地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ヨーロッパの年金制度について:スペインの場合
先日、イタリア人の友達から聞いたベルルスコーニの逸話が、何時まで経っても頭から離れない(苦笑)。あまりにも衝撃的だったので、もう一度書いちゃいます:

「今、イタリア人の友達と話してたんだけど、ベルルスコーニの未成年売春問題が沸き起こってるイタリアでは、今週、その事件を受けて、ベルルスコー二の支持率が2%上がったらしい。何て国だ(笑)。」

結局この呟きには数百件を超えるコメントが返ってきたんだけど、その話を同じイタリア人にしたら、「こんなのもある!」って教えてくれた動画がコチラ:



ベルルスコーニ、マジ凄いです‥‥。

さて、今日一番のニュースは何と言っても、現政権の社会労働党(PSEO) と労働組合の間で成された労働法改正案に関する基本的合意ですね。スペインの各種メディアは大層なページを割いて、この事を伝えています。個人的には社会労働党と、その女房役とも言える労働組合の間に、それこそ正反対と言っても良い様な意見の不一致がある事の方が不思議なんですけどね(苦笑)。夏にスペイン全土で起こったゼネストがその良い例(地中海ブログ:スペインのゼネスト2010が終わった後で:スペイン人はゼネストやった後に、「あれ、何で俺達ゼネストやったんだ?」って考える?)。

では、何故今回の労働法改正に、これ程労働組合が騒いでいるのか?と言うとですね、実は今回の改正案と言うのは、1978年以降3回程繰り返されてきた改正案の中においても、最も大きくそして最も根本的な法改正だったからなんです。

今回、中央政府と労働組合の間で焦点になっていたのは、定年や保険料支払い期間などと言った点だったんだけど、今までのスペインの労働法では、定年退職は65歳、35年間の保険料支払いを経て漸く100%の年金受給が可能になると言う状況でした。

しかしですね、世界的な傾向となっている高齢化社会の波は着実にスペインにも押し寄せていて、定年退職する人の数は、2040年には現在(2000年)の約2倍になると見られていたり、このままでいくと、2027年頃には、年金の支払額が国庫の収入を上回り、「スペインの年金システムが破錠するのでは?」と考えられている事などから、「こりゃ困った」と言う事で、政府が提案してきたのが、定年退職を2年遅らせて67歳にしたり、保険料支払い期間を現行の35年から41年にしたりと言う事なんですね。

民主化後のスペインで労働法が最初に改正されたのって80年代(1985年5月)なんだけど、最初の労働法とか、今見ると、ある意味ちょっと凄い。定年退職は65歳と言う事で今と変わらないんだけど、年金全額支給を受ける為に要求される年数はたったの15年!しかも、年金支給額を計算する為のベースとなっているのは、定年退職までの最後の8年間に貰ってた給料の平均って言うんだから、これ程美味しい話はありません!

こんな、ある意味異常な状況が変更されたのは、実は結構最近で、1997年7月の事でした。この改正によって、今見る様な、65歳定年、保険料の支払い期間は35年、支給額のベースは退職までの15年となったんだけど、それがもう一度大きく変更されたのが今回の改正案だったと言う訳なんです。今日の新聞によると、大きな変更点は以下の通り:

1. 定年退職の年齢について

現行では65歳、35年間の保険料支払い義務があったのが、新しい労働法では、定年は67歳、37年以上の保険支払いを経て、年金は100%受給可能となります。それでも65歳で定年したい人は、38.5年間の保険支払い期間を経れば、100%受給可能になるそうです。

2. 受給金額の計算について

今までは、定年直前までの15年間に受け取っていた給料を基礎に受給額が決められていたのですが、これを定年直前25年間をベースに計算すると言う様に変更されました。

3. 保険料支払い期間について

子育てをしていたり、学校を出て直ぐには定職にありつけない若者などを保護する為に、奨学金を貰いながら働いていた期間を最大2年間まで、保険料納入期間に振り替える事が可能になったそうです。

実は今回、「ヨーロッパの他の国の年金システムってどうなってるのかなー?」とか思い、少し調べてみたのですが、意外な事に、ヨーロッパの国々では、男女間で定年年齢に差をつけている国があると言う事が分かってきました。この事実には単純に驚きましたね:

国:男性の定年:女性の定年

イギリス:65歳:60歳
ベルギー:65歳:65歳
フランス:60歳:60歳
スペイン:67歳:67歳
スウェーデン:65歳:65歳
ドイツ:65歳:65歳
オーストリア:65歳:60歳
スイス:65歳:64歳
イタリア:65歳:60歳

又、2008年のデータでは、国内総生産に占める年金支出の割合は、スペインが9.2%、イギリスが8.7%、高い所ではフランスが13.6%、イタリアに至っては15%にも上るというデータが出ています(EUの平均は11.7%)。 国が違えばシステムも違う。そして其のシステムの違いこそが、其の地域の特異性を物語っていると言う事を改めて認識させてくれるテーマでした。
| スペイン政治 | 06:19 | comments(1) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
管理者の承認待ちコメントです。
| - | 2011/01/29 8:48 PM |
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