地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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本邦初公開!ガリシア地方の山奥にリアル風の谷があった!エルミータ修道院(Santuario de Nuestra Senora de las Ermitas)
ガリシア地方のド田舎でのんびりとバケーションを満喫中だったんだけど、「どうしても(講演会&ミーティングに)来て欲しいのですが‥‥」みたいなメールが某所から送られてきて、「バカンス中なので‥‥」と断ったら、「そこを何とか‥‥」と言われてしまい、渋々人口500人の村からヨーロッパ金融の中心都市、フランクフルトへ。
←バカンスを謳歌する事を人生最大の楽しみにしているスペイン人だったら100%断ると思う。←っていうか、そもそも彼らはバケーション中はメールをチェックしないと思う←来年から僕もそうしよう(笑)。



という訳で、もう既にバルセロナに帰ってきているのですが、ちょっと時間を遡り、バカンス中に起こった出来事をメモ程度に書いておこうかなと思います(FacebookやTwitterと違い、ここがブログの良い所だと思う。過去の記憶をきちんと蓄積出来て、グーグルでも検索可能なので)。先ずはやっぱりガリシア名物、タコの話題から!



「ガリシアと言ったらタコ煮」と言うくらいスペインでは非常に有名なタコ煮なのですが、スペイン随一の港湾都市ビーゴ市(Vigo)に行った際に地元出身の知り合いが「ここで出される料理は絶品!」と、連れて行ってくれたレストラン、そこで出てきたタコ煮が凄かった→→→!!!



タコ丸ごと一匹(笑)!長年、色んなレストランでタコ煮を食べ歩いてるけど、タコが丸ごと一匹出てくるなんて聞いた事がありません。しかも美味しい!堅すぎず、柔らか過ぎず、絶妙な歯ごたえ!!さ、さすがタコ煮の聖地、ガリシア‥‥。恐るべしです。



さて、そんなガリシア地方なのですが、海産物やワインもさる事ながら、この地方の魅力といえば、非常に豊かな自然環境だと僕は思います。乾燥しきっているスペイン南部のアンダルシア地方とは違い、一年を通して比較的降水量が多い事で知られるガリシア地方というのは、何処に行っても深い緑に囲まれ、僕達の心を豊かにしてくれる大自然に出逢う事が出来ちゃうんですね。



ちなみにいま現在、バルセロナを中心とするカタルーニャ地方では独立への気運が非常に高まってるんだけど、大変興味深い事に(というか同じ国(スペイン)だとは思えない程に)ガリシア地方では「独立」と言う言葉とは無縁の社会文化が展開されています。例えばカタルーニャでは「カタラン語をしゃべる事/しゃべれる事」が1つのステータスの様に考えられていて、若者の間では一種のファッションの様になっていたりするのですが、ガリシアでは逆に、「ガリシア語をしゃべる事がネガティブに捉えられる事がある」と言った様な認識が社会全体に蔓延っています(地中海ブログ:スペイン語の難しさに見るスペインの多様性:ガリシア語とカステリャーノ語)。

‥‥あー、また脱線してしまった。ガリシア地方については大変興味深い社会・経済・文化・政治・歴史がある割には日本語での情報が少なく‥‥。これを機に、意識的に書いていこうかな。

‥‥と、そんな事を思っていたら知り合いが、「近くに面白い教会があるよー」とか言い出した‥‥。なんでもその教会の創設は18世紀初頭らしく、昔からこの辺りに住んでる人達の「ローカルな聖地」になっているのだとか‥‥。

そんな事を聞いてしまったら行かない訳にはいきません!という訳で早速行ってきたのですが、これがビックリ!な、なんとこの教会、深い深―い谷の底に教会堂が位置しているという、「風の谷形式」を取っているじゃ無いですかー!
←風の谷形式とは、僕が勝手に名付けた建築タイプです(笑)。


(谷の上方から見たセナンク修道院)

これは正に5年ほど前に南フランスはエクス・アン・プロヴァンスで見たプロヴァンス3姉妹の次女、セナンク修道院と形式的には一緒です(地中海ブログ:風の谷のセナンク修道院:天空の城の後に見る風の谷:リアル宮崎駿ワールド)。


(ル・トロネ修道院内部)

ちなみに同じプロヴァンス地方に位置している、建築家なら誰しも憧れるル・トロネ修道院には、感動し過ぎて4日間連続で行ってしまいました(地中海ブログ:プロヴァンス旅行その5:ル・トロネ修道院(Abbaye du Thoronet)の回廊に見る光について:地中海ブログ:プロヴァンス旅行その4:ル・トロネ修道院(Abbaye du Thoronet)の窓に見る神業的デザイン:地中海ブログ:プロヴァンス旅行その6:ル・トロネ修道院の絶景スポット発見!)。


(セナンク修道院から徒歩1時間弱の所にあるリアル・ラピュタっぽい様相を呈する天空の城ゴルド村)

今回のエルミータ修道院とセナンク修道院の大きな違い、それはセナンク修道院が世界的な観光名所であり、毎日大量の観光客で溢れ返っているのに比べ、エルミータ修道院の方は、スペイン国内にすらその存在を殆ど知られること無く、人知れずひっそりと佇んでいるという点かなと思われます。そりゃ、そうだよなー。近郊の街までバルセロナから電車で12時間、ビーゴからだって4時間、更にそこから車で1時間弱ですからね。地元の人以外で態々こんな所に来るなんて僕くらい(笑)。
←「cruasan‥‥相当暇だな!」とか言う声が聞こえてきそうですが‥‥(笑)

