地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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スペイン総選挙2011その2:スペイン社会労働党の後継者争い
今週一週間は何処を見ても、何処に行ってもスペイン人達が話している話題と言えば総選挙の話ばっかりでした。特に民衆党(PP)が歴史的な大勝利を収め、未だかつてない程の権力を持った事は、伝統的に労働者の街だったバルセロナを中心とするカタルーニャ地方や、スペイン社会労働党のお膝元、アンダルシア地方の人々にとってはこの上ない脅威となって降りかかっている模様で、そんなピリピリムードが話の端々から感じられた毎日だったんですね(地中海ブログ:スペイン総選挙2011:中道右派、民衆党(PP)の歴史的勝利とその背景)。

反対に民衆党にとっては夢にまで見た政権奪取、しかも2000年のアスナール政権を超える程の絶対多数というオマケ付き。2004年そして2008年と負け続けたマリアーノ・ラホイ氏は、その勝利の余韻に浸りまくってて、挙げ句の果てにはメルケル独首相に:

「どうでもいいけど、早く経済対策やってね」

みたいな催促の電話を受ける程(苦笑)。と言うのも、彼が正式に首相の座に就くと見られている12月中旬辺りまで、民衆党は今後の政策やら閣僚リストやらを公表する気はない!みたいな事を繰り返し公言しているからです。

まあ、それは良いんだけど、問題は今回の総選挙で歴史的な大敗北を喫してしまったスペイン社会労働党(PSOE)の方ですね。こちらはハッキリ言って「再起不能なんじゃないの?」と思う程の痛手を負ってしまいました。それでも党を再建しなければならないという事で注目が集まっているのが、「サパテロ首相の後を継ぐ事の出来るリーダー」の選出です。

サパテロ首相の後継者争いについては以前のエントリで少しだけ書いたんだけど、今回の総選挙の立候補者を擁立する為に、フェリッペ・ゴンザレス(Felipe Gonzalez)政権で閣僚経験もあるベテラン政治家、アルフレッド・ルバルカバ(Alfred Perez Rubalcaba)氏と、スペインの将来を担う若きリーダー、カルメン・チャコン氏が物凄い火花を散らした結果、ルバルカバ氏がサパテロ首相の後継者という事で一応の決着を見たという戦いは記憶に新しい所だと思います(地中海ブログ:カルメ・チャコン(Carme Chacon)スペイン防衛相の予備選不出馬の裏に見えるもの)。

しかしですね、個人的な意見を言わせてもらうと、今回ルバルカバ氏がとった戦略というのはいささか腑に落ちなかったかなー。何故なら彼の選択は、始まる前から既に(そして明らかに)積み将棋だったからなんですね。今回の総選挙でスペイン社会労働党が負けて政権を奪取される事は分かり切ってた事で、そんな負け戦に何故(実力者であり大物政治家でもある)ルバルカバ氏が名乗りを挙げなければならなかったのかが僕には理解出来ない!多分彼にとっての最良の手というのは、今回の総選挙では誰かしらに代表の座を譲っておいて、敗北の責任を取らせた上で、彼が再建者として現れるというのが最良の手だったはず。彼ほどの実力者なら黙ってても首相の座は約束されてたのに、それまで待てなかった彼の「焦り」が今回の非常に困難な状況を招いたと言えるかもしれません。

その一方でルバルカバ氏のライバルと見なされていたスペインの若きリーダー、カルメン・チャコン氏は一体どうだったのか?(カルメンさんについてはコチラ:地中海ブログ:スペイン総選挙その2:カタルーニャのヒロイン、カルメ・チャコン(Carme Chacon)

実はカルメンさんはカルメンさんで、彼女が選挙前に思い描いていたシナリオが、それこそ音を立てて崩れていく様を見ているしかなかった一週間だったんですね。彼女が思い描いていたシナリオ、それは今回の総選挙で唯一勝てる見込みがあったカタルーニャ州の獲得票を後ろ盾に、一気に書記長の座まで上り詰めようという戦略だったと思います。

しかしですね、蓋を開けてみてビックリ!今まで総選挙では一度も負けた事の無かったカタルーニャ州が大負け、しかもバルセロナさえも今まで維持してきた25議席の内11議席も失うという大敗北を決してしまった訳ですよ!こうなるともう、カルメンさんが書記長に立候補しようにも出来ない状況になってしまいました。

つまりは、スペイン社会労働党は、今回の総選挙での大負けを通して、党を再建出来ると期待をかけていた2人の人材にさえも暗い影を落とす事となってしまった訳ですよ!

