地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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アンダルシア州議会選挙2012
今週木曜日(3月29日)にスペイン全土で行われるゼネストに関するちょっと気になる記事が今日の新聞(El Pais, 25 de Marzo 2012, P16)に載っていました。それによると、スペイン国民の内、実に69%もの人が今回のゼネストには参加する意志がないというデータが出ていたんですね。



つい先日、政府と労働組合との間で、ゼネスト決行日における公共交通機関や病院など最低限のサービスを保証する(地下鉄やバスなどは朝夕のラッシュ時は40%、それ以外は30%程度)っていう合意が為されたばかりだったんだけど、それにしても今回のゼネストの不人気ぶりにはちょっと驚きを隠せません。何故かって、元々今回のゼネストの背景にあるのは先日スペイン国会で承認された労働法改正に対するものであり、新しい法律はスペイン国民の間では頗る評判が悪い事などから、「この機会に自分達の意志を是非表明しよう!」という労働者が多いのでは?と思っていたからです。

にも関わらず、何故今回はこの様な関心の低さという結果になってしまったのか?

勿論この裏には様々な理由が存在し、それを一言で言い現すのは難しいとは思うんだけど、ここ数日、色んな人達と話していて分かった事は、スペイン人労働者達の間に「ある種の不安感」が広がっているという事でした。

それは言葉にすれば「嫌な空気」とでも言おうか‥‥つまり「ゼネストに参加すると会社を解雇されるのでは?」という、正に労働者の基本的権利を侵害するかの様な、あってはならないんだけど、それが現実のものとなるかの如く「イメージが先行している」という現実だと思います。

ストライキに参加したからという理由で会社が従業員を解雇したとなれば、それこそスペイン社会全体を巻き込んだスキャンダルになる事は間違いないんだけど、それよりも何よりも、今回の労働法改正においては労働者を解雇する事が以前に比べ遥かに容易になった事などから、「簡単に解雇される」という「イメージ」だけが先攻し、正にその様なイメージこそが今回のゼネストに対するブレーキになっているのかな?という感じを受けています。

そしてもう一つ、スペインの労働者達が置かれた大変厳しい給料体系という実際的な問題があります。現在のスペイン労働者の賃金体系というのは非常に厳しいものがあって、法律で定められた最低賃金(毎月)は641ユーロ(日本円で約6万5千円)、多くのスペイン人達の月収は1000ユーロ(10万円くらい)に届きません。そうすると、ただでさえ少ない給料なのに、そこから(ゼネストに参加する事によって)1日分の給料を引いたら、それこそ「生活出来ない!」っていう人が結構な数を占める事になる訳ですよ!

この話題については話し出すと長くなっちゃうので、労働法改正、それに伴うゼネスト、そしてメディアには決して現れてこないスペイン労働者達の肉声という事に関しては又後日、違うエントリで詳しく扱う事にしようと思います。で、前置きがかなり長くなっちゃったんだけど、今日はアンダルシア地方で行われている州議会選挙の話題を扱いたいと思います。



そう、正に今日(2012年3月25日)はアンダルシア地方とアストゥリアス地方において州議会選挙が行われてるんだけど、その中でもアンダルシア州議会選挙は「今後の国政を占う」という意味で、スペイン中が固唾を飲んで見守る選挙となっているんですね。

と言うのも(以前書いた様に)アンダルシア州というのはスペイン社会労働党(PSOE)のお膝元であり、スペインが民主主義に移行して以来、一度も他党に政権を奪われなかったという労働左派の牙城なんだけど、近年の民衆党(PP)の勢いに圧され、「アンダルシアで歴史上初めて労働左派が負けるかもしれない」という状況にまで追い込まれているからです。

「スペイン社会労働党がアンダルシアで負ける」って言うのは、スペイン国民やスペイン政治を良く知っている人達からするとかなり衝撃的な出来事で、と言うのもPSOEは今までどんな苦境に陥ろうとも、政治汚職でどんな逆境に立たされようとも、アンダルシア地方でだけは人気を博し、絶対に政権を譲り渡さなかったという事実があるからです。そしてその様な歴史的な積み重ねこそが、スペイン労働左派党のエネルギー源になってきたとすら言えるのかもしれません。

そんなPSOEのお膝元で圧倒的な権力を保持してきたのがこの人:



前サパテロ政権で副首相を務めたベテラン政治家、泣く子も黙るManuel Chavez氏です。1990年から2011年まで20年もの間、アンダルシア政界の頂点に立ち続けてきた彼がどれくらい強かったかというと、1990年に初めてアンダルシア州政府大統領に着いた時の獲得投票率が実に49.61%。2004年には50.36%を獲得し、前回(2008年)の州議会選挙でも48.41%を獲得するまでに至っていたんですね。つまりは20年間もの間、殆ど過半数を維持してきたと言う訳なんです。

そんな状況に黒雲が立込めてきたのが昨年11月に行われた総選挙。失業率についてはヨーロッパの中でも最悪と言われるスペイン、その最悪のスペインの中でも最も失業率が高いのがアンダルシア地方(31%)。一向に改善しない経済状況に飽き飽きしたアンダルシア州民が、これまでの鬱憤を晴らすかの様に次々と他党に票を投じた結果、前回の選挙では実に75万もの票が民衆党に流れるという結果に終わってしまいました。

その後遺症が癒えない内に開かれたのが今日行われている選挙であって、最近行われた世論調査によると、今回の選挙で労働左派が負ける事は明らかだとするだけでなく、民衆党が過半数を超えるのでは?という予想すら出るまでになっているんですね。ちなみに現在、民衆党は国会において単独政権をしいていて、全国3000近くの市町村議会を制し、更に17ある州の内、実に11もの州を手中に収めるまでになっています(詳しくはコチラ:地中海ブログ:スペイン総選挙2011:中道右派、民衆党(PP)の歴史的勝利とその背景)。

そして今回、スペイン社会労働党のお膝元、アンダルシアまでもが民衆党の色に染められようとしている‥‥。今日の夜10時には選挙結果が出るそうなので、要注目していたいと思います。
| スペイン政治 | 19:25 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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