2007.10.29 Monday
ビルバオ・グッゲンハイム効果とジェントリフィケーション
先週の新聞にビルバオ・グッゲンハイムによる都市再生の可能性に関する記事が掲載されていました。というのもグッゲンハイム美術館が出来てから今年で10年と言う事で最近カンファレンスなどが頻繁に行われているんですね。
ビルバオと言う都市はスペイン北部のバスク地方に位置する工業都市です。ビルバオが当時どのくらいひどい状態だったか、環境と経済を同時に解決せざるを得ない状況の中でどのような解決策を強いたかについては岡部さんが詳しく書かれています。
手短に言っちゃうと、ビルバオはカタルーニャと同様に都市戦略上に自らを載せる事によって前者が地中海の弧の中心になったように、ビルバオはポルトガルからフランスへと続く大西洋の弧の中心になりつつその二つの弧を繋ぐ役割も果たしちゃおうという、一口で二度おいしい戦略を考え付いたんですね。ちなみにその当時の頭脳はアフォンソ・ベガラさん。そんなこんなでゲーリーに美術館を頼む事になってその後の成功劇は日本でも良く紹介されている通りです。
新聞には2006年度の経済効果が詳しく載っていたのでちょっと紹介しておきます。先ず、レストランやバーにおける食べ物関係には95,446,752ユーロ。買い物関係には29,837,656ユーロ。ホテルやペンション関連、47,186,079ユーロ。交通関係、13,703,044ユーロ。演劇や映画などには22,031,343ユーロ。占めて208,204,874ユーロの経済効果があったと言う事です。
グッゲンハイムに対する初期投資が72,000,000ユーロである事を考えるとビルバオ都市はものすごい安い買い物をした事になりますね。
それらの効果を認めつつ、記事には絶対に載らない事をココに書きたいと思います。直に言っちゃうとジェントリフィケーションに関する事です。グッゲンハイムが建ってる所って中心市街地で最も疲弊していた所。と言う事はヨーロッパの典型的な貧困街・スラム街だった所と考えて良いと思います。その人達ってどうなったんでしょうか?バルセロナの場合のように強制的に書類にサインさせられて都市外へと送られたんでしょうか?違法移民などはともかく、合法的に住み着いていた人は上記のようなグッゲンハイム効果によって確実にそこには住めないと思うのですが・・・。
日本ではよくヨーロッパが進んでいて日本が遅れているという先入観からヨーロッパ都市があたかも絶対正義のように語られる事がしばしばです。グッゲンハイムはその典型的な例だと思います。物事には必ず2つの面があると思うのでその負の面も見ないとダメだと思うんですよね。美術館を建てただけで疲弊都市が蘇るなんてそんな巧い話がある話があるわけが無い。日本ではそれが誇張されすぎだと思います。
更に言っちゃうならバスク地方の環境政策において最も進んでいるのはビルバオではなくビトリアだと思います。前者がクローズアップされて後者がされないのは美術館という分かり易いイコンがあるためにメディア受けし易いからでしょうね、絶対。
コレこそ我々の時代における建築のあるべき姿であり、唯一の建築が建築足り得る定義だと思います。つまり広告としての建築。
ビルバオと言う都市はスペイン北部のバスク地方に位置する工業都市です。ビルバオが当時どのくらいひどい状態だったか、環境と経済を同時に解決せざるを得ない状況の中でどのような解決策を強いたかについては岡部さんが詳しく書かれています。
手短に言っちゃうと、ビルバオはカタルーニャと同様に都市戦略上に自らを載せる事によって前者が地中海の弧の中心になったように、ビルバオはポルトガルからフランスへと続く大西洋の弧の中心になりつつその二つの弧を繋ぐ役割も果たしちゃおうという、一口で二度おいしい戦略を考え付いたんですね。ちなみにその当時の頭脳はアフォンソ・ベガラさん。そんなこんなでゲーリーに美術館を頼む事になってその後の成功劇は日本でも良く紹介されている通りです。
新聞には2006年度の経済効果が詳しく載っていたのでちょっと紹介しておきます。先ず、レストランやバーにおける食べ物関係には95,446,752ユーロ。買い物関係には29,837,656ユーロ。ホテルやペンション関連、47,186,079ユーロ。交通関係、13,703,044ユーロ。演劇や映画などには22,031,343ユーロ。占めて208,204,874ユーロの経済効果があったと言う事です。
グッゲンハイムに対する初期投資が72,000,000ユーロである事を考えるとビルバオ都市はものすごい安い買い物をした事になりますね。
それらの効果を認めつつ、記事には絶対に載らない事をココに書きたいと思います。直に言っちゃうとジェントリフィケーションに関する事です。グッゲンハイムが建ってる所って中心市街地で最も疲弊していた所。と言う事はヨーロッパの典型的な貧困街・スラム街だった所と考えて良いと思います。その人達ってどうなったんでしょうか?バルセロナの場合のように強制的に書類にサインさせられて都市外へと送られたんでしょうか?違法移民などはともかく、合法的に住み着いていた人は上記のようなグッゲンハイム効果によって確実にそこには住めないと思うのですが・・・。
日本ではよくヨーロッパが進んでいて日本が遅れているという先入観からヨーロッパ都市があたかも絶対正義のように語られる事がしばしばです。グッゲンハイムはその典型的な例だと思います。物事には必ず2つの面があると思うのでその負の面も見ないとダメだと思うんですよね。美術館を建てただけで疲弊都市が蘇るなんてそんな巧い話がある話があるわけが無い。日本ではそれが誇張されすぎだと思います。
更に言っちゃうならバスク地方の環境政策において最も進んでいるのはビルバオではなくビトリアだと思います。前者がクローズアップされて後者がされないのは美術館という分かり易いイコンがあるためにメディア受けし易いからでしょうね、絶対。
コレこそ我々の時代における建築のあるべき姿であり、唯一の建築が建築足り得る定義だと思います。つまり広告としての建築。