地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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EUプロジェクトを通して見えるEUの戦略:二つのEUプロジェクト・ミーティングを通して
ミラノ旅行から帰ってきてから今週はちょっと忙しい。月曜から水曜まではICINGプロジェクトのミーティング、木曜と金曜はもう一つのEUプロジェクトであるロボット・プロジェクト(URUS Project: Ubiquitous Networking Robotics in Urban Settings)のヨーロッパ委員会によるプロジェクト審査会(Project Review)がバルセロナで予定されています。

という訳で先ずはICINGプロジェクトから。(このプロジェクトの概略についてはこちら)今回のミーティングの目的は6月のヨーロッパ委員会(European Comisión)の前での最終プレゼンテーションに向けての調整というのが第一の目的。今回はヘルシンキ組みのヘルシンキ市役所(Helsinki City Council)のIちゃん、ヘルシンキ芸術デザイン大学(University of Art and Design Helsinki)のJちゃんとR君がスケジュールの関係でバルセロナに来る事が出来なかったので彼らはヘルシンキからビデオカメラを通した参加となります。

カタルーニャのシリコンバレーこと、22@BCN地区内某所に集まったメンバー達と朝から夕食後のコーヒーまで、今までに無くかなり真剣なディスカッションが進んでいる。僕はこのEUプロジェクトであるICINGプロジェクトに幸運にも日本人として参加している(所属は勿論バルセロナの公的機関として)のですが、だからこそ、他のヨーロッパ人参加者には見えない特別な視点から、プロジェクトとEUの戦略的位置付けみたいなのが出来ると思うんですね。つまり、EU圏の人間では無く、圏外の日本人の眼から見たEUプロジェクトの意義みたいなのをココに書いてみたいと思います。

先ず、EUプロジェクトというのは、簡単に言うとEU圏内の3カ国以上の都市が集まって何か革新的なプロジェクトを提案した時に、ブルッセルにあるEU委員会がEUプロジェクトとして承認してお金を出すというプロセスを取ります。(かなり簡略化してますが)表向きは、一つの機関や都市では実現出来ない実験やサービス、製品を幾つかの機関や都市に属するスペシャリストが集まって協力しながら実現していくという、アカデミックエリアでは結構普通にやられているコラボレーション方式ですね。

しかしながら、いちパートナーとして実際にEUプロジェクトに参加していて気が付いた事は、これらEUプロジェクトには、この表向きの目的の他にもっと大切な裏の目的があるんじゃないかと言う事です。それは一つのプロジェクトの実現を通して各都市の結束を固め、都市間のコミュニケーションを円滑にし、その結果、創造性を増幅する事によりEU全体の競争力を高めるという裏目的が存在するような気がしてしょうがないんですね。

一つのプロジェクトを様々な文化と専門のバックグラウンドを持ったパートナー達と実現していくという事は決して楽な事ではありません。話す言語は違うし、扱う専門用語も違う、働き方も違うし思考形態も違うパートナー達と一緒に働いていていると、仕事の生産性という観点から見た時、「自分達だけでやった方が楽なのに」と思う事はしばしばです。笑い合う事がある数だけ、「データが無い」とか「言語間の違い」とかで怒鳴りあう事がある事も事実なんですね。

しかしながらこのような仕事の生産性の指標だけでは計れない「何か」がある事も又事実です。それは明らかに文化間の違いが生み出す多様性に依っていて、プロジェクトを豊かなモノにしている。自分達とは違う文化圏の人の働き方や休息の仕方といった生活様式に触れる事によって、人間が成長するんですね。

どうも僕が見た感じ、EUはプロジェクトの生産物に期待するというよりは、プロジェクトを通した各国間・各都市間のコミュニケーション促進の方に期待しているのではないかと思えてきます。その結果、プロジェクトに投資した何倍もの見返りが、そこで構築されたネットワークから出てくる新しいプロジェクトや提案という形でEUに還元される訳です。実際ICINGプロジェクトからは草の根的に幾多のプロジェクトがパートナー間で既に生まれています。結果としてEU都市間の結束が固まり、EU全体の競争力の強化に繋がる訳です。

僕が関わっているもう一つのEUプロジェクトである、ロボットプロジェクト(URUS Project)ではその傾向というか、EUの戦略性はより明らかです。現在のロボット技術の強力なセンターは日本とアメリカだそうです。その2つの地域に比べて明らかに遅れを取っているのがヨーロッパ。そこでEUはEU各国からロボットのエキスパートを集めてコミュニケーション型ロボットを創るというEUプロジェクトを立ち上げました。ロボットを創ると言ってもロボットは色んなパーツや機能から成り立っているので各部分によってどの国のどの都市が優れているとかいう優劣があるわけです。その良い所取りをして最上級のロボットを創ろうというのが表の目的。

しかしですね、ココには明らかに裏の目的があるわけです。それは各国各都市でばらばらなプロトコルや基準、用いる言語などを今の内に統一して来る次世代ロボット戦争に備える為に、日本やアメリカに負けない強力なセンターを創り出そうという戦略が見えるわけですよ。一つの生産物を創り出すという目的に従って、定期的にミーティングを開き、技術的な問題を解決・EUで統一していく事に加えて、上述のような各国・各都市のコミュニケーションを促進する役割をも果たす、正に一粒で二度美味しい戦略。

こういう事って、紙の上に書かれた経過報告書やプロジェクトレポートといったオフィシャルな記録からは絶対に見えてこない事です。EUが正に結束を強めているこの時期に、日本人として、その中心に直にリアルタイムに関わる事が出来るというのは、この上ない幸せだなと思います。
| EUプロジェクト | 20:25 | comments(1) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
を知っているので、 " Googleの翻訳者"が存在する場合、ご意見ごキンダーように見える
です。
| Ratrapante | 2008/05/08 6:04 AM |
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