地中海ブログ

地中海都市バルセロナから日本人というフィルターを通したヨーロッパの社会文化をお送りします。
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バルセロナ、2022年冬季五輪に立候補の意思表明
昨日の事なのですが、バルセロナが2022年の冬季オリンピックに立候補する意向がある事を市長が発表しました。今日の新聞はその話題で持ち切りです。何でかって、市民は勿論、市関係者や政府関係者、はたまた州政府の国際プロジェクト責任者まで、全く何も知らされていなかった完全なるサプライズだったからなんですね。だからもうみんなビックリ。「えー、そうなのー!本当にやるのー!!!」みたいな。

勿論僕にとってもサプライズだった訳で、今日の新聞をじっくりと読み込んでみた所、どうやらこの計画は市長が単独でイニシアティブを取っているという事でした。普段は座って物静かにプレゼンをする
Jordi Hereu市長も、昨日は1時間半立ちっぱなし、カンペ無しで、全身を使って熱弁してたとEl Pais紙は写真入で報じている程です:



その一方で市民の反応はというと、大変冷ややかですね。「ホントにやるの?」「そんな事にお金を使うくらいなら、優先すべき問題があるんじゃ無いのか?」という意見が大半。更に
1992年の夏季オリンピックの大成功を覚えている市民よりも、2004年に開催されたForum2004の「成功とは言い難い大イベント」という悪いイメージの方が強い為、今回の提案は余計に税金の無駄使いと写るのかもしれません。

多分市長側としては「オリンピック誘致」という言葉を、いい風に言えば、「悲観論が蔓延している都市に明るい話題を呼び込むキッカケ」、悪い風に言えば、現在バルセロナ市が抱えている諸問題から市民の目を逸らさせる、それこそ「パンとサーカス」だったのかも知れないけど、今はさすがにタイミングが悪い。失業率が
20%に迫る勢いで、一向に景気回復の兆しが見えない事から、市民の目は相当厳しくなっています。

世界の反応はというと、「バルセロナはもう一つのオリンピックを求めている」と題したワシントンポストが結構上手くまとめてくれてますね:


1992年にオリンピックを開催した都市バルセロナは2022年の冬期オリンピックの切符を獲得したがっている。・・・未だかつて夏期と冬期、両方のオリンピックを開催した都市は存在しない。唯一、ミュンヘンだけが1972年の夏期、そして2018年の冬期を準備している。”

そう、多分注目すべきはココで、バルセロナもしくはカタルーニャというのは、本当に地の利に恵まれている稀有な都市だと言う事が出来ると思います。バルセロナという都市は温暖な地中海性気候の恩恵を十分に受けて、伝統的にビーチ文化や公共空間文化が存在しているのですが、1時間も北に車を走らせると、そこにはスキーやスノボーなど、冬の大レジャーランドが腕を広げて待っているという事は、案外知られていません。


今回の提案は正にそのようなバルセロナにしか出来無い、地の利をフルに生かした提案だと思います。僕に言わせれば、今まで冬季五輪に立候補しなかった事の方が不思議なくらい。そして多分、今回の立候補の裏には、オリンピックの投資を利用して、バルセロナと北の村々との交通網のインフラ整備、そして「バルセロナは夏のビーチだけじゃない!冬のスキーもいけるんだ!!!」という、「都市の宣伝」をする事が目的なのでは?と思われるんですね。この
2番目の点は強調されるべきで、今回の冬季五輪立候補問題を通して、既に国際的に「え、バルセロナってスキーも出来るの?」と驚いた人も多いはず。つまり既に「都市の広告」になっている訳です。

更に本気で計画を進めるのならば、当然、イベリア半島随一の免税店を抱え込んでいるアンドラ公国も一枚噛んでくるはず。更に更に、北の方は温泉も豊富な上に、最近流行の健康観光も絡めて、上手くやれば結構壮大な観光戦略が練られるはずです。


とまあ、都市的に見ればこんな感じだと思うのですが、多分、市長の思惑は別の所にありますね。それは来年に控えた選挙でしょう。民主化後、
30年近くに渡って市政を牛耳ってきた社会労働党(PSC)の人気に最近陰りが見え始めています。幾つかのインタビュー調査によると、「次の選挙では社会労働党には入れない」という人が大半を占めているとか。「このままでは負ける」、そういう焦りが今回の市長の提案を突き動かしている側面がある事は否めませんね。

まあ、今後見逃せない話題である事だけは確かです。
| 都市戦略 | 19:54 | comments(0) | - | このエントリーをはてなブックマークに追加
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