地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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バルセロナ公共空間と歩行者空間計画
集まって住む事を「楽しみ」としてきた地中海都市においては限られた都市内における住宅不足とその狭さが伝統的に問題となってきました。都市の密度が高いというのは裏を返せばそこに住む市民が「集まって住む事の楽しさを知っている」からだとも言えるんですね。

勿論、限られた土地に集まって住む事は良い事ばかりとは限りません。市民がその狭さと質の悪さに我慢出来ているのは、ある意味、都市内における公共空間の質の高さとコインの裏表を成しているのだと思います。

家の中のリビングルームは狭いけど、目の前に広場があるとか、家の中には日が差し込まないけど、近くに日向ぼっこ出来る広場があるというように。これが第一に市民が都市に対して高い関心を持つ理由だと思います。自分の家の近くにある公共空間は居間と繋がっているのですから。だからそれが壊される時は勿論、少しでも手が加えられようものなら市民は先ず黙っていません。

さて、そんなバルセロナの公共空間に今一つの危機が訪れています。都市内における公共空間の圧倒的な量的不足によって子供達が遊ぶ場所が段々と失われていっているんですね。大変に嘆かわしい事にボールを持った子供達は車が通る道路で車を避けながらサッカーをしているというのが現状です。

「これほど都市の質の貧弱さを表わしている事象は無い」という事に立ち上がったのがバルセロナ市民。昨日から毎週日曜日は幾つかの街路を通行禁止にし、子供達と市民に公共空間として開放しようという試みが始まりました。

もともとこのような街路の使い方はお祭りなどで頻繁にされてはいたんですが、それを毎週日曜日とした所が今回の計画の画期的な所です。昨日は初日という事もあって地元の人は勿論、遠くから子供連れで訪れた親子も沢山居たようです。

さて、僕達が長い間提案し続け、グラシア地区で実施されたスーパーマンサーナ計画は正にこのような車に支配された街路を市民の公共空間に変える事を目的としています。詳しくはこちら

このグラシア計画はホンの始まりにすぎず、僕達が最終的に目指しているのはセルダブロックのある新市街地の歩行者空間化です。9つのブロックを1つの島として、その中に車は進入禁止にするという計画です。9つのブロックという事は1辺が3ブロックから成る訳ですが、この数の根拠は人が5分で歩ける距離が約400メートルだからです。400メートルを超えると人は車など他の交通手段を選ぶ傾向にあります。バス停の間隔って実はこういう理論に基ついているんですね。

このスーパーマンサーナ計画セルダブロック編は第一期が22@BCN地区で完了しつつあります。22@BCNは総計画が6期ほどに分かれているのですが、その第一期がヌーベルのアグバータワー(Torre Agbar)とそのお隣のポンペウ・ファブラ大学( Universidad Pompeu Fabra)周辺計画。ここの街区の街路は半歩行者空間になっているのですが、この計画を僕等が担当しました。まあ、なかなかうまく出来ていると思います。

今後、ヨーロッパ都市はどんどんと市内から車を減らしていく方向に進んでいくと思われます。勿論、車は都市の活力でもあるので完全に無くす事は出来ないのですが、その均衡をどのように図っていくかというのが一つの焦点になってくる事は先ず間違い無いと思われます。

その時、一番大事なのは都市に長期的ビジョンがあるかどうか?とそれを実行するだけの真剣さがあるかどうかという事ですね。
| バルセロナ都市計画 | 20:28 | comments(0) | trackbacks(0) | このエントリーをはてなブックマークに追加
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