地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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スペインで行われたゼネスト(2012)について
先週木曜日(3月29日)、スペイン全土でゼネストが行われました。



「ゼネスト」と聞いてもピンとこない人もいるかと思うので、一応Wikipediaから引用しておくと:

「ゼネラル・ストライキ(general strike)とは労働者が団結して行う労働争議の一形態で、一企業や組織によるストライキではなく全国的な規模で行われるストライキのことである。略してゼネスト。総同盟罷業ともいう。また、ある特定の地域や都市において様々な産業が一斉にストライキを行う場合もゼネストと呼ばれることがある。」

となっています。

今回スペインで行われたゼネスト(民主化後としては8回目)においては、労働組合側の発表で100万人以上、スペイン政府の発表では80万人を動員したという報道がされていたんだけど、僕が実際に街に出て体験した所によると、「労働者が団結しておこなった」というレベルにまでは至ってなかったかなーと言うのが正直な所かと思います。



と言うか、日本を含め世界各地で大々的に報道されたという注目度とは裏腹に、さほど注目する所が無かった点、もしくは「この特徴の無さ」みたいな所こそが、今回のゼネストの特徴と言えるのでは?とさえ思ってしまった程なんですね。



先ずは基本的な情報を押さえておくと、今回ゼネストが行われた発端は現政権が国会で承認した労働法改正法にあるという点を指摘しておきたいと思います。民衆党のラホイ首相は近年の経済危機を背景に、かなり大胆な法改正に踏み切りました。それが国民の間で頗る評判が悪く、当然の事ながら労働組合側は怒り心頭、数回に渡る政府との話し合いにも関わらず今回のゼネスト開催という運びになったという訳なんですね。それを受けて政府側は一日前に Cristobal Montoro財務相が記者会見を開き:

「ゼネストが行われようが何をしようが、労働法の改正を撤回する事はない」

と言い切っていました。そういう事が分かってかどうなのか分からないけど、各種メディアが行った事前調査によると、実に69%もの人達が「今回のゼネストには参加しない」という意思表示をしていたという事は前回のエントリで書いた通りです。

という訳で、今回のゼネストはそんなに街を挙げて大規模に行われたという感じはなく、僕が住んでいるサグラダファミリア付近では、朝から普通にカフェもお店もやってたし、何より公共交通機関が殆ど普通に動いていたのは大きかったかなと思います。

その一方で、流石に中心街は様子がちょっと違ってて、カテドラル付近のお店なんかは殆どが閉まっていましたね。こういう非常時に地区間でこれだけの温度差があるというのはちょっと興味深い。



中にはこんな風に半分だけシャッターを開けて「根性でやってる所」もあったりとか。これはどういう事かというと、デモ隊が来たら急いでシャッターを閉めて、店が破壊されるのを防ぐと、まあ、こんな所だろうと思います。そんな微笑ましい努力が見られる一方で、酷かったのがコチラです:



街中に散らかったゴミ!この日は朝から清掃業者がゼネストに入ってたもんだから、ゴミ収集車が来なくて、街路(特に中心市街地)がゴミだらけになっていたんですね。これは酷かった。「街路&ゴミ」というキーワードを聞いて思い出されるのはイタリア南部の都市、ナポリだと思うんだけど、「ナポリって毎日こんな感じなんだー」とか思うと、ちょっとゾッとするかな。っていうか、幾らピザが美味しくても絶対行きたくないかも(苦笑)。



ランブラス通りに面したマクドナルドなんかも、厳重体制の元、シャッターを閉めまくって営業していましたしね。

こんな感じで今回のゼネストについてはこれくらいしか書く事がないんだけど、その一方で、ゼネストとは全く関係がない所で「違う事件が起こっていた」という事については十分に分析する必要が有る気がします。それが一部の若者達による暴走です。



街中でゴミ箱を燃やしたり,公共物を破壊したり、もうやりたい放題。



その日の夜中、ゼネストが収まった後に中心街を歩いてみたら、こんな光景に出くわしたりしました:



バス停崩壊‥‥みたいな(悲)。そんな中でも今回一番被害を被ってしまったのがコチラです:



