地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ラファエロ・サンツィオ(Raffaello Sanzio):アテネの学堂(Scuola d'Atene)
前のエントリ、ジョン・エヴァレット・ミレイ(Sir John Everett Millais)の項でラファエロ前派について触れたので今日はラファエロについて少し書きたいと思います。

ラファエロはレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並ぶ盛期ルネサンスを代表する画家・建築家であり、イタリア・ルネサンス古典主義の完成者であると言われています。何故か?何故ならラファエロはダヴィンチやミケランジェロに始まるそれまでの芸術手法を統合・洗練して大変に柔和でバランス感覚に優れた様式を確立したからなんですね。それ故に19世紀までの長きに渡り西欧絵画の美の基準とされ強い影響を与え続けてきました。ミレイが関わっていたラファエロ前派(Pre-Raphaelite Brotherhood)は正にこのラファエロ以前に戻ろうとした運動であった事は以前に書いた通りです。

個人的な感想なんですが、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロが描いた絵画って何処か計算しつくされた正に科学に則った様な感じを受けます。よく知られているようにダ・ヴィンチなどは飛行機の設計図なども残していて科学にも精通していた正に万能人。Wikipediaによるとレオナルド・ダ・ヴィンチの項には:

レオナルド・ダ・ヴィンチ (Leonardo da Vinci, 1452年4月15日 - 1519年5月2日) は今日、イタリアのルネサンス期を代表する万能の天才として知られ、「万能人(uomo universale)(ウォモ・ウニヴェルサーレ)」とも呼ばれている。絵画、彫刻、建築、土木および種々の技術に通じ、極めて広い分野に足跡を残している。『最後の晩餐』や『モナ・リザ』などの精巧な絵画は盛期ルネサンスを代表する作品になっている。膨大な手稿(ノート)を残しており、その中には飛行機についてのアイデアも含まれていた。

ミケランジェロの項には:

ミケランジェロ・ブオナローティ(Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni, 1475年3月6日 - 1564年2月18日)は、イタリアルネサンス期の彫刻家、画家、建築家、詩人。名前はミカエル(Michael)と天使(angelo)を併せたもの。
西洋で最も巨大な絵画の一つとも言われるバチカンのシスティーナ礼拝堂の天井フレスコ画や『最後の審判』、パオリーナ礼拝堂にある『聖ペテロの磔刑』、『パウロの改宗』を描いたことでよく知られている。もともとは彫刻家であり、『ピエタ』や『ダビデ像』等の傑作のほかにも『バッカス』、『モーセ』、『ラケル』、『レア』などが有名である。バチカンの『サン・ピエトロ大聖堂』の設計者でもある。


とあります。こんな経歴の持ち主なので画風も自然と精確さを目指すようになったのかもしれませんね。反対に見ていて大変に「ほっ」とする印象を与えるのがラファエロの絵画。僕はどちらかというとラファエロのような絵画の方が好きです。どちらが良いとかどちらが優れているとかいう問題ではなくて単に趣味の問題だと思いますけどね。

2年前の秋にローマへ旅行した際、大変に感銘を受けたのがコレ:



言わずと知れたラファエロ作、「アテネの学堂」(Scuola d'Atene)。泣く子もだまるカトリックの総本山、ヴァチカン市国のヴァチカン宮殿に4部屋ある「ラファエロの間」のうちの一つ、「署名の間」を飾る壁画です。この壁画は1508年、教皇ユリウス2世の命を受けて制作したもので、当時ラファエロは20歳代半ばの若さだったそうです。この部屋はユリウス2世が署名や捺印をする為に使用していた部屋であった事から「署名の間」と呼ばれたそうです。ラファエロはこの部屋を囲む4つの壁面に「神学」、「法学」、「詩学」、「哲学」を現すフレスコ画を描きました。「アテネの学堂」はこのうち、「哲学」に対応するものとして制作されました。この「アテネの学堂」は同時期に制作されたミケランジェロの「システィーナ礼拝堂天井画」と共に、盛期ルネサンス古典様式の最高傑作の一つに数えられています。



主題は「人類の英知」っぽいですね。プラトン、アリストテレス、ソクラテスなど古代ギリシャ哲学者・科学者などの偉人を描いています。



「空間恐怖症」じゃないけれど「これでもか」と言わんばかりに余白を許さない膨大な数の芸術品に囲まれたヴァチカン宮の永遠に続く回廊の一角にこの間はありました。宮殿入り口から想像を絶する数の大変に重々しい芸術作品群を見続けてきたせいか、最初にこの絵を見た時、大変に軽くポップな印象を受けたのを覚えています。そしてそれが大変にショックでした。これが500年も前に描かれた絵画なのかと・・・。



中央に描かれているのはプラトンとアリストテレスです。向かって左がプラトンで右側がアリストテレス。ルネサンス芸術が古代ギリシャ時代と比肩するものである事を表現する為に用いたプラトンのモデルは、彼が最も尊敬していたレオナルド・ダ・ヴィンチであると言われています。何故ならプラトンは新しい哲学の先駆者であり、ダヴィンチも美術の歴史を変えた人物だからだそうです。故にこの絵の中心的存在であるプラトンのモデルはダヴィンチ以外には考えられなかったというわけです。



長い間、アリストテレスのモデルはミケランジェロだと考えられていました。しかし最近では画面中央下の方で頬杖をついているヘラクレイトスがミケランジェロとされているようです。

ココには大変に面白い物語が横たわっています。ミラノはアンブロジアーナ絵画館にある「アテナの学堂」の下絵には当初ヘラクレイトスは描かれていませんでした。つまりこのヘラクレイトスは予定に組み込まれていたのではなく、急遽描きこまれる事になったんですね。更にこのヘラクレイトスだけ他の絵に用いられているタッチとは全く違うタッチで描かれているそうです。どんなタッチかというと明らかにミケランジェロを意識したタッチだとか・・・

このような事からラファエロはミケランジェロによる完成前のシスティーナ礼拝堂を見て大変な感銘を受け、ミケランジェロに対する尊敬の念を現す為に急遽描きこんだという説があるそうです。天才と天才の競演。なんてロマンチックなんだろう。

ラファエロは後にこのような言葉を残しています。

「我らの時代こそ、かつて最も偉大だった古代ギリシャの時代と肩を並べるほど素晴らしい時代なのだ」  ラファエロ

自分が生きていた時代をこのように誇る事の出来る人生。そしてそれを表現する事を仕事として生きたラファエロからは人生の教訓のようなものを学んだような気がします。僕も常にこうありたいものです。
| 旅行記:美術 | 19:59 | comments(4) | trackbacks(35) | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
学童?
 
2008.01.20 Sunday
ラファエロ・サンツィオ(Raffaello Sanzio):アテネの学童(Scuola d'Atene)
http://blog.archiphoto.info/?eid=546097
| pueblo | 2008/10/18 5:45 PM |
puebloさん、ご指摘ありがとうございます。
早速直しました。
| cruasan | 2008/10/18 6:42 PM |
ありがとうございます
テストにでるんでためになりました
| ふら | 2009/05/26 5:10 AM |
ふらさん、コメントありがとうございます。
僕のエントリがお力になれるのならば、この上無い喜びなのですが、一応、専門書などで確認をされる事をお勧めします。書いている事には最善の注意を払っているつもりですが、もしかしたら書き間違え、記憶違いによる誤りなどが数多く含まれていると思いますので。
テストがんばってください。
| cruasan | 2009/05/28 8:33 PM |
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