地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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バルベリーニ宮:国立古典絵画館(Palazzo Barberini: Galleria Nazionale d’Arte Antica in Palazzo Barberini):バルベリーニ家とミツバチの紋章とか、フォルナリーナ(La Fornarina)とか、その1
前回の続きでラファエロ繋がりです。ローマはラファエロが25歳から亡くなる37歳まで過ごした地であるだけに、彼の足跡がソコ、ココに点在していてラファエロファンにはたまらない聖地なんですね。その一つがバルベリーニ宮:国立古典絵画館(Palazzo Barberini: Galleria Nazionale d’Arte Antica in Palazzo Barberini)にある謎の肖像画、ラ・フォルナリーナ(La Fornarina)です。

ラファエロは若くして亡くなってしまい、伝記など残さなかったので、彼の性格などはほとんどベールに包まれています。残されている手紙なども外面的なものに限られている為、彼の人間性についての情報はほとんど残って無いんですね。そこに「優雅な天才画家」というイメージが重なって、後世の人々によってロマンチックな物語が展開されたりもした訳なんですけれども、そんな中で生まれたのが、ラ・フォルナリーナとの禁じられた恋物語です。

そう、ラ・フォルナリーナとはラファエロの恋人だったのではないか?と目されている人物なんです。ちなみに「ラ・フォルナリーナ」とはパン屋の娘という意味で、彼女の本名はマルゲリータ・ルーティというそうです。それがコノ人:



とても魅力的な絵です。特にこの眼、見るモノを惹きつけて離しません。ビーナスのように完全な裸ではなくて、透明のベールに包まれている事によって、「露出している」という印象を強めています。腕輪には意味深にウルビーノのラファエロと彫られているそうです。

さて、このフォルナリーナさんなんですけど、彼女をモデルにしたと思われる絵が数点存在します。その内の一つがコレ:



ヴェールを被る婦人の肖像 (Ritratto di donna (La Velata))

ラファエロは政治的な理由からフォルナリーナとの結婚が出来なかったようです。だから彼女とは秘密裏に交際し、生涯独身を通したそうなんですね。しかし、そんなラファエロがせめて自身の為にと描いたのがラ・フォルナリーナであり、このヴェールを被る婦人だと云われています。せめて絵の中だけでも、恋人にウェディングドレスを着させてあげたかったのでしょうね。更にフォルナリーナが頭に付けている真珠のブリーチが、秘密裏の結婚を暗喩しているとする研究も存在したりします。

このフォルナリーナさん、ラファエロがフォルネジーナ荘(Villa Farnesina)を手がけている時にタマタマ出会ったパン屋の娘らしいのですが、当時住んでいたと云われている家がトラステヴェレ地区(Trastevere)に残されています。勿論行って来ました。





住所:Via di Santa Dorotea 20


ラファエロは長い事ミケランジェロに会いたかったらしいけど、人嫌いのミケランジェロは彼との面会を避けていたとか。しかし、ある日、ふと気が変わってミケランジェロがラファエロの工房を訪れた時、彼はフォルナリーナとデート中だったという逸話が残っています。

飛ぶ鳥を落とす勢いの宮廷画家とパン屋の娘の隠された恋。とってもロマンチックに聞こえるけど、現実のそれは多分とても悲しい恋だったのだろうと思います。僕達の生きている今の社会からは想像もつかないような厳しい身分制度の為に、フォルナリーナはラファエロの葬儀にも参列させてもらえなかったそうです。



ラファエロの墓:パンテオン

全ては想像に過ぎませんが、幸福に満ち溢れたと思われていた画家にも、こんな一面があったかと思うと、とっても人間味に溢れていて、それはそれでより一層ラファエロを好きになりました。
| 旅行記:美術 | 21:57 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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