地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式を見ていて思った事:日本に増殖する結婚式教会について
昨日からスペインの各種メディアは何処を見てもウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式の話題ばかり。



今朝の新聞なんて大々的な写真入りで何ページにも渡って紹介するって言う程の力の入れようなんだけど、その中でも特によく目にした写真と言えば、イギリス王室結婚式での恒例となっている、聴衆の眼前でのキスシーンと、花嫁のウエディングドレスの写真でした。



特にこのウエディングドレスについては当日までトップシークレットだったらしく、「一体誰がデザインするのか?」、「どんなデザインになるのか?」など、巷では相当な噂になり、これが今回の結婚式の一つの目玉だったらしいです。「らしい」と言うのも、英国王室結婚式自体には前々から興味津々だったんだけど、その一方で、特にウエディングドレスとか、あんまり興味が無くって、特別この話題を追っていたと言う訳でも無かったので・・・。

まあ、そんな訳で、前回のホリエモンの時と同様、今回も仕事をしながら横目でチラチラとスペイン国営放送(La1)が生中継してた結婚式を見てたんだけど、それを見ていて僕が思ったのが以下の2点:

先ず一点目は、実はスペイン国営放送、今回大変なヘマをやらかしてしまって‥‥と言うのも、10時30分頃から14時近くまで続いた生中継の中で、時々3分間のCMを入れてたんだけど、それが今回の式の最も重要な場面である、2人が神に将来を誓い合い、ウィリアム王子が花嫁に指輪を嵌めると言う、一番のハイライトシーンに被ってしまうと言う大失態をやらかしてしまったんですね。だからスペイン人はこの瞬間をリアルタイムで見る事は出来ず、大変悔しい思いをした人多しだったはず。何時も何かやってくれますよね、Television Espanola!(地中海ブログ:スペインの美人すぎるニュースキャスター、Maria Casadoさんって‥‥

そして今日の記事で僕が話題にしたいのが2点目の方なんだけど、昨日の結婚式を見ていて、「あれ?」って思った人、実は多かったんじゃないのでしょうか?確かに花嫁は奇麗だったし、2人が乗ってきた車や馬車、そして世界中から駆け付けた王族やら有名人やらの衣装なんかも豪華絢爛で盛大な結婚式だった事は間違いないんだけど、その一方で、「特に目新しい事は無いかな」って言うのが、普通の日本人の感想だと思うんですね。

何故か?

何故なら、昨日の結婚式って、規模こそ違えど、形式なんかは日本でごく普通に行われている結婚式とほぼ変わらないと思うからです。

何故変わらないのか?

理由は簡単で、日本が西洋文化に憧れを持つが故に、ヨーロッパ式の「教会での結婚式」を輸入して、それが日本でのスタンダードな結婚式となってしまったからです。日本には元々、神前式とか人前式、もしくは仏前式とかって言う、日本が太古の昔から営んできた結婚方式があるんだけど、それが何時の間にかマイノリティになってしまって、僕達が「結婚式」と言う言葉で連想するのは、「教会」、「真っ白なウエディングドレス」、「外国人宣教師」みたいなイメージに何時の間にかすり替えられてしまいました。

で、ここからが面白い所なんだけど、ヨーロッパの殆どの国って言うのはキリスト教国であって、そこで行われる結婚式は当然の事ながらキリスト教に基づいて行われる訳で、結婚式に使用される教会だって、当然の様に毎日ミサが行われ、宣教師も信者もいる正真正銘の教会だし、当然そこで結婚式を挙げるカップルもキリスト教を信仰している信者であるという事は言うまでもありません。

しかしですね、日本にはそもそもキリスト教信者ってあんまりいないらしくって、あるデータによると、日本でキリスト教を信仰しているのは、全人口の1%程の人なんだそうです。日本はそんな「キリスト教マイノリティの国」なのに、「結婚式」と聞いて先ず頭に浮かぶのは「教会での結婚式」。そして日本で結婚式関連のCMや関連雑誌を見る限り、そこで扱われるのは必ずと言って良い程、純白のウエディングドレスと教会での写真など、「この国はキリスト教国か!」と目を疑うばかりの状況なんですよね。そして極めつけは、キリスト教信者がそれ程増えてる形跡が無いにも関わらず、近年ボコボコと増え続けている「結婚式をする為だけの教会」の数の多さが挙げられます。

