地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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ヨーロッパの医療システム事情:日本の導入している医療システムって実は少数派なのかな?
前回のエントリ、ヨーロッパ各国の導入している医療システムについての続きなのですが、ヨーロッパ各国の医療事情についてTwitterを通じて欧州在住の皆さんに質問してみた所、とっても興味深い返信が返ってきたので、ちょっと紹介したいと思います。

先ずは先日の新聞記事に載っていた、僕的にはかなり驚きだった事の一つに、「イギリスでは病院がタダ」っていう情報がありました。スペインの新聞(La Vanguardia)の言ってる事だし、「本当かなー???」ってかなり疑心暗鬼だったのですが()、英国在住の皆さんの生情報によると、どうやら噂は本当らしいと言う事が判明しちゃいました!National Health Serviceを国が税金で運営していて医療費は無料だと言う事らしいです。

ただシステム上幾つかの問題もあるそうで、例えばその一つに、何時まで経っても空かないベッド、もしくは専門医の予約が取りにくいと言う事があるそうです。この辺の問題は現在のスペインが抱えている問題とほぼ一緒ですね。


オーストリア在住の方からのコメントでは、オーストリアでは診察が無料で薬代がかかるのだとか。そして公的な保険に加入が必要で、(その方の)保険料は毎月1万円くらいだそうです。面白かったのは、その方がつぶやかれていた事の中で、歯の治療には保険が適応されない為、オーストリア国内では治療費が高くついてしまうので、治療費の安い東欧で診察を受ける人が多いのだとか。

これは以前のエントリで書いた健康ツーリズムと基本同じですね(地中海ブログ:健康ツーリズム:スペインの誇る医療サービスの盲点を突いた、グローバリゼーションの闇)。健康ツーリズムと言えば、最近流行っている手口の一つに、自分の国では手術をするのに何ヶ月も待たなければならないので、既に体が悪い状態でスペインに観光客として入国して救急に駆け込み、そのまま無料で手術をするというケースが増えているそうです。スペインでは救急に限り、住民票を持たない観光客や違法移民の人達まで病院に無料でかかる事が出来るので、このようなアクロバッティブな裏技が出来るのだと思います。つまり法の網を掻い潜るというやつですね。

さて、こうしてヨーロッパ各国の医療システム状況を見てくると、日本が導入している医療システムっていうのは、(ヨーロッパ諸国に比べると)実は少数派だと言う事が見えてくるかと思います。だって、風邪を引いて病院とか行ったらそれだけで1000円とかするんだから、「病院はタダ」っていう感覚になれたヨーロッパ人にしたら、「なんじゃそりゃ!」ってなるのが自然な反応だと思うんですね。

そんなヨーロッパ人がアメリカなんて行ったらもう大変!

アメリカの医療を取り巻く「異常な状況」は、オバマ大統領のおかげ(?)で世界的に有名になりましたから。まあ、そんな異常な状況であっても、ヨーロッパの若い頭脳がアメリカへ流入し続けているという事実は、アメリカと言う国が持つ魅力が、医療費の問題なんかよりも遥かに眩しいと言う事の現れだ・・・と思わない事もないかな(地中海ブログ:欧州工科大学院 (European Institute of Innovation and Technology)の鼓動その2:ネットワーク型システムに基づくシティ・リージョンのようなコンセプトを持つ大学院)

このようなアメリカとヨーロッパの医療事情の比較を行った面白い映画に、マイケル・ムーアが撮ったSiCKOという映画があると言う事もTwitterで教えもらいました。機会があったら是非見たみたい映画です。
| ヨーロッパ都市政策 | 00:30 | comments(6) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
各国の医療事情を比較するのはおもしろいですね。
以前、日本でも都道府県ごとの「住みやすさランキング」なるものがあったと記憶していますが、医療施設、介護施設、公園面積、持ち家率、失業率などを集計して、「福井県」が一番だったような。。
それでも、医療費タダというのはあり得ないですね。
もしあったとしたら、国中からその県に殺到するでしょう。
| Aki | 2010/06/13 8:22 PM |
Akiさん、こんにちは。
病院がタダって、体験してみると分かるけど、ちょっとすごいです。
経済的には勿論、イザって言う時に、心の余裕が出来ます。
こういう社会的なセイフティネットがあるから、スペインの人達って、結構楽天的にすごしていられるのかもしれませんね。
| cruasan | 2010/06/15 6:58 AM |
ヨーロッパで医療費のかからない国がいくつかありますが、そのかわりに専門医や重篤な病気でも予約をとって、一ヶ月後とか二ヵ月後にみてもらう事がおおいんですよ。私はベルギー在住ですが、日本のように直接専門医にかかれない事に不満をもっています。病気は悪化する前に診察してもらいたいです。私も病気になりましたが、予約とってどうので、病気なのにさらにつかれてきます。ただもいいけど、医療ミスなどがありませんように。
| れい’ | 2010/10/11 8:49 PM |
れいさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

その問題、スペインでも問題になってます。スペインの場合は、プライベートな保険と言うのがあって、こちらに入ってると、直ぐに診察、専門医に往診してもらえるというシステムを採っています。逆に言うと、それに入ってない人は、長い時間待たされると言う事になるのですが、救急や重い病気などの場合は、公共の病院の場合でも(スペインの場合は)それなりに順番を繰り上げるなどして、対応してるみたいです。

おっしゃる通り、このシステムには一長一短があって、特に日本の医療システムに慣れている僕達にとっては、不満に思う事が多々あると思います。僕自身、ヨーロッパの医療システムについては大変関心の高い問題なので、もう少し詳しく調べてみようと思ってます。
| cruasan | 2010/10/13 5:09 AM |
他国に引っ越そうかと医療情報を探していたら
こちらにたどり着きましたが、医療事情は何処も同じですね.

こちらはオランダですが、オランダ人、外人(アジア人西洋人問わず)
オランダの医療システムに文句を言う人ばかりです.

体調不良であっても、水を飲め、ウイルスは6週間体内にいるので6週間後にまだ体調悪かったらこいとかしか言わない.
胃カメラのみましたが腕が悪いからか眠らさせられました。

末期治療しかしないという話も聞きました.
血液検査をしても、初期で分かる項目ではなく、
かなり症状が悪化してからでないと でてこない値しか
見ていないそうです(日本の医療関係者にこっちでやった血液検査の
内容と結果を言いましたら、そういっておりました...)
なので、日本のような予防とか、初期治療、予防とかそういう考えが
根本的に無いようですし、いくら検査しても
それを見るだけ技量のある医師がいるとは思えません.
絶対患者数が少ない、末期しか見ない、それでどうやって
医師が育つのか?

ってな感じに思っています.
| beru | 2012/08/29 4:44 AM |
Beruさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

そうなんですか!オランダはそんな感じなのですね。
スペインは一応、(驚くべき事に)医療レベルはそれなりに進んでいて、移植なんかではトップを走っていたりします。ただ、順番待ちがかなり長い様で、日本の様に、「病気になったから直ぐに見てほしい」という様な事は先ず不可能です。

スペインの医療は、「タダより高いものはない」という事をそのまま地で行っている様な感じでしょうか。

又オランダの情報など、ヨロシクお願いします!
| cruasan | 2012/09/01 6:24 AM |
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