2015.08.01 Saturday
磯崎新さん設計によるア・コルーニャ人間科学館(DOMUS)
暑い、非常に暑い!前回のエントリで書いた様に(スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくりのイノベーション(横浜))、現在ヨーロッパにはアフリカからの熱波が押し寄せて来ていて、スペイン内陸部では連日40度を越す猛暑が続いています(ニュースでは38度とか言ってるけど、あれは日陰で測った温度です)。
街路に掲げられている温度計(43度!)も暑すぎて壊れてるっぽい(苦笑)。「ヨーロッパは乾燥してるから、暑くてもジメジメしてないんだよねー」という、間違ったイメージを持ってバルセロナに来る観光客のかたが非常に多いのですが、バルセロナは海に面していることもあり、意外と「ジメッ」としています。以前京都から来た友人が「バルセロナって京都よりも湿度高いかも」と汗ダラダラになりながら苦笑いしていたのを思い出しますねー。
そんな酷暑の中、所用の為にア・コルーニャに行ってきました。スペイン北西部に位置するア・コルーニャ市は、真夏といえどもそれほど気温が上がらず、最高でも25度から27-8度程度と、非常に過ごし易い気候で知られているんですね。
また市内には、ユネスコ世界遺産に登録されているヘラクレスの塔(ローマ時代に作られた灯台)があることなどから、世界遺産大好きな日本人観光客のみなさんにも比較的馴染み深い都市となっているのでは?と思われます。
その一方、我々建築家にとって「ア・コルーニャ」といえば、やはりコチラかな:
そう、泣く子も黙る日本が生んだスーパースター、磯崎新さん(建築家)が設計されたア・コルーニャ人間科学館(ドムス:Domus)です。完成は1995年なので、ちょうど磯崎さんがパラウ・サン・ジョルディ(バルセロナオリンピックのメイン会場)を完成されて、「これからヨーロッパでガンガン建築を創っていくぞー」と息を巻いていた頃だと思われますね。
この建築が建っているのは、「大西洋のテラス」と形容出来そうな最高のロケーション!イメージとしては、僕が小学生くらいの時にテレビで放送していた「メイプルタウン物語」に出てきそうな街、、、というところでしょうか(笑)。
←ちなみにあのアニメ、第二弾が「パームタウン編」とかいって、「メイプルタウンとさっぱり関係ないじゃん!」と、子供心に思っていました(笑)。更に更に、なんでパームタウンに行く事になったかというと、主人公(うさぎ)の従兄弟がその街に住んでるからっていう設定だったんだけど、その従兄弟、犬なんですよね(笑)。しかも猫のギャングに虐められる‥‥っていう不思議な設定(笑)。
↑↑↑はい、どうでもいい豆知識終わりww
さて、海岸線沿いに降りてみると、カーブを描くビーチの何処からでもこの建築が目に入ってくることから、「この建築は、この街のシンボルになるように期待された」と、そう読み取る事が出来ます。
‥‥僕がこの街を初めて訪れたのは今から14年も前のこと、丁度オポルトに住み始め、シザの建築を見て回っていた頃だったと思います。「青春18切符ヨーロッッパ版」みたいなのを買って、ポルトガルやスペインを始め、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、イタリアなどの建築や街を見て回っていた時に、乗り換えの都合でたまたま立ち寄ったのが、このア・コルーニャという都市でした。
ただ当時は(乗り換えの為に)あまり時間が無く、街を一回りするだけで精一杯。磯崎さんのドムスも海岸側からチラッと見て、写真を1−2枚撮るだけに留まっていました。
しかしですね、今回の滞在で改めてこの建築をジックリと観察してみてビックリ!そのデザインの質の高さに驚いてしまったという訳なのです!!
そんな素晴らしい建築、先ずは、海岸側から眺めてみます:
全身に風を受けて立つ帆のイメージでしょうか、、、。目の前に広がる海岸の緩いカーブに沿って建てられた、非常に素直な形態です。そして大変特徴的な緑色のファサード、これはこの辺りで取れるスレートだそうです。
海岸線を背にしつつ、大階段の右手奥にそっと設えられた階段を登ってみます:
この小階段は大階段に対して直角方向に付いていることから、先ずは「ファサードに向かって」ではなく、「ファサードと平行方向に」歩かされます。
←ここ、重要!
