地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
<< 2010年、今年最初のブリュッセル出張その1:アクセッシビリティ評価  | TOP | ブリュッセル出張その3:アール・ヌーヴォー建築の傑作、オルタ邸(オルタ美術館)を見ていて思った2つの事:ブログ全盛時代の内部撮影禁止事項とヴィクトール・オルタ(Victor Horta)の空間構成力について >>
2010年、今年最初のブリュッセル出張その2:バイリンガルを通り越してトリリンガルになる日本人達:なんちゃってトリリンガルが変えるかもしれないヨーロッパの風景



昨日は朝から欧州委員会の本部ビルに隣接する
Charlemagne Conference Centerの中でほとんど缶詰め状態でした。ちなみに上の写真が欧州委員会の本部ビル(ベルレモン(Batiment Berlaymont))で、下の写真がその目の前にあるCharlemagne Conference Center



9
時から始まったICT関連の会議に出席しつつ、その合間を縫って各種プロジェクトのミーティングやら欧州委員会の人達との打ち合わせ等、気が付いてみたら19時回ってた。それでもチョコレートだけは外に食べに行きましたけどね。それがコレ:



その辺にあったカフェに入って適当に選んだんだけど、これがビックリする程美味しかった。普通のチョコレートケーキなのですがチョコの甘みが程良く抑えてあって、スッキリした上品なお味。そして驚いたのがコレ:



ケーキの中にチョコクッキーの粒が入ってて、スポンジのふんわり感とクッキーのパリパリ感が不思議なハーモニーを醸し出している。料理記者歴3年の僕もちょっとビックリの「大変おいしゅうございます!」。ものの30分程度のカフェ滞在だったけど、ブリュッセルのチョコ文化の奥深さを垣間見た気がしましたね。



さてここからが今日の本題です。今回の会議のオープニングのキースピーチを担当したのは、スペイン人とフランス人、そして司会者(国籍不明)など総勢6名だったのですが、スペイン人とフランス人はどうやら英語が苦手らしく、それぞれスペイン語とフランス語でスピーチをしていました。こんな事が出来ちゃうのも、EUが誇る複数言語同時通訳を可能とするこの翻訳ブースがあるからなんですね。



会議場を取り巻くように、ズラーっと並んだボックスの中では各国語のエキスパート達が必死に同時通訳を試みています。



そして電光掲示板には何語が何番のチャンネルで聞けるかの案内が表示され、それに従い各テーブルに備え付けられているコントローラに番号を入力すると、ヘッドホンから通訳が流れてくるという仕組みになっています。

で、今日、タマタマかもしれないけど、僕の前後左右10人くらいの人達が1時間半のキースピーチ中、一回もヘッドホンに手を触れていませんでした。これはつまり、彼らは最低でも英語、フランス語そしてスペイン語が理解出来るトリリンガルだと言う事を意味しているんですね。

単一言語話者が大多数を占める島国、日本で育った我々から見たらコレは物凄い事の様に思われるかもしれませんが、実は複数語を話すという事はヨーロッパではそんなに珍しい事ではありません。ヨーロッパは陸続きなので人の移動が激しい分、気が付いたら自分の隣に全く違う言語を話す人が居たなんて事はごく普通の日常風景です。小さい頃からそんな環境で育っているから、多文化や多言語への敷居が低く、自然と何ヶ国語も話せるようになっちゃったと、まあ、こんな訳です。

そんな「一人で翻訳君」みたいなヨーロッパ人なのですが、実は最近、ちらほらと日本人の中にも数ヶ国語を話す人が出て来ている様な感じを受けています。つまり日本人トリリンガルなのですが、その担い手は誰なのか?というと、何の事は無い、日本人留学生の皆さんやヨーロッパ各地で地元密着で仕事をされている人達です。

「そんなの昔からいたじゃないか!」って思われるかもしれませんが、昔と今とでは明らかに違う点が一つあります。それはコチラに来る人の絶対量です。グローバリゼーションなどの影響で海外旅行が当たり前になり、それにつれてヨーロッパ留学の敷居が下がった事により、こちらに来る人がここ10年程で激増した事は間違いありません(その理由はコチラ:地中海ブログ:スペイン留学について)。

では一体そのような人達が何故トリリンガルになっているのか?というと、理由は簡単で、英語ベースでは無い地域で生きている人達は、フランス語やスペイン語など地元の言葉を習得するのは当然として、その地で生きていく為には英語を理解する事までも要求されるからです。多分このような人達というのは、普段は地元の言葉(フランス語やスペイン語)で生活しているんだけど、必要に応じて英語も使い分けているという人が多いのでは?と思われます。ただ、この場合の「英語が操れる」というのは、何も完璧に喋れたり聞けたりする訳では全く無くて、パーティーで雑談が出来るとか、興味のあるカンファレンスに行って理解出来るとか、その程度。言語というのはコミュニケーションの道具なので、通じれば良いんですね。多くの日本人が勘違いしているように、完璧に喋る必要なんて全くありません。だからこのような人達の事をトリリンガルというとちょっと言い過ぎかもしれないので、ここでは「なんちゃってトリリンガル」と呼ぶ事にします。

