地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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メッシ(Messi)の赤ちゃん誕生報道に見るカタルーニャナショナリズムについて
バルセロナ時間で昨日(金曜日)の夕方頃の事、バルサが誇るスーパースター、リオネル・メッシ選手に男の子の赤ちゃんが誕生しました。おめでとー、メッシ。という訳で、スペインの各種新聞はその事を一斉に報じてるんだけど、その報道の仕方を巡って各メディアの立ち位置が垣間見える様で面白いなーと思ったので、ちょっと覚え書き程度に書き留めておく事に。



先ずは状況説明から。今回何が起こったのかと言うとですね、焦点はメッシの赤ちゃんが生まれた時刻なんだけど、それがどうやら17時14分頃らしいんですね。

‥‥ここまで読んできてピンときた人はかなりバルセロナお宅(笑)。

そう、実はカタルーニャにおいて17と14という数字の組み合わせは非常に重要な意味を持っていて、と言うのも1714年の9月11日はカタルーニャの命運を分けたスペイン継承戦争が行われた日だからです(カタルーニャ継承戦争についてもっと知りたい人はコチラ:地中海ブログ:もう一つの9月11日:カタルーニャの場合:グローバルの中に息づくローカリティ)。

まあ手短に言って、その日(9月11日)はカタルーニャにとって最も神聖な日であり、そして一年の内で最もナショナリズムが高揚する日となっています。更に今年は度重なる経済危機の影響などから、カタルーニャでは未だかつて無い程に独立の機運が高まっている為に「使えるものは何でも利用しよう」、「結び付けられるものは全て結びつけちゃおう」って言う雰囲気満々。そんな中、カタルーニャ人達にとって「クラブ以上の存在」と言われるバルサの、しかもスター選手初の赤ちゃんがスペイン継承戦争と全く同じ組み合わせの時間帯に生まれたとあっては利用しない手はありません(地中海ブログ:FC Barcelona(バルサ)のマーケティングがスゴイ:バルサ・ミュージアムに見る正に「ゴールは偶然の産物ではない」)。そのこじつけ具合が各種メディアの報道を通して垣間見えるという訳なんです。



カタルーニャ地域主義政党(CiU)がバックについている(カタルーニャにとって)右寄りの新聞、La Vanguardia紙は当然の如く「メッシの赤ちゃんは17時14分に生まれた!」と大々的に報道し、何故かカタルーニャの国旗が飾り付けに使われています(笑)。しかも使われている国旗は、星が付いた独立バージョン(苦笑)。

その一方で、スペイン社会労働党(PSOE)がバックに付いている全国紙El Pais紙は、メッシの赤ちゃん誕生を「17時15分辺り」とし、カタルーニャの独立に関する話題には出来るだけ触れたく無い様子。

当ブログではスペインのメディア問題は事ある毎に取り上げてきたんだけど、スペインにおいてこの問題を取り上げる時の重要なポイントは、スペイン人というのはどの新聞であれ「偏向報道がされるもの」という前提の上で新聞記事を読んでいるという点かな。だから今回の報道に関しても「あー、またLa Vanguardiaやってるなー、ハハハ」というくらいにしか思って無いと思います。つまりスペイン人は(意外にも(笑))どの新聞が右寄りの報道をしてどの新聞が左寄りの報道をするかという事が分かっているという事なのです。その点に関しては、スペイン人のメディアリテラシーというのは非常に高いと思います。

17時14分か17時15分か、どちらが正確なのかは当人達しか知らないと思うんだけど、まあメッシが喜んでいる様子が繰り返し報道されている事、メッシの奥さん(彼女)が元気だと言う事、そして何より元気な赤ちゃんが生まれたという事が重要ですよね。間違ってもこれ以上メッシやその家族を政治的な道具に用いる事だけは無い様にしてもらいたいものです。
| スペイン政治 | 14:10 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
いつも楽しく拝見させていただいてます。
記事の独特な世界観などすごく勉強になっています。
また遊びに来ますね。これからもよろしくお願いします。
| spain スペインブログ | 2012/11/07 3:50 PM |
Spainスペインブログさん、こんにちは。コメントありがとうございます。こちらこそ、これからも宜しくお願いします。
| cruasan | 2012/11/18 1:44 AM |
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