地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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スペインの医療システムについて:歯医者の場合
歯が痛い・・・。何か先週辺りから急に右奥歯の辺りが痛くなってきて、歯磨きとか一生懸命してみたんだけど、どうにもならず(当たり前か(苦笑))・・・しょうがないから知人に紹介してもらった歯医者(私立)に行ってきたんだけど、歯医者さんが僕の口の中を見て一言:

「あー、親知らずに大きな穴が開いてますねー。こりゃ、抜かなきゃ駄目ですね」

とか言われてしまった・・・ガーン(悲)。で、抜く為には先ずはレントゲンを撮って親知らずがどうやって生えてるかを確認しなきゃいけないそうなんだけど、偶然にもそこでスペインの医療システムに関する新たな事実を発見してしまいました。これこそ正に怪我の巧名(笑)。ちなみに親知らずは英語でWisdom tooth、スペイン語ではMuela del juicioと言います(どうでも良いマメ知識終わり)。

スペインの医療システムについては今まで散々書いてきたと思うんだけど(地中海ブログ:ヨーロッパ各国の導入している医療システムについて)、手短に言うと、スペインでは心臓の手術をしようが、腎臓を移植しようが、医療費は基本的に無料です。「えー、タダなの??」とか思ってしまうのですが、本当にタダなんです!このシステムこそ、悪名高いフランコ独裁政権が残した唯一ポジティブな功績だとも言われてるんですね(知人の看護婦さん情報)。このシステムがスペイン在住者にとってだけでなく、ヨーロッパ市民にとってもどれ程魅力的か?と言う事は、近年勃興してきた「健康ツーリズム」なるものに逆説的に見る事が出来ると思います(地中海ブログ:健康ツーリズム:スペインの誇る医療サービスの盲点を突いた、グローバリゼーションの闇)。

スペインにおける医療システムをもうちょっと詳しく説明するとですね、スペインには公立と私立の病院があるんだけど、公立の病院には住民登録がしてあれば、誰でも無料で診察を受ける事が出来ます。更に凄い事には、スペインには「スペイン国に滞在し、医療を必要としている人に対してはそれを拒んではいけない」みたいな法律が存在する為、住民票を持たない観光客でさえも救急の場合に限り、無料で診察してもらえる事が出来ちゃうんですね。

(要注意) だからと言って、日本人の皆さんはきちんと医療保険に入ってくる事をお勧めします。何かしらの不測の事態から、「あなたは診察は受けられません」なんて事が起こらないとも限らないので。

反対に、私立の病院の場合には、各医療保険会社と契約する事によって契約専門医なんかに掛かる事が出来るんだけど、「社会保障で全ての人に公立病院での診察が保証されてるのに、何で私立の病院が必要になるの?」って言うとですね、公立病院は無料だとは言っても、何時も込んでて、「今すぐ治療が必要なのに来週まで待たされる」って事が非常に多いからです。そういう場合、私立の病院と契約していると直ぐに診てもらえるという事になる訳ですよ。

もう一つ、スペインの病院に関する面白い特徴としては、「私立の病院よりも公立の病院の方が医者のレベルが高く、はるかに良い機材が揃っている」という事が挙げられるかと思います。だから軽い病気なんかは私立病院で見てもらえるんだけど、ある一定の症状を超えると、私立から公立へと自動的に移されるなんて事がしばしばです。

で、今回の僕の歯が正にその状況だったのですが、というのも、僕が最初に行った私立の病院には大規模なレントゲン機材が無かった為に、「一度、公立の病院へ行って撮ってきてください」とか言われた訳ですよ。で、早速電話してみたら、思いがけない事を言われてしまいました。

cruasan:「あ、もしもし、cruasanですけど、歯が痛くて私立の病院に行ったら、親知らずに穴が開いてて、抜かなきゃいけないって言われたんですけど・・・。で、その前にレントゲン写真を撮って来いと言われました。と言う訳で、予約したいんですが・・・」

