地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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スペインの違法サイト取締り法規について
先々週(1月8日)の事なのですが、スペインでアニメや音楽などの違法ダウンロードを提供しているウェブを取り締まる為の法規を、政府が本格的に準備し始める旨が発表されました。この法規は「持続可能な経済に関する法律(Ley de Economia Sostenible)」というサパテロ内閣が今必死になって推し進め、夏以降に施行を目指している新しい法律のアネックスに付加される事となっています

勿論、スペインのウェブの住民達は大騒ぎ。連日反対運動や活発なディスカッションなどを至る所で展開しているのですが、この法規で一体何が制限されるのか?というと、裁判所から通告を受けたサイトを政府がブロック、もしくは閉鎖する事が出来ちゃうんですね。日本でも今月1日からダウンロード違法法案が施行され話題となっていますが、「著作権無法地帯のスペインにも規制の波がとうとう来たか!」という感じを受けています。

今回発表された法規は、その草稿案が12月初めに発表されていたのですが、詳しく見てみると、その時のモノとは随分中身が変更されている事に気が付きます。草稿案の特徴は:

1.違法ダウンロードを促進するようなサイトを裁判所の許可無くブロック、もしくは閉鎖する事が出来る
2.
プロバイダーに違法サイトの管理者のデータ提供を義務付ける事が出来る
3.
この法案の対象はサイトであって、そのサービスを利用している利用者ではない

3点だったのですが、特に「裁判所の許可無くサイトを閉鎖出来る」という点が論争の的となり、これらの法規を提案した政府与党内にあっても、意見の一致が見られないくらいでした。例えば、

サパテロ首相(Jose Luis Rodriguez Zapatero)

「・・・違法サイトの閉鎖は無い。言論の自由は確保されるべきである。」

カアマニョ法相(Francisco Caamano Dominguez)

「サイトの閉鎖には裁判所の命令が必要である」

サルガド財務相(Elena Salgado Mendez)

「サイトの閉鎖には裁判所の命令が必要だが、ブロックするには必要ない」

ゴンサレス・シンデ文化相(Angeles Gonzalez Sinde)

「サイトの閉鎖には裁判所の命令は必要ない」

更に最大野党である国民党のマリアノ・ラホイ党首(Mariano Rajoy)は、この法規に大反対してたんだけど、つい先日(昨年11月)、EU議会で「違法サイトの閉鎖を裁判所の許可無しで行える」という法案に賛成したのは、何を隠そう彼の国民党であり、その結果この法案が可決されるという結果になりました。つまり彼の言ってる事はテンデばらばら。

そんなこんなで紆余曲折を経て今回の最終案へと至った訳なのですが、その大枠組みは、「著作権所有者が自分のコンテンツが掲載されているサイトを専門家チーム(文化庁所属)に通告すると、彼らが調査・分析し、裁判所に分析結果を報告。それに基ついて、裁判所が4日以内に違法かどうか判断し、違法と見なした場合に限り、閉鎖する事が出来る」と書き換えられました。

注目すべきはこの裁判所が下す決定の速さですね。最長で4日、最短で24時間で決定が下されるそうです。煩雑になりがちな行政処理を最大限シンプルにし、ネットという、スピードが命の新しいテクノロジーに適した新しいタイプの法規が生み出されている予感がします。
| スペイン政治 | 19:27 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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