いのはEixample地区で全体の23%を占めるそうです。僕も以前はこの地区に住んでいたんですが何処へ行くにも便利で街路に活気があってすごく住み易い地区ですね。ただ近年、学生(特に短期で来るヨーロッパ海外組み:Erasumos)にすさまじく人気が高く、一街区が彼らで占められている所があります。又、彼らが毎日騒ぐので場所によっては相当住みにくくなっているはず。

さて賃貸費の問題に戻ると平方メートルデータで比べるとコレ又興味深い現象が観察出来ます。一位と二位は変わらないのに第三位にわが子のようにかわいいGracia地区が入ってくる。平方メートル辺り15.77ユーロ。そして第四位にはCiutat Vellaが登場:15.12ユーロ。Ciutat vellaは平均賃貸価格で見ると803.53ユーロとなっていて市内最低ランク。にも関わらず平方メートル辺りが高いと言う事はこのあたりの一部屋の大きさが小さいと言う事になりますね。

この地区の平均価格を下げているのは明らかに移民の人達が住み着いているという30平方メートルくらいの小さな部屋でしょうね。(最近は良く報道されるようになりましたが、アフリカから来た人達がそのような小さな部屋に10人くらいで住んでいます。)

次に前年度との比較なんですが市内で一番上昇率が高いエリアがNou Barrisで前年比20.3%。20%上昇ってそんなめちゃくちゃなですね。第二位がLes Cortsで15.99%上昇。最も低いのが22@地区として知られるSant Marti:3.48%。でもまあこの地区は今後確実に地価が大幅に上がるでしょうね。

という訳で総括。市内の平均賃貸価格は945.59ユーロ。10.5%上昇で平均平方メートル辺りの価格は14.72ユーロです。スペインの最低賃金価格を580ユーロ、30歳位の普通の若者の賃金が1000プラス200−500を考えるとちょっと異常だと思います。
| バルセロナ住宅事情 | 06:37 | comments(0) | trackbacks(35) | このエントリーをはてなブックマークに追加
バルセロナの住宅問題
毎週日曜日の夜21時半頃から30Minutosという毎回社会問題を扱ったテレビ番組がTelevision de Catalunya(Canal33)で放送されます。今日は住宅問題を扱っていました。スペインには有名な言葉があって「国にとって第一の問題はテロ、第二は住宅問題」というぐらい住宅問題は深刻な問題です。周りの友達とかを見てもホントにかわいそうなぐらい皆悩んでるし誰もが直面している問題なんですね。

選択肢は二つ。住宅を買うか賃貸するか。ユーロになる前、もっと言えば1992年のオリンピックが始まる前まではバルセロナにおいて住宅を賃貸するというのはそれほど高くなかったんですね。だから一生賃貸と言う人もかなり居ました。つまり一生賃貸しても買うよりも安かったという事です。それが1992年頃から家賃が上がり始めユーロ導入後はそれこそ1年で50パーセントとか上がった年とかあったりして更に未だに年率20パーセント近辺で上がり続けているという状況なんですね。故にバルセロナ市の住宅賃貸料というのは今現在ヨーロッパで一番高いという状況になってしまいました。

今日の番組で出てきた3人の出演者のうち最初の60才ぐらいのおじいさんは今まで一人で住宅を借りていたけど去年になって急に賃料を倍にされたのでしょうがなく他の人との共同賃貸を決意したそうです。別のドイツから来た女性はご主人と子供と暮らしたいのだけど経済的な理由から一つの部屋を学生に貸さなければならない状況になったとの事。彼女曰く「バルセロナでは稼ぐ賃金がドイツの半分で住宅の家賃がドイツの倍」。

一人の自立した人間として安らぐ場が無い、しかも一生無いというのはなんて不安定な気持ちになるのだろう。家があるという事が生まれた時から当たり前の状況に育った自分はなんて幸せなんだろうと思ってしまいました。
| バルセロナ住宅事情 | 06:45 | comments(0) | trackbacks(39) | このエントリーをはてなブックマークに追加
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