地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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カタルーニャ州政府がスペイン初となる公共空間における売春を取り締まる規則を検討中らしい
先週の新聞に、「カタルーニャ州政府が公共空間における街頭売春を取り締まる規則を検討中」との記事が載っていました(La Vanguardia, 15 de Abril 2011)。何気ない1/4ページ程度の記事だったんだけど、「これって、スペインでは結構画期的な事だよなー」とか思ったんですね。まあ、そんな事思って読んでたの、僕くらいだと思うんですけどね(笑)。

ヨーロッパにおける売春の現状については以前のエントリで詳しく書いたのですが、スペインでは売春は違法ではありません(地中海ブログ:ヨーロッパの人身売買(Human Trafficking):スペインの場合)。では合法か?と言うと、そうでもなく、その中間を行くグレーゾーンと言う扱いになってるんですね。だからスペインでは売春を取り締まる法律なんかも当然無い訳で、郊外に大型売春宿を経営しているおっちゃん達の言い分って言うのは大体こんな感じ:

 「私達は売春クラブを経営している訳では無くて、ただ単に飲食店を経営しているだけ。そこへ勝手に下着姿の女の子が入って来て、飲み物を頼んで、これまた客として入って来た男性と自由恋愛をしているだけで、うちには全く関係ないよー」

みたいな(笑)。

こんな状況だから警察もよっぽどの事が無い限りお店に踏み込む事も売春を取り締まる事も出来ないんだけど、そんな曖昧な状況を利用してスペインでは最近、売春クラブが続々とオープンしていて、カタルーニャでも数ヶ月前、ダリ美術館がある事で有名なフランスの国境近くの町、フィゲラス周辺にあるLa Jonqueraと言う町に、ヨーロッパ最大となる売春宿がオープンしたばかりでした(フィゲラスについてはコチラ:地中海ブログ:知られざる美術館、ダリ宝石美術館:動く心臓の宝石はダリの傑作だと思う)。

まあ、そんな状況下にあるとは言っても、最近では「東欧から騙されて連れてこられた少女達が数十人、中心市街地のウナギの寝床の様な、本当に酷い環境下に住まわされ、売春を強要されている」と言うニュースがちらほらとメディアを賑わす様になり、「彼女達を救う為に警察が踏み込んだ」と言う記事もちょっとずつ見かける様になってはきましたけどね(地中海ブログ:バルセロナの中心市街地で新たな現象が起こりつつある予感がするその3:街頭売春が引き起こした公共空間の劣化)。

で、今回カタルーニャ州政府が検討している「売春を取り締まる規則」についてなんだけど、実はこれには先行モデルがあって、まあ、何時もの様に、フランス政府が検討中のモデルをそのまま移譲しようとしていると言う事らしい。ちなみに現在のフランスでの売春の扱いは「ほぼ違法」と言う事になっていて、中間業者などが女性を搾取している場合などは違法で、個人の意志で売春している場合は合法と言う扱いだそうです。

フランスの売春と言えば記憶に新しいのが、「ソルボンヌに通う女学生が学費を稼ぐ為に売春している」と言う記事が数年前スペインの新聞を賑わした事があって、「え、名門、ソルボンヌの学生が!」みたいな感じで、スペイン社会全体に衝撃が走った事がありましたが、こんな事が可能なのも、「個人の意志を尊重するフランスならではなのかなー?」とか思ってしまいます。逆に「96時間」と言う映画の中では、パリに観光に来たアメリカ人学生が東欧マフィアに攫われ、強制的に売春をさせられている様子が生々と描写されていました。この種の映画としては、アメリカ映画、Human Traffickingなどがあるのですが、最近この手の映画が続々と出てきたと言う事は、「この様な事が増えているので気を付けてください」と市民に警告すると言う意味もあるのでしょうね。

 

このような状況の下、フランス議会の左派と右派が珍しく一致して推進しているのが売春取締法だと言う事なのですが、実はフランスが導入しようとしているこの法律にも先行モデルが存在します。それがスウェーデンが1999年から実際に導入している法律なんですね。

「スウェーデン?性関係?どっかで聞いた様な・・・?」と思った人は結構勘がいい。そう、日本が海老蔵事件に沸いている年末に、海外で大問題になっていた、ウィキリークス創設者のアサンジ氏がレイプ告発されたのがスウェーデンでした。で、あれって、何で告発されたかって、ナンパした2人の女性とセックスした時に「コンドームを付けなかったから」って言うのが、その告発理由なんだけど、どうやらスウェーデンでは女性の求めに応じてコンドームを付けなければ罰則を与えられると言う、大変厳しい規律が存在するそうです。そんなスウェーデンでは、売春に関しても当然の如く法律が存在していて、この場合は売春婦ではなく、そのサービスを買ったクライアントに対して罰則が科せられるんだそうです。

売春って世界最古の職業って言われていて、僕達の社会が向かっているエンターテイメント型社会においては絶対に避ける事が出来ない「闇の部分」だと言う事が出来ると思います(地中海ブログ:フランクフルト旅行その1:フランクフルト(Frankfurt)に見る都市の未来)。そしてそれら売春を必要悪と捉え、売春婦の労働環境の整備、健康管理などを通して、売春を合法化する事によってコントロールしていこうとしているのが、ドイツやオランダ,そしてベルギーなどなんですね(地中海ブログ:ヨーロッパの人身売買(Human Trafficking):スペインの場合)。

逆に今まで態度をはっきりとしてこなかったのが、フランスやイタリア、そしてその中でも最も酷いのが我が国スペイン!最近スペイン政府が発表した報告書によると、スペインでは売春は一日で約5千万ユーロ(日本円で約55億円)程度のお金が動く闇産業である事などから、法の網を掻い潜って東欧マフィアなんかにいい様にやられてきたんだけど、この状況が今回の取締法導入によって果たしてどう動くのか?要注目です。
| バルセロナ都市 | 19:14 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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