地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ヨーロッパの都市別カテゴリー:ブルーバナナ(Blue Banana)とかサルコジ(Nicolas Sarkozy)首相とか
少し前の事になりますが、ヨーロッパの都市別カテゴリーに関する記事(Innovacion y atracción de talento, 29 de Enero, 2009, p8)が載っていました。

都市別カテゴリーとは何かというと、ヨーロッパの各都市を「この都市は研究拠点型」だとか、「この都市は現代産業センター型」だとか、特徴別に分類して地図にしたものです。この分類と地図自体はUrban Auditが発行した” State of European cities Report, 2007”という報告書を下敷きにしているのですが、その中でバルセロナは「知識創出と有能な人材を惹き付ける拠点」として評価され、「知識ハブ」というカテゴリーに位置付けられているんですね。バイオ医療やテクノロジー、そしてR&Dで売り出しているバルセロナとしては、この評価はうれしいんじゃないかな。

確かにココ最近、この方向で都市を売っていこうという動きが一層活発になっている気はします。(例えばコレ:カタルーニャの打ち出した新しい都市戦略:バイオ医療( BioPol, BioRegio)、地中海ブログ)

元々この記事だって、バルセロナを研究と発展の拠点として国際的地位に押し上げる為に、新たに始めた「バルセロナ、研究と革新(el programa Barcelona, Recerca i Innovacion)」プログラムの発表の為だったんですね。更に今週木曜日にはバルセロナ市長がロンドン・スクール・オフ・エコノミクス(London School of Economies)で講演を行い、「バルセロナは知識型都市に生まれ変わりつつある」と言う事をコレでもか!と強調したりしていました。(Hereu vende en Londres la fuerza futura de Barcelona, La Vanguardia, 6 de Febrero 2009, p7)

まあ、バルセロナにはこの分野の世界的重鎮、マニュエル・カステル(Manuel Castells)がいたり、長年彼とパートナーを組んで現場から都市を動かしてきたジョルディ・ボージャ(Jordi Boja)がいたりするので、かなり早くから知識型社会への移行を見越して戦略的に動いてきた結果が、バルセロナを今の地位に押し上げたというのは、特に驚くべき事ではないんですけれども。

さて、こんな都市別カテゴリー化、ひいては都市間競争が視覚化されたのって、ブルーバナナ(Blue Banana)なんだろうなー、と言う事は以前のエントリで何度か書いた気がします。(地中海連合(Union pour la Mediterranee)の常設事務局はバルセロナに:地中海ブログ、関連書籍:(Brunet,Roger(1989): Les Villes Europeennes, Rapport pour la DATAR, Reclus, La Documentation Francaise.)



欧州委員会としては都市の多様性を確保する為、もしくは市民に、ヨーロッパというのは様々な特徴を持った都市のモザイクなのだという事を認識させる為に、先の都市のカテゴリー化や地図などを作ったんだろうけど、これが都市間競争を助長しているのは明らかな事実だと思います。

ブルーバナナって分かり易い図式と絶妙なネーミングが相まって、かなり有名になりましたが、実はブルーバナナが発表された後、ドタドタっと同じ様な提案が幾つかされたんですね。(あまり知られていませんが)例えばその一つがコレ:



IAURIFが提案した「青い星(Blue star)」。ブルーバナナよりもよりダイナミック且つ現実的な表象だと主張しています。もしくはコレ:



Lutzkyが提案した「7つのアパートを伴ったヨーロッパという家(The European house with seven apartments)」。極めつけはコレ:



Klaus R. Kunzmann と Michael Wegnerが提案した「ヨーロッパの青ブドウ」“ The European green grape”。ブルーバナナよりももっと多極的にクラスター化する事で、より現実的な分析に近ついたと言われています。更にこの人達、こんな素晴らしい事まで言っちゃっています:

「希望としてはこの競争はゼロサムゲームではなく、全ての都市が勝つようなゲームになる事が望ましい。」

“ The hope is that this competition is not a zero- sum game where any gain is a loss elsewhere, but that at the end of the day every city will be better off”.(Kunzmann, K.R. and Wegener,M.: the pattern of urbanization in western Europe 1960- 1990. report for the directorate general XVI of the commission of the European communities as part of the study urbanization and the function of cities in the European community, Dortmund: IRPUD, 1991)


どっかで聞いたような言葉だなーとか思いつつ・・・とってもポリティカル・コレクトネスだよなーとかも思いつつ・・・。

最近の経済危機でヨーロッパの各都市は、それこそ死に物狂いでリソースを探しに出るのではないかと思われます。つまり欧州委員会が望むと望まざるとに関わらず、競争はますます激化するのではと思うんですね。

でもこんな時だからこそ出来る事もあるはず。小さい都市は小さい都市なりにその都市にしか出来ない事、差別化を図ったり、近隣諸都市と協力関係を築いて地域として大都市と対抗する、いわゆる、シティ・リージョンを実現したりする良い機会なんじゃないのかな?

そこへ来て、「さすがだな」と感心したのがフランスのサルコジ首相(Nicolas Sarkozy)。

「私は文化が経済危機に対する我々の答えだと言いたい。」

“ Quiero que la cultura sea nuestra respuesta a la crisis” (La Vanguardia, 3 de Febrero 2009,p28)


いわゆる文化を核とした都市再生、都市活性化というヤツですね。それが難しいのは誰もが分かっている。しかし、それを分かった上で言い切ってしまう彼の器量こそナカナカのものだなと思うわけです。

ちなみにカタラン人がよく言うのが、「サルコジのヤツ、あんなかわいい奥さん(カーラ・ブルーニ(Carla Bruni))もらってなんてうらやましいんだ」という妬み&嫉妬。うーん、確かにうらやましい。でも、あんなお世辞にもいい顔立ちだとは言えず、背も低くてあまりかっこいいとも言えない人が、あんな超美人と結ばれるなんて、世の中のオトコに希望を与えてくれましたよね。男は外見じゃない、中身で勝負だと。男の鏡です。ガンバレ、サルコジ。
| ヨーロッパ都市政策 | 23:59 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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