2011.11.16 Wednesday
バルセロナで国連関連のワークショップ始まる:バルセロナの忘れられた地区大発見!
前回のエントリで少しだけ書いたのですが、昨日から始まった国連関連のワークショップをオーガナイズする為に、ここの所、かなり忙しい毎日が続いています。先週は「ポッキーの日」という事でスペインのポッキー、MIKADOを齧りながら資料とか作ってたんだけど、今週はそれどころじゃ無くなってきた‥‥。って言うか、僕があっち行ったりこっち行ったり、はたまたプレゼンの用意なんかで謀殺されてる中、「お先に〜」とか言って帰って行く同僚のイタリア人とか、どう考えてもオカシイでしょ?彼ら曰く:
「今週は私達イタリア人にとっては特別な週なの。何てたって、念願だったベルルスコーニがやっと政権を去ったんだから!今週一週間は毎日ピザでお祝いよ!」
‥‥とは言ってなかったけど(笑)、絶対そんな言い訳するイタリア人とかいそうだよなー。まあ、その気持ちも分からないでも無いですけどね。
まあ、良いや。で、先ず始めに「このワークショップは一体なんなのか?」と言うとですね、バルセロナのとある大学のマスターコースの一環として、国連の一機関であるUN-Habitatを巻き込みながら、「バルセロナの忘れ去られた一地区」を開発する為の調査分析を行うという、(僕的には)かなり驚きの内容のワークショップなんですね(バルセロナのマスターコースの裏事情についてはコチラ:地中海ブログ:バルセロナに出来た新しい建築学校その2:Barcelona Institute of Architecture:バルセロナ建築スクールの諸問題)。何故驚きかというと、2ヶ月程前にメールでこの話を最初に聞いた時は、「まあ、教育の一環なのかな」とか思ってたんだけど、ミーティングに行ってみたらよく知ってる市当局の面々やら州政府からは大臣なんかも来てたりして、調査分析という名目の裏には結構大きなプロジェクトが見え隠れしているからなんです。その土台を作る為のモビリティに関する調査をしたいと言う事で(市役所経由で)僕の所に連絡が来た訳なんだけど、具体的にはデータの収集と現状分析、更にはそれらデータのビジュアリゼーションなどを「ワークショップという形を取りつつやってくれないか?」という結構無茶な注文が来ちゃいました(苦笑)。
で、その準備の為に先週から現地を何度か訪れてるんだけど、これが(意外にも)結構興味深くって、正に「バルセロナの新たな顔発見!」みたいな瞬間が毎日の様に訪れています。というのも、バルセロナの外れに位置するこのエリアには、中心街から連結している公共交通機関も非常に少なくて、バルセロナ出身のカタラン人ですら「今まで近寄った事すら無い」という人が殆どなのでは?と思うからなんですね。更に更に、今回のワークショップの調査地区というのは、図書館や病院なんかが多く集まっている、この地区の中でも比較的開発されているエリアなのではなくて、そこから更に山の中に入っていったエリアというから驚きです。そんな奥の奥に広がっていた風景がコチラ:
バルセロナ市内とはにわかには信じられない様な大自然!これ、一応市内ですよ、市内!!
