地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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選挙に勝った直後に自分の給料を軒並み引き上げるって言う、スペイン政治家の何とも分かり易い政策
先月末に行われた統一地方選挙において、現政権についてる労働左派党(PSOE)が大敗し、野党第一党である保守系政党、民衆党(PP)が全国で勝ちまくった事は以前のエントリで書いた通りなのですが(地中海ブログ:スペイン統一地方選挙2011:バルセロナに革命起こる)、それから一ヶ月程経った先週中頃、ようやく全国各地の自治州や市役所の政権構成も固まり、各政党における政策の方向性なんかも見え始めてきました。

スペインでは政権が変わるとそれまで進んでいた政策やプロジェクトなんかが止まったり、酷い時にはオジャンになったりするのはよくある事なんだけど、そんな政治的混乱に乗じて、と言うか隠れて、「自分の給料を上げている市長がいる!」って言う俄には信じられない噂を聞きつけ、興味本位でちょっと調べてみたんだけど、出てくるわ、出てくるわ(笑)。

とある情報筋によると、今回の選挙で勝った90%以上の新市長が何らかの形で自分の給料を上げているとか何とか。しかもスペインでは現在、現政権に不満を募らせている若者なんかが全国各地でデモを引き起こし、たびたび暴動にまで発展するって言う非常事態に陥ってるにも拘らずですよ!(地中海ブログ: スペイン各都市で大規模デモ:「ジャスミン革命がスペインにも飛び火」って言われてるけど・・・)こういうのを、「思い切り空気読めてない」って言うんでしょうね。

ちなみにサパテロ首相は、スペインが経済危機に陥った当初、公務員の給料削減案を提案すると同時に、自分の給料を真っ先に減らすと言う、全く持って尊敬に値する行動を示しました(地中海ブログ:スペインの各自治州政府大統領の給料について)。もひとつちなみに、彼の給料は78.000ユーロ(日本円にして約850万円程度)で、この数字はカタルーニャ州政府大統領の約半分、カタルーニャ州政府高官よりも下となっています。

で、今回自分の給料を2倍にした人なんかをずばり発表しちゃうんだけど、先ずは、Valladorid州にあるPenafiel市の市長、Roberto Diezさん!彼は政権に就いた途端、市の財政支出を削減する事を発表したと同時に、自分の給料をいきなり2倍に跳ね上げたって言う強者!続いては、カタルーニャ州のCalonge de Segarra市の市長に就任したJordi Solerさん。彼の場合は倍とはいかないまでも、自分の給料を35%上げちゃいました。その一方で、彼の掲げる政策は勿論「経費削減」ですからね(苦笑)。で、ですね、今回もっとも非難されるべきなのがこの人:



元サパテロ政権ナンバー2だった、Maria Teresa Fernandez de la Vegaさん!!彼女なんて、今回の選挙で何処かの市長になった訳でもなく、ましてや選挙に勝ったんでもなく、強いて言えば負け投手のくせして自分の給料を上げてるって言うんだから驚きです。しかも今まで73.486ユーロだった自分の給料をなんと2倍の142.357ユーロに引き上げちゃいました!

この様な情報って、何も今になって公開され始めた訳じゃなくて、昔から「市民が知る権利」として情報公開されていたとは思うんだけど、そこに辿り着く為には色んな障壁があったりして、辿り着ける人って言うのは極々一部だったと思うんですね。更にその極々一部の人が得る事が出来た情報を一般市民に広めようと思っても、それは殆ど不可能だった訳ですよ。

しかしですね、「ジャスミン革命」を見るまでもなく、今やソーシャルネットワーク全盛の現代においては、そんな情報、何処からでも手に入るし、手に入った情報を世界中に広げる事なんてワンクリックで実現出来る時代に突入した訳ですよ(地中海ブログ:チュニジアやエジプトのデモでSNS革命と言うイメージが捏造されていったのは一体何故なのか?)。そしてその様なソーシャルメディアを駆使した一般市民による政権への圧力にかけては、スペインは間違い無く先進国だと言う事は以前のエントリで書いた通りです(地中海ブログ:東さんの「SNS直接民主制」とかマニュエル・カステル(Manuel Castells)のMovilizacionとか)。

先月の選挙以来、スペインでは現政権に不満を抱いている若者を中心としたデモが絶え間なく続いていて、殆ど暴動に発展しそうな緊張が走ることもしばしばになってきたんだけど、そんな彼らが出来る事、それは今回の様な政治家達の傍若無人な振る舞いをチャックすると言う、本来ならメディアが果たしてきた役割を担う事なんじゃないのかな?

少なくとも、その可能性はあると思いますけどね。

関連情報:今回の選挙後、自分の給料を上げた政治家リスト 名前:都市:所属政党:上昇率:給料

Roberto Diezさん:Penafiel市長(Valladolid): 民衆党(PP):100%:40.000ユーロ

Jordi Solerさん:Calonge de Segarra市 (Barcelona):CiU:35%:62.000ユーロ

Josep M. Puigbetさん:Bisbal del Penedes市 (Tarragona):ERC:33%:44.000ユーロ

Bernat Grauperaさん:San Andres de Llavaneras市 (Barcelona):CiU:31%:54.000ユーロ

Carlos Lavinさん:Penagos (Santander):Union Penagos:25%:25.500ユーロ

Tomas Foleさん:Villagarcia de Arosa(Pontevedra):PP:20%:60.000ユーロ

Angel Hurtadoさん:Almoradi (Alicante):PP:12%:52.500ユーロ Francisco

Toscanoさん:Dos Hermanas (Sevilla):PSOE:15%:61.100ユーロ

Josep Monrasさん:Mollet del Valles (Barcelona):PSOE:10%:65.000ユーロ

Fidel Prietoさん:Cajar (Granada):PP:12%:42.000ユーロ

Alberto Fabraさん:Castellon:PP:2%:77.500ユーロ
| スペイン政治 | 19:35 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
へ〜、へ〜、何これ、ひどいっすね。最近あんまりニュース見てないけど、これちゃんと報道されてるんですか?おらっちもカタルーニャ広場に座り込みに行くか、って気になるわ、こりゃ。まあCarlos Lavinさん25.500ユーロ っていうのは大目に見てやってもいいかもしれないけど。

景気に左右されず自分で給料決めていいなんて、ほんと政治家っていい商売ですなあ。
| ay | 2011/06/27 9:11 AM |
ayさん、こんにちは。

酷いでしょ、この話!ホント、若者達が座り込んで抗議したくなる気持ちが分かるってものです。で、もっと酷いのが、メディアがきちんとこういう悪事を伝えてないって事。ちゃんと働けよ!って感じなんですけどね。
| cruasan | 2011/07/03 12:06 AM |
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