地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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スペインの大学統合問題と将来プラン:現在77ある大学を20まで減らす具体策
先日の新聞(La Vanguardia 15 de Abril 2010)にスペインにおける大学システム変革に関する記事が載っていました。スペインの教育システムについては日本では余り知られていない事などから、当ブログでは事ある毎に関連情報などを取り上げてきています。(地中海ブログ:スペインの大学ランキング:総合ランキングではなく、学部間で競い合うというシステム、地中海ブログ:グローバリゼーションの中におけるローカリゼーション:何故カタルーニャの戦略は次々にポジティブな結果を生んでいるか?

取り合えず基本情報を整理しておきたいと思うのですが、スペインでは現在、全国に77の大学があり、その内50が公立、27が私立となっています。つまり大学数で見ると、スペインの大学数は日本の約10分の1程度(日本の大学数は709校)。大学進学率で見たら、日本は41%でスペインは43%となっています(この数字は2005年のものです。:詳しくはコチラ)。驚くべき事に日本よりもスペインの方が大学への進学率が高いんですね。(ちなみにスペインの人口は約4600万人、つまり日本の3分の1程度です。)

さて、そんなスペインの大学を取り巻く社会状況なのですが、実は今回、そんな状況に劇的な変革を促す長期的プランが発表されました。それが現在77ある大学数を今後20程度にまで減らすという大学削減プログラムです。

「えー、そんな事出来るの???」とか思っちゃいますが、実は既にその為の種は蒔かれているんですね。それが今年2月に発表されたCampus de Excelencia選抜(優秀キャンパス選抜)です。この選抜は教育省がイニチアティブを取り、全国の大学に各々の長期的戦略プランを提出させる事によって、国際的キャンパス(Campus de Excelencia Internacional)、地域的キャンパス(Campus de Excelencia Internacional de Ambio Regional)そして将来性豊かなキャンパス(Proyecto Prometedor)という3つのレベルの優れたキャンパスを選りすぐり、重点的に投資をしていこうというプログラムです。

ユニークだったのが、各大学がこの戦略を練るにつけて、単独大学だけではなく、隣接している大学間や似通ったプログラムを提供している大学間などでペアーを組んで一つのキャンパスとして申請する事が許可されていたという点です。その結果選ばれたのがコチラ:

1
.国際的(Campus de Excelencia Internacional

Ciudad Universitaria Moncloa
UCM(Universidad Complutense de Madrid) and UPM(Universidad Politecnica de Madrid)(マドリッド)
Campus Carlos III
(マドリッド)
UAM-CSIC
Universidad Autonoma de Madrid and Centro de Consejo Superior Investigaciones Cientificas(マドリッド)
Knowledge Campus
UBUniversidad de Barcelonaand UPCUniversidad Politecnicade Catalunya)(カタルーニャ)
UAB
(カタルーニャ)

2
.地域的キャンパス(Campus de Excelencia Internacional de Ambio Regional

Universidad de Cordoba
(コルドバ)
Universidad de Santiago de Compostela
(サンティアゴ・デ・コンポステーラ)
Universidad de Oviedo
(オビエド)
Universidad de Cantabria
(カンタブリア)

3
.将来性豊かなキャンパス(Proyecto Prometedor

UPM
Campus Montegancedo(マドリッド)
UPF
Icaria International(カタルーニャ)
URV-Campus de Excelencia Catalunya Sur
(カタルーニャ)
URL
(カタルーニャ)
UV/UPV-Proyecto Naunova
(バレンシア)
Universidad de Granada
(グラナダ)
Universidad de Navarra
(ナヴァラ)
Universidad de la Iglesia de Deusto
(バスコ)

合計17の大学もしくはキャンパスが選ばれていますが、注目すべきなのは、最高ランクの国際的キャンパス(Campus de Excelencia Internacional)に選ばれた5つのキャンパス−大学の内、3つまでもが2つ以上の大学が統合されたキャンパスとして選ばれているという点です。つまり、ここにおいて、もう既に将来を見越した大学間の統合が示唆されているんですね。

更に地域によっては同じようなプログラムを提供している大学間では、それらを一つに纏めてしまおうという動きも既に出始めています。具体的な例ではバルセロナ自治大学(UAB)とバルセロナ大学(UB)の間でフランス文学の学位提供プログラムの統合、バルセロナ自治大学(UAB)とポンペウ・ファブラ大学(Pompeu Fabra)間での医学学位提供プログラムの統合などがそれで、もう既に学位の提供は始められています。

こうして見ると、現在77ある大学を20に減らすという「結構過激なプラン」に思えた計画が、かなり具体性をもった計画である事が分かるかと思われます。逆に言えば、これだけ具体性を持ち且つ、迅速に教育省が対応していると言う事は、グローバリゼーションの中においてスペインの大学が置かれている状況がかなり切羽詰ったものだという事の裏がえしの様に思えて仕方がありません。このテーマ、今後要注目です。
| 都市戦略 | 19:10 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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