地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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プラド美術館の成した歴史的大発見:ピーテル・ブリューゲルの新作発見
ここ数日、様々な分野で何かと目新しい発見が続いています。

一昨日の事なのですが、アメリカの科学者達によって、人類を長い間苦しめ、今でも年間100万から150万人程の死者が出ていると言われているマラリアの病原菌の起源を発見したと言うニュースがありました(La Vanguardia 23 de Septiembre 2010)。近々詳しい論文が科学誌Natureに掲載されるらしいんだけど、どうやらマラリアと言う病気はゴリラに寄生している寄生虫がその原因らしいんですね。スペインの新聞でこの記事を読んだ時、「マラリアの元凶はゴリラについてる細菌らしい」ってTwitterでつぶやいたら、マラリア研究の専門家の方から、「おしい!細菌じゃなくて寄生虫です」みたいなつぶやきが帰ってきてビックリ。「普通に生活してたら絶対知り合わなさそうな業種の人から返事が来るなんて、何て凄い世の中になったんだ!」と、ニュースそのものよりも僕達を取り巻くコミュニケーション環境の移り変わりの凄さに驚かされました(笑)。

今週第二の発見は、今日の新聞(La Vanguardia 24 de Septiembre 2010)に載ってたのですが、アラゴン州にある小さな町、テルエル(Teruel)でヨーロッパで今まで発見されたものとしては最大である恐竜の脚の骨の化石が発見されたと言うものでした。骨の形状などからこの化石はトゥリアサウルス・リオデベンシス(Turiasaurus riodevensis)の脚だと今の所は考えられているようなのですが、もしかしたら新種の恐竜の可能性も捨て切れないとの事。先日はアルゼンチンか何処かで、鳥と恐竜の相の子みたいな生物の化石が発見されて、それが恐竜の進化の解明に繋がるみたいな話とかあったけど、何気に恐竜とかロマンがあってワクワクしますよね。

そして昨日、バルセロナではPalau Fabra財団でピカソの新作が発見されたと言う記事が地元の新聞(La Vanguardia 22 de Septiembre 2010)に載っていました。と言っても、簡単なスケッチなんだそうですけどね。



まあ、ピカソは彼の代名詞とも言えるキュビズムを始める前まではバルセロナに住んでたんだから、彼の作品があちこちから出てきても全く不思議じゃ無いと言う事は言えるかなとは思います。そんな「ピカソがピカソになる前」と言うコンセプトでバルセロナが上手い事プロモーションをして創った美術館がバルセロナ旧市街地にあるピカソ美術館(地中海ブログ:バルセロナ・ピカソ美術館の企画展:「秘められたイメージ:ピカソと春画」その1:ピカソ美術館が好企画展を連発する裏事情)。偶然にも昨日はこのピカソ美術館でミーティングがあって、その会議が始まる前に館内にあるカフェで朝食とか食べてたんだけど、何時の間にか中庭にテントとか張られてて感じの良いカフェが出来てて、ちょっとビックリ。



唯、デザイン的に見たら(どちらかと言うと)ミロっぽいと思うんだけど、やっぱり屋外は気持が良いから、ま、いっか。

そしてですね、実はこの同じ日に、マドリッドのプラド美術館で美術界全体を揺るがす様な世紀の大発見が成されました。それが、ピーテル・ブリューゲルの新作(El vino de la fiesta de San Martin)の発見なんですね。ピーテル・ブリューゲルと言えば、その繊細で精密な画風で知られる16世紀フランドルを代表する画家で、代表作などには大変有名なバベルの塔なんかがある画家です。



ヒロエニスム・ボッシュの影響なんかを受けて、妖怪の絵なんか描いている事でも知られていますね(地中海ブログ:ベルギー王立美術館(Musees royaux des beaux-arts de Belgique)のピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel de Oude)とかバベルの塔とか)。そう言えば妖怪と言う事で思い出したんだけど、先月日本に帰った際にジャンプでチラッと「ぬらりひょんの孫」みたいなマンガを眼にして、それ以来結構気になってたんだけど、先日Youtubeで第一話みたら結構面白くて、今はまり中(どうでも良い雑談終わり)。

