2013.11.09 Saturday
バルセロナのサロン・デ・マンガ2013(Salon de Manga Barcelona 2013):マンガ/アニメから入ったスペイン人達が日本文化全般に興味を示してくれていると実感出来たイベント
ついに今年もこの季節がやってきました!スペイン中のアニメ/マンガ好きがバルセロナに集結し、思う存分コスプレやゲームを楽しむ祭典、サロン・デ・マンガの開幕です!
規模だけで見れば東京、パリに次ぐ世界第三位のポジションを確保し、最新のゲームやコミック、はたまたデザインセンス抜群なスペイン人達のコスプレを楽しむ事が出来る上に、異国の地スペインにおいて「日本文化の紹介をしよう!」という意欲を感じる事が出来る夢の様なイベント、それがバルセロナで開催されるサロン・デ・マンガというイベントなのです(地中海ブログ:漫画フェスティバル2010 in Barcelona(サロン・デ・マンガ(Salon de Manga Barcelona 2010)))。
毎年ハロウィンを挟んだ週末(4日間)に開催されるこのイベントは、2年前まではバルセロナ市に隣接するホスピタレット市で開催されていたのですが、入場希望者が年々爆発的に増加していった結果、約2倍の収容スペースを擁する現在の見本市(スペイン広場)に場所を移し開催される運びとなりました。
そんなこんなで満を持して開催されたはずの今年のサロン・デ・マンガだったんだけど、蓋を開けてみれば例年を遥かに上回る入場希望者が殺到しちゃって、チケット売り場や入り口付近は大混乱!「入場までの待ち時間5時間!」とかいうトンでもない事になっていたんですね。
かくいう僕も初日の朝から連続4日間出陣してきたんだけど、土曜日の午前中の混み具合は本当に酷くて、結局その日は午前中の入場を断念する事に。だって1時間待って動いた距離が1メートル、2時間で2メートルですよ(怒)!
しょうがないから近くの美術館で時間をつぶし(地中海ブログ:カイシャ・フォーラム(Caixa Forum)で開かれている印象派展 (Impresionistas):エドガー・ドガ(Edgar Degas)の画面構成は非常に建築的だなーとか思ったりして)、お昼ご飯を食べてから16時頃に行ったら今度は待ち時間無しで入る事が出来てちょっと拍子抜け(驚)。ちなみに来年からはバルセロナ郊外にある伊東豊雄さんがデザインしたFira Barcelonaに場所を移して開催するそうです(地中海ブログ:オリオル・ボイーガス(Oriol Bohigas)による伊東豊雄批判について思う事:バルセロナ国際見本市会場(Fira Barcelona)とSuite Avenue)。
今年のメイン会場は2つに別れていて、1つはコンサートや各種スポーツなどの実演を受け持つ会場、もう1つはコミックやお店、ゲームコーナーや日本食の屋台などが集まっているスペースとなっていました。という訳で最初はお店が集まっている会場の方に入ってみたんだけど、入り口にはこんなパネルが:
じゃーん!悟空が「フュージョン!」ってやってるパネル(笑)。「ご来場してくれた皆さん、ここでポーズをとってください!」っていう、まあ何とも嬉しい演出が僕達を出迎えてくれるんですね。
この演出にドラゴンボール大好きなスペイン人達は大喜び。パネルの前には長蛇の列が出来てて、沢山の人達が「フュージョン!」をしてたんだけど、その中でも一際目立っていたのがこの人:
ピ、ピッコロさんだー!毎年ドラゴンボール関係のコスプレは沢山見掛けるんだけど、顔まで作り込んであるピッコロさんに出逢ったのは初めて!
