地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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カタルーニャ地方(バルセロナ)で最後の闘牛が行われました:日本人の中に流通する闘牛のイメージについて
何か最近忙しい・・・。特に今週はバルセロナでモビリティに関するアカデミックな集まりがあったり、国連関連のミーティングに何故か知らないけど参加させられたりと、最近どうも全く関係が無さそうな所から突然電話が掛かってきたり、メールが来たりする事が多くなってきました。まあ、全く予想もしない所から突然連絡が来るって事は別に今に始まった事ではなくて、特に今更驚く程でも無いんだけど、そんな中、個人的にちょっと「あれっ?」って思った事が最近あったんですね。

と言うのも、先週受け取った一通のメールが発端だったんだけど、そのメールはボストン在住のアメリカ人の方からのメール(英語)で、内容を見てみたら「地中海ブログ何時も見てます!」とか書かれてる。しかもかなりしっかり読み込んでくれてるみたいで、バルセロナの政治・社会状況に関するかなり鋭い質問とかが載っている程でした。前々から薄々感じてはいたんだけど、このメールを受け取るにつれ、地中海ブログをGoogle Translateか何かで翻訳して結構マメに読んでるっぽい外国人(日本語ベースではない人達)が結構いると言う事が確信に変わりました。

今年の3月に起こってしまった東日本大震災の時に、「海外に居ながら何か出来る事は無いかな?」と考えた結果、Twitterなどで(日本語で流れた)ニュースの速報をスペイン語に訳して流したり、Facebookで立ち上げられた在日外国人の為の情報スペースのスペイン語訳をしてみた結果、日本語が分かるスペイン人が当ブログを読んでくれている、もしくは日本語からスペイン語に訳して見てくれていると言う事は知っていたのですが、スペイン人以外の外国人が結構見てくれているという事はかなり新鮮な驚きでした。

これからも頑張ろう!

さて、日本でも結構大きく報道されてたみたいなのですが、先週末(9月24、25日)バルセロナでは歴史に残る一大事件が起こりました。それこそ今日のお題である闘牛についてなんだけど、20世紀初頭以来脈々と続けられてきた闘牛が先週末を最後にバルセロナから姿を消すという大事件が起こったんですね。



まあ、元々闘牛禁止と言う事は、かなり前から決まっていて、と言うのも動物愛護団体などが「闘牛は動物虐待だ!」みたいな感じで社会にプレッシャーをかけ続けた結果、昨年末、とうとうカタルーニャ自治州議会が闘牛禁止の法案を可決したのがその始まりだったんですね。この法律が有効になるのは2012年の1月からなんだけど、それに先立つ先週末、バルセロナでは最後の闘牛が行われたと言う訳なんです。

実は僕、バルセロナに10年も住んでるのに闘牛たるものを一回も見た事が無くって、「この機会に是非行ってみよう」と意気込んでたんだけど、チケットを買おうとしたら既に完売(悲)。ネットで調べてみた所、ダフ屋が横行してて、値段が3倍近くにも跳ね上がってるという情報があったのに加えて、当日は熱烈なファンが当日券を買いに長打の列を作る事が予想されたので、泣く泣く諦める事に。前日の土曜日の部はチラホラ席は空いてたんだけど、その日は朝から雨模様で、「今日は中止かな」と踏んで、コチラもオジャンに。結局、行く事が出来ず仕舞いでした。

今回どうして急に闘牛を見に行こうと思ったかと言うとですね、まあ、バルセロナで見る事が出来る最後の機会と言う事もあったんだけど、それ以上に、最近(偶然にも)連続して日本人から聞いた闘牛に関する感想が余りにも印象的だった事が僕の心を動かしたと言う事が大きいかな。そのとっても印象的だった会話って言うのはこんな感じ:

証言その1:知り合いの日本人から聞いた話

「先日、親戚がバルセロナに来て、サグラダファミリアなんかの観光地を巡って楽しんでたんだけど、その勢いで「闘牛に行こう」って言う事になったんですよ。で、どうせなら一番前で見たいって言うから、結構値段の高い席を取って、ワクワクしながら見てたんだけど、闘牛場を出る頃には親戚の叔父さん達の元気が無くなってて、「食欲が無いから夜のご飯はいらない」とか言ってホテルの部屋に閉じこもっちゃんですよ(笑)。お昼まではパエリアとか結構食べて元気モリモリだったのに、目の前で牛が「バタン」って殺されたのが相当ショックだったみたいです。まさか、殺されるとは思ってなかったそうですから。」

