地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ミース・ファン・デル・ローエ・パビリオン(Mies van der Rohe Pavilion)/ バルセロナパビリオンBarcelona Pavilion:アントニ・ムンタダス(Antoni Muntadas)のインスタレーションその1
先週からミースパビリオンでバルセロナを代表するアーティスト、アントニ・ムンタダス(Antoni Muntadas)によるインスタレーションが行われていると聞き、天気も良かった事だし、まあ、行くかと思い立ち、久しぶりに近代建築の殿堂に行って来ました。

ミースパビリオンについては当ブログの記念すべき第一回目のエントリ(バルセロナパビリオンの秘密)でちょろっと書いたのですが、ブログ開始初期という事もあり、今とはかなり書式等違う所が垣間見えてそれはそれで面白いですね。

さて、この建築は何時来ても良い空間なのですが、その全ての物語空間はココから始まります。



この建築のエッセンスの一つに、様々な装置を用いた「人の導線と視線操作」というのがあるかと思います。上に、「物語がココから始まります」と書きましたが、正確には「ココから始まらされる」のです。そう、導線操作がいきなりココから始まっているのです。その秘密がコレ:



壇上へと我々を導く階段です。コノ階段が正面向かって右側に付いている事により、訪問者は自動的にそちら方面へと導かれる事になるんですね。その結果、「強制的に」このパースペクティブから建築を眺める事になる訳です。(ココで詳しくは書きませんが、これはローレンス・レッシグ(Lawrence Lessig)が提示したCODEに非常によく似たコントロールだという事が出来ると思います(興味のある人はコチラ:)

屋根と壁の関係がピシッと決まったパースから「イザ中へ!」と言う訳で階段に向かって進んでいくと、あたかも一直線に伸びた屋根が道標になって我々の行く先を先導してくれているかのようです。



この階段は「中へ入っていくぞ!」という心の切り替えの場でしょうね。基壇が付いている事により、コノ建築の特別性、神聖性を高めているかの様です。そして階段を登り切った後の第一望がコノ風景:





大池を前面に配した、この建築に展開する物語空間のクライマックス的空間です。最初にクライマックスを持ってくる構成は谷口さんの土門拳記念館と同じですね。大変気持ちの良い空間です。



さて、ココからがミースの巧い所なのですが、エントランスを「敢えて」振り返り様に持ってきているんですね。つまり訪問者は強制的に今とは反対側に視線を向けさせられる訳です。こうする事によって、極小空間の中において最大限に様々な風景を展開しようとしている。



更に左手側には方向を指示するかのような緑の大理石の壁が案内人になっています。この壁がコレマタ巧くって、絶妙に僕達の視線を遮っている。視線コントロールです。



コノ壁に沿って入っていくにつれて、対角線上にビーナス像がちょこっとずつ見える仕掛けになっています。そして入った空間がコレ:



対角線上に伸びやかな空間が広がっていますね。



一番奥にはガラスで仕切られた、特別な屋外空間があり、その奥、つまり今いる所から対角線上にビーナス像が建っています。



ビーナス像を「フムフム」と見ながら、振り返ると外への入り口が見え、又別の風景が現れます。



真っ直ぐに伸びた外部壁の左手側にはチラチラとクライマックス的空間を暗示するかのように、池が見えます。



そしてココが大変に巧んだけど、この直線的な壁によって、訪問者の視線を一旦完璧に池から遮ってしまうんですね。



しかも道幅が人一人が通れるかどうか?というくらい狭く取ってあるので、ワザと窮屈感を演出しています。そして長い回廊を歩き切った所で出遭うクライマックス的空間がコレ:



最初に見た大池と言う訳です。回廊が窮屈だった分、一気に開放された気分です。このように様々な装置を用いて、人の動きを制御し、視線を制御する事で、コレだけの極小空間に驚くべき程豊かな物語空間が展開しています。見事です。

ミース・ファン・デル・ローエ・パビリオン(Mies van der Rohe Pabillion)/ バルセロナパビリオンBarcelona Pavillion:アントニ・ムンタダス(Antoni Muntadas)のインスタレーションその2へ続く。
| 建築 | 21:18 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
>cruasan様、
おはようございます。

'99に驚いて見たのがバルセロナパビリオン
でした。沢山のガウディー建築がある中で、
全く、スタイルの違う私が建築に興味を持ち
始めた時の強烈な建物でした。

その後、椅子、バウハウス、シカゴなど色々
と興味が展開し、機会があればアメリカにと
いつも夢を託しています。

京都国立博物館のエントランスとカフェの谷口
作品や豊田市美術館、T工務店の佐川美術館
などミースに影響された作品が多いですね〜。
安藤さんも要所要所に引用されていますね。

建築家を目指す方達は必ず、抑えて見る作品
だと思います。なつかしかったです。
きっと、近い内に再度見たいものです。
| mory's | 2009/03/16 10:04 AM |
おっしゃる通り、建築家はみんなコノ建築、大好きなんですよね。近くを通ると何時も訪問者で賑わっていますよ。それだけの質は持っているとは思うのですが。僕は少しアメリカにいた事がありまして、その時にシカゴのアパートを見ました。出来ればファンズワース邸にも行ってみたかったのですが、未だ叶わぬ夢です。
| cruasan | 2009/03/17 6:23 AM |
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