地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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スペインの総選挙2011と速報:政権交代の裏側に見える隠されたメッセージ
今日11月20日(日曜日)はスペイン全土で、今後4年間の「この国のかたち」を決める大変重要な総選挙が行われています。ギリシャやイタリアで政権交代があった直後の市場の反応などを見るに付け、今日のスペインでの選挙結果がヨーロッパの将来に影響を与える事は必至です。そういう意味において、普段は(スペイン人とスペイン関連研究者)くらいしか注目していないスペインの総選挙なんだけど、今回だけは世界中の人々が固唾を飲んで選挙の模様を見守っている事だろうと思うんですね。



現在スペインを襲っている経済危機とその現状は本当に酷いものがあって、公務員の給料カットは当たり前、工事中だった都市計画や建築計画なんかが中止になったり、中小企業などへの助成金が削減されたり、更には大学や病院などへの予算削減の為、都市にとってはなくてはならない基本的サービスに支障が生じ始めたりしています(地中海ブログ:スペインの医療システムについて2:スペインの医者の驚くべき給料体系について)。今週の新聞には、救急病院に担架で担ぎ込まれた女性が、病院側の予算削減の為、当直医師の数が足りずに2日間も待たされた挙げ句に死亡するという最悪のケースが起こってしまった事が報道されたりしていました。

サパテロ首相もがんばってはいるんだろうけど、それがなかなか目に見える形で出てこないし、何よりも人々の生活がいっこうに良くならない。そんなこんなで溜まっていくのはスペイン人達の不満だけ‥‥(例えばコチラ:地中海ブログ:スペイン各都市で大規模デモ:「ジャスミン革命がスペインにも飛び火」って言われてるけど・・・)。そこで彼が意を決して打ち出したのが、今回の前倒し総選挙だったという訳なんです。



まあ、日本の新聞も大きな見出しで報じている様に、世論調査などありとあらゆるデータを見る限り、野党である民衆党(PP)が大差で与党(PSOE)を下して政権交代する事は先ず間違いありません。

そんな事は何ヶ月も前から分かってる事なので、今更驚くべき事でもないんだけど、それよりも何よりも、スペイン国民にとって今最も大事な事は、今回の選挙の裏に隠されたメッセージ、サパテロ首相からスペイン国民への、スペイン国民にしか分からない形で送られている隠されたメッセージをきちんと理解し、それにきちんと答える事だと思います。

実は今日、11月20日という日は、今から36年前、フランコ将軍が亡くなった日であり、スペインが独裁政権から民主化へと移行した大変重要な日でもあります。つまりサパテロ首相がわざわざ前倒し選挙をこの日にぶつけてきた事の真の意味、それはスペイン国民全員に

「民主主義とは一体何なのか?」、「たった36年前に我々が手にする事が出来た、もしくは独裁政権から勝ち取る事が出来た民主主義とは一体何だったのか?」

という事を国民一人一人に、もう一度良く考えてもらいたい、というメッセージなのです。そして勿論そのメッセージの先にあるもの、それは:

「民主主義の力を通して、国民みんなでこの未曾有の危機を乗り越えよう」

だと思います。

そういう意味において、今回試されているのは「選ばれる側の政治家」なのではなく、「選ぶ側の国民」なのかもしれません。このメッセージを生かすも殺すも国民次第。この先どういう「国のかたち」を作っていくのか/作っていきたいのかを決めるのも我々次第です。

その事をよく胸に刻み、スペイン人の皆さんには投票に行って欲しいものです。間違っても「面倒くさいから投票には行かない」みたいな、民主主義を根底から覆す様な愚直な行為だけは辞めてもらいたいですね。

追記:速報
2011年の総選挙は民衆党(PP)の歴史的な大勝利に終わりました。勿論政権交代なるです。労働左派が勝ったのはわずかにバルセロナとセビーリャだけ。バスク地方ではETAと関わりの深い政党が勝ち、カタルーニャでもCiUが勝つといった様に、全国でナショナリストが弾頭してきているのが今回の選挙の一つの特徴かなと思います。
| スペイン政治 | 20:16 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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