地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ロンドン旅行その4:Norman Foster (ノーマン・フォスター) の建築その2:スイス・リ本社ビル

ロンドン中心街の古い金融街に2000年に登場したスイス・リ本社ビルはロンドンのスカイラインを大きく変え街の新しいイコンの一つに躍り出ました。その宣伝効果は抜群でこんなケーキも登場するくらい。



なんでも巨大なピクルスのようだと言う事で「ガーキン」というあだ名も既にあるそうです。既にロンドン市民の心の風景の中に溶け込んでいるかのように見えます。これこそ建築の醍醐味。一般市民の心の心象風景に影響を与える事の出来る芸術形態:建築。

高層ビルをデザインする時には大きく3つの方向性があると思います。一つは外壁に装飾等を施していくタイプ。ロッシとかボッタとかがよくやるビルディングタイプですね。二つ目はガラスなどで幻想性を追及していくタイプ。今流行の伊東・妹島さん路線。三つ目が構造体を表に出してデザインをしていくタイプ。フォスターの東京センチュリータワーがこのタイプですね。これらの分類に収まりきらない時というのは、その多くがこの3つの内のどれかのコンビネーションになっている可能性が高いです。例えば仙台メディアテークというのは2と3(1も少し入っている)のコンビという感じで。

さて、フォスターのスイス・リ本社ビルの場合も1,2,3のコンビネーションによってなりたっているように思います。このビルの肝であり最も重要な部分はその単純明快なデザインシステムにあるように思います。



4辺を有した縦長の菱形が基本形でそれが構造体としても機能している。その大きな菱形の中に16個の小さな菱形がガラス割りで入っている。



これがこのビルのデザインの全てであり、この菱形を中心にデザインを洗練させていく事によってこのビルは成り立っています。こういうデザイン手法は大変に巧いと言わざるを得ない。個から入っていって全体にいくというヤツですね。

このように大型の建築をデザインする時ほど気を付けないといけないのが細部。何故なら往々にして大型建築というのはヒューマンスケールを失いがちになるからなんですね。そこはさすがサー・ノーマン・フォスター。良く分かっている。この足元周り。



構造体の先っぽ10センチ程を爪のように外に出すデザインで建物にシャープさを与えている。更に品位を失わないように気を配りつつ、シャープさを際立たせるように御影石を用い三角形を基調としたデザイン。



このデザイン、どっかで見た事あるよなー、とか思ってたら渡辺先生がやった幕張の2階ホールにあるデザインっぽいですよね。さすが渡辺先生!



メインエントランスはお約束通り2層吹き抜けで拡張の高い建物だと言う事を強調している。その切り取り方も全体の法則に従って菱形を基調としている。



外装ガラスには2種類のガラスを使用し均質になりがちな表層に動きを与えている。それも基調の菱形に従ってドリル型に。この色の違うガラスに沿って内部には吹き抜けが配置されており空調・換気を効率的にしエネルギー低減に効果的だとか。

(少し余談ですが21世紀は間違い無く環境の世紀になります。というかなっています。建築にもその波は押し寄せていて既に都市計画関係では環境やサステイナビリティに言及しないとプロジェクトが通らないような状況にさえなっています。逆に言うとそのような状況を逆手に取る建築家も今後少なからず登場するだろう状況が予想されるんですね。つまり「環境」を隠れ蓑にしてくだらないデザインをするだろう者達が。もしくはそこまでいかなくても「環境に配慮している」と言う事が自身のデザインを「擁護/理屈付ける」最後の砦になる世紀に入ってきている。そんな状況下でここまでデザインと環境を融合させた建築をやられてしまったら今度どんな建築を創っていけば良いのだろうと途方にはくれませんか?)

全てのデザインが一つの法則に従ってデザインされ、それが全体を構成する所まで昇華されている。大変に見事且つ美しいデザインだと思います。

大型建築ばかりやっている感のあるフォスター事務所ですが小さい物件に細心のディテールを詰め込んだ作品もやっています。



それがこの「サックラー・ギャラリー(Sackler Gallery)」。歴史あるロイヤル・アカデミーの中に位置するこのギャラリーは、石造の古い2つの建物の5メートル程の間に創られました。一階受付を奥へと進み右手に曲がると暗いカフェが現れます。そこに備え付けられているエレベータを使って3階まで上がると風景は一変し、白乳ガラスで覆われた大変に優しい光に包まれた空間に辿り着きます。薄暗い下階からこの空間への到達はかなりドラマチック。







空間の構成としては天井を半分余りで区切ってそこからガラスのトップライト−サイドライトへと繋げていく。リズミカルに並んだ柱梁から伸びる一本のスジが天井を伝い逆側の壁へと伸びている。右手側に彫刻を見ながら歩いていくと下階へと降りていく階段。その向こうに右手側に大理石の椅子と視線のストッピングには白乳ガラスを用いている。色使いはガラスの白っぽい透明色、構造体の白、階段手すりの銀色、そして階段についている薄緑色のガラス。それらの色彩が空間に品位を与えている。それら全ての構成要素がある種のハーモニーを生み出し、この空間に格別な質を与えている。

この小さな空間は今まで見たフォスター建築とは又違った魅力を備えていました。
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