という訳で早速レッツゴー!(あ、ちなみにこの修道院、本邦初公開です)。

エルミータ修道院へは僕が滞在している村から山間を縫う様にクネクネと山道をひたすら走って行くだけなんだけど、それこそ気分はこんな感じ:

「緑の中を走り抜けてく真っ赤なポルシェ〜♪」 ←じゃなくて、真っ白なオペル(OPEL)ww←しかもかなりポンコツ(笑)。



濃い緑の中を走る事、約30分‥‥「あ、あそこー」と知り合いが教えてくれたのがこの風景:



え、どこどこ‥‥?←眼が悪いのであまり良く見えない‥‥もうちょっと近寄ってみます:



あー、ほんとだー!教会っぽいのがある!しかもちょっとした村っぽいのも形成されてる!!上から見ると、谷底のどの部分に教会が建っているのか?また、周りの家々が教会に対してどの様な布陣を敷いているのか?がハッキリと分かって大変興味深いですね。‥‥と、ここで車を降りてみたら、天気も良いし、それほど暑くも無いし、何よりお昼まではまだちょっと時間があったので、谷底までは歩いて行く事に。



谷の頂きから谷底までは車一台通ったら一杯になってしまうくらい狭い道がスリバチ状にグルグルと走っているんだけど、その道なりに歩いていくと、自ずと谷の底=目的地である教会に到着する様になっています。



で、「僕が非常に面白いなー」と思ったのが、歩いて行くにつれて教会の姿が違って見えてくるというポイントなんですね。まあ、当然と言えば当然なんだけど、少し歩くとさっきまで見ていた教会とは全く違う様相を呈してくる訳ですよ!

ほら、こんな感じで、さっきまでは凄く遠くに見えていた教会が、今はちょっと大きくなりました(笑)。



更にさっきまで見ていた方向、角度とは違う教会の顔も見えてきちゃったりします。



‥‥これは僕の個人的な性格であり資質でもあると思うんだけど、僕はこの様な、日常の風景の中に見え隠れするチョットした差異、「パッと見」は一緒なんだけど、「よーく見るとホンのちょっとだけ違う」‥‥そんな所にとっても感動してしまいます。



それが良い事なのか悪い事なのか、それは僕には分からないし、そんな事は僕にとってはどうでも良いことなのです。そうではなくて、「僕の眼には世界はこう見えている」、「こういう風に僕は世界を切り取っていて、世の中にはこんな風に世界を見てる人がいる」、そう言っているだけなのです。



多分、こんな些細なこと(つまりはちょっと歩いたら教会がホンのちょっとだけ違って見えるということ)は、世界の大多数の人にとってはどうでも良い事だし、多くの人達は、それこそ何も気が付かないままに過ぎ去っていく1つの風景でしか無いのだと思います。でも、こういうちょっと違った見方をするマイノリティ、そういう多様な人々が集まりながら我々の社会というものは形成されているが故に、僕達の世界は面白いのだし、非常に魅力的だと思うのです。



さて、あちら側の斜面には、ワインを作る為のちょっとした葡萄畑が見えちゃいます。更に更に、道のあちらこちらでは様々な植物を見る事が出来て、ここになっているのなんて、そう、栗です!



かなり下の方まで降りてくるとちょっとした小川がありました。



上空を見上げれば、雲1つない快晴。正にスペイン晴れ(笑)。



そんなことを思っていたら、不意に出会すのがこの風景:



じゃーん!ようやく教会の足下まで到着〜。教会まではあと一歩なんだけど、ここからが結構大変だった!物凄い急な坂を上らなきゃならなくて、ホント、つまずいたらそのまま谷底までまっしぐら‥‥みたいな(笑)。



面白いのは、教会の周りに住居群が出来ていて、この教会を中心とした小さな村が形成されている事です。「あー、ヨーロッパの街というのは、やっぱり教会を中心に形成されてきたんだなー」と改めて思わされる瞬間です。



なんて言ったって、鐘の音が聞こえないエリアは浄化されていないので「悪魔が出る地域」と認識されていますからね。←スペインってリアルに王様とか居るし、お城とかあるし、正にドラクエの世界、そのものです(笑)。

そしてとうとう目的地である教会に到着〜。うーん、なんとも感慨深い。



教会に行く意味。それは勿論、お祈りをしに行く訳なのですが、それよりも何よりも、そこに到達するまでに色んな事を考え、色んな思いを巡らしながら歩く事、そしてその途中に展開している風景を心に刻みつける事、それが重要なんじゃないのかな?

現代社会を生きる僕達には、それこそ車という大変便利な文明の利器が利用可能なので、どんな辺境だって、来ようと思えばそれこそ何十分、何時間という比較的短い時間単位で訪れる事が出来ます。しかしですね、この教会が創られた何世紀も前にはそんな便利なものは無かった訳で、もっと言うなら、夜道を照らす街灯も何も無い訳で、そんな中を遠くの村から何日も掛けて歩いてくる信者の人達は、さぞかしこの教会が有り難かったことだろうと想像するんですね。



ジュースが飲みたいと思ったら近くのコンビニで買ってみたり、何処かに行きたいと思ったら新幹線に乗って日本一周だって出来てしまう今の世の中。そんな現代文明から少し離れ、こうして歩いてみるだけでも、今まではナカナカ見えなかった事象が見えてきたり、車に乗っていては気が付かなかった風景が見えてきたりと、人生が又1つ豊かになった気がします。

良かった、非常に良かった!来年もまた来てみよう。
| 旅行記:都市 | 04:08 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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