地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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スペインのガリシア地方でワイン製造の為の葡萄の収穫(ヴィンテージ)始まる
先週中頃の事だったのですが、ふと夜のニュースを見ていたら、ガリシア地方でヴィンテージが始まると言うニュースが流れていました。「ヴィンテージ」と聞くと、「オーディオとかカメラとか、年代ものの何かかな?」と思う人が多いかと思うのですが、ヴィンテージと言う言葉は本来、ワインを作る為の葡萄の収穫から醸造、そして出荷する為の瓶詰めまでの工程を表す言葉なんですね。



では、何故ガリシアのヴィンテージが気になっているかと言うとですね、実はガリシアに滞在していた時に、(大変ラッキーな事にも)知り合いの経営しているブドウ畑に連れて行ってもらって、そこで見せてもらったワイン醸造の工程が大変印象に残っていたからです。もっと言っちゃうと、実はスペインでは数年前から地元産のワインとスター建築家によるアイコン建築を絡めた「ワイン観光」なるものが密かなブームとなっていて、その状況を一度この目で見ておきたいという理由もありました。スペインにおけるワイン観光の状況については以前のエントリで書いた通りなのですが(地中海ブログ:ワイン観光について:ワイン貯蔵庫の生き残り戦略:ワインと建築の協働)、数年前、オーストリアのウィーンに行った時に見たスティーブン・ホールのデザインしたワイン貯蔵庫と、観光戦略なんかが非常に印象深かったのを今でも覚えています(地中海ブログ:ウィーン旅行(Vienna / Wien)その4:スティーブン・ホール(Steven Holl)の建築:ロイジウム(LOISIUM Kellerwelt):歴史的遺構という物語空間に接続された現代建築、地中海ブログ:ウィーン旅行(Vienna / Wien)その5:スティーブン・ホール(Steven Holl)の建築:ロイジウム(LOISIUM Kellerwelt):内部空間にて思う事)。



その時は迷宮の様に張り巡らされた地下道に「え、伝統的なワイン醸成場ってこんな風になってるの?」って言う驚きを隠せなかったんだけど、ガリシアで体験したワイン畑は、又それとは違った感動を僕に与えてくれたんですね。と言うのも、緑豊かなガリシア地方のワイン畑には、こんな風景が広がっていたからです:



じゃーん、360度大自然のパノラマ!こんな風景の中に「これでもか!」って言うくらいのブドウ畑が広がっていたんですね。思わずこんな写真撮っちゃいました:



僕は身長が175センチくらいあるのですが、その僕が埋もれて見えないくらいだから、葡萄の木って結構大きいって言う事が分かるかと思います。で、そのブドウ畑を堪能した後は、実際にワインを醸成している工場に連れて行ってもらって色々と詳しく説明をしてもらった後に、待ってましたの試飲会!



樽から直接注がれた作り立てホヤホヤのワインを飲ませてもらったんだけど、滅多にありませんよー、こんな機会。



実はこの知り合いが経営しているワイン畑と言うのは、ガリシアではかなり知られていて、ここ数年は、スペイン中にその名を轟かせている白ワインAlbarinoを抑えて、ガリシア州最高の白ワインに贈られる数々の賞を総ナメにしてるくらいなんですね。と言っても普通のスペイン人でこのワインの名を知っている人はごく僅かなんだとか。と言うのも、製造数が少なく限られている上に、約80%のワインはドイツ方面に送られているからそうなんです。残りの20%は、レストランや知り合いからの直接の注文で消費されているのだとか。だからこのワインを市場で手に入れる事は結構困難で、最近では幻のワインと言われる事もあるとか何とか言う噂を聞きました。



僕はお酒はそんなに飲む方じゃなくって、どちらかと言うと「違いの分からない男」に分類されると思うのですが(笑)、そんな僕でもこのワインがちょっと特別だという事くらいは分かるかな。それ程美味しいんですよ、このワイン!!

ちなみにこの知り合い、本職は町の医者で、ワイン作りは友達と始めた趣味なのだとか。趣味でやっているからこそ、無理して売ろうという気は全く無くて、自分達が納得のいく品を好きな量だけ毎年作っているんだそうです。そんなゆったりとした姿勢が、正にガリシア地方の大自然の中で育まれた社会文化を表象しているかの様で興味深かったなー。その話を聞いた時、以前雑誌のインタビューで、カタルーニャ地方の3星レストランのオーナーシェフであるカルメ・ルスカイェーダ(Carme Ruscalleda)さんが、最近のスター建築家によるアイコン建築とワイン観光ブームについて話していた事を思い出しました:

「印象的な建築はワイン貯蔵庫を世界の日の当たる場所へと連れて行きました・・・しかし(ワインなどの)ブランド名の質はその製品自体(ワイン)の質によって保持されるべきですね」
“la arquitctura impresionante hace que unas bodegas den la vuelta al mundo”, pero “ es la calidad del producto lo que mantiene la marca de una casa”

ワインブームも良いけど、本質はワインの味だろ、と、まあ、そういう事ですね。そんな事を思いつつ、今週末も美味しい白ワインに舌鼓を打ちながら、幸せに夜が更けていきました。
| バルセロナ日常 | 04:56 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
とても興味深いお話ですね。趣味でやっているというのも素敵です。
ゆったりした文化に触れてみたくなりました。
まず、葡萄の木がそんなに大きいことに驚きましたが…知らなかったです。
| solla | 2011/09/06 9:54 PM |
Sollaさん、こんにちは、コメントありがとうございます。

「好きこそ物の上手なれ」じゃないですけど、やっぱ、趣味でやってる人には何事も敵いませんね。それが好きだから幾らでも時間をかけるし、しかもそれが苦痛じゃない。結果、市場よりも良い物が出来てしまうという好循環。とっても幸せな人生だと思います。

恥ずかしながら、僕もぶどうの木があんなに大きいなんて全く知りませんでした。現地に行って知る事はやっぱり沢山あると、今回も実感させられてました。
| cruasan | 2011/09/08 7:46 PM |
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