地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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スマートシティ国際会議(Smart City Expo: World Congress)に出席して思った事その1:バルセロナ国際見本市会場(Fira Barcelona)の印象
前回のエントリで少しだけ書いたのですが、バルセロナでは今週火曜日から4日間に渡ってスマートシティに関する国際会議、Smart City Expo, World Congress; smart society for innovative and sustainable citiesが行われています。その関係で、今週は朝から晩までミーティング三昧だったんだけど、昨日の夜、帰り際にサグラダファミリアの前を通り掛かったら、サグラダファミリアが真っ赤に燃えているかの様なライトアップをしててビックリ!



「な、何事だー!」とか思ったんだけど、どうやら12月1日は「世界エイズの日」という事で、世界各地のモニュメントが赤く照らし出されていたと言う事を翌日のニュースで知りました。てっきり昨晩グラシア大通りで行われてた、The Shopping Night Barcelona関連なんだとばかり思ってたー(地中海ブログ:Barcelona Oportunity Weekに見るバルセロナの都市戦略)。

まあ、それは良いとして、早速今日の本題に入りたいと思うんだけど、先ず始めに「スマートシティとは一体何か?」と言うとですね、手短に言うと、近年勃興してきた新しいテクノロジー(スマートフォンなんか)を使ってデータを収集しつつ、それらを都市分析に役立てながら、交通やエネルギー削減など、都市のサービスを向上させていこうというアイデアの事を言うんですね。ここ数年で急速に認識が広まりつつある「スマートグリッド」も、スマートシティの大変重要な柱の一つと考えられています。

実は僕はスマートシティとは結構深い関わりがあって、と言うのも数年前バルセロナ市がダブリン市やヘルシンキ市と一緒に立ち上げたEUプロジェクト、ICING(Innovation Cities of Next Generation)の交通分野の責任者をして以来、スマートシティやインテリジェントシティと名の付いた数々のプロジェクトに関わる機会があったからです。



ICINGが動き出したのが2004年、立ち上げ始めたのが2002年の事ですから、このプロジェクトはヨーロッパの中でもスマートシティの走りと言っても過言ではないと思います。ちなみにその後、欧州工科大学の前身となる分科会(みたいなの)のエネルギー分野を「(何故か知らないけど)カタルーニャが引き受けましょう」とか州政府が口走っちゃったもんだから、みんながあたふたした挙げ句、とある公的機関のスマートグリッドに関わっていた事もありました。

と言う訳で、今週は日本を始め、ヨーロッパやアメリカなんかからひっきりなしにくるお客さんとのミーティングが会議の合間に「これでもか!」っていう勢いで入ってたんだけど、そんなかなりキツキツのスケジュールの中でも僕が密かに楽しみにしていたのが、今回の会議場の見学だったんですね。何でかって、今回スマートシティの会場になっていた所こそ、日本が誇る世界的建築家、伊東豊雄さんがデザインされたバルセロナ国際見本市会場Fira Barcelonaだったからなんです。



この建築、実は数年前に完成していたのですが、今までなかなか時間がとれなかった事も相俟って、ゆっくりと見学する機会に恵まれませんでした。と言う訳で、今回は国際会議の参加者として、じっくりと空間を体験してみたいと思います。

と、ここまで書いてきて何なのですが、この建築の真の価値と言うのは、その建築的空間の質もさる事ながら、この建築がこの場所に計画された意味、つまりはバルセロナ市の都市戦略と共に考えないと正しい評価は出来ないと思うんですけどね。この国際見本市のロケーションがバルセロナにとってどれ程重要かという事は、この建築が完成するのに合わせて、わざわざ徒歩5分の所に州政府が地下鉄駅を創り出した事にも見られると思います(この話は長くなりそうなので又今度)そんな事を思いつつ、最寄り駅のエスカレーターを昇っていたら、こんな風景が見えてきました。



同じく伊東さんによるツインタワーのお目見えです。見本市会場の真横に立つこの独特な形をしたツインタワーは、以前IKEAに買い物に来た時に外観だけチラッと見たのですが(地中海ブログ:バルセロナのIKEAに行ってきました:IKEAに見る家具店のエンターテイメント化)、つい先日、所用でピカソ美術館に行ったら、お土産売り場でこんなものを発見!



バルセロナのスカイラインを切り取るシルエットを集めた壁掛け(かな?)。で、驚いたのが、サグラダファミリアやフォスターのテレビ塔なんかに混じって、早くも伊東さんのツインタワーがバルセロナの新しいシンボルとして選ばれていた事ですね。



このデザインが良いのか悪いのか、僕にはよく分からないけど、他の建物とは明らかに違う、ある種のアイデンティティみたいなモノを持っている事は確かだと思います。それを横目に見ながら3分程歩いて行くと見えてくるのがコチラです:



バルセロナの新名所、国際見本市会場(Fira Barcelona)のお目見え〜。多分この建築を訪れる大半の人達というのは、最寄り駅からアプローチしてくると思われるので、当然の事ながら、この建築はそのアプローチを意識したデザインとなっています。もっと具体的に言うと、この建築は見る位置によって印象がかなり違ってくるんですね。



ここから見える風景は「空」を切り取る端部が繰り返し現れるデザインがキーかな。



逆に、ここから見えるデザインは、横にビヨーンと長く伸びたデザインが目指されていて、非常にリラックスしたデザインとなっていますね。



その一方で、ファサードにくっ付いてるイソギンチャクを大判焼きにしたというか、エヴァンゲリオンに出てきそうというか、これが何を意味しているのかは不明。



側面の方に廻ってみると、このイソギンチャクの大判焼きが一つのパターンとなって繰り返し現れるデザインが展開してるんだけど、こちらもこの形とパターンが一体何を意味しているのかは不明。まあ、これだけ繰り返し現れるモチーフなんだから、何かしら重要な意味があるのだとは思うんだけど、僕には読み取れませんでした。 そんな事を考えつつ、いよいよ中へと入って行きます。



エントランスホールは流石に気持ちの良い空間が展開していますね。



天井は伊東さんお得意の自然光を取り入れる明かり採り+柱のミックスデザインになってるし。そんな中でも特に印象的だったのは、入った瞬間に目に飛び込んでくる情報パネルの発光するワッカでしょうか。



このワッカが赤になったり青になったりして、その光が真っ白な空間に彩りを与えていました。こういう情報系のパネルっていうのは、基本的に「本質的な空間の質」には影響を与えないと思うんだけど、この空間ではそれが主役になっている様な気がします。



逆に言うと、これは「そこしか見所がない」という事の裏返しだと思います。

間違ってもらっては困るんだけど、僕は別に、タッチパネルなどを用いたデザインを否定する訳ではなくて、逆にその様な新しいデザインが空間に与える影響みたいなものに非常に興味があるし、現に僕が仕事でやってる事というのは、そちらに近い事だとも思います。だからこそ、そのデザインの可能性と限界も手に取るように分かってしまって、もしもそっち系でいくのなら、それなりのやり方があると思うんですね。僕が見る限りこの空間はその様なデザインにはなってはいません。

今週はスマートシティ国再会議と平行して、もう一つ別の国際会議が行われていたので、この建築のもう一つの見所であると思われる、各会議場を繋ぐ連結部分に入る事は出来ませんでした。エントランスホールの印象がイマイチだったので、今度はそちらの方の空間に期待したいと思います。

追記:
今年のスマートシティ賞都市部門は横浜市が受賞しました。
| 建築 | 07:07 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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