地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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世界最悪の絵画修復が村の最高の宣伝になってしまった件とか、HUNTER x HUNTERの中に密かにバルセロナが登場する件とか
日本でも大々的なニュースとして伝えられていると思うのですが、今週スペインでは世界中を震撼させる大事件が起こってしまいました。それがコチラ:



フランスの新聞に「世界最悪の絵画修復」とまで書かれてしまった、約100年前に描かれたフレスコ画の修復の結果です。見ての通り、これはもうキリストと言うよりも殆ど猿(笑)。



一体何が起こったのか?と言うとですね、どうやら最近劣化し始めた壁画(上の写真)を見ていた80代のお婆ちゃんが、「私の村のお宝が廃れていくのを見ているだけなんてとても出来ない!私が直しましょう」と、絵の具と筆を持ち、勝手に修復し始めたと言うのが事の始まりの様です。で、問題は、このお婆ちゃん、実は修復の専門家でもなんでもなく、全くのド素人だったんですね!ド素人なのに修復しちゃうって言う、その勇気だけは本当に凄い(笑)。その結果出来上がったのが下の猿の様な絵画だという訳です。

今回の事件を通して僕が驚いたのは、この事実が新聞に載った瞬間にTwitterなどを通して瞬く間に世界中に広がっていったそのスピードと、その翌日に沸き起こった、批判とは全く逆の「賞賛」という流れに対してかな。



この変わり果てたキリストの姿が世界に与えたインパクトに関しては特に説明するまでも無いとは思うんだけど、実はその翌日、と言うか、それらの批判が沸き起こってるその最中から、もう既にネット上ではこの絵を賞賛する動きが出ていたんですね。

「うーん、あの猿みたいな顔、現代アートだ!」 みたいな(笑)。

更にこんなコラージュまで作られる始末:



このお婆ちゃん、一夜にしてピカソに並んだ(笑)。そしてですね、今回僕が最も魂消たのが、この村の住民達の生の声を聞いた時でした。てっきり自分達の村のお宝をメチャクチャにされて、さぞかし怒っているのかと思いきや、大半の住民がこの出来事をポジティブに捉えている様子が、連日スペインの地元メディアを通して伝えられています。その理由が:

「この小さな村が、全世界のメディアに取り上げられて本当に嬉しい」

だからだそうです。「へぇー、そういう見方も出来るのか」と、個人的にはちょっと驚きました。ちなみに、大変有名になってしまったこのキリストの「抽象画」を写真に収めようと、この村には連日沢山の観光客が押し寄せているのだとか。

どうでも良い事を書いた序でにもう1つどうでもいい事を。最近友達から借りたHANTER X HANTERを夜な夜な読んでるんだけど、12巻辺りを読んでいたらビックリ!



上の図は一見何気無い(漫画の)状況説明の地図に見えるかもしれませんが、分かる人には分かる筈‥‥。この地図、一体何を下敷きにしてるのかと言うとですね、実はバルセロナの新市街地の左側半分をそのままそっくり持ってきてるんですね。ほら:



他の人は騙せても僕は騙せません(笑)。って別に作者だって騙そうと思ってやってる訳じゃないとは思うんですけどね。で、ここまで話したので、もう1つ序でに言っちゃいます:



上の画面は毎週日曜日に放送している聖闘士星矢Ωの一場面なんだけど、ここに写っているのは言うまでも無くサグラダファミリアです。漫画の中でこのお城は「悪魔が棲む居城」みたいな設定になってるんだけど、この事をサグラダファミリア教会の人達が聞いたら起こるだろうなー(笑)。

さて、当ブログでは何度か書いてきているのですが、近年のグローバリゼーションの影響から日本人の英語力、語集力というのはそれなりにレベルが上がってきた様に思います。それに伴い、漫画の中で英語のフレーズを並べても、一昔みたく「クール、カッコイイ」という感じを受けなくなってきつつあるんですね。何よりも打撃だったのが、それら英語のフレーズを並べる事で醸し出したかった「ココではない、何処か遠い異国の地」というイメージを与える事がサッパリ出来なくなってしまったという事です。

そこで登場したのが、日本人には全く馴染みの無いフランス語やスペイン語を使おうというアイデアという訳なんです(地中海ブログ:鋼の錬金術師を見てて思った事:「ココではない何処か遠く」を想起させるイメージ:何故Bleachではスペイン語が多用されるのか?)。

つまり「ワン、ツー、スリー」と言うより、「ウノ、ドス、トレス」と言った方が(意味がサッパリ分からない為)、遠い異国の感じを与えられるという事なんですね。その戦略上に乗っているのが、ずばり漫画Bleachなんだけど、スペイン語が分かる人から見たら、漫画の中に出てくる怪物、メノス・グランデ(Menos Grande スペイン語でMenosは小さい、grandeは大きい)って一体何だ?とか言う事になる訳ですよ(笑)。

僕達の世界は段々と表層化(Banal化)していってて、その進行と共に「深いもの」よりは「浅いもの」、「考えないと分からないもの」よりは、考えなくても分かってしまう「分かり易いもの」に飛びつく世の中になってきつつあります。今回スペインで起こってしまったフレスコ画の修復の結果と、それが世界に巻き起こした騒動は、実はその様な世界的な変化の片鱗を覗かせているかの様で、ちょっと興味深かったかな?と思います。もっと言っちゃうと、今回の事件で注目すべき点は、「お婆ちゃんがフレスコ画を無茶苦茶にしてしまった」という点よりは寧ろ、「それに対する世界の反応の方にあるのでは?」と、そう思うんだけど、それを話し出すと長くなるので、この話は又今度。

今日のバルセロナはちょっと涼しいので、久しぶりにテラス席でコーヒーでも飲みながら読書でもする事にしよう。

追記:
9月18日の新聞(El Pais)によると、余りにも有名になってしまったこの絵画を一目見ようと世界中から押し寄せる観光客を相手に、何と教会が拝観料(1ユーロ)を徴収し始めたらしい(苦笑)。

| サブカル | 01:34 | comments(5) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
ガウディ、僕も実際に訪れるまで「何故あんな悪魔の白みたいな建物の評価が高いんだろう?」とずっと思ってました。
実物を見たら納得しましたけど。

案外、実物を見たことない日本人は同じような感想を持っている人が多いんじゃないでしょうか。
| c | 2012/08/27 11:42 PM |
Bleach、最近はドイツ語を使い始めましたね。作者や読者がスペイン語の響きに馴染んじゃって、異国っぽく聞こえなくなったのかな?
| Toshi | 2012/08/28 4:27 PM |
ハガレンは、福島第一原発の電気でつくっていたアニメNO.1wwww
| 西武ファンの鴇田翔平 | 2012/08/29 12:38 AM |
cさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

そう言われてみれば、サグラダファミリアを含めたあの時期の建築は先入観が無いと悪魔的と映らない事もないかなー、と今更ながらに思います。個人的にはかなり新鮮な側面かなと思います。どうもありがとうございます!
| cruasan | 2012/09/01 6:19 AM |
Toshiちゃん、こんにちは。

そうなんですか!ブリーチ、とうとうドイツ語にも手を染め始めましたか(笑)。言語はどんどん慣れて行きますからね。次は何処に行くんでしょうね(笑)
| cruasan | 2012/09/01 6:20 AM |
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