左手側には海岸線、そこから更に右手方向に半転(90度)させられ、ここで再びファサードとご対面〜:
そして大階段を登り切ったポイントから振り返るとこの風景:
うーん、絶景かな、絶景かな。ここでちょっと上の方を見上げてみます:
これがファサードを構成する緑色のスレートのディテール。石を長方形にカットしておいて、それを一枚一枚丁寧に貼り付けているのが見て取れます。スペインとは思えない非常に丁寧な仕事、そしてそれを実現する技術力、、、といったら言い過ぎでしょうか?(苦笑)
そんなことを思いつつ、更に階段を登っていくとエントランスホールに導かれます。
海岸線から大階段、そしてエントランスへと、「これがこの建築の基本的なアプローチ空間の構成かなー」とか思ってたら、ここで大どんでん返し!!!
エントランスホールを左手に見ながらそのまま真っ直ぐ進むと裏通りに出るのですが、この建築の裏側、そこのデザインが凄かったのです!
表側の「緩いカーブ」とは対照的な「ジグザグ」を基本としたファサード、ちょうど屏風の様な形になっているんですね。ちょっと左方向に歩いて行ってみます:
うーん、ジグザグです(笑)。次は右手方向に歩いて行ってみます:
やっぱりジグザグ(笑)。しかもなんだか、「ジグ」と「ザグ」を繋いでいる直線部分が間延びしてたりして、ちょっとカッコ悪い、、、。
一番端っこまで行くと、そこから表側に回れるようになっていて、そちら側にはレストランが設えられていました。
この視点から見る空の切り方は秀逸。更に更に、端の切り方はもっと秀逸:
真横にビヨーンと伸びた形態って、その端の切り方でその建築の質が変わってくると思うんだけど、この納め方は非常に美しいですね。そしてここからもう一度裏側へ戻ろうとした時、事件は起こりました!それがこちらです:
な、なんと、先ほど見た伸び伸びでカッコ悪すぎた一つ一つのジグザグ、それらが重なり合うことによって「襞」を創り出し、この上ない風景を出現させていたのです!
す、素晴らしいの一言!
この様なデザインは、(1)我々人間の眼が地上から150cmくらいのところに付いている、(2)人間とはその様な眼を持って空間内を歩き回る存在である、ということが十分に解ってないと出来るデザインではないと思います。
「な、何をそんな当たり前のことを、、、」と思われるかも知れませんが、これが意外と難しいんだなー。そしてこの様な襞を創り出しているということは、この建築の一番の見所、そのパースペクティブを常に意識してデザインしているということでもあるんですね。
この様な手法を用いて創られた非常に優れた建築としては、ラペーニャ&エリアス・トーレスがデザインしたトレドのエスカレーターがあるかと思われます(マドリッド旅行その4:ラペーニャ&エリアス・トーレス(Jose Antonio Martinez Lapena and Elias Torres)の建築その1)。
色んな方向を向いたエスカレーターが折り重なることによって襞を創り出し、更に適切な天井操作と相まって素晴らしくカッコイイ風景を創り出しています。が、しかし、それを反対側から見るとこんな感じに見えちゃいます:
ほらね、間延びしててカッコ悪いでしょ(笑)。しかしですね、こんな間延びすらデザインにしてしまったのが、何を隠そう我らがアルヴァロ・シザだったりするんですね:
シザのこの住宅、真正面から見ると襞が重なり合って非常にカッコイイ風景を創り出しているのですが、それを真横から見るとこんな感じ:
上の2作品と同様に確かに間延びしてるんだけど、このシザの建築の場合は、この間延びが、あたかもポルトガルの「ゆったりと流れる時間」のような社会文化を表象しているかのようですらあるのです!正にシザ・マジック!
