地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)の建築:コロニア・グエル(Colonia Guell)その4:プッチ・ボアーダ(Puig i Boada)とジョアン・マラガル(Joan Maragall):ガウディ新資料発見か!
さて、こんな魅力満載のコロニア・グエル教会堂なのですが、以前のエントリで書いたように、2年程前にどうしても欲しかったコロニア・グエルの本を古本屋で購入しました。表紙を一目見た時にその写真とデザインに惹き付けられてしまったんですね。それがコレ。



真っ黒の背景にモザイクがとても映えています。さて、この本を買って家に帰ってビックリ。表表紙の裏側に著者のサインとちょっとしたメッセージが載っているではありませんか!

Al meu nebot Joan Anton Maragall, filll de poeta que tant estima a Gaudi i al Temple, amb el major afecte

Puig Boada

「私の甥であり、ガウディとサグラダ・ファミリアをこよなく愛した詩人の息子、ジョアン・アントン・マラガルへ。
愛を込めて

プッチ・ボアーダ。」




これは知る人が読めばビックリの内容なんですね。先ず本書の著者であるボアーダさんというのはガウディの元コラボレーターであり、ガウディ研究の第一人者だった人。本文中にあるTemploというのを僕はサグラダ・ファミリアと訳しましたが、その理由はモデルニズモ時代を生きたある詩人が重要な詩を残しているからです。

"---A la part de Llevant, mistic exemple,
com una flor gegant floreix un temple
meraverllat d´haver nascut aqui,
entremig dúna gent tan sorruda i dolenta,
que se´n riu i flastoma i es baralla i sesventa
contra tot lo huma i lo divi.
Mes, enmig la miseria i la rabia i fumera,
El temple(tant se va!) s´alca i prospera
esperant uns fidels que han de venir.---"

Joan Maragall, Oda Nova a Barcelona Joan Maragall, 1909

「東の方に、神秘の神殿がある。
神殿は、そこに生まれたことを驚くかのように、
巨大な花のごとく咲き誇っている。
すべての人間的なもの、神に属するものを
嘲笑い、罵り、破壊する
粗野でよこしまな人々の中で、
また、貧困と、怒りと、煙の中で、
その神殿は(なんと素晴らしい!)そびえ立ち、咲き誇っている。
来るべき、信心深き人を待ちながら。
・・・」

(訳:ロバート・ヒューズ、田澤耕訳、バルセロナ、ある地中海都市の歴史、p495)

「新バルセロナ項歌」として知られているこの詩を書いた人物こそ、カタルーニャモデルニズモを引っ張っていたジョアン・マラガイ(Joan Maragall)という人物です。ジョアン・マラガイはガウディをこよなく愛していた事で知られていて、この詩の中に出てくるTemploとはサグラダ・ファミリアの事を指しているんですね。

これらを踏まえた上で先のメッセージをもう一度読むと、送り主であるボアーダさんはジョアン・マラガルの弟であるという事になります。更にこの本の所有者であった、ジョアン・アントン・マラガルさんはカタルーニャが生んだ大政治家、パスクアル・マラガル(Pasqual Maragall)の父親である可能性が高い。パスクアル・マラガルのおじいさんがジョアン・マラガルである事はよく知られているのですが、ジョアン・マラガルには13人の子供がいて、パスクアルの父親が誰なのかは知られていないんですね。(まあ、そんな事はどうでもいいんですが・・・)

まあ、ともかくもそんな経緯を辿った歴史ある書が日本人である僕の手元にあるというのは何とも不思議な感じがします。
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