地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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オープンハウスその4:ガウディのパラボラ空間が堪能出来る、サンタ・テレサ学院(Collegi de les Teresianes)
先々週に行われたバルセロナオープンハウスの続きです。「え、先々週の事なのに未だ引っ張るの!」って声が聞こえてきそうなのですが()、先週末から今週頭にかけてちょっと忙しくて書く暇が無かったからしょうがないでしょ!まあ、たまにはこういう事もある。と言う訳で、オープンハウス2日目の午前中はガウディの設計で知られるサンタ・テレサ学院に行ってきました。



この建築は
1888-1890年にかけてガウディによって設計されたカトリック系の学校建築なのですが、私立校の為、内部は一切公開されてないんですね。勿論入るのは今回が初めて。と言う訳でとっても楽しみにしてきたんだけど、実はこの建築、ちょっと行きにくい所にあって、地下鉄は近くに走ってないし、バスだってすごくマイナーな40番とか言うのが辛うじて走ってる程度。そんなんだから家から急いで来たにも関わらず1時間もかかってしまって、又もや僕達が着いたのは閉館時間ギリギリ。「大丈夫かなー」とか思ってたんだけど、どうにか最終見学グループに滑り込ませてもらう事が出来ました。



長―い列の中で待っている間、取り合えず外観を楽しんでいたのですが、緑が被い茂る向こう側に、オレンジ色の建物が結構良い感じでチラチラ見え隠れしています。自然の緑とレンガの橙色の対比が素晴らしい!


ガウディ建築ってカタルーニャの伝統工法である「レンガ造」をその基礎にしているんですけど、レンガ造ってそもそも、最も安く建てる事を目的とした工法なんですよね。なんでかって、何処でも何時でも手に入り、施行も簡単で何よりも単価が安いからです。更にレンガを積む時は常に合理的に積んでいきますから、レンガ造って言うのは自然と経済的で合理主義的な建築が出来ちゃうと言う訳なんです(勿論、そうする意志がある時だけなのですが)。ガウディ建築の第一人者、鳥居徳敏さんによると、その中でも、学校建築であるサンタ・テレサ学院は、当時の工場や教会系大規模施設同様、最大限の経済性が要請された作品であり、典型的なレンガ造合理主義建築だという事だそうです(地中海ブログ:
アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)の建築:コロニア・グエル(Colonia Guell)その2:コロニア・グエルの形態と逆さ吊り構造模)。



スペイン建築は「ドーム型建築」ではなくて「塔の建築である」って事を以前どっかで読んだ覚えがあるんだけど、この建築にも、四隅に十字架が立っていますね。かなりピカピカ光ってて、シンボリズム真っしぐらって感じかな。「さすがだなー」と思ったのは、お庭に置いてあったこのモニュメントを見た時です:




多分、この学院の事務の人か誰かが洒落、もしくは「この建築に合う様に」って作ったんだろうけど、そんな人にさえも影響を与えてしまうガウディのデザインの強さって言うのはさすがだなー。これを見ていたら、かなり以前に
Twitterの方でとっても印象的なツブヤキを受け取った事を思い出しちゃいました。送ってくれた方は、中学校に入るお子さんを持たれるお母さんだったのですが、内容はこんな感じでした:

「・・・来月から中学生になる長男が、今スペインにとても心を惹かれています。「サグラダファミリアを見るためにバルセロナに行く」ことを中学での個人プロジェクトのテーマにするそうです。遠く離れた国の少年の心をそこまでかきたててしまうガウディは本当に凄いですね。そして彼を今でも育み続けるバルセロナという街は何て魅力的なんだろうと思います。・・・」


これを受け取った時、「あー、ガウディって何て偉大なんだろう」と心から思った事を今でも良く覚えています。なんてったって、
100年後の子供にさえも多大なる影響を与えてしまうのですから。これって建築家として目指すべき目標なんじゃないのかな?そしてガウディも100年後のこの子の言葉を聞いたらさぞかし喜ぶ事だろうと思いますね。

そんなこんなで閉館間際になってようやく僕達の訪問順番が回ってきました。




入り口には鉄細工で出来た、ちょっと人目を惹く門が備え付けられているんだけど、それよりも、僕はこの入り口の両脇にある自然石を用いたベンチの方に目がいっちゃいましたね。




自然の曲線がいい感じを醸し出し、こんな所で日向ぼっこをしながら何時までも語り合えたらさぞかし気持ちが良い事だろうなー、とか思っちゃいます。




一階部分には、こんなグルグル柱や、天井高のかなりある大変気持ちのよい空間があるんだけど、この建築の最大の見所は何と言っても、
2階にあるこの空間です:



もう圧巻としか言いようがありません。パラボラ・アーチの連続する回廊空間。




このようなパラボラ造形って、ガウディの建築言語としてある時期までは特別な位置を占めていたのですが、ガウディが、今日見られる多彩な建築言語を展開するにつれて、パラボラ造形は脇役へと退けられていったんですね。




だからカサバトリョとかカサミラとかではこの造形は見られる事は見られるのですが、それは天井裏だったり、どちらかと言うと脇役空間においてなんです
(地中海ブログ:ガウディ建築の傑作、カサ・バトリョ(Casa Batllo)その1:カサ・バトリョに展開する物語を見ていて思う)。その一方で、このパラボラ造形が主役を演じている最後期の作品、それがこのサンタ・テレサ学院と言う訳です。



構造体の色が白い事から、光と影の共演、そしてその移り変わりが手に取るように分かります。
刻々と移り変わっていく光と、それを受け止める構造体。昔ルイス・カーンが、

「構造は光を与え、光は空間をつくる」


って言ってたけど、ここには正にその言葉に相応しい空間構成の原点がある様な気がします。
素晴らしい!やっぱりこれは見といて良かった。オープンハウス、こんな体験をありがとう!!
| 建築 | 01:50 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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