地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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(速報)カタルーニャ州議会選挙2012:カタルーニャ分離独立への国民投票は実施されず!
今日11月25日、バルセロナを中心とするカタルーニャ州では、スペイン、そして欧州全体に多大なる影響を与えかねないカタルーニャ州議会選挙が行われました。



今回の州議会選挙は実施前から、「カタルーニャ州にとって歴史に残るほど重要な選挙になる」と見られていたのですが、と言うのも昨今の経済危機の影響などから、未だかつて無い程にカタルーニャ分離独立への気運が社会全体で高まっており、スペイン中央政府を始め欧州委員会ですらその動向に注目するという状況にまでなっていたからなんですね(カタルーニャの独立志向についてはコチラ:地中海ブログ:もう一つの9月11日:カタルーニャの場合:グローバルの中に息づくローカリティ、地中海ブログ:メッシ(Messi)の赤ちゃん誕生報道に見るカタルーニャナショナリズムについて 、地中海ブログ:スペイン民主主義始まって以来の歴史的な:新カタルーニャ自治憲章案について



つまり今回の選挙は、「カタルーニャが今後もスペインと言う国の一部としてやっていくのか?」もしくは「スペインという沈没していく国を見放して、カタルーニャという新しい国としてやっていくのか?」という事を、「国民に審議してもらおう」という意味を伴った選挙となったという訳なんです。

‥‥と、ここまで読んできて、「なんか何処かで聞いた台詞だなー」と思ったそこの貴方!かなりのカタルーニャ通です(笑)!



そう、今から約100年前、現在我々が直面している問題と全く同じ状況に追い込まれ、「スペインと心中か?それとも独立か?」と言った事を真剣に考えた一人の詩人がいました。その人こそ、モデルニスモ期を代表する詩人であり、バルセロナオリンピックを成功に導いた伝説的なバルセロナ市長パスクアル・マラガル氏の祖父であるJoan Maragall氏だったのです(地中海ブログ:ガリシア旅行その1:田舎の風景の中にこそガリシア地方の本当の魅力は保持されている、地中海ブログ:国際オリンピック委員会(IOC)前会長のフアン・アントニオ・サマランチ(Juan Antonio Samaranch)氏死去)。



彼は、米西戦争(1898年)などで衰退の一途を辿っていたスペイン(マドリッド)に、果たして(経済的に勃興していた)カタルーニャが手を貸すべきなのか、どうなのか?を真剣に悩み抜き、最終的に「さらば、スペイン(Adios Espana!)」と言い放った人物だったのです。



そして今回、独立への気運が高まっている中、社会に後押しされるかの様に現カタルーニャ州政府大統領も:

「今回の選挙で過半数を獲得したら、独立か否かの国民投票を実施する!」

とまで言い出してしまう始末。それにいち早く反応したのが実はブリュッセルの欧州委員会で:

「もしもカタルーニャが独立した場合、EUからは出て行ってもらいます」

と、ちゃーんと釘を刺す事も忘れない所は流石(苦笑)。まあハッキリ言って、独立なんてスペイン政府が許す訳ないし、第一、独立に関する国民投票を行う事すらスペインの法律では禁止されてますからね。

勿論そんな事はカタルーニャ州政府大統領も分かってる訳で、彼ら(現与党)はそれが分かった上で「敢えて独立と言っている」と僕の眼には映ります。つまり「独立なんて出来っこ無い」と分かった上で、その様なポーズを取っていると僕には見えるという事です。となると、その裏にある真の目的は一体何なのか?

それは独立を盾とした税制改革です。

スペインの中でも大変生産力が高い事で知られるカタルーニャという地域(スペイン国内総生産の約2割を紡ぎ出している)は、中央政府(マドリッド)に過剰の税を搾取され、「カタルーニャ地方に再分配される富が少なく不公平である」と、ずっと主張し続けてきました。それでも経済が右肩上がりだった頃は、「まあ、いっか」で済んでいたのですが、平均失業率が25%を超え、若者に限ると50%を超えるという尋常じゃ無い状況に追い込まれた今、「何で我々がこんなにも余計な税を払わなきゃいけないんだ!どうして我々が稼いだ税金が他の地方の為に使われているんだ!」と言った不満が未だかつて無いほどに巻き起こり、世論が一気に独立へと傾いて行ったという背景があります。

‥‥と、そういうしている内に、今回の選挙結果がたった今出ました!

な、なんと、過半数(68議席)を取ると見られていた現与党(CiU)が50議席獲得で勝った事は勝ったのですが、前回の選挙から12議席も失うという劇的な結果に終わってしまいました。これは誰も予想していなかった事だと思います。僕もビックリしました!

この与党の惨敗が、果たしてカタラン人達の「カタルーニャ分離独立への否認なのかどうなのか?」という点についてはもう少し詳しい選挙結果を見るまでは何とも言えないかな。と言うのも、本当の意味での「独立」を純粋に押し出している左派政党ERCが劇的に獲得議席を伸ばしているからです(10議席から21議席へ)。

上述した様に、現与党(CiU)が掲げる「独立」は大変微妙な位置付けで、純粋な意味での独立とはニュアンスが違う、もしくは「カタラン人達が考えている独立とは違う意味で使っている」というのが僕の見る所であり、それ故に多くのカタラン人達の同意を得られなかったのだと思います。その一方で、過半数に至らなかったCiUが政権確立の為に何処と連立を組むのか?もしくは8年前と同じ様に、左派が連合を組む事になるのか?

その辺りも含めて、次回のエントリでゆっくりと分析していきたいと思います。
| スペイン政治 | 08:01 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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