ブリューゲルに話を戻すと、彼の作品はベルギー王立美術館(Musees royaux des beaux-arts de Belgique)、そして一昨年訪れたウィーンの美術史美術館で死ぬ程見ました。政治的な理由から彼の作品の多くは故郷であるベルギーでは無くて、オーストリアの方に多く所蔵されてるみたいなんだけど、やはりその画家が育った街の雰囲気を味わいながら、その画家の故郷で見る絵画というのは、格別なものがあると思います。



例えて言うなら、イタリアバロックの巨匠、カラヴァッジョの作品を照明が煌々とたかれた美術館のホワイトキューブの中で見たってなかなか理解出来ないと言うのと同じだと思います。カラヴァッジョが何故にあんなにも明暗の対比を明確にしたのか?と言う事は、電球が無かった当時の暗い教会の中で見てこそ理解出来るものだと思うし、又その絵画の醸し出すドラマチック性に感動すると思うんですけどね。

さて、今回の大発見は「プラド美術館の歴史始まって以来」と言われる程騒がれているのですが、それは一体何故か?(下の絵が今回発見された新作、El vino de la fiesta de San Martin)



幾つか理由があるとは思うのですが、今回発見された絵画は現存するブリューゲルの絵画の中でも傑作に位置付けられる程の質を持っていると言うのがその大きな理由なんだそうです。絵画の特徴としては、第一にその大きさが挙げられます。その大きさ、なんと148×270.5センチメートル。このサイズは現存するブリューゲル作品の中では最大のものだそうです。そして何よりも珍しいのが、この絵画が描かれている素材らしいのですが、通常のキャンパスではなくて、絹地(Sergeと言う素材)に描かれているのだとか。そして使用されている画法も油彩ではなく、テンペラを用いているんだそうです(テンペラと言うのは、水性と油性を混ぜ合わせた絵の具なんだそうです)。絵のテーマとしてはブリューゲルが好んで描いたワインの収穫を喜ぶ構図が採用されているのですが、構図の美しさ、そして余す所無く用いられた彼の卓越されたテクニックなどが相まって、この絵をかなりの完成度にまで高めている事が分かるかと思われます。

では一体、これ程までに見事な絵が、何故今まで知られて来なかったのか?

どうやらこの絵の存在自体については17世紀頃に描かれたコピーから分かってはいたらしいのですが、オリジナルを描いたのは一体誰なのかを含め、その行方も在りかも、何もかもが不明だったそうなんです。と言うのも当時ブリューゲルは書き終わったこの絵画を直接スペインの貴族に寄贈して、それ以来その家族がずっと保持してたそうなので、今まで一度足りとも人の目に触れる事は無かったそうなんですね。で、今回何故この絵が日の目を見る事になったのかと言うと、どうやらその家族がこの絵を売る為に中間業者に競売に掛けてくれるよう依頼した所、その業者がプラド美術館に絵の鑑定と修復を依頼し、そこで調査した結果、今回の大発見に至ったと言う経緯があるそうです。

ブリューゲルが生きていた時代と言うのは、フェリペ2世の統治下で、彼はヒロエニスム・ボッシュの絵を非常に愛好していた事から、ボッシュの絵画を沢山購入しスペインに持ち帰っていました。僕達が今、プラド美術館でボッシュの代表作(快楽の園:プラド美術館所蔵)なんかを見ることが出来るのは、このようなフェリペ2世のおかげなんだけど、彼はボッシュだけではなくて、その弟子達の絵を購入していたことでも知られているんですね。そういう当時の社会文化的なコンテクストを考慮すると、今回マドリッドでブリューゲルの新作が発見されたと言う事はそんなに驚くべきことではないんだけど、奇しくも同じ日にバルセロナとマドリッドで同時になされた芸術の新作発見の質的な差異を見るに付け、「やっぱりマドリッドはスペイン帝国の首都だったんだなー」と言う事に思いを巡らさずにはいられません。

