地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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スペインを代表する知識人でありバルセロナ現代文化センター館長ジョセフ・ラモネーダ(Josep Ramoneda)氏解任に関する波紋
前回のエントリで書いた様に、今週月曜日までスペインは10日間の連休だったんだけど、その連休が終わったかと思ったら、早い所ではもう既に今日から2週間に渡るクリスマス休暇に入る仕事場もあったりするそうで‥‥ホントに何時働いてるんだ、スペイン人(苦笑)!そうでなくても来週土曜日は12月24日クリスマスイブという事で、来週が仕事納めとなる人が多いかと思われます。



そんな中、僕はと言うと、何だかんだと予定が入ってて、結局年末までは忙しい日々を送る事になるかなーとか思ってるんですけどね(悲)。そんな訳で今週はブログを更新する暇も無いくらいなんだけど、今日の新聞(La Vanguardia digital version, 15 de Diciembre 2011)にちょっと無視出来ない記事が載っていたので、これだけは急いで書いちゃおう。バルセロナひいてはヨーロッパ全土の知識人層を揺るがす程の衝撃的なニュース、それがコチラです:

「バルセロナの知識人達は、バルセロナ現代文化センター館長ジョセフ・ラモネーダ氏の今季限りでの解任に不満爆発の様子だ。現政権に送りつけた公開状にはこんな言葉が記されていた: 「バルセロナが生んだ偉大な哲学者、ジョセフ・ラモネーダ氏はバルセロナ現代文化センターを国際的に名の通った「文化の実験室」に押し上げた。彼なくしては、ここまでの躍進は有り得なかった。その事を忘れたとは言わせない」
 “Intelectuales censuran el cese de Ramoneda al frente del CCCB; En una carta abierta, recuerdan que el filosofo ha convertido el Centre de Cultura Contemporania en “laboratorio cultural de la innovacion” de prestigio internacional”

そうなんです、何と、バルセロナ現代文化センター創設者の一人であり、1994年の開館から現在まで17年もの間、バルセロナの文化を背負ってきた知の巨人、ジョセフ・ラモネーダ氏がバルセロナ現代文化センターを去らなければならないという公式なお達しが現政権から出てしまったんですね。この余りにも文化的な事情が分かっていない現政権(ちなみに現政権のCiUは今年初めて政権についた1年生政党であり、文化政策にはそれ程力を入れてない)の決定に対して、スペイン中の文化人達が反対していると、そういう訳なんです。



当ブログでは事ある毎にラモネーダ氏に触れてきたんだけど、というのも、現代スペインの社会文化状況、そして政治経済状況を語る上で彼の名は絶対に外せないからなんです。何を隠そう彼は元々哲学者なんだけど、その後、EL Pais紙、そしてLa Vangurdia紙でジャーナリストとして働いていたという事もあって、専門である哲学は勿論の事、政治経済、文学、建築、現代アート、更には最近の音楽までカバーしている無茶苦茶守備範囲が広い、知識人中の知識人。

そんなスペインの誇る知の巨人、ジョセフ・ラモネーダ氏と僕の出会いは大変唐突なものでした。

あれは忘れもしない今から10年程前の事、僕が初めてバルセロナの地を踏んだその翌日、バルセロナ現代文化センターで行われた、僕が当時通っていたマスターメトロポリス(地中海ブログ:イグナシ・デ・ソラ・モラレス(Ignasi de Sola Morales)とマスター・メトロポリス・プログラム(Master Metropolis))のオープニングの席で、本当なら挨拶をする筈だった故イグナシ・デ・ソラ・モラレス氏に代わり、壇上に上ったのがラモネーダ氏だったのです。

その当時は、勿論ラモネーダ氏がどんな人なのか何て全く知らず‥‥バルセロナ現代文化センターという施設が一体何をしている所なのか?という事さえ分からず‥‥勿論その数年後、その施設で働く事になろうなんて夢にも思いませんでしたけどね。



ちなみにそのオープニングの後に開催されたウェルカム・パーティーで、なに気に仲良くなってしまったのが、コテコテのカタラン人で美術評論家のミケルさん。何で仲良くなったかって、彼も僕も英語がそれ程得意じゃなかった事から、2人ともボディランゲージでなんとかコミュニケーションを取ろうとしてたら、「何となく気が合った」‥‥みたいな(笑)。結局彼は、スペイン語がさっぱり分からなかった僕に本当に親切にしてくれて、時々家とかにも招待してくれてたんだけど、「今度は仕事場に来い」とか言ってくれたので行ってみたら、何とそこはバルセロナ現代美術館の館長室だった!「えー、ミケルさん、あなた館長さんだったんですかー!」みたいな(笑)。とっても気の良いお爺ちゃんで、趣味かなんかで美術評論やってるとばっかり思ってたんだけどなー(笑)。

と、まあ、ラモネーダ氏、そしてバルセロナ現代文化センターというキーワードを見ていたら、そんな昔話を思い出しちゃったんだけど、では何故ラモネーダ氏はバルセロナ現代文化センターを去る事になったのか?

それはずばり、バルセロナの政権が変わったからです。その一点に尽きます。

スペイン民主化後、バルセロナ市では労働左派政権がヘゲモニーを敷いてきたんだけど、実は今年5月の選挙で、労働左派が右寄りのカタルーニャ地域主義政党に政権を奪われるという歴史的事件が勃発しました(地中海ブログ:スペイン統一地方選挙2011:バルセロナに革命起こる)。それに伴い市役所内は勿論の事、関連機関などのトップだけでなく、今まで各部署でリーダー的存在だった人、現場の事が良く分かってる技術の人なんかを「根こそぎ変えてしまう」というトンでもない事態があちこちで起こっているんですね。今回のラモネーダ氏の交代は、明らかにこの軸線上に載ったものです。

未だ後任の情報は(公式には)出てないんだけど、僕の周りの噂ではESADE(バルセロナのビジネススクール)内にある社会文化研究所のとある人物が就任するんじゃないかと見られています。

まあ、個人的な意見を言わせてもらえれば、誰が館長になっても同じかな。何故ならジョセフ・ラモネーダ氏の後を継ぐ事が出来る人なんて絶対にいないからです。これと全く同じ事が都市計画部門でも起こってるんだけど(地中海ブログ:バルセロナで国連関連のワークショップ始まる:バルセロナの忘れられた地区大発見!)、これでバルセロナの文化部門も数年間の停滞、失われた4年間になる事は必至ですね。
| バルセロナ都市 | 07:38 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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