‥‥僕は思うのですが、はやり建築というのは、「その地域に住んでいる人達が心の中で思い描いていながらも、なかなか形に出来なかったもの、それを一撃のもとに表す行為である(槇文彦)」‥‥と。そしてそういう能力を兼ね備えた人のこと、無意識の内にもデザインからその様な片鱗が見えてしまうものを創り出してしまう人のことをこそ、我々は建築家と呼ぶのだと‥‥。
あー、また脱線してしまった、、、。
さて、今回の磯崎さんの建築デザインなのですが、この様な「ジグザグ形態による襞」というかけがえのないアイデアを中心とした、「裏側のデザイン」を知った上で、「表側のデザイン」を見ると、また違った意味合いが出てくるから不思議です。
大西洋の風を全身で受け止めながら市内の一等地に建っているこの建築のファサードは様々なメディアに取り上げられ、「ア・コルーニャの顔」ともいうべきシンボルとなってはいるのですが、上述の形態操作などを見るにつけ、今まで「表」だと思っていたこちら側が、実は「裏側」なんじゃないか、、、という気すらしてくるんですね。
エントランスの扱い方を見るに付け、この思いはより一層強くなっていきます。
先ほどの襞が一番カッコよく見えるポイントから少し坂を登っていくとこの建築のエントランスにぶつかるのですが、進行方向に向かって門が少し「ハスに構えている」のが見て取れます:
そして言われるがままに歩いて行ってみます:
向こう側にはパッと開ける視界が少しだけ右側に曲がりながら開けているのを見ることが出来るんですね。
つまりこうすることによって、螺旋状の動きを作り出し、その流れに沿って自然にエントランスに導かれる‥‥という流れを作り出しているのです!入り口を入ったところがコチラ:
2層分吹き抜けの大変気持ちの良いエントランス空間の登場〜。ちなみに内部空間はこんな感じ:
‥‥どちらが表でどちらが裏なのか分からない、、、はたまた表はやはり表であって、でも裏側から見たときはそれが表になって、、、と考えれば考えるほど、なんか磯崎さんの術中にはまり、ひいては彼の掌の上でチョロチョロと遊ばされているだけだった、、、ということになるという、、、なんか、そんな色んなことを考えさせられる建築であることは間違いありません。
素晴らしい建築体験でした!
追記:
ア・コルーニャを訪れる楽しみの一つは大西洋が育む豊富な海産物です。そんな中でもガリシア風タコ煮は絶品!市内でも1、2を争うと言われるレストランがスペイン広場にあるんだけど、その名もA Pulpeira de Melide(メリデ村から来たタコ煮職人の家(笑))!
ここのタコ煮は絶品です。柔らかすぎす、かと言って固すぎず、厚さも適切にカットされている極上の逸品に仕上っています。
マテ貝も頼んでみたのですが、コチラも素晴らしい逸品でした!こんなに身がプリプリのマテ貝は珍しい。
食後のデザートはコチラで:
ア・コルーニャを本店とするチューロスの名店、Bonilla a la vista! 程よい甘さのホットチョコレートを揚げたてのチューロスにつけて食べると、もう最高〜。
建築探訪と共に、食事も最高のア・コルーニャ訪問でした。
街路に掲げられている温度計(43度!)も暑すぎて壊れてるっぽい(苦笑)。「ヨーロッパは乾燥してるから、暑くてもジメジメしてないんだよねー」という、間違ったイメージを持ってバルセロナに来る観光客のかたが非常に多いのですが、バルセロナは海に面していることもあり、意外と「ジメッ」としています。以前京都から来た友人が「バルセロナって京都よりも湿度高いかも」と汗ダラダラになりながら苦笑いしていたのを思い出しますねー。
そんな酷暑の中、所用の為にア・コルーニャに行ってきました。スペイン北西部に位置するア・コルーニャ市は、真夏といえどもそれほど気温が上がらず、最高でも25度から27-8度程度と、非常に過ごし易い気候で知られているんですね。
また市内には、ユネスコ世界遺産に登録されているヘラクレスの塔(ローマ時代に作られた灯台)があることなどから、世界遺産大好きな日本人観光客のみなさんにも比較的馴染み深い都市となっているのでは?と思われます。
その一方、我々建築家にとって「ア・コルーニャ」といえば、やはりコチラかな:
そう、泣く子も黙る日本が生んだスーパースター、磯崎新さん(建築家)が設計されたア・コルーニャ人間科学館(ドムス:Domus)です。完成は1995年なので、ちょうど磯崎さんがパラウ・サン・ジョルディ(バルセロナオリンピックのメイン会場)を完成されて、「これからヨーロッパでガンガン建築を創っていくぞー」と息を巻いていた頃だと思われますね。
この建築が建っているのは、「大西洋のテラス」と形容出来そうな最高のロケーション!イメージとしては、僕が小学生くらいの時にテレビで放送していた「メイプルタウン物語」に出てきそうな街、、、というところでしょうか(笑)。
←ちなみにあのアニメ、第二弾が「パームタウン編」とかいって、「メイプルタウンとさっぱり関係ないじゃん!」と、子供心に思っていました(笑)。更に更に、なんでパームタウンに行く事になったかというと、主人公(うさぎ)の従兄弟がその街に住んでるからっていう設定だったんだけど、その従兄弟、犬なんですよね(笑)。しかも猫のギャングに虐められる‥‥っていう不思議な設定(笑)。
↑↑↑はい、どうでもいい豆知識終わりww
さて、海岸線沿いに降りてみると、カーブを描くビーチの何処からでもこの建築が目に入ってくることから、「この建築は、この街のシンボルになるように期待された」と、そう読み取る事が出来ます。
‥‥僕がこの街を初めて訪れたのは今から14年も前のこと、丁度オポルトに住み始め、シザの建築を見て回っていた頃だったと思います。「青春18切符ヨーロッッパ版」みたいなのを買って、ポルトガルやスペインを始め、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、イタリアなどの建築や街を見て回っていた時に、乗り換えの都合でたまたま立ち寄ったのが、このア・コルーニャという都市でした。
ただ当時は(乗り換えの為に)あまり時間が無く、街を一回りするだけで精一杯。磯崎さんのドムスも海岸側からチラッと見て、写真を1−2枚撮るだけに留まっていました。
しかしですね、今回の滞在で改めてこの建築をジックリと観察してみてビックリ!そのデザインの質の高さに驚いてしまったという訳なのです!!