更に驚くべき事に、この地区の至る所には、昔作られた橋や、前世紀のモニュメントなんかが数多く残っていて、まるでここだけ「時」がストップしてしまったかの様な、そんな風景が広がっていました。
見晴らしも最高!で、面白かったのは、このエリアにはモニュメントなどフィジカルな遺構だけでなく、昔ながらの習慣が居住者の間に保持されていると言う点でした。
というのも歩き疲れたので、11時ぐらいに休憩がてら近くのカフェに入ったら、11時にも関わらず、みんな普通のランチらしきをガッツリ食べていたからです。勿論ワインもガブ飲み。スペインでは昼食が14時と少し遅めなので、11時くらいにカフェでコーヒーとサンドイッチなどの軽食を取るのが普通なのですが、昔の人達、特に肉体労働を主とする労働者の人達などは、ランチ前の軽食にもしっかりランチ級のご飯とワインでお腹を満たしていたそうなのです。本で読んで知ってはいたんだけど、実際に見るのは初めてでした。
さて、ここからはちょっとした裏話なんだけど、このワークショップの裏側にあるもの、その隙間からチラチラ見えるものこそ、現在のバルセロナ市役所の右派政権の打ち出したい新しい政策です。
今年の5月に約32年振りに(初めて)労働左派から政権を奪った右派政権は、このバルセロナ市内における忘れ去られた地区を新しい集客エリア、つまりは市内から人々を惹き付ける事の出来る「新しい中心」に位置付けようとしています(バルセロナの政権交代についてはコチラ:地中海ブログ:スペイン統一地方選挙2011:バルセロナに革命起こる)。もっとハッキリ言っちゃうと、この辺りに残されているモニュメントを修復して観光要素にしたり、もしくはノーマン・フォスターの塔が位置する山手エリアへの新しい入り口にしたりして、グリーンツーリズムの新しい拠点にしようと試みているんですね。
では何故ここにUN-Habitatが関わってきているのか?
ここが結構キーだと思うんだけど、実はですね、現在のUN-Habitatの事務局長は1997年から9年間、バルセロナ市長を勤めたJoan Clos氏なんですね。
そう、バルセロナのカーニバルで、山車のど真ん中で踊りまくってたジョアン市長は今、国連に身を置いているんですね。まあ、カタラン人が世界中に張り巡らされたネットワークを使って国際機関を都市開発に巻き込んじゃおうっていうこの手法自体はバルセロナでは結構典型的で伝統的な手法だったりするので今更驚きではありません。この辺は流石に巧いとしか言いようがないなー。
僕はこの計画にはモビリティの視点、特に歩行者分析という視点から関わっているので、見放された地区に何かしらの集客装置が創り出され、それによってその地区の公共空間に賑わいが出たり、生活の質が向上したりする事には大賛成と言う立場を取っています。しかしですね、個人的な意見を言わせてもらうと、「バルセロナ市が何故今このエリアを開発するのか?」という理由、つまりは大きな枠組み=「バルセロナの都市戦略の中におけるこの計画の位置付け」みたいなモノがちょっと良く見えないかな。
まあ、計画は始まったばかりだし、もう少し深く関わってみると、又新しい展望が見えてくるかもしれない‥‥と言う期待を持ちつつ、もうちょっと見守る事にしてみよう。
「今週は私達イタリア人にとっては特別な週なの。何てたって、念願だったベルルスコーニがやっと政権を去ったんだから!今週一週間は毎日ピザでお祝いよ!」
‥‥とは言ってなかったけど(笑)、絶対そんな言い訳するイタリア人とかいそうだよなー。まあ、その気持ちも分からないでも無いですけどね。
まあ、良いや。で、先ず始めに「このワークショップは一体なんなのか?」と言うとですね、バルセロナのとある大学のマスターコースの一環として、国連の一機関であるUN-Habitatを巻き込みながら、「バルセロナの忘れ去られた一地区」を開発する為の調査分析を行うという、(僕的には)かなり驚きの内容のワークショップなんですね(バルセロナのマスターコースの裏事情についてはコチラ:地中海ブログ:バルセロナに出来た新しい建築学校その2:Barcelona Institute of Architecture:バルセロナ建築スクールの諸問題)。何故驚きかというと、2ヶ月程前にメールでこの話を最初に聞いた時は、「まあ、教育の一環なのかな」とか思ってたんだけど、ミーティングに行ってみたらよく知ってる市当局の面々やら州政府からは大臣なんかも来てたりして、調査分析という名目の裏には結構大きなプロジェクトが見え隠れしているからなんです。その土台を作る為のモビリティに関する調査をしたいと言う事で(市役所経由で)僕の所に連絡が来た訳なんだけど、具体的にはデータの収集と現状分析、更にはそれらデータのビジュアリゼーションなどを「ワークショップという形を取りつつやってくれないか?」という結構無茶な注文が来ちゃいました(苦笑)。
で、その準備の為に先週から現地を何度か訪れてるんだけど、これが(意外にも)結構興味深くって、正に「バルセロナの新たな顔発見!」みたいな瞬間が毎日の様に訪れています。というのも、バルセロナの外れに位置するこのエリアには、中心街から連結している公共交通機関も非常に少なくて、バルセロナ出身のカタラン人ですら「今まで近寄った事すら無い」という人が殆どなのでは?と思うからなんですね。更に更に、今回のワークショップの調査地区というのは、図書館や病院なんかが多く集まっている、この地区の中でも比較的開発されているエリアなのではなくて、そこから更に山の中に入っていったエリアというから驚きです。そんな奥の奥に広がっていた風景がコチラ:
バルセロナ市内とはにわかには信じられない様な大自然!これ、一応市内ですよ、市内!!
