地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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エジプトの暴動とアラブ諸国への連鎖可能性に関するスペインの見方
数日前からスペインの各種メディア(EL Pais, La Vanguardia)は、エジプトで起きた暴動のニュースで一色なんだけど、面白いのは、世界中のメディアが今回のアラブ諸国問題をトップ記事に持ってきてる中、日本だけはこの問題をあまり報じてない様な気がする点です。まあ、「遠い何処かの国で起きている全く関係の無い話」と割り切ってしまえばそうなのかもしれないんだけど、それでもやっぱり、「ちょっとズレてるなー」って言うのが外から見てる僕の感想かな(苦笑)。

今回のエジプトでの暴動は明らかにチュニジアが引き金になってるんだけど、まあ、エジプトには元々暴動が起きる要因は多数あったし、予想されていた事ではあったので、「ハッキリ言ってそれ程驚きではない」と言う見方が大半だと思うんだけど、では一体、他の国々はどうなのか?
Ver La revuelta que se extiende en un mapa más grande

Google Mapsとかで見ると暴動が確実に飛び火している事が分かるんだけど、今日の新聞(EL Pais)に載ってた専門家達の意見は結構楽観的でした。つまり「この暴動は他の国々に飛び火する事は無いんじゃないか?」って言う意見が大半を占めていたんですね。主な理由は以下の2点:

一つ目としては、今回の暴動の発端となったチュニジアと他のアラブ諸国の一般市民レベルにおける社会文化状況(レベル)の違いと言うものが挙げられます。チュニジアと言う国はアラブ諸国の中では極めて西洋化されている事で知られていて、だからこそ政権側が一般市民をそれ程洗脳出来ず、一般市民側も自分達の手段で情報を探り、そして自分達の意志で暴動を起こす事が出来たと言う訳なんですね。

それに比べて今回飛び火が懸念されている他のアラブ諸国では教育など、一般市民の西洋化はそれ程進んではおらず、政権側が情報を操作し、彼らを洗脳する事はそれ程難しい事ではありません。

今回世界中で注目されている、暴動におけるTwitterやFacebookの役割と言う点を見ても、其の基礎となっているのは、その国の市民がきちんと「読み書きが出来る」と言う事ですからね。これが先ず一点目。

二点目としては、モロッコやアルジェリアでは反政権の暴動よりも怖いものが存在すると言う点が挙げられます。それが隣国関係なんだけど、モロッコの場合は、スペインとアルジェリアと常に緊迫した関係を持っている事などから、国内情勢を常に平穏に保っておく必要があると言う事情があるんですね。そして当然の事ながら、その様な情報は政府によって操作されている為に、一般市民も「暴動なんて起こしたらスペインが攻め込んでくる」みたいな事を信じてる訳ですよ。つまり、市民にとっては「暴動を起こす事」よりも、「近隣諸国との関係を友好に保つ」事の方が優先順位が高いと言う訳なんです。アルジェリアも状況は全く同じで、彼らの場合には敵対国がフランスになる訳ですが。

そんな事が分かってか、今日の新聞にはモロッコの王様が「今日からバカンスで南フランスの居城に遊びに行った」なんて言う記事が出てました。こんな、「自分の国がひっくり返るかも知れないって時に、余裕だなー」とか思ってたんだけど、よくよく考えてみたら、それは、「うちの国は絶対にひっくり返らない」って言う余裕から出てくる行動なのかも。

ちなみに下記が、暴動が飛び火するかもしれないと懸念されている不安定要因を抱えたアラブ諸国の情報です:

アルジェリア(Argelia)
大統領:Abdelaziz Buteflika(73歳)
1999年以来大統領
今月初め、デモを行った20人程が死亡。

モロッコ(Marrruecos)
国王:Mohamed VI(47歳)
1999年以降王様
モロッコ政府は高騰した穀物への補助金政策を発表。

モーリタニア(Mauritania)
大統領:Mohamed Ould Abdelaziz(55歳)
2008年のクーデター以来大統領
今月中旬、60歳の市民が自殺。

チュニジア(Tunez)
首相:Mohamed Ghanuchi(69歳)
今月行われたデモにおいて警察が市民117人を殺害。

シリア(Siria)
大統領:Bachar el Asad(45歳)
2000年以来大統領 来月5日のデモが国家状況を左右すると見られている。

ヨルダン(Jornania)
国王:Abdala II(49歳)
1999年以来王様
政府は雇用を促進し、穀物などの値段を下げる政策を発表。

リビア(Libia)
権力者:Muamar el Gadafi(68歳)
1969年のクーデター以来権力の座にある長期独裁政権のGadafiが市民を助ける事を発表。

エジプト(Egipto)
大統領:Hosni Mubarak(82歳)
1981年以来大統領 ムバラク大領領就任以来、最大規模のデモが行われている真っ最中。

サウジアラビア(Arabia Saudi)
権力者:Abdala bin Abdelaziz (86歳)
2005年以来権力の座にある。彼の一族は1932年以来権力の座に。 先週金曜日にデモを行った多数の市民が逮捕された。

イエメン(Yemen)
大統領:Ali Abdala Saleh(64歳)
1978年以来北イエメンの大統領。1990年にイエメンは統合。 先週木曜日、16.000人が現政権に対するデモを行った。
| スペイン政治 | 22:16 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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