地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
<< ロンドン出張その2:船上ディナー | TOP | スペイン人に大人気、日本人もあまり知らない、坂角総本舗のゆかり名古屋限定バージョン >>
ロンドン出張その3:ロンドンの戦略的眺望、ビューコントロールの賜物の風景
今回の出張は日程が結構キツキツで、殆ど何処も見て回る事は出来なかったのですが、それでも2日目の朝はちょっと早起きして、テムズ川沿いを歩いてみました。



朝日が川面をキラキラさせ、夜とは又違った良さがありますね。川岸は遊歩道が整備されてて、ランニングしてる人とかもいて、結構気持ち良さそう。

さて、僕と同年代の人達の記憶にこのテムズ川が登場するのは多分「キン肉マン」を通してだと思うのですが、と言うのも、今でも一部のマニアの間では絶大な人気を誇るキャラクター、ネプチューンマンが強さを求めるあまり身を投げた川、それがテムズ川だったからです。そしてその身投げした川底で出遭ったのが、何を隠そうパーフェクト超人のドン、ネプチューンキング。彼は何と10万年もの間、テムズの川底で強き男を待ち続けていたというから驚きです。でも、「10万年も前にテムズ川なんて、本当にあったのか?」とか思ってWikiを見てみると:

“今から60万年前の更新世の氷河期の時、475千年前のアングリカン氷河作用により大きく地形が変えられる前のテムズ川は、ウェールズからクラクトン・オン・シーを通り、現在では北海となっている地域を通りライン川に流れ込む支流の1つであった。・・・・・40万年前に氷河期が終わると、テムズ川は現在と同じ流れを通るようになった。”

とかある。うーん、確かにテムズ川自体は40万年くらい前には存在してたみたいなんだけど、そこに人が住み始めるのはせいぜいローマ、もしくはその前のケルトくらいからだと思うので、ネプチューンキングさん、あなた一体何処で何を待ってたの?って話なんですけどね(笑)。

冗談はコレくらいにして、今回はバロック様式の代表作であり、クリストファー・レン(Sir Christopher Wren)の傑作であるセント・ポール大聖堂(St Paul’s Cathedral)からノーマン・フォスターがデザインした橋(ミレニアムブリッジ)を渡り、テートモダンまでを歩いてみました。先ず、セント・ポール大聖堂なのですが、もう、存在感が圧倒的です:



そしてこの大聖堂の前に設けられたちょっとした広場&街路がものすごく良い空間を醸し出している。ここを出発点としてテムズ川に向かって歩いていく訳なのですが、橋を通して向こう側にはガラスの箱を両肩に載せているテートモダンがチラチラ見え隠れしています。



セント・ポール大聖堂とテートモダンの軸が微妙にズレてるのは偶然だとは思うんだけど、個人的にはコレくらいズレてる方が「コレだ、コレだ!」と主張し過ぎと言う事も無く好きですけどね。川へのアプローチをドラマチックにするのに大変貢献していると思われる、両脇に展開する町並みなんかは最近再開発されたと思われるのですが、新しくオシャレな店やオフィスなんかがバンバン入ってました。個人的には「この辺りのジェントリフィケーションの状況とかどうなってるのかなー?」とか思っちゃうんだけど、今回はパス。そして辿り着くのがココ:



テムズ川越しに見えるテートモダンの姿はナカナカ圧巻です。そして振り返るとこの風景:



この風景を最大限に見せる為に出来る限り橋の高さを抑え、「ヘンテコな構造物が美しい風景を妨げない様にしたんだろうなー、」と言う事が橋の隅々から伺えます。まあロンドンには(確か)「戦略的眺望」とか言う歴史的景観を保存する為の建築物の高さ制限に関する法律があったと思うんだけど、それが定められるキッカケもしくは基準となったのが、セント・ポール大聖堂だったんですね。つまり、ロンドン市民の心象風景たるセント・ポール大聖堂はロンドン市内の何処からでも見る事が出来なければならないって言うアイデアに基づいていて、こういうのを「ビューコントロール」とか言うらしい。



そういう観点からミレニアムブリッジをもう一度見てみると、風景を壊さない為の努力というか仕事量が、一見単純そうに見えるこの橋の隅々に満ち溢れている気がします。



まあ、単純なもの程それを実現する為には途方も無い仕事量が注ぎ込まれていると言うのは世の常だと思うのですが、それがもっとはっきりとした形で見えるのがテートモダンの両肩に載ってるガラスの箱だと思います。至極単純な四角い箱を実現する為には、それこそ膨大なディテールがその下には隠れているんだろうなー、と言う事を予感させるに十分です。



ミレニアムブリッジに関して言えば、ノーマン・フォスターはこの橋に展開する物語を結構良く考えていて、セント・ポール大聖堂からテートに向かった時、ブリッジを普通に渡して終わりにせずに、わざわざ一回、セント・ポールの方に折り返して終わっています:



つまり、長い橋を渡り終わった際、「もう一回、セント・ポール大聖堂をドラマチックに見せて終わる」という物語が展開している訳なんですよ。たったこれだけの操作なんですが、そこを歩く人が見る風景、もしくはその人の心に刻まれる風景には劇的な変化を起こさせるんですね。この辺りはさすがに上手いなー。今回は時間の都合でこの建築しか見れなかったのですが、この辺りは見所満載で、これだけでもお腹一杯と言う感じでした。ロンドン又来たい!!
| 旅行記:建築 | 21:16 | comments(2) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
久しぶりにコメントで〜す。
ロンドンには5年ほど前にいきました。
ほぼ同じところも、結構ゆっくりと見て回りました。
でも、
『クロワッサン』さんが言われる
「戦略的眺望」という発想は全く湧きませんでした。
『クロワッサン』さんの感性、恐るべしです。
そしてAkiさんは、いったいどこに目をつけて見ていたのか???
です。(ガックリ)

| Aki | 2010/09/06 10:14 PM |
Akiさん、こんにちは。

ロンドン良かったですー。帰ってきたばっかりなのですが、直ぐにでももう一回行きたい感じです。あの辺りの景観って本当によく考えられてるなーと思わされます。川岸をずーっと歩いていたのですが、市内に大きな河が流れているというのは、ナカナカ良いものだなと実感しました。
| cruasan | 2010/09/06 11:43 PM |
コメントする