そんな素晴らしい建築、先ずは、海岸側から眺めてみます:
全身に風を受けて立つ帆のイメージでしょうか、、、。目の前に広がる海岸の緩いカーブに沿って建てられた、非常に素直な形態です。そして大変特徴的な緑色のファサード、これはこの辺りで取れるスレートだそうです。
海岸線を背にしつつ、大階段の右手奥にそっと設えられた階段を登ってみます:
この小階段は大階段に対して直角方向に付いていることから、先ずは「ファサードに向かって」ではなく、「ファサードと平行方向に」歩かされます。
←ここ、重要!
左手側には海岸線、そこから更に右手方向に半転(90度)させられ、ここで再びファサードとご対面〜:
そして大階段を登り切ったポイントから振り返るとこの風景:
うーん、絶景かな、絶景かな。ここでちょっと上の方を見上げてみます:
これがファサードを構成する緑色のスレートのディテール。石を長方形にカットしておいて、それを一枚一枚丁寧に貼り付けているのが見て取れます。スペインとは思えない非常に丁寧な仕事、そしてそれを実現する技術力、、、といったら言い過ぎでしょうか?(苦笑)
そんなことを思いつつ、更に階段を登っていくとエントランスホールに導かれます。
海岸線から大階段、そしてエントランスへと、「これがこの建築の基本的なアプローチ空間の構成かなー」とか思ってたら、ここで大どんでん返し!!!
エントランスホールを左手に見ながらそのまま真っ直ぐ進むと裏通りに出るのですが、この建築の裏側、そこのデザインが凄かったのです!
表側の「緩いカーブ」とは対照的な「ジグザグ」を基本としたファサード、ちょうど屏風の様な形になっているんですね。ちょっと左方向に歩いて行ってみます:
うーん、ジグザグです(笑)。次は右手方向に歩いて行ってみます:
やっぱりジグザグ(笑)。しかもなんだか、「ジグ」と「ザグ」を繋いでいる直線部分が間延びしてたりして、ちょっとカッコ悪い、、、。
一番端っこまで行くと、そこから表側に回れるようになっていて、そちら側にはレストランが設えられていました。
この視点から見る空の切り方は秀逸。更に更に、端の切り方はもっと秀逸:
真横にビヨーンと伸びた形態って、その端の切り方でその建築の質が変わってくると思うんだけど、この納め方は非常に美しいですね。そしてここからもう一度裏側へ戻ろうとした時、事件は起こりました!それがこちらです:
な、なんと、先ほど見た伸び伸びでカッコ悪すぎた一つ一つのジグザグ、それらが重なり合うことによって「襞」を創り出し、この上ない風景を出現させていたのです!
す、素晴らしいの一言!