ここからは僕の勝手な妄想なんだけど、このような「なんちゃってトリリンガル」が多く集まっている最初のグループは、おそらく今30代前後の人達、つまり1975年前後生まれの人達だと思われます。そしてこれらの人達がビジネスや研究所などをリードしていける立場になる10年後、きっとヨーロッパと日本の関係というのは変わっているんじゃないのかな?少なくとも今日の欧州会議で見たような風景、数ヶ国語のスピーチを翻訳機無しで理解出来る人達の中に、日本人の姿が多数見られる日はそう遠く無いような気がします。

「言語が出来れば何か変わるのか?」と言われれば、それは分かりません。変わるかもしれないし、何も変わらないかもしれない。そしてこれは先日話題になったベーシック・インカムの様な根本的な社会システムの変革という大げさな話ではありません。今ヨーロッパの各地で現在進行形で起こっているリアルな話なんですね。我々はそのような現実を踏まえた上で未来を語る時期に差し掛かっているのでは?と思う訳です。

そう考えると現実に即したちょっとは明るい未来予想図が描けるんじゃないでしょうか?
| 仕事 | 21:34 | comments(4) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント
はじめまして。
「ベーシックインカム」 「スペイン」 で検索をしていて、こちらのページに辿り着きました。
ただ、こちらの記事とは全く関係のないコメントになってしまうのですが・・・ すみません。。

ベーシック・インカムではありませんが、それに少しだけ似た状況として、「宝くじに当選した場合」 があると思います。
2006年にスペインのアルマザンという人口約6000人の町で、1等賞金30万ユーロの当選が1300本出た・・・ というニュースがありました。
それから約3年余りが経ちましたが、その後のこの町の様子は、どのようになっているのでしょうか?

* スペイン、アルマザンの町にクリスマスに起きた出来事
「人口約6000人の町に、1等賞金30万ユーロ (4680万円) の当選が1300本・・・」
http://www.gamenews.ne.jp/archives/m/e/150001300608.html

* アルマザン (Almazan) のホームページです。
http://www.almazan.es/
| kyunkyun | 2010/04/04 4:32 PM |
Kyunkyunさん、はじめまして、こんにちは。
このニュースは全く知りませんでした!
この宝くじはスペインではすごく有名で、僕も毎年買っているのですが、未だかつてかすった事もありません(笑)。ここ数年はカタルーニャで結構な数の賞金獲得者が出ていたのですが、人口6000人の町に1300人が当たってってすごいですね。ちょっと調べてみます。
ありがとうございました!
| cruasan | 2010/04/06 3:18 AM |
どーも、ついったーで相互フォロー頂いています。140字ではコメントできそうにないので、こちらに書き込ませてもらいますね。
このブログ、とても良かったです。私も現在「なんちゃってトリリンガル」めざし中です。その言葉もかなり気に入りました。ベルギーでずっと英語のみでやってたんですが、ここにきてオランダ語の習得中です。私の住むフランダース地方の人はブルーカラーでも蘭語,仏語、英語は話すので、コミュニケーションはとれるのですが、やはり現地の言葉が話せると話せないでは、相手の態度が大きく違います。それに何より職探しの幅だって広がります。いまのところはまだまだ「なんちゃって」にさえもなれていないですが。。。
現地の日本人のお友達はだんなさまがベルギー人でハーフのお子さんがいる女性ばっかりなんですが、まだ小さいお子さんたちは、ママのしゃべる日本語は理解できるらしいけど、口から出るのは現地語ばっかりだそう。だからお子さんのいる日本人は、だいたい現地語が話せますね。そうしないと我が子とのコミュニケーションが難しいという。。。
語学って、特に必要がなければ「なんちゃって」でいいのですよね。欧州の人って、ちょっと話せれば「自分はべらべら」って言い切りますよね。私もあまり無理せず、ちょっと話せるていどまでは頑張って勉強しようって気持ちです。
ご挨拶遅れましたが、今後ともよろしくお願いします。
| Dimples0805 | 2010/05/13 1:06 AM |
Dimples0805さん、初めまして、コメントありがとうございます。

ベルギーにお住まいなのですか?僕は仕事でちょくちょく行くのですが、チョコレートが美味しくて、かなり気に入っています!

そうそう、言語ってなんちゃってで良いと思うんですよね。
アメリカとヨーロッパの違いだと思うのですが、ヨーロッパは異文化を受け入れてきた歴史があるので、コミュニケーションは取れなくて当たり前だと思ってる。だからなんちゃってが通用するけど、アメリカとか、完璧な英語を話さないと人とはみなさないみたいな風潮がありますよね。考えただけで悪寒が走りますが・・正にガクブルって感じです(笑)。

僕も英語はかなり「なんちゃって」入ってますが、それでも結構やっていけてるので、ソレはそれでよいかな?と今では思うようにしています。
お互いがんばりましょう。
これからもヨロシクお願いします。
| cruasan | 2010/05/13 6:12 AM |
コメントする