地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ホテルの歩き方:機能を分散させる事によって質の高いサービスを実現しているネットワーク型ホテル:Hotel do Parque
前回のエントリで少しだけ言及したのですが、今回ブラガで泊まったホテルは標高400メートルに位置するサン・ジェズス・ド・モンテ教会の直ぐ隣にある4つ星ホテル、Hotel do Parqueでした(地中海ブログ:ボン・ジェズス・ド・モンテ聖堂(Bom Jesus do Monte)に見るキリスト教の大変秀逸なマーケティング手法)。



元々ブラガって言う都市はそんなに大きい都市ではないので、ホテルの数そのものが少ないんだけど、そんな中でも何故ワザワザ市内から離れた山の上に泊まったかというとですね、理由は簡単で、7月のポルトガルはもの凄く暑いと聞いていたので、「じゃあ、山の上なら涼しいだろう」と思ったからなんですね。まあ、つまり、余り深く考えなかったと言う事です(笑)。しかしですね、適当に3分くらいで決めたホテルだったんだけど、これが意外に良かった!行きにくい所にあるのは確かなんだけど、4つ星なのに5つ星並みの部屋とサービス、そして料金は3つ星クラスと来ているから溜まりません。何にも期待してなかったが故に喜びも倍増。と言う訳で、久しぶりに「ホテルの歩き方」でも書いてみようかな、と、そう思った訳なんですね。

Hotel do Parque
コンタクト:
Address: Monte do Bom Jesus, 4715-056 Braga
Tel: 351-253603400
Web: http://www.hoteisbomjesus.pt/

山の上というだけあって周りは深い緑に囲まれています。そのど真ん中に建っているこのホテルのエントランスを入ると、そこには4つ星ホテルに相応しい広々としたロビーが広がっているんですね。



奥の方にはバーやレストラン、そしてゆっくりとくつろぐ事が出来るソファーなんかが置かれています。ちなみに僕がこのホテルに泊まっていた時、偶然にも女子サッカーW杯の決勝戦が行われていて、このロビーにあるテレビで観戦してたんだけど、隣にはボストンから観光に来てたアメリカ人一家がかなり熱のこもった応援をしていました。白熱した試合だったので、僕もその家族も一喜一憂を繰り返してたんだけど、試合が終わった後には、「日本がここまでがんばるとは思わなかった。完敗だよ。素晴らしい試合をありがとう」と言ってくれました。いやー、嬉しかったですね。

さて、僕が今回予約したのはスタンダードルームで、案内された部屋は2階の奥の方だったんだけど、入ってみてビックリ:



物凄く天井が高くて、ベッドも広々、何より備え付けの家具などがアンティークっぽくって、いい感じを醸し出してるじゃありませんか!そしてちょっとしたベランダ付きの大きな窓の外を見てもう一度ビックリ:



窓からはサン・ジェズス教会が見えるじゃないですか!!つまりこのホテルで一番良い部屋の一つに通してくれたって言う訳なんです。スタンダード料金なのにスウィート級の待遇。多分この時期は殆どお客さんが居なかった事などから、そのお零れに預かれたんだと思います。滅多に泊まれませんよ、こんな部屋。マンモスラッチーって感じかな(笑)。勿論バスタブも付いてて、お湯の出も文句無し。



今回朝食はホテルでは取らなかったんだけど、教会が見えるレストランで温かいビュッフェが用意されている様でした。何故ホテルで朝食を取らなかったかと言うとですね、町に出て行けば、この上なく美味しいクロワッサンとコーヒーが2ユーロ以下で味わえちゃうからなんですね。



このポルトガル独特のクロワッサン。フランスのクロワッサンとは又違った味わいのある、素晴らしい発明だと思います。ポルトガルのクロワッサンは、どちらかと言うと、甘いお菓子系って感じかな。そう、まるでポルトガル名物、Pastel de Belenの様な(地中海ブログ:Graciaにある小さなポルトガルカフェ A Casa Portuguesa:Pastel de Belenが凄まじく美味しいカフェ)。

さて、ここからがこのホテルのちょっと面白い所なんだけど、実はですね、このホテルはボン・ジェズス教会を取り囲む様に建っている他の2つのホテルと姉妹関係にあって、僕の見る所によると、それぞれが各々一つの事に特化した機能を持っている、ネットワーク型ホテルだと言う事に気が付いたんですね。ネットワーク型と言うと即座に思い付くのが、ロンドンやパリと言った一極集中型都市モデルに対抗する様に現れたオランダの様な都市発展モデルです(地中海ブログ:欧州工科大学院 (European Institute of Innovation and Technology)の鼓動その2:ネットワーク型システムに基づくシティ・リージョンのようなコンセプトを持つ大学院)。つまりは政治や経済、文化といった各々の機能を全て一つの都市に持たせるのではなく、幾つかの都市に分散させ、その間を高速鉄道などで結ぶ事によって、都市の肥大化を防ぐという、アレです。マニュエル・カステルなんかが得意とする分野なんだけど、「とうとうその波がホテルにも来たか!」って感じかな(半分冗談)。



先ず僕が泊まっていたHotel do Parqueは、部屋の質などから見るに、ゆっくりと静かに泊まりたい人向けにデザインされている、「寝る事に特化したホテル」だと思います。その一方で、教会を挟んだ反対側にあるホテルHotel do Temploの売りはコチラ:



最上階にあるフィットネスとサウナ、そしてプールなんですね。前回のエントリで書いた様に、この教会の前には数百段という階段が展開している為、多くの人達がジョギングしたり、中にはプロと見られる様なアスリートの人達までもが、トレーニング代わりに階段を上り下りしている姿を何度も目撃しました。つまり、ここに泊まりに来る人の中には、その様な運動を目的に来る人が少なからずいると言う事です。



このHotel do Temploのサービスは、正にその様な人達をターゲットにしていると思われます。そして3つ目のホテルは山の斜面に面して建ってるHotel do Elevadorなんだけど、このホテルの売りがコチラです:



絶景レストラン。



山の斜面に面して建っているので、前方を遮るものは何も無く、圧巻の風景が広がっているんですね。こんな風景を肴に嗜むポルトワインの味は格別です。



そう、これがポルトが誇る赤いルビー、ポルトワイン。普通のワインとは違って、一時発酵の途中でブランデーを加えて発酵を止めているので、ブドウの自然な甘味が物凄く濃厚に残っていて、たまらなく美味しい一品となっています。

このHotel do Parqueを中心とした3つのホテルは、それぞれの敷地の属性を最大限に生かしながら、何かしらの機能に特化しつつも、全てを徒歩圏内に分散させネットワークで結ぶ事によって、建物をそれほど肥大化させる事無く、一つのホテルでは提供出来ない様な魅力的で多様なサービスを実現しています。個人的には初めて見ました、このタイプのホテル。非常に興味深い事例です。

で、気になるお値段の方なのですが、僕が泊まった部屋は朝食無しで一泊55ユーロでした。この部屋とサービスで55ユーロなら全く文句無し。上述した様にちょっと行きにくい所にあるのですが、「喧騒を離れてゆっくりしたい」という人には超お勧めのホテルです。
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