地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ウィーン旅行(Vienna / Wien)その4:スティーブン・ホール(Steven Holl)の建築:ロイジウム(LOISIUM Kellerwelt):歴史的遺構という物語空間に接続された現代建築
前々回のエントリ、ウィーン旅行(Vienna / Wien)その2:スティーブン・ホール(Steven Holl)の建築:ロイジウム(LOISIUM Kellerwelt):行き方

前回のエントリ、ウィーン旅行(Vienna / Wien)その3:スティーブン・ホール(Steven Holl)の建築:ロイジウム(LOISIUM Kellerwelt):ファサードに見る建築デザインの本質の続きです。



建物に斜め方向からアプローチして銀色の塊の一角に切り取られた長方形のエントランスに向かいます。右手にはレストラン兼テラスが用意されていて、この畑で採れた葡萄から作られたワインが提供されています。僕がココに着いたのは朝11時頃だったのですが、皆もう既にガブガブ飲んでました。いやー、楽しげですねー。

とか思いつつ、イザ中へ。



ココがメインエントランス。左手前方に例の縦長の窓から入り込む魅惑的な光と気持ちよさそうな吹き抜けが見えます。いわゆる「3層吹き抜け+光のハーモニー空間」というクライマックス的空間をチラチラ見せる、チラリズム効果というヤツですね。こうする事で最後にソコに行き着く高揚感を高めている訳です。

さて、前回書いたようにこの建物の用途はこの辺りの地下に広がっているワイン貯蔵庫を用いたワイン観光の入り口、ショップ、カフェそして出口という機能です。



上の地図が地下ワイン貯蔵庫の全体図なのですが、コレがちょっとすごい。直線距離にして全長約1キロにも及ぶ道(空洞)が、それこそ正にラビリンスの如くに展開しています。地図上の一番上の四角いのが今居る建物でそこからブドウ畑の中を3分程進んだ所から地下のラビリンスへと入って行く事となります。エントランスで一人11,5ユーロ支払う事でこのツアー(約30分毎に始まって最初の10分は係員の人の説明を皆で聞き、その後はオーディオガイドを渡されて個人個人で回ります。出口でワインの試飲込み)に参加出来るんですね。



そのツアーが始まるのがエントランス向かって右手方向から。と言う事で左手方向に広がるクライマックス的空間には直ぐには行けないようになっています。だから敢えてエントランスでチラリズムを展開した訳か!

と言う事で体の向きを変えて右手方向に進む事とします。階段の向こうにある出口から出て言われる通りにブドウ畑の中を進みます。





見返すとこんな感じ。



地下へと続くエントランスに到着。



最初に出迎えてくれるのが正に、「ワインを核とした一大エンターテイメントの始まり」とでも言わんばかりの光の祭典。しかもこのエントランス空間はワイン発酵用の巨大ステンレスタンクの中っぽい。力入れてるなー。ちなみにこの施設全体を建設する為にEU(欧州)から補助金が出ているようですね。



ヨーロッパ(EU)のすごい所は、このような小さいけど魅力ある地域こそがヨーロッパの原動力になっているという事を良く分かっている所ですね。そしてそこにすかさず投資して地域の魅力によって多様性を保持し、ヨーロッパ全体の競争力を高めていこうとする、その姿勢はさすがというべきか。

この光の祭典空間を通り過ぎるとイヨイヨ900年の歴史を持つ貯蔵庫へと入る事となります。で、最初の空間がココ。



一気にタイムスリップした感じです。大きな樽がコレでもか!と並んでいる様は圧巻。そして「寒い」!ワインを醸成する為にこの地下はワインに最も良い温度・湿度に管理されているそうです。それにしても「寒い」!こんな事もあろうかと長袖を持ってきて良かったー。でもまだ寒い!



この地下のワインセラーの所々には醸成中のワインや古そうなワインが沢山見られます。





又、樽やボールト空間を巧く使ったワインの歴史や文化に関する展示もなされていました。歴史ある空間に現代技術を組み合わせてあるので、ちょっとした現代アートみたいです。それにしても広い!広いし暗いので方向感覚が無くなります。所々に「次こっち」サインがあるので迷子にはなりませんが、もし無かったら間違い無く出られないでしょうね。



2時間近くかけてようやく出口へ。前面ガラス張りの空間を抜けるとスティーブン・ホールの建物の地下一階部分、つまり建築としてはクライマックス的空間に辿りつきます。

なるほどー!この建築に展開している物語は大変にスケールが大きいですね。地下の遺構を物語のメインに持ってくる事で現代建築をその物語に接続する入り口と出口に用いている訳か!建築自体として見た時には間違い無く、3層吹き抜けがクライマックス的空間なんだけど、物語全体として見た時は出口、もしくは物語のメインが終わった後の余韻として位置付けられていますね。

このように昔の遺産である地下空間をメインに持ってきて、それの始まりと終わりを現代建築で補うというパターンには今までナカナカお目にかかれませんでした。

さて、この観光コースには上述したようにワインの試飲が含まれていて、出た所にあるショップで赤ワインか白ワインを頂く事が出来ます。



僕はどちらかというとそんなに飲む方じゃ無いし、はっきり言ってそれほどワインの味が分かる方でも無いと思うのですが、このワインは凄まじく美味しかった。口に含んだ瞬間に、「えっ」とか思ってしまいました。調子に乗って白ワイン(有料)も注文してしまったものだから、もうベロベロ。完全に酔っ払った中で見た光のハーモニー空間は天国そのものでした。

ウィーン旅行(Vienna / Wien)その5:スティーブン・ホール(Steven Holl)の建築:ロイジウム(LOISIUM Kellerwelt):内部空間にて思う事に続く。
| 旅行記:建築 | 20:36 | comments(1) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
こちらにもコメントです。
良く見ると、赤ワインの写真にもStininger、と書いてありますね。こんなの日本では(そしてアメリカでも)売ってないですよー。
どんな味がするんでしょう?
飲んでみたいですね。。

私は建築のくわしいことは分からないんですが、興味はあって、いろいろ見て歩いたりします。
でも知らないんで、見ても背景とか分からないんですよ。かっこいいなあ、とか思うくらいで…
だからこのブログは参考になります。

もしよろしければリンクさせてください。
これからもよろしくお願いします。
| Lilac | 2008/12/25 9:52 AM |
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