証言その2:知り合いの日本人(日本在住)との会話から

cruasan:「闘牛とか見たい?」
知り合いの日本人:「見たい!!」
cruasan:「でも、あれ、結構ショック受けるらしいよ。目の前で牛が死んだりして」
知り合いの日本人:「えー、どうして牛が死ぬの?闘牛って、赤いマントをヒラヒラさせて、牛と遊ぶんでしょ?」

この会話なんかは結構興味深くて、実はこれらの意見が闘牛に関する日本人の一般的なイメージなのかな?とか思っちゃうんですね。では何故こんなイメージが形成されたのか?と言うと、理由は簡単で、テレビなんかで日本人が目にする闘牛って言うのは、あの赤いマントをヒラヒラさせて、まるで「牛と遊んでる」様なシーンばかりだからです。更に、背中に何本も刺さってる剣は、飾り物だと思ってる人も多いんじゃないでしょうか?

これら、闘牛に対する日本人が作り出した「楽しいイメージ」を裏付けるのが、アニメやマンガなんかに度々登場する闘牛のシーンなんだけど、例えばコチラ:



これは90年代に爆発的な人気を博した柔道マンガ、YAWARAのオープニングなんだけど、柔道家のおじいちゃんが闘牛士の格好で現れたり、YAWARAが牛に追い回されたりするって言う、何とも楽しげな風景が描き出されています。更に今、Googleで「闘牛、アニメ」みたいな感じで検索したら、「花の子ルンルン、友情の闘牛士」みたいな結果が出てきた(笑)。



残念ながらこの映像は見る事が出来なかったんだけど、まさか花の子ルンルンで、牛が殺される場面は出てこないだろうから、こちらも「お花に囲まれて牛さんと戯れる」的な映像なのかな?と推測されます。

探せば他にも沢山あると思うんだけど、どれもこれも共通している事と言えば、それらの場面には「死を匂わすイメージが全く無い」という事だと思います。本物の闘牛と言うのは闘牛士も牛も常に死と隣り合わせで真剣な闘いそのものなんだけど、そんな、死が付き纏う筈の闘牛が何時の間にか、「赤いマントを持ったピカピカの服を着た闘牛士」と、「燦燦と降り注ぐ太陽の下で、牛と戯れる」というイメージに変わってしまった訳ですよ!

僕は特に闘牛に思い入れがあるとか、「闘牛は有史以来のスペインの伝統なのだから守るべきだ」とか、「いや、闘牛は明らかな動物虐待だから早く禁止されるべきだ」とか、そう言った意見は全く無いんだけど、そんな毎回物議を醸し出してきた闘牛も、もう見れないのかと思うと、ちょっと感慨深いものがある事は確かかな。まあ、これも時代が変わったと言う証拠なのかもしれません。

カタルーニャと言う地方は歴史的に数々の前衛的な法案を可決してきてて、その軸線上で見るならば、今回のカタルーニャ自治州の決定は他の州にも影響を及ぼす事は間違い無いと思います(闘牛に関してはカナリア諸島が既に禁止の法案を可決している)。もしかしたら今回の闘牛禁止と言う事件はバルセロナに限った事ではなくて、近い将来スペインで闘牛が廃止されるという可能性も無きにしも非ずかなとも思います。

いずれにしても、又一つ、バルセロナで歴史的な出来事が行われた週末でした。
| バルセロナ歴史 | 06:31 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
はじめまして
闘牛廃止(カタルーニャ)の検索で
こちらに来ました。
実は、タイムリーでそのニュースは知らなかったのです。

最近、動物愛護活動・保護活動などに
興味を持ち、知ったことなんですが、
歴史的行事?を廃止するって
すごい決定だな〜と思いました。
日本は、動物に対しては後進国なので。


他の建築関係の記事も興味深く、
さかのぼってちょこちょこ読ませて頂いてます★

写真が多くてうれしいです。
一言残したくてコメントいれました〜!

闘牛の記事は、facebookでいいね!させて頂きました。
| KA | 2012/09/29 7:40 AM |
KAさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

本当にそうですね。かなり伝統的な歴史的行事である闘牛を廃止するって、凄い決定だったと思います。スペインはそういう、「決める時は決める」みたいな姿勢が未だ見えて、僕は結構好きです。ちなみに、スペインでは動物保護団体は結構活発に活動してて、しょっちゅうデモとかやっています。

これからも宜しくお願いします。
| cruasan | 2012/10/01 1:19 AM |
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