こんな状況下で「一体誰が出てくるのか?」という所に国民の関心は移ってるんだけど、うーん‥‥という感じでしょうか。

考えられる人材としては、バスク州で2008年に大勝利してナショナリストの牙城だったバスク地方に左派政権を打ち立てた立役者、パッチ・ロペス氏って手も(ちょっと前までは)あったんだけど、この線は無くなりました。

と言うのもバスク州では、今までは左派民族主義政党に票を入れたかったんだけど、テロ活動が活発だった事などから投票するのを自粛していた人達が、先月公表されたETA(テロリスト集団)の永久武装解除宣言を受けて、Amaiurという左派民族主義政党同盟に票を投じた結果、現政権を脅かす程の勢力を持って勃興してくるという現象が起こったからです。その事に危機感を感じているパッチ・ロペス氏はバスク州内の安定を図る為に、中央政権に干渉してくる余裕は先ず無いと思います。

ちなみにサパテロ首相の右腕として現副首相の座に就いているホセ・ブランコ(Jose Blanco)氏は今回の総選挙の結果を受けて、今後は政治の第一線から離脱する事を昨日のインタビューで明らかにしたし、スペイン経済立て直しの貢献者であり、現経済・財務大臣のElena Salgado氏も、今季限りで引退、来年からは欧州投資銀行の頭取に就任する事が噂されています。もう一人の現副大臣であり、アンダルシアで絶大なる権力を行使してきたManuel Chavez氏は、政権に入った途端、余り使い物にならない事が露呈してしまいましたしね(苦笑)。

こうなると、本当にスペイン社会労働党には「適切な人材がいない」という空白の状況が出来る訳ですよ。 こうなったら仕方が無いので、「ルバルカバ氏にこのまま続投してもらうか」という声が強まってる様だけど、今回の総選挙で彼にまとわりついてしまった「負のイメージ」はそう簡単には拭い切れないだろうなー。そうは言っても、もうここまで来てしまったら、「彼の続投が一番良いのかな?」なんて思わない事も無いかな。

スペイン社会労働党は、今日11月26日土曜日に、緊急ミーティングを行い、そこで次期リーダーを誰にするか?を話し合い決定するそうです。まあ、あまり期待せずに見守ろう。
| スペイン政治 | 04:57 | comments(4) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
はじめまして。
先日は私の駄ブログにコメントありがとうございました。
下らない話を書いていてお恥ずかしいです・・・
負のイメージというと、以前私は「ラホイじゃPPは勝てない」と思ってたんですが、世界が変わって圧勝しちゃいましたし。。
弁の立つルバルカバ氏続行が無難かなと思ってます。
| ウルコ | 2011/11/29 8:45 PM |
ウルコさん、こんにちは。

駄ブログだなんて、とんでもない!無茶苦茶面白いので、何時もゲラゲラ笑いながら読まして頂いてます。
お料理、お上手なんですね。っていうか、記事を読んでると本職の方っぽいのですが‥‥。この間の今川焼きなんか凄く羨ましかったです。アンコとか大好きなもので。

これからも更新楽しみにしています!
| cruasan | 2011/11/30 5:50 AM |
こんにちは。
たぶんコメント2回目かな?今回の選挙についての記事は
大変参考になりました。ありがとうございます。
気にはなっていても新聞の見出しぐらいしか見ないので。
それにしても、まだ新政府の発表遅いですね。
| patronistaT | 2011/11/30 8:13 PM |
patronistaTさん、こんにちは、コメントありがとうございます。

右派、未だに何も政策を発表していませんね。このまま何も発表しないつもりか?(苦笑)。その反面、カタルーニャ州政府は選挙の翌日に更なる緊縮財政を発表して、「聞いてないよー」と、市民が怒ってるし。おいおい、票入れたのはお前達だろ!と突っ込みたくなります。クリスマス前までには政策発表とか言ってるので、大注目ですね。
| cruasan | 2011/12/07 6:26 AM |
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