地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
<< ベラスケスの新作発見か? | TOP | グローバリゼーションの中における現在のナショナリズムについて:ワールドカップとカタルーニャ新自治憲章案 >>
バルセロナ北図書館(Biblioteca de la Zona Nord)
最近バルセロナでは(寂しい事に)「わざわざ時間を作ってまで見に行きたい!」と思わせてくれる様な建築がナカナカ建たないのですが、そんな中、先日の新聞(La Vanguardia, 24 de Abril 2010)にチラッと紹介されていた新しい図書館の写真が今も僕の心をくすぐっています。



本当に小さな切抜き写真だったのでコレだけでは何とも言えなかったのですが、妙に気になる・・・そんな事を思い続けて早2ヶ月・・・。最近天気も良い事だし、みんな、夏時間の仕事パターンに入ってて3時くらいには事務所に誰も居なくなる事が多いし・・・と言う訳で、午後の時間を使って、久しぶりに建築ツアーに行ってきました。

ちょっと余談なんですけど、お天気がこの上なく良くなるこの時期にはスペインでは多くの企業が夏時間を導入します。「夏時間とは何か?」と言うと、朝ちょっと早く来て、涼しい午前中に集中して仕事を片付けて、暑くなる午後からは休憩しようっていう、ある意味すごい発想のアイデアなんですね。大抵の場合、夏時間の仕事は朝8時から始まって午後3時には終わりって所が多いんじゃないのかな?で、その後は家に帰ってちょっと遅めのランチを取ったり、サンドイッチをかじって、そのままビーチに繰り出したり、昼寝したり、その辺は人それぞれだと思います。



ちなみに僕が前に勤めていた機関は事務所がビーチの真ん前にあるという最高のロケーションだったので、事務所の人達はみんな迷わずビーチに繰り出していました(上の写真は僕の机から毎朝見えた朝日が昇る風景:地中海ブログ:明日から夏休み)。そして夕方くらい(7時とか8時とか)になると事務所へ帰ってきて着替えるんだけど、みんな、ビキニやタオルなんかをミーティングルームに掛けて帰るもんだから、ある時中央政府からやってきた大臣の、「ハ、ハ、ハ、バルセロナっ子は元気が良いな!」と言うコメントにはディレクター一同、苦笑いしましたけどね。

さて、そんなこんなで、図書館の場所をネットで確認してバスと地下鉄を乗り継いで行って来たのですが、最寄の地下鉄の駅を出た瞬間、目の前に広がる風景を見て、一瞬ヒヤリ!!



「あれ、ここって・・・メリディアナ地区???みたいな(冷汗)」
バルセロナには絶対に近寄っちゃいけない地区っていうのが幾つかあるんだけど、この地区は正にその中の一つなんですね。バルセロナの端の端、辺境に位置している事から、移民&貧困率が非常に高く、カタラン人からさえも恐れられている程なんです。最初、「マジで帰ろかな?」とか思ったんだけど、折角こんな遠くまで来た事だし、僕の危険レーダーもそんなに赤信号を発信してないし、「気を付けながら行ってみよう」と言う事で、行って来ました(良い子の皆さんは絶対に真似しない事をお奨めします)。


最寄の地下鉄を出て3分程歩くと、それらしき建築が見えてきます:



第一印象としては、ちょっと小高い丘の上に、地形に沿って、ものすごく謙虚に建っている様に見えますね。



基本的なプランとしては、2層に積み上げられた長方形が上と下とでジグザグを創り出しながらズレる事によって、丘の地形に合わせつつ、動きを醸し出しているかの様です。その為、建築自体が周囲に対して強調し過ぎる事も無く、かと言って、ダイナミックさも失っていない、ナカナカ見事なバランスを保っている様に見えます。



更に、この建築の主役とも言うべき2層になっている本体にくっついているエレベータ部分が、あたかもこの建築の「余韻部分」の様な扱いになっている様に見えない事も無い・・・かな。普通こういうのって、槙さんのTEPIAの外部階段みたいに扱うのがスマートだと思うんだけど、この建築では斜めに走っている階段が邪魔ですね。



まあ、それでも、この2層にズレた部分が創り出す「空の切り取り方」、そして見る角度によって全く違った風景が建ち現れる所なんていうのは結構面白い。



入り口は2層の本体にぽっかりと開いた洞窟の様な、非常にさっぱりしたものになっています。そして中に入った所がコチラ:



ナカナカに気持の良い空間に仕上がっていると思います。ロケーションが丘の上と言う事に加えて、ほぼ全面ガラス張りなので、空間に光が燦燦と降り注いでくるんですね。しかも2層吹き抜けの大空間の中に、宙に浮いた様な2階部分を創り出す事によって、「空間」を創り出そうという意識が見られる。



ここの階段なんかも、動きがあって、ナカナカ面白かった。

最近は実物よりも写真の方が良い建築なんかが増えてきて、実物を見るとがっかりすると言う事も多々あるのですが、そんな中で、この建築はそれなりに良かったかな?という印象を持っています。作者が誰なのか知らなかったので、さっきネットで調べてみたら、Rafael Pereza Leozと言う建築家がデザインしたらしいと言う事が分かりました。聞いた事が無い建築家なので、もしかしたら若手なのかな?もうちょっと、彼らの作品を見てみたい気もします。
| 建築の歩き方 | 20:22 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
コメントする