地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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鋼の錬金術師を見てて思った事:「ココではない何処か遠く」を想起させるイメージ:何故Bleachではスペイン語が多用されるのか?
とある人に「鋼の錬金術師」というアニメの存在を教えてもらいました。全く知らなかったんだけど、今ちょっとWikiで調べてみたら、かなりの人気アニメみたいですね。リンクも教えてもらった事だし、「まあ、ためしに、12話見てみるか」と、軽い気持ちで見始めたんだけど、コレが予想以上に面白く、はまっちゃいました(笑)。ここの所、計画書の提出とか主張の準備とか目が回るくらい忙しいのに、コレはヤバイ(焦)。

さて、僕は結構アニメやマンガを見る方なのですが、最近のアニメを見ていて、「ん???」っと思った事があります。それは今ヨーロッパで大人気の日本発のアニメ(ナルトやBleach)には、ある共通点が存在するという事です。「そんな事、当然じゃーん」とか言われるかも知れないけど、物語の中に「侍装束」とか「刀」とか「忍者」とか「錬金術」とか、ヨーロッパの若者達の心をくすぐる要素がふんだんに散りばめられているんですね。つまり原作者は最初から世界のマーケットを視野に入れて作品を作っているのでは?と思われる訳です。

さて、ここまで読んで、「ん?」と違和感を感じた人はかなり鋭い!

そう、僕は今敢えて、日本的なイメージである「忍者」や「刀」と、ヨーロッパ起源の「錬金術」を並列に並べました。それが今日の記事の核心なんだけど、何故ならここには僕達の社会を切り取るある一側面がチラチラと垣間見えると思うからです。

「鋼の錬金術師」はその題名が示唆する通り、「錬金術」を使う少年が主人公の物語なのですが、この錬金術って勿論その発祥はヨーロッパな訳です。それがイスラムへ渡ったりして独自の発展を遂げ、もう一度ヨーロッパに逆輸入されたりするのですが、ココで重要なのは、現代人にとっては「錬金術」というのは、何かしら「何処か遠い国で行われている出来事」というイメージを誘発すると言う事です。そしてそれは日本のアニメやマンガが大好きなヨーロッパのオタク君達にとっても同じ。

「錬金術って何だか分かんないけど、日本のアニメだし、多分アジアの何処かで古くから伝わる忍法っぽいのだろう」というのが、彼らの本音なんじゃないのかな?そして彼らにとって重要なのは、それが「何処の国のものなのか?」とか、「一体何なのか?」と言った事ではなく、「どこか知らないけど、ココでは無い遠い国を連想させるから、すげーカッコイイ」という事だと思うんですね。だからそういう意味で言うと、ちょっとカッコイイ魔法に関連する「錬金術」は、「忍者」や「死神」と同じグループにくくられると思う訳です。

実は日本人もコレと同じ様な事をやっていて、Bleachの中に出てくる敵役にスペイン語の名前とか付けてますよね。コレについては以前詳しく書いたんだけど、要約すると、グローバリゼーションが進むにつれて、日常生活に英語がどんどん入ってきたり海外旅行が当たり前になってきたりすると、以前はちょっとした英語のフレーズ(ワン、ツー、スリーなんか)を台詞に入れるだけで、ちょっとクールな表現になったのが、今では多くの人が直感的にその意味が分かるようになっちゃいました。つまりグローバリゼーションが進んだ世界では、誰でもこの程度の英語は直感で理解出来てしまい、簡単な英語の台詞がクールでも何でも無い世界が到来してしまったと言う訳です。そんな状況下で、じゃあ、一体どうしようか?という事になって、ココで新たに採用されたのが、我らがスペイン語と言う訳なんですね。何故かと言うと、スペイン語は未だ英語ほどポピュラーじゃ無いので、「ウノ、ドス、トレス」とか言っても分かる人も少なく、なんだか良く分からないけど、ちょっとクールな感じを醸し出す事が出来るからです。

つまりこれらはみんなイメージの問題なんじゃないのかな?忍者も刀も死神も錬金術も、このようなイメージ、「ココではない、何処か遠くの国」というイメージと結び付いている気がして仕方ありません。そしてコレは多分、世界の隅々まで情報が行き渡ってしまい、もう何処にも秘境なんて無いんだけど、それでもある種のユートピアを探そうという願望と結び付いているんだと思っちゃったりするんですね。(この話は長くなるので又今度)

こう考えると、人間って、かなり昔から同じ様な事をやってるんだなーって思います。それにしても鋼の錬金術師、面白い!
| サブカル | 17:47 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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