何故なら日本ではキリスト教信者じゃないのに、ヨーロッパ風の純白なウエディングドレスに憧れを持った女性が「私も是非教会で」みたいな願望を叶える為だけに教会が作られていくと言う、大変奇妙な現象が起こっているからです。そしてこの様な、信者がいなくて普段はミサも行われる事も無く、ただただ結婚式を挙げる為だけに作られた教会の事を、「結婚式教会」と言います。



結婚式教会については、五十嵐太郎さんと、名古屋の僕の大親友である村瀬良太君が「結婚式教会の誕生」と言う、大変秀逸な日本文化論を書いてるんだけど、その中では、この日本独特の文化である「キリスト教式結婚式スタイル」が如何に建築のデザインに影響を与えているかが詳細に説明されています。例えば、「一生に一度のウエディングドレス姿を如何に効果的に見せるか?」もっと言うと、「如何に印象的な写真を撮るか?」と言う所に力が注がれ、それをより美しく見せる為に、バージンロードをわざと長くしたり、ドレスの長さを強調し、美しい姿で写真を撮る為だけに、わざわざ大階段を作ったりと言う空間デザインが行われているそうなんです。

1世紀前までは、女性のドレスって言うのは、建築空間を補完する装飾だったのに、結婚式教会では女性のドレス姿を補完する為に建築空間が作られていると言う逆転現象!

で、このウエディングドレスなんだけど、どうやら純白なウエディングドレスを結婚式で身に着ける習慣が出来たのは、イギリス王室がその発端らしく、それに憧れを持った一般女性が「私も、私も」と真似をしたと言う事らしいです(坂井妙子著「ウエディングドレスはなぜ白いのか」)。もっと言っちゃうと、1840年にヴィクトリア女王が結婚式で白サテン製のドレスを着た事が一つの大きな契機となったとか何とか。ヘェー、ヘェー、ヘェー。

 

日本における教会での結婚式のブームに火を付けたのは、1981年に行われたチャールズ皇太子と故ダイアナ妃の結婚式と言われていて、この時、8メートルにも及ぶドレスを身に纏った故ダイアナ妃が荘厳なセントポール寺院を歩く姿が世界中に放映され、その姿が余りにも印象的だったが為に、それを見た日本人女性が憧れを抱く様になったんだそうです。

 

更にその後、松田聖子と神田正輝の結婚式も、当時の日本人女性の憧れの的となり、聖子ちゃんカットじゃないけど、「私も聖子ちゃんみたいに白いドレスで教会で結婚式を!」って考える女性が多くなったのだとか。人気絶頂だった聖子ちゃんですからね、当時の日本社会に与えたインパクト、清楚でお洒落という強いイメージを与えた事は想像に難くありません。で、聖子ちゃんと言えば、中森明菜なんだけど、ネットを見てたらこんな映像を発見:

 

どうやら彼女は新婚旅行でスペインに来る事が夢らしい。だから今まで一回もスペインには来た事が無いのだとか。そうなのー?「早く来て!」って感じなんですけど(笑)。

今日の新聞によると、昨日の結婚式は世界中で約22億人もの人達が放送を見ていたのだとか。22億人と言えば、世界人口の約3分の1。日本でも生放送が行われたそうなんだけど、王室の結婚式とは言え、他国の結婚式を生中継するって、それはそれで凄い事だと思います。やはりそれだけイギリスに対する憧れが強いのか?もしくはイギリスの外交と国の宣伝が上手いのか?どちらにしろ、こういうおめでたい話、世の中を明るくする話題って言うのは嬉しい限りですね。
| サブカル | 03:01 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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