病院の受付:「そうですか、でも、その場合はコチラ(公立病院)の歯医者による診断で、もしレントゲンが必要なら無料で撮る事が出来るのですが、そうでない場合は、料金が掛かる事になりますが、宜しいですか?ちょっと前までは、私立の病院での診断書や要求書があれば公立病院でもレントゲンが無料で撮れたのですが、最近政府が実施している予算削減なんかからシステムが変わったんですよ。と言う訳で、最初にこちらの歯医者さんによる診断を受けてもらう事になります」

cruasan:「あ、そうなんですか、分かりました。で、もしレントゲン写真を撮って、抜かなきゃいけない場合はどうなるんですか?」

病院の受付:「その場合は勿論抜く事になると思います。無料です。もし生え方が複雑で外科手術が必要な場合も、大きな病院を紹介します。その場合も無料となっています。」

し、知らなかった!!スペインにおいて抜歯って無料だったんですね! その前に、そもそも各地区にある町医者(CAP)に歯医者の部門があるなんて知らなかった。個人的には大発見です!ただ、「全ての治療が無料か?」と言うと、どうもそういう事では無いらしく、どうやら、町医者が診断して「どうしても抜かなきゃいけない場合」など限られるそうです。虫歯を治すと言うのは、これに入るのか?どうなのか?はかなり微妙。僕の場合の様に、「親知らずを抜く」は無料っぽいです。

スペインの医療システムについて2:スペインの医者の驚くべき給料体系についてに続く。
| スペイン都市計画 | 00:04 | comments(6) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
久しぶり!バルセロナ在住人にはすごく有益な情報でした(笑)ありがとう。私も、妊娠した時の虫歯の有無の検査と、子供の歯の検査を公立病院でしてもらいました。しかし、無料でしてもらえるのは検査だけで、もしも虫歯があった時、治療は有料の歯医者へ行くように、と指示された覚えがあります。市立の歯医者さんは治療方法にも寄りますが、医院によって診察費が1桁くらい違うんじゃないかというほど値段に差があってびっくりします。そしてもう一つ医療に対する考え方でびっくりしたのが、子供の学校で、全員に実施される健康診断が存在しないこと。視力や聴力の低い子、血圧の高い子など、命にはかかわらないけれどできたら早めに手を打ったほうがいいかも、っていう異常のある子供の割合というのはけっこう高いみたいです。日本だと毎年学校で視力検査とかいろいろあったと思うのですが、こちらでは親が気がつかない限り子供の虫歯もそのまま放置されます。気になる人は大抵の検査が無料で出来ますが、実はちょっと怖いかなあ、と思いました。
| トモコ | 2011/10/12 9:14 PM |
>住民票を持たない観光客でさえも救急の場合に限り、無料で診察してもらえる事が出来ちゃうんですね。

SSに加入してない場合は後で請求書が来ますよー。なので無料なのではなくて、その場はキャッシュレスで診察が受けられる場合があるという事。最近は厳しいみたいです。

抜歯は外科手術の範疇に入るから無料だとか聞いたことがあります。親知らず手術後レポートもよろしく。
| M | 2011/10/12 9:58 PM |
トモコさん、ご無沙汰です。

やっぱり虫歯の場合は私立の歯医者(有料)に行く事が多いのですね。しかも公立病院でも治療法によって値段が違うとは、とてもスペインらしいというか、何と言うか(苦笑)。

僕は子供がいないので、スペインの教育界の事は全く知らないのですが、日本との間にそんな違いがあったとは、実に新鮮な驚きです。健康管理などは自己責任で・・・という事なのでしょうか。

実はちょっと前にトモコさんが投稿されてるパリのブログ(チョコレートだったかな?)でアパート交換の記事を読んだのですが、僕には全く無い視点で、とっても面白かったです。やはり小さいお子さんがいると世界が広がるのですね。改めてそんな事を思っちゃいました!
| cruasan | 2011/10/13 4:18 AM |
Mさん、こんにちは。

スペインの医療システムは我々日本人にとってはまだまだ未知の部分が多いですね。みんなの体験などを募って、今後の為のデータベースを創れたらと思っています。
| cruasan | 2011/10/13 4:19 AM |
先日はありがとうございました。さっそくですが、お話ししていたうちの子供の救急医療の件、請求書が来ました!(笑)。ちなみに、サンパウ病院に救急車で運ばれて、CTスキャンと点滴を受けて、診察してもらって、126ユーロでした(今はピンピンしてます)。やはりMさんの書かれている通り、その場はキャッシュレスで治療を受けて、その後請求書とともに「SSや保険に入っているならその資料を持て来て」という連絡が来る、ということのようです。場合によるのかもしれませんが、さすがに保険無しはリスクがありますね。うちはSSにまだ加入できていないので、まずは現金で支払って、日本の健康保険で後日払い戻ししてもらう、ということになりそうです。
| morikazu | 2011/10/24 7:43 PM |
morikazuさん、こんにちは。コチラこそ先日はどうも。

なるほど、これで又一つ、スペインの社会福祉の謎が解けましたね。それにしても、お子さん無事でなによりでした。
| cruasan | 2011/10/26 6:12 AM |
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