でも、何か、マドリッドがそんな歴史的な大発見をしただとか、マドリッドはやっぱり何百年と続いてきた文化的遺産が凄いとか言う話を聞くにつれ、「なにくそ」と悔しい思いに駆られる僕は、何時の間にかカタラン人に洗脳されているのかもしれませんけどね(苦笑)。
| スペイン美術 | 05:07 | comments(6) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
この時代の著名な作品が発見されるなんて、本当に驚きです!「農民の画家」ブリューゲルらしい作品ですよね! 28億するんじゃないか?って価格の方も騒がれてますが、プラドとの交渉がうまくいくといいなと思います。
末尾のcruasanさんのカタラン魂のつぶやきに笑えました。jaja
| Ana | 2010/09/26 8:26 PM |
Anaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
本当にものすごい発見だったみたいですね。是非本物を一度見てみたいものです。その為にはプラド美術館にがんばってもらうしかない。確か、プラドが示した額が7億で、市場だと28億とか。普通なら市場に行くんだろうけど、所有者がお金持ちっぽいので、「お国の為ー」、とか言ってプラドに譲ってあげてくれないかなーとか思っています。
カタラン人‥‥何時もは腹が立つ事が多いんですが、つきあってると、結構かわいくて魅力的なんですよー。ホント、何時の間にか洗脳されてます(笑)。
| cruasan | 2010/09/29 4:12 AM |
最近、絵画にハマっていて、今「スペイン宮廷画家物語:王女マルガリータへの旅」を読んでいます。
そして、ピーテル・ブリューゲルの話題に驚きです!!
先日、ラジオで聞いて、誰か記事を書いてないか探してました〜

ブリューゲル、ベラスケス、ルーベンス、グレコ、ピカソ・・・

どこかで繋がっているんですね(*^_^*)

ぬらりひょんの孫好きです(笑)

| Yuni | 2010/10/01 9:40 AM |
Yuniさん、こんにちは、コメントありがとうございます。
マルガリータ王女は本当に様々な物語があって、興味が尽きない人物ですね。僕もプラドやウィーンで沢山見ました!
ぬらりひょんの孫!今、かなりはまってます(笑)。先ず、題名の付け方が絶妙で、ぬらりひょんと言えば、鬼太郎の宿敵だったのですが、その孫ですからね。今後も注目していきます!
| cruasan | 2010/10/03 3:56 AM |
素敵なブログ...これは...本当にマラリアは赤血球に感染する寄生虫、原虫によって引き起こされる感染症は、上の多くの情報があります。マラリアは悪寒、発熱、痛み、発汗のサイクルで特徴づけられる。歴史的な記録は、マラリアは、人類の初めから感染した人間を持ってお勧めします。名前は"マルのアリア"(イタリア語で"悪い空気"を意味する)最初の病を記述する際に時間ウォルポールが1740年に英語で使用されていた。用語は20世紀に"マラリア"に短縮された。 C.ラブランは、1880年にヒトの血液中の寄生虫を識別するために第一号だった。 1889年とR.ロスは蚊がマラリアを送信したことを発見した。 4つの一般的な種の原因のマラリアは、最も深刻なタイプは、熱帯熱マラリア原虫マラリアであることを確認します。それは生命を脅かすことができます。ただし、別の比較的新しい種は、マラリアknowlesiまた、一般的に長い尾とピグテールマカクザルが見つかっただけで危険な種である。熱帯熱マラリア原虫と同様に、のP. knowlesiは誰も感染して致命的な可能性があります。マラリア(三日熱マラリアは、P.マラリアとP.卵)の他の3つの一般的な種は一般的にそれほど深刻され、通常の生活を脅かすされていません。それは同時にマラリアの複数の種に感染することが可能です。

現在、世界中で毎年約2万人が死亡は、マラリアの感染によるものです。大半は、サハラ以南のアフリカ諸国では5歳未満の子供で発生します。世界中で毎年約400万人が新たに例があります。
| カイトリル&#160; | 2011/03/08 9:33 PM |
マルガリータ王女様 ありがとう ございました マルガリータ王女様が 幸せな ことを 願って おります 圓が 今 住んでいる 所も 気持ち 快い 感じで ございます 本当に ありがとう ございました 今は これで 失礼 させて 頂きます 圓
| 圓 | 2012/01/13 9:50 AM |
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