更に驚くべき事に、この地区の至る所には、昔作られた橋や、前世紀のモニュメントなんかが数多く残っていて、まるでここだけ「時」がストップしてしまったかの様な、そんな風景が広がっていました。
見晴らしも最高!で、面白かったのは、このエリアにはモニュメントなどフィジカルな遺構だけでなく、昔ながらの習慣が居住者の間に保持されていると言う点でした。
というのも歩き疲れたので、11時ぐらいに休憩がてら近くのカフェに入ったら、11時にも関わらず、みんな普通のランチらしきをガッツリ食べていたからです。勿論ワインもガブ飲み。スペインでは昼食が14時と少し遅めなので、11時くらいにカフェでコーヒーとサンドイッチなどの軽食を取るのが普通なのですが、昔の人達、特に肉体労働を主とする労働者の人達などは、ランチ前の軽食にもしっかりランチ級のご飯とワインでお腹を満たしていたそうなのです。本で読んで知ってはいたんだけど、実際に見るのは初めてでした。
さて、ここからはちょっとした裏話なんだけど、このワークショップの裏側にあるもの、その隙間からチラチラ見えるものこそ、現在のバルセロナ市役所の右派政権の打ち出したい新しい政策です。
今年の5月に約32年振りに(初めて)労働左派から政権を奪った右派政権は、このバルセロナ市内における忘れ去られた地区を新しい集客エリア、つまりは市内から人々を惹き付ける事の出来る「新しい中心」に位置付けようとしています(バルセロナの政権交代についてはコチラ:地中海ブログ:スペイン統一地方選挙2011:バルセロナに革命起こる)。もっとハッキリ言っちゃうと、この辺りに残されているモニュメントを修復して観光要素にしたり、もしくはノーマン・フォスターの塔が位置する山手エリアへの新しい入り口にしたりして、グリーンツーリズムの新しい拠点にしようと試みているんですね。
では何故ここにUN-Habitatが関わってきているのか?
ここが結構キーだと思うんだけど、実はですね、現在のUN-Habitatの事務局長は1997年から9年間、バルセロナ市長を勤めたJoan Clos氏なんですね。
そう、バルセロナのカーニバルで、山車のど真ん中で踊りまくってたジョアン市長は今、国連に身を置いているんですね。まあ、カタラン人が世界中に張り巡らされたネットワークを使って国際機関を都市開発に巻き込んじゃおうっていうこの手法自体はバルセロナでは結構典型的で伝統的な手法だったりするので今更驚きではありません。この辺は流石に巧いとしか言いようがないなー。
僕はこの計画にはモビリティの視点、特に歩行者分析という視点から関わっているので、見放された地区に何かしらの集客装置が創り出され、それによってその地区の公共空間に賑わいが出たり、生活の質が向上したりする事には大賛成と言う立場を取っています。しかしですね、個人的な意見を言わせてもらうと、「バルセロナ市が何故今このエリアを開発するのか?」という理由、つまりは大きな枠組み=「バルセロナの都市戦略の中におけるこの計画の位置付け」みたいなモノがちょっと良く見えないかな。
まあ、計画は始まったばかりだし、もう少し深く関わってみると、又新しい展望が見えてくるかもしれない‥‥と言う期待を持ちつつ、もうちょっと見守る事にしてみよう。