地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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コロニア・グエル(Colonia Guell)100周年記念に見る市民意識の高さ
今日の新聞(El Pais, domingo 5 de octubre de 2008)にコロニア・グエルに関する記事(Elsiglo atormentado de la Cripta Guell)が出ていました。どうやら昨日(10月4日)はコロニア・グエル100周年記念に当たる日だったようです。新聞によると工事が始まったのが1908年の10月4日という事。コロニア・グエルについては過去エントリで幾つか書きました。

アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)の建築:コロニア・グエル(Colonia Guell)その3:教会堂の内部空間とステンドグラス

アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)の建築:コロニア・グエル(Colonia Guell)その2:コロニア・グエルの形態と逆さ吊り構造模型

アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)の建築:コロニア・グエル(Colonia Guell)その1:行き方

更にちょっと変わった所で、こんなのも:

アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)の建築:コロニア・グエル(Colonia Guell)その4:プッチ・ボアーダ(Puig i Boada)とジョアン・マラガル(Joan Maragall):ガウディ新資料発見か!

さて、そんなコロニア・グエルなのですが実は今、市民、行政そしてユネスコといった世界的機関まで巻き込んだ大論争が沸き起こっています。事の発端は1999年から2002年にかけて行われた大々的な改修に起因するんですね。

その改修では、ガウディの死後に増築された余計な部分を取り払って「ガウディのオリジナル」に戻す事が目的とされたんですが、この建築のシンボル的存在だった階段をオリジナルではないという理由で灰色の醜いアルミでカバーを掛けたり、ちょっと場違いな舗装を敷いてみたり、教会の上に白い鉄骨が乗っていたりと、ガウディ専門家ではない僕が見ても、ちょっとどうかな?と思うところ多々あるような状況です。

僕が見てもそんな感じなのだから、ガウディ専門家にしたらたまったものではないはず。バルセロナの公的機関であるFAD(Fomento de las Artes y el Diseno)が抗議文書(Gaudi en alerta roja:ガウディ作品、赤信号)を公式ウェブページに載せた所、今までに300もの署名が集まったそうです。

この町(コロニア・グエル町)の人達はガウディのこの小さな教会を自分達の町の宝のように大切にし誇りに思っています。もっと正確に言うと、教会だけではなくて、自分の家の前に広がる道路から街頭、公共空間まで町を構成する要素に対して自分達のものだという意識が大変に高いんですね。だから官の作ったプランに対しては鋭く目を光らせているし、ましてや今回のようにお宝に手を付けるような事があった日には大論争となるわけです。

このような市民意識の高さ。コレがバルセロナの都市空間の質が高く保たれている秘密であり、都市計画が成功している秘訣だと思います。オリンピックのような国際イベントを用いて海岸線を大改造したり、公共空間を点的に散りばめて、その効果で周りを活性化し街全体を蘇らせるとか、容積率緩和を用いて知識産業を集中的に集めるとか、色々な手法が取りざたされていますが、その根底にあるのはやはりそこに住んでいる人達の街に対する意識の高さです。

それを象徴するかのように新聞には毎日のように都市計画が槍玉に挙げられているんですね。そんな市民のパワーに日々接していると、「日本も早急に何らかの手を打たなければいけないな」と思わざるを得ない日々が続きますね。
| バルセロナ都市 | 20:40 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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