この様なデザインは、(1)我々人間の眼が地上から150cmくらいのところに付いている、(2)人間とはその様な眼を持って空間内を歩き回る存在である、ということが十分に解ってないと出来るデザインではないと思います。
「な、何をそんな当たり前のことを、、、」と思われるかも知れませんが、これが意外と難しいんだなー。そしてこの様な襞を創り出しているということは、この建築の一番の見所、そのパースペクティブを常に意識してデザインしているということでもあるんですね。
この様な手法を用いて創られた非常に優れた建築としては、ラペーニャ&エリアス・トーレスがデザインしたトレドのエスカレーターがあるかと思われます(マドリッド旅行その4:ラペーニャ&エリアス・トーレス(Jose Antonio Martinez Lapena and Elias Torres)の建築その1)。
色んな方向を向いたエスカレーターが折り重なることによって襞を創り出し、更に適切な天井操作と相まって素晴らしくカッコイイ風景を創り出しています。が、しかし、それを反対側から見るとこんな感じに見えちゃいます:
ほらね、間延びしててカッコ悪いでしょ(笑)。しかしですね、こんな間延びすらデザインにしてしまったのが、何を隠そう我らがアルヴァロ・シザだったりするんですね:
シザのこの住宅、真正面から見ると襞が重なり合って非常にカッコイイ風景を創り出しているのですが、それを真横から見るとこんな感じ:
上の2作品と同様に確かに間延びしてるんだけど、このシザの建築の場合は、この間延びが、あたかもポルトガルの「ゆったりと流れる時間」のような社会文化を表象しているかのようですらあるのです!正にシザ・マジック!
‥‥僕は思うのですが、はやり建築というのは、「その地域に住んでいる人達が心の中で思い描いていながらも、なかなか形に出来なかったもの、それを一撃のもとに表す行為である(槇文彦)」‥‥と。そしてそういう能力を兼ね備えた人のこと、無意識の内にもデザインからその様な片鱗が見えてしまうものを創り出してしまう人のことをこそ、我々は建築家と呼ぶのだと‥‥。
あー、また脱線してしまった、、、。
さて、今回の磯崎さんの建築デザインなのですが、この様な「ジグザグ形態による襞」というかけがえのないアイデアを中心とした、「裏側のデザイン」を知った上で、「表側のデザイン」を見ると、また違った意味合いが出てくるから不思議です。
大西洋の風を全身で受け止めながら市内の一等地に建っているこの建築のファサードは様々なメディアに取り上げられ、「ア・コルーニャの顔」ともいうべきシンボルとなってはいるのですが、上述の形態操作などを見るにつけ、今まで「表」だと思っていたこちら側が、実は「裏側」なんじゃないか、、、という気すらしてくるんですね。
エントランスの扱い方を見るに付け、この思いはより一層強くなっていきます。
先ほどの襞が一番カッコよく見えるポイントから少し坂を登っていくとこの建築のエントランスにぶつかるのですが、進行方向に向かって門が少し「ハスに構えている」のが見て取れます:
そして言われるがままに歩いて行ってみます:
向こう側にはパッと開ける視界が少しだけ右側に曲がりながら開けているのを見ることが出来るんですね。
つまりこうすることによって、螺旋状の動きを作り出し、その流れに沿って自然にエントランスに導かれる‥‥という流れを作り出しているのです!入り口を入ったところがコチラ:
2層分吹き抜けの大変気持ちの良いエントランス空間の登場〜。ちなみに内部空間はこんな感じ:
‥‥どちらが表でどちらが裏なのか分からない、、、はたまた表はやはり表であって、でも裏側から見たときはそれが表になって、、、と考えれば考えるほど、なんか磯崎さんの術中にはまり、ひいては彼の掌の上でチョロチョロと遊ばされているだけだった、、、ということになるという、、、なんか、そんな色んなことを考えさせられる建築であることは間違いありません。
素晴らしい建築体験でした!
追記:
ア・コルーニャを訪れる楽しみの一つは大西洋が育む豊富な海産物です。そんな中でもガリシア風タコ煮は絶品!市内でも1、2を争うと言われるレストランがスペイン広場にあるんだけど、その名もA Pulpeira de Melide(メリデ村から来たタコ煮職人の家(笑))!
ここのタコ煮は絶品です。柔らかすぎす、かと言って固すぎず、厚さも適切にカットされている極上の逸品に仕上っています。
マテ貝も頼んでみたのですが、コチラも素晴らしい逸品でした!こんなに身がプリプリのマテ貝は珍しい。
食後のデザートはコチラで:
ア・コルーニャを本店とするチューロスの名店、Bonilla a la vista! 程よい甘さのホットチョコレートを揚げたてのチューロスにつけて食べると、もう最高〜。
建築探訪と共に、食事も最高のア・コルーニャ訪問でした。