地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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風の谷のセナンク修道院:天空の城の後に見る風の谷:リアル宮崎駿ワールド
プロヴァンスの3姉妹の次女、セナンク修道院に行ってきました。南フランスと聞いて、多くの日本の人達が心の中に思い浮かべるイメージ、それは一面のラベンダー畑の向こうに見える修道院のイメージなんじゃないかと思います。そのイメージの源泉こそ、正にココ、セナンク修道院なんです。



上の写真はセナンク修道院の売店で売ってるポストカードなのですが、7月の初旬頃になると修道院の周りはこんな幻想的な風景に包まれます。こんなこの世のものとは思えない雰囲気を醸し出しているセナンク修道院なのですが、実はこの修道院、その風景とは裏腹に、ものすごい所に建ってるんですね。それがココです:



そう、何を隠そう、この修道院が位置しているのは、谷の底の底なんです!アプローチは「車が一台通るのがやっと」、見たいな道路を谷に沿って降りて行く事になるのですが、その風景がコレマタ絶景!実はココには8年程前に結婚式教会の村瀬君と一緒に車で来た事があったのですが、その時は谷に落ちない様に運転に集中していた為、谷の上から修道院の姿をじっくりと拝む事が出来ませんでした。と言う訳で、今回は絶景を満喫する為に「徒歩で行こう」と言う事になり、えっこら、えっこら、歩いてセナンク修道院に行ってきたと言う訳です。



さて、ではどうやって徒歩でアプローチするのか?と言う事なのですが、実はこの修道院、前回のエントリで書いた、天空の城ゴルドの直ぐ近くにあります。「地球の歩き方」とか見てみると、「徒歩1時間ちょっと」とかある。気になってネットで情報探してみたら、「無茶苦茶しんどかった」とか、「あんな所、歩いていく日本人の気が知れない」とか、結構凄い事が書いてある。こういう生の声を読んでしまうと、ちょっと躊躇しちゃう気もしないでもないんだけど、「でも、あの谷底の風景を見るためなら、えんやこら」と言う事で、歩いていく事決定!

早速ゴルドのツーリストオフィスに行き詳細を聞いたら、ちゃんと地図が用意してあって徒歩1時間30分とか書いてある。難易度は「易」。取り合えず、「本当か??」とか疑ってみたんだけど、結構歩いていく人が多い所を見ると、ネットで見た情報とはちょっと隔たりがある様に思えてきて、それで少しは気持が楽になりました。それにしても、観光案内所でもらった地図が無茶苦茶いい加減で、どの道を歩いて行ったら良いのか、さっぱり分からないんだけど、それでも最低、「車がビュンビュン走ってる道路を歩いていけばそのうち着くか」くらいのいい加減さで歩いてたら、本当に着いたのには笑いました。ゴルドの街を出る事20分足らず、上り坂を上り切った先に広がっているのがこの風景です:



マジかよ!って言うくらいの谷。しかも風がものすごい勢いで吹いてる。まるで、人間がこの谷へ近づく事を拒むかの様に・・・。で、下とか見たら柵も何も無い足元にこの角度の崖ですから。



多分落ちたらリアルに死ぬっぽい(冷汗)。



ここからこんな感じの道路を歩いて行く事になるのですが、左側は崖、右側は車と言う結構スリリングな道のりなんですね。元々谷間だった所に無理やり道路を一本引いただけなので、谷とは反対側には、こんな荒々しい岩肌が迫っています:



そんな、大自然満喫コースを10分も歩いていると谷底に見えてくるのがこの風景です:



谷の底の底の方に木々の隙間からチラチラ見える修道院の姿。コレが見たかった!!ましてやさっき、この風景とは全く反対の「天空に聳え立つ城」を見たばっかりだったので、感動もひとしおと言う訳です。この「風の谷」と言い、「天空の城」と言い、この地には、宮崎ワールドが広がっています。と言うか、リアル宮崎ワールドなんですけどね。で、この修道院の面白い所はこのアプローチにあると思います。



谷底を中心にして「ぐるー」っと一周した底の地点にこの修道院は建っている事から、アプローチする間、様々な角度から修道院を望む事になるんですね。



ほら、さっきまでは後姿だけだったのに、ココでは真横から眺める事が出来ちゃったりします。



建物の前にはラベンダー畑が広がっていたり、修道院の構成が、まるで建築模型を覗き込むかのように、手に取るように分かります。今まで多くの修道院や教会へ行って来たんだけど、真上から眺める事が出来る修道院と言うのは初めての経験ですね。そしてグルグルッと回ってようやく辿り着くのがこの正面です:



上から見ていた時にもう既に分かってたんだけど、ラベンダーの開花はマダマダでしたね。それでも、ラベンダーは修道院のトレードマークである事から、こんな風にしてみんな記念撮影していました。



ラベンダーがこの修道院のトレードマークであり、重要な収入源である事は、売店に行くと思い知らされるんだけど、こんな辺境の地に来て、良い匂いとか素敵な紫色なんかを見ていると、「ちょっと買っちゃおうかなー」なんて気になってくるから不思議です。



まあ、グローバリゼーションの中においてはイメージが全てを支配するなんて事は言うまでも無いんだけど、その法則がこんな辺境の地にまで迫っているのか?と思うと何か、複雑な思いがします。いや、逆か・・・。こんな辺境の地だからこそ、イメージ創りをしなければならないのかも知れませんね。そしてそんなイメージ合戦の頂点に立つ企業、それがロンリープラネットである事は以前書いた通りです。もう各国のイメージを好き放題切り刻んだり編集したり出来る彼らに勝てるグローバル企業はありませんからね。

セナンク修道院としては、このラベンダー関連商品の売り上げを伸ばす為に、否が応にも「セナンク修道院=ラベンダー」と言うイメージが欲しい訳なんですね。それがこのエントリの一番上に載せた写真であり、僕達日本人が南仏でイメージするラベンダー畑の向こう側にある教会のイメージな訳です(地中海ブログ:サン・カルリーノ・アッレ・クアットロ・フォンターネ教会(San Carlino alle Quattro Fontane)から学ぶ歴史の重み:現地へ行ってみて初めて分かる事は山程ある)。まあ、このようなイメージ創りは何処でも誰でもやってる事で、特に非難する事も無いんだけど、この写真を見た時、「あ、このイメージはフォトショップだな」と直ぐに思いました。それは、教会が正面を向いているのに対して、右側の建物の歪み方が明らかに可笑しいからです。ほら、拡大してみると、こんな感じで歪んでいるのが分かるかと思います。



まあ、それでも現場をこの目で見ない事には納得が出来ない性格なんで、早速現場検証をする事に。ココでもない、あそこでもないと散々迷った挙句、「ココだ!」と辿り着いたのがコチラ:



じゃーん。うん、正しくココだ。「で、問題の建物は?」っと探していたその時、衝撃の事実が!!何と、ココからの風景、写真と全く同じ様に、右側の建物が歪んでいるじゃないですか!!!



って事は、あのラベンダー畑の真ん前に構えている修道院の写真は合成じゃ無かったって事か!!!これはこれで凄い事だと思います。と言うか、かなり驚きました。この日は、「天空の城」で感動して、「風の谷」で又感動して、てっきり捏造だと思っていた写真が本物だった事に魂消て、なんか、一ヶ月分くらいの驚きを一気に消費してしまった様な一日でした。それにしても風の谷のセナンク修道院、噂に違わず素晴らしい修道院でした。
| 旅行記:建築 | 22:31 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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