バルセロナ市内のカタルーニャ広場近くに位置するウルキナオナ駅前のスターバックスです。グローバル企業の急先鋒という事で目を付けられたと思うんだけど、それにしてもコレは酷い。ガラスを叩き割られた上に火を付けられ、店舗は使い物にならない有様。

 

このビデオとか見ると、「本当にここはバルセロナか?」と思うほど悲しくなってきます。

何がまずいって、この日は労働者達が自分達の怒りや不満をデモという形をとって表明する為の日であって、若者達が日常の不満を暴力で明示する日じゃないという事なんですね。そしてこの様な、ゼネストとは全く関係がない場面が取り上げられ、これが全世界に報道された結果、この映像が今回のゼネストの印象になってしまった‥‥というのは何とも情けない話だと思います。しかもそんな悲しい出来事が、伝統的に労働者の街として知られているバルセロナで起こってしまった‥‥。



上述した様に、今回スペイン全土で組織されたゼネストに関してはハッキリ言ってそれほど言う事は無いし、分析する内容も特にありません。その一方で、それに便乗してバルセロナで起こってしまった暴動に関しては重く受け止めるべきであり、「何故こんな事が起こってしまったのか?」、「何故この様な暴動が、バルセロナ(だけで)引き起こされてしまったのか?」と言う事は、我々バルセロナ市民一人一人が深く考える必要がある事だと思います。

そこにこそ、現在のスペインという国が抱えている「隠された闇」があるに違いないのだから。
| スペイン政治 | 04:27 | comments(9) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
はじめまして、こんにちは。
わたしは日本から避難したいと思っているのですが、そういう人の受け入れ先を知りませんか?
| 西田 | 2012/04/03 3:14 AM |
以前コメントさせて頂いた者です。
ゼネストに紛れて若者が暴れる現象は他の西欧諸国でも見られますね。
これからどうなるんでしょうか。
ラホイさんは良くやってると思うのですが。
EUは正直足枷にしか見えません。
| もふもふ | 2012/04/03 6:52 PM |
追記
失礼しまいした。
悪い冗談でしたね。
でも放射能が少し怖いです。
| 西田 | 2012/04/03 6:55 PM |
記事と映像を見ましたが、とてもショックです。
| Aki | 2012/04/06 1:26 AM |
西田さん、初めまして、こんにちは。コメントありがとうございます。実はカタルーニャにも原発ってあって、しかもバルセロナからちょっと南へ下って行った直ぐの所にあります。今の世の中、何処へ行っても一緒なのかもしれませんね。
| cruasan | 2012/04/10 4:24 AM |
もふもふさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

ラホイ首相、思ったより良くやっていると思います。EUは足枷‥‥全くもって其の通りだと思います。悲しい事なんですけどね。そしてスペインもギリシャの様になる日がそう遠く無いかも‥‥という思いを日に日に強くしています。
| cruasan | 2012/04/10 4:26 AM |
Akiさん、こんにちは。

僕もバルセロナがこんな風になるなんて夢にも思いませんでした。って言っても一部の暴徒だけなんですけどね。でも、やっぱり公共物に当たるのはよくないなーと思いますね。
| cruasan | 2012/04/10 4:27 AM |
こんばんは
3月29日 大好きなスペインに娘と二人で旅行中でマラガからパリに移動・日本に帰る予定でした。ストライキを知らずに、飛行機や電車が停まり、スペイン一泊、パリ一泊になって、やっと帰ってきました。優しいスペインの方々に助けてもらい、大丈夫でした。
 ストライキ当日は、マラガの駅周辺も警備とゴミがいっぱいでした。
 スペインの労働者の就職が、特に若者の雇用が改善しますように。
 
| kawa | 2012/04/11 12:22 AM |
kawaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

ご滞在がゼネストの日に当たってしまったなんて、それは大変だった事だろうと想像します。僕も知り合いの方々がストライキと知らずにバルセロナに滞在されていて、初めて目にする街の荒れように、結構ショックを受けられていた様でした。

スペインの政治経済状況は、これからもナカナカ厳しいものがありますが、なるべく前を向いて歩いて行こうと思っています。
| cruasan | 2012/04/23 9:00 PM |
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