しかもそのピッコロさんが悟空とフュージョンしてる姿なんて超レア!原作中にも無かったはずです。初日から大変良いものを見させて頂きました(笑)。という訳で幸先の良いスタートを切った所で出会したのが、あの後ろ姿‥‥:
あ、あれはー:
フリーザ様だー!でも、ちょっと微妙(笑)。その隣にはこの人が:
キグナスの氷河!!実はスペインでは聖闘士星矢が凄まじい人気を誇ってて、毎年ゴールド聖闘士の皆さんが団体でいらっしゃるんだけど、例年に漏れず今年もいました:
あの黄金に輝くクロス!非常に創り込まれてて心底感心してしまいます。そんな中でも今年一番はこのカップルだったかな:
うーん、ここまでくると凄いとしか言いようがありません。大人達に負けじと、子供達もがんばっています:
ちっちゃいサイヤ人達と18号。そして牛魔王もいた:
体型を活かした見事なコスプレですね。な、なんか、スゲー似合ってるし‥‥(笑)。
さて、毎年僕が大変気になっているのが、「実際スペインではどんなアニメやマンガが流行っているのか?」という点です。
その際の指標となるのはやはり、「どのキャラクターのコスプレが一番多いか?」という点だと思うんだけど、長年の観察を通して、スペイン人達がしてくるコスプレには毎年ある一定の傾向がある事が分かっているんですね。
例えば2年くらい前までは圧倒的にナルトが人気で、何処を見ても暁(あかつき)、更にはイタチばっかりという状況でした。それでは「今年はどうなのか?」というと、今年の一番人気は明らかにコチラでした:
そう、進撃の巨人!圧倒的だった。その中でも人気だったのがミカサ(MIKASA)かな。真っ黒な髪の毛をホンの少しまとめて、額の所にちょっと垂らす‥‥みたいな(笑)。
こんなカッコイイ戦闘ポーズを取ってくれちゃったりして。戦士達が腰に付けてる飛行ブースターみたいなのの出来が凄かった(驚)。そんな中、やっぱりいました!こちら:
きょ、巨人だー!すごい。っていうか、良くやる気になりましたね、こんな理科室にある人体模型みたいなコスプレ(笑)。
しかも巨人の女の子バージョンまでいた(笑)。
うーん、進撃の巨人については言いたい事が山ほどあって‥‥例えば導入部分は非常に魅力的に出来てて:
「巨人が人々を襲っている→兵士達が巨人と戦っている→場面が変わって主人公2人の会話→エレン(主人公)が泣いている→MIKASAが「エレン、どうして泣いてるの?」と聞く。→(エレン)え、泣いてないよ。何言ってるの?‥‥」
みたいな感じで始まります。 僕の感じによると、冒頭に出てきた人間を襲っていた巨人って言うのは明らかにエレンであり、過去に彼は巨人だったと考えるのが妥当でしょうね。しかもその時に人間を食べていた。その時の記憶は消えていて彼自身覚えてないんだけど(というか、多分何者かに意図的に消されている)、人間を食ったという罪悪感だけは残っている。だから泣いているのです。
「あー、これってダンテの神曲、煉獄編に出てきたテーレー川の話に似てるな‥‥」、と言う事に気が付いた人はかなり勘が良い。
‥‥と、進撃の巨人については書きたい事が山ほどあって‥‥書き始めたらキリが無いのでこの話は又今度。
で、ですね、このお祭りには毎年日本からスペシャルゲストが招待されてて、例えば数年前にはCHA-LA HEAD-CHA-LAの影山ヒロノブさんがいらっしゃって、みんなで大合唱して盛り上がったりした訳なんだけど、今年一番のスペシャルゲストはこちらの方でした:
キャプテン翼の原作者、高橋陽一大先生の登場〜。ちなみにスペインでもキャプテン翼は大人気で、「キャプテン翼を知らない人はいないんじゃないか?」と思うほど爆発的な人気を誇っているんですね。実はそのことに一役買っているのがバルサの選手達なんだけど、と言うのも彼らの多くが「キャプテン翼の様になりたいと思ってサッカーを始めた」と明言しているからです。
