地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくりのイノベーション(横浜)
暑い、、、とにかく暑い!先週、今週とヨーロッパ全土にアフリカからの熱波が押し寄せてるらしく、バルセロナ市内では連日猛暑が続いています。



なんか、サグラダファミリアも燃えてるっぽい、、、(笑)。

さて、夏本番に向け暑さが益々強くなってくる今日この頃ではあるのですが、8月8日の土曜日、「スマートシティとオープンデータ:データ活用によるまちづくり」と題したシンポジウムを横浜(横浜情文センター)にて開催します。
←上のリンクが参加登録ウェブとなっています。

「え、え、‥‥オープンデータってなに?、、、美味しいの???」とか思った、そこのあなた!!正しい反応です(笑)。



専門家ならまだしも、日本国民の大多数の人達は、「オープンデータという言葉すら聞いたことがない」というのが実情だと思います。

では一体、オープンデータとは何なのか?

Open Definitionによると、「オープンデータとは、自由に使えて再利用もでき、かつ誰でも再配布できるようなデータのことだ。従うべき決まりは、せいぜい「作者のクレジットを残す」あるいは「同じ条件で配布する」程度である」と書いてあります。

分かりやすい例えで言うと、「市役所なんかが持ってるんだけど、いままでは利用出来なかった各種データをウェブ上に公開していこう」‥‥というイメージで良いかなと思います(例えばコチラ:地中海ブログ:バルセロナ:オープンハウス2013:その地域に建つ建築(情報)をオープンにしていくということ)。



 「なるほどー。行政が一方的に囲い込んでいたデータを一般市民に公開するという方向性はよーく解った。でもそれが一体何の役に立つの??」、、、と思ったそこのあなた!素晴らしい感性の持ち主です(笑)。

というか、それが一般市民の皆さんの素直な反応だと思います。

何を隠そうこの僕も、知人からオープンデータという言葉とコンセプトを初めて聞いた時は素直にそう思ってしまいました。「行政が持っているデータをオープンにするとして、それが一体何の役に立つのだろう、、、」と。

今回のシンポジウムは、正にそんな超素朴な(しかし大変重要に思える)疑問に答えることを目的として企画されたと言っても過言ではありません。



基本的なアイデアとしては、都市計画(アーバニズム)とモビリティの交差点を「データ」という視点で切り取り、これらの分野を代表するお二方にそれぞれの背景を基調講演で語って頂くことによって、「オープンデータという捉えどころのない言葉」を、より具体的で身近な問題として感じてもらえればと思っています。



登壇者一人目はバルセロナから僕の元上司でありモビリティの世界的権威、そして当ブログにも度々登場するジャウマ・バルセロさん(Dr. Jaume Barcelo)をお招きし、最新テクノロジーを用いた交通データの収集法やその分析手法、更には現在世界中で話題騒然となっているNFD(Network Fundamental Diagram)などについてお話頂きます。



ジャウマさんに初めてお会いしたのは今から丁度10年程前のこと、僕がまだバルセロナ都市生態学庁に勤めていた時のことでした。その頃はちょうど働き始めたばかりで、グラシア地区の歩行者計画を担当していたのですが(地中海ブログ:グラシア地区祭り:バルセロナの歩行者空間プロジェクトの責任者だったけど、何か質問ある?)、そのプロジェクトの中でジャウマさんが開発された交通シミューレーション(世界で最も成功していると言われているAINSUM)を使っていたのが知り合ったキッカケだったんですね。



それ以来、仕事をするのは勿論、一緒に食事をしたり、クリスマス前のホームパーティーに招いてくれたりと、様々な形で彼との交流が始まったという訳なのです。ちなみに仕事関係では、バルセロナ市バス路線変更計画(地中海ブログ:バルセロナのバス路線変更プロジェクト担当してたけど、何か質問ある?バルセロナの都市形態を最大限活かした都市モビリティ計画)をご一緒したり、EUプロジェクトを一緒に立ち上げたりと、公私共に今まで散々お世話になっています。



その一方、筑波大学から川嶋宏一さんをお招きして、日本におけるオープンデータの現状を語って頂きます。

何を隠そうバルセロナという都市は、オープンデータという観点においては世界トップを走っていると言っても過言ではありません。
←嘘のような本当の話(驚!)。
世界中の自治体が、それこそ今度はバルセロナのオープンデータの取り組みを「バルセロナモデル」として参考にしようという動きが垣間見られるのです(地中海ブログ:何故バルセロナオリンピックは成功したのか?:まとめ)。



今回のシンポジウムでは、この様なバルセロナの取り組みをいち早く紹介することによって、日本の自治体の皆さんへの参考にしてもらおうという意図もあったりします。

という訳で、バルセロナ市役所の僕の元同僚や友達に連絡を取って、協賛という形でバルセロナ市役所に入ってもらうことになりました(調整中)。 ←実はバルセロナの政権が右寄り(CiU)から左寄り(Barcelona En Comú)に変わったばかりだったので、今回の協賛を取り付けるに当たっては結構骨が折れました(7月16日現在、最終決定通知メールは未だ来ていませんが、、、)。先ず、誰が最高責任者なのかすら決まってないという状態だったんだけど、友達のカタラン人(官僚)が非常に上手く立ち回ってくれて、短い時間の中で協賛という形に漕ぎ着けたという背景があったりします。



また、僕の所属しているラボ(MIT)は携帯電話のトラッキングデータを始め、大規模データの収集と分析においては頭一つも二つも抜け出ていることなどから、こちらにも協賛という形で色々と協力をしてもらっています。更に更に、日頃から非常にお世話になっている横浜市役所の方々にも協力してもらって協賛となって頂きました。

と、こんな感じで結構苦労して立ち上げた今回のシンポジウムなんだけど、今後確実にメインストリームとなってくるであろうオープンデータという潮流が、いかに「まちづくり」、ひいては我々の生活の質に影響を与えるかということを具体的に語る良い機会になると、そう信じています。

みなさん、ぜひご参加ください!

P.S.
スペイン関係の企業のかたや、日本でスペイン系のレストランなどを営んでいる方々で、「この機会に是非、横浜でうちの会社やレストランを宣伝したい!」という方々がいらっしゃったら、お気軽にご連絡ください。
| 仕事 | 05:25 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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