地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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(速報)フランス大統領選はオランド氏が勝利:ヨーロッパの都市における公共空間の重要性を垣間見た
たった今、ヨーロッパ中が注目していたフランス大統領選の結果が出ました。結果は51-52%を獲得したオランド(Hollande)氏の勝利に終わりました。



詳しい選挙結果などは明日の新聞を待つ事として、今回の選挙をテレビで見ていて非常に印象的だったのは、オランド氏の勝利が確定すると同時に、途方も無い数の人々が街中の公共空間に集まり出し、そこでシャンパンを開けたり、抱き合いながら勝利を祝ったりと、正にワールドカップ顔負けの祝祭が繰り広げられていた光景だったんですね。



これを見ていて、「政治が生きてるなー」と思うと同時に、「この様な空間の使い方、都市の使い方って、とってもヨーロッパ的だなー」と思っちゃいました。

スペインの哲学者、オルテガ・イ・ガセットの言葉にこんなものがあります:

「人は家の中にいるために家を創る。そして人は、家から出る為に、同じ様に家から出てきた人達と会う為に都市を創る」
“la ciutat, pero, es funda per sortir de casa i reunir-se amb altra gent que tambe ha sortit”. (Ortega y Gasset)

ヨーロッパ都市における公共空間とは、単なる住居と住居の間に空いている空間、もしくは目的地から目的地へと向かう為の単なる街路なのではありません。そこは人々が集う場所であり、共に喜ぶ場所であり、討議を通して民主主義が花咲く場所でもあるのです。故にその都市の公共空間の賑わい具合を見れば、その都市にはどれだけ活気があるのか?その都市はどれくらい豊かなのかを感じ取る事が出来るんですね。

今回のフランス大統領選で垣間見られた人々の反応は、フランスという国の豊かさ、そしてそこに住む人々の底力を見せ付けただけなのではなく、正にパブリックスペースの真の力、「都市は我々のものである」という現象が垣間見られた瞬間でもあったのです。
| ヨーロッパ都市政策 | 07:30 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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