地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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サスキア・サッセンと世間話で盛り上がったディナー
一昨日から昨日に掛けて、都市の様々な場所から集められた大量データ(ビックデータ)をどの様に都市分析、都市デザイン、ひいては都市計画に生かすか?というテーマに焦点を当てた国際カンファレンス、URBAN CODEがMITで開かれていました。



近年のテクノロジーの発展、劇的なコストの低下、そしてそれら新たなテクノロジーの日常生活への浸透と言った様々な要因が重なり合った結果、携帯電話やクレジットカードなどから個人データを大量に取り出す事が可能となり、その中から有益なパターンを抽出し、都市サービスの質を向上させていこうという試みが世界各地で始まっています。



今回企画されたカンファレンスは、今までは私企業や1つの分野でのみ語られがちだったビックデータとその有効活用法を、「都市」や「公共」と言ったより広い範囲や観点から議論しちゃおうと言う、今まで有りそうでナカナカ無かった試みなんですね。



世界中から集まったその道のスペシャリスト達が2日間に渡って熱い議論を繰り広げた訳なんだけど、招集されたスピーカー達の中には、ヨーロッパ、アメリカの各都市のスマートシティ部門の責任者、世界銀行やBBVA(スペインの大手銀行)と言った金融関連の人達、雑誌エコノミストの編集者、そして勿論MITを中心とする様々なバックグランドを持ったアカデミックな人達なんかが含まれていました。



1つ1つの議論の中身やカンファレンスで浮かび上がった様々な問題、そしてそれらと僕の研究との関連性などについては物凄くテクニカルな内容になってしまうので詳細は次回のエントリに譲る事として、今回は全く予期せずして起こってしまったある種の「事件」について記そうと思います。



そのかなりスリリングな瞬間はカンファレンスの直ぐ後、近くのレストランにて開かれたディナー会場で起こってしまいました(ちなみに上の写真は今回のディナーで出された2皿目、タラのクリームソース和えぽかったけど、これがかなり美味しかった!何度でも繰り返すけど、ボストンの料理は思ってたほど酷くない(地中海ブログ:ボストンは牡蠣が美味しいという事を発見してしまった!:ネプチューンオイスター(Neptune Oyster)))。

僕がレストランに着いたのは午後20時30分頃の事、既に会場には30人弱のゲストの人達が集まっていて着々と席に着いている途中だったんだけど、と言うもの今回のディナーでは、会場に着いた順に各自が好きな席を取り、隣同士になった人達と会話を楽しむと言う方式が取られていたからなんですね。着いて間もなく、僕も空いている席を見つけてそこに陣取る事に。その間、挨拶がてら隣の人としゃべっていたら、突然後ろから

「ここ空いてますか?」

という女性の声が。特に気にもせず、

「ええ、空いてますよ」

と言った瞬間、その女性の顔を見てビックリ!あー、こ、この人はー:



サ、サスキア・サッセンだー!!!そう、何と偶然にもディナーの席がサスキア・サッセンと隣同士になってしまったんですよ!(サスキア・サッセンについて詳しく知りたい人はコチラ:地中海ブログ:サスキア・サッセン(Saskia Sassen)のインタビュー記事:グローバルシティというアイデアは何処から来たのか?)。



正直言って、最初の内は緊張でそれこそディナーどころじゃ無かったんだけど、実は彼女、あんな小難しい文章を書く割にはかなり気さくな方で、しかも良くしゃべる!一度しゃべり出したら止まらないタイプ。で、最初は一緒にいらしてた左隣に座った方としゃべってたんだけど、その話が一段落した所で僕の方を向いて:

Saskia:「どうも、初めましてサスキアです。どちらからいらっしゃったんですか?」 Cruasan:「初めまして、建築家のcruasanと申します。日本人なんですけど、実は12年くらい前からバルセロナに住んでます。」
Saskia:「え、バルセロナに住んでるの?じゃあスペイン語しゃべれるんじゃない?」(ここから既にスペイン語)
Cruasan:「ハイ(Si)」


と言う様な流れになり、そこからはスペイン語で堰を切った様にしゃべり出す彼女。そう、サスキアさんは元々オランダ出身なんだけど、とある事情から2歳の時にアルゼンチンに移住し、その後ロシアに行ったりロンドンに行ったりという事を繰り返した挙げ句、今では7カ国語を操れる様になったんだとか(驚)。そんな彼女の母国語は勿論スペイン語!と言う訳で、母国語を話す事が出来るリラックスした雰囲気がそうさせたのかどうかは分からないけど、ディナーの間中、ずーっとしゃべりっぱなし(笑)。しかも話題はグローバルシティとかそういう難しい話じゃなくて、誰もがしでかす日常の些細な出来事といった世間話って言うんだから笑えます。

多分、サスキア・サッセンとグローバル経済や都市の分極化の話などアカデミックな話をした事がある人は沢山いるとは思うけど、「昨日は何食べた」だの、「今週は沢山歩いた」だの、「ニューヨークの生活はどうだの」、日常の些細な事を話し込んだ人はなかなかいないんじゃないでしょうか?ハッキリ言って、今日ほど「スペイン語がしゃべれて良かったー」って思った事はありません。

全く予期していなかった出来事だったけど、何年も前からその著書を通して色んな事を学ばさせてもらったサスキア・サッセンと直に話しが出来た事は僕の人生にとって掛替えの無い体験となりました(地中海ブログ:もう一つの9月11日:カタルーニャの場合:グローバルの中に息づくローカリティ)。

翌日、彼女は何時もの様に忙しそうにノートパソコンを覗き込み、立食形式だったお昼を食べた後、かなりの早足でタクシーに乗り込んで行きました。

去り際にレセプションに居た僕に向かって言ってくれた「またね(Hasta Pronto!)」という言葉が今でも耳に残っています。今度はバルセロナでお会いしましょう!
| 大学・研究 | 01:33 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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