だからバルサの本拠地カンプノウの隣にあるバルサ博物館に行くと、キャプテン翼コーナーが設置されていて、高橋先生のサインからグッズまで展示されている程なんですよねー(地中海ブログ:FC Barcelona(バルサ)のマーケティングがスゴイ:バルサ・ミュージアムに見る正に「ゴールは偶然の産物ではない」)。
もう1つちなみに、翼君はスペインでは「翼(つばさ)」というカッコイイ名前ではなく、ホリベと言います(笑)。タイトルは「ホリベとベンジ」。「ベンジとは一体誰なのか?」というと、翼君の永遠のライバルであるSGGKの若林君でーす(笑)。
あー、また脱線してしまった‥‥という訳で話をサロン・デ・マンガに戻すと、我々日本人にとって大変嬉しい事に、このお祭りは「日本文化を少しでもスペインの皆さんに知って頂こう」というコンセプトの下、毎年日本文化に焦点を当てた展示や各種実演会などが数多く行われています。
上の写真は最近スペインで大ブームの日本食に焦点を当てたパフォーマンス。日本人シェフの方が舞台に上がり、実際にその場で日本食を調理するという企画にスペイン人達は大喜び!ほんと、スペイン人って日本食大好きなんですよねー。ちなみに僕が良く頼まれるのが、「ねー、今度ホームパーティーやるから寿司作って来てねー」って言うもの。「あ、あのー、寿司なんか作ったこと無いんですけど‥‥(苦笑)」。
スペイン人はみんな、「寿司」という食べ物は(欧米人にとっての)「パンみたいなもの」だと思ってるらしく、日本人は誰でも作れると思い込んでいて、更に主食は寿司だと思い込んでる人多し(苦笑)。今ではさすがに「日本ではチョンマゲをしたサムライが刀をさして街を歩いてる」と思っているスペイン人は少なくなったけど、「ゲイシャは売春婦なんだろ」などの発言に代表される様に、スペイン人にとって日本という国はまだまだ未知の国なのかもしれません。
さて、バルセロナで行われるサロン・デ・マンガでは毎年何かしらのキーワードが掲げられ、それを基に展示や実演会の構想を練ってるみたいなんだけど、今年のキーワードはズバリ「スポーツ」。という訳で日本におけるサッカーや野球、バスケットの状況などと共に、柔道や合気道など日本の伝統武道が実演を交え紹介されていました。その中でもひときわ人気を博していたのがこちらです:
日本が世界に誇る国技、相撲(SUMO)です。相撲をとる力士の事はメディアなどを通してスペインでも良く知られているのですが、スペイン人で実際に目にした人はごく僅か。
フンドシをまいた力士が目の前で相撲をとっている姿はスペイン人達に物凄い衝撃をもたらしたらしく、力士達の一挙手一投足に観客達は大はしゃぎ!翌日の新聞にも写真入りで大々的に報じられていました。
そんなこんなで今年もかなり楽しく過ごす事が出来たサロン・デ・マンガだったんだけど、僕にとって大変感慨深かったのは、数年前まではこのイベントに来ていたのはアニメやマンガが大好きなオタク君達ばかりだったんだけど、今年は小さな子供連れやお爺ちゃん、お婆ちゃんを含んだ家族で来ている人達が多かったという点です。
つまり、日本文化への入り口としてアニメやマンガがその役割を果たしている事は確かであり、ここ数年変わらない傾向だと思うんだけど、それを通して日本文化全般に興味を抱き始めたスペイン人が多く現れ始めた、そういう事が出来るかと思います。
日本人の皆さんにとって、この変化は些細な事の様に思えるかも知れません。しかしですね、この小さな変化はスペインが日本文化の理解に踏み出した果てしなく大きな一歩だと言う事が出来るかと思うんですね。そしてその事が、僕にとって今年一番の発見であり、又日本人として大変嬉しい事でもありました。
今